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弁理士 特許・実用新案 R4-6

 

 特許出願の分割及び変更並びに実用新案登録に基づく特許出願に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
 ただし、以下において、「国内優先権」とは、特許法第41条第1項に規定する優先権をいうものとする。

  1. 甲は、特許出願Aをし、その1年4月後に、特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願Bをした。その特許出願Bが外国語書面出願である場合、甲は、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許出願Bの日と同日に特許庁長官に提出しなければならず、特許出願Bの日と同日にその翻訳文の提出がなかったときは、特許庁長官は甲に対しその旨を通知しなければならない。これに対し、甲が経済産業省令で定める期間内に正当な理由なくその翻訳文の提出をすることができなかったときは、その特許出願Bは、特許出願Aから1年4月が経過した時に取り下げられたものとみなされる。
  2. 外国語書面出願の一部を分割して新たな特許出願とする場合には、当該新たな特許出願を外国語書面出願とすることができる。また、日本語でされた特許出願の一部を分割して新たな特許出願とする場合にも、当該新たな特許出願を外国語書面出願とすることは、特許法上、制限されていない。
  3. 実用新案登録に基づく特許出願は、国内優先権の主張の基礎となる出願とすることはできない。他方で、実用新案登録に基づく特許出願は、外国語書面出願とすることも、特許法第38条の3に規定する先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願とすることもできる。
  4. 実用新案登録に基づく特許出願は、原則として、実用新案権者でない者が実用新案技術評価の請求をした旨の最初の通知を実用新案権者が受けた日から30日の期間を経過した場合はできないが、当該実用新案権者が遠隔又は交通不便の地にある場合は、特許庁長官は、請求により又は職権でこの期間を延長することができる。
  5. 日本国内に住所又は居所を有する者であって手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、実用新案登録に基づく特許出願をすることはできないが、在外者の特許管理人は、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときを除き、実用新案登録に基づく特許出願をすることができる。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. なし

解答・解説

解答

 3

解説

  1. 甲は、特許出願Aをし、その1年4月後に、特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願Bをした。その特許出願Bが外国語書面出願である場合、甲は、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許出願Bの日と同日に特許庁長官に提出しなければならず、特許出願Bの日と同日にその翻訳文の提出がなかったときは、特許庁長官は甲に対しその旨を通知しなければならない。これに対し、甲が経済産業省令で定める期間内に正当な理由なくその翻訳文の提出をすることができなかったときは、その特許出願Bは、特許出願Aから1年4月が経過した時に取り下げられたものとみなされる。
    ❌ 特36条の2 2項・3項
    2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
    3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。[特36条の2 2項・3項]

  2. 外国語書面出願の一部を分割して新たな特許出願とする場合には、当該新たな特許出願を外国語書面出願とすることができる。また、日本語でされた特許出願の一部を分割して新たな特許出願とする場合にも、当該新たな特許出願を外国語書面出願とすることは、特許法上、制限されていない。
    ⭕️ 特44条1項
    特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。[特44条1項]

  3. 実用新案登録に基づく特許出願は、国内優先権の主張の基礎となる出願とすることはできない。他方で、実用新案登録に基づく特許出願は、外国語書面出願とすることも、特許法第38条の3に規定する先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願とすることもできる。
    ❌ 特41条1項2号、特38条の3 1項
    特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
    二 先の出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願又は実用新案法第十一条第一項において準用するこの法律第四十四条第一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは実用新案法第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願である場合[特41条1項2号]
    特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第三十六条第二項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願(外国においてしたものを含む。以下この条において「先の特許出願」という。)を参照すべき旨を主張する方法により、特許出願をすることができる。ただし、その特許出願が前条第一項第一号又は第二号に該当する場合は、この限りでない。[特38条の3 1項]

  4. 実用新案登録に基づく特許出願は、原則として、実用新案権者でない者が実用新案技術評価の請求をした旨の最初の通知を実用新案権者が受けた日から30日の期間を経過した場合はできないが、当該実用新案権者が遠隔又は交通不便の地にある場合は、特許庁長官は、請求により又は職権でこの期間を延長することができる。
    ⭕️ 特46条の2 1項3号、特4条
    実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる。この場合においては、その実用新案権を放棄しなければならない。
    三 その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法第十三条第二項の規定による最初の通知を受けた日から三十日を経過したとき。[特46条の2 1項3号]
    特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。[特4条]

  5. 日本国内に住所又は居所を有する者であって手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、実用新案登録に基づく特許出願をすることはできないが、在外者の特許管理人は、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときを除き、実用新案登録に基づく特許出願をすることができる。
    ⭕️ 特9条、特8条2項
    日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。[特9条]
    特許管理人は、一切の手続及びこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟について本人を代理する。ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。[特8条2項]

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