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弁理士 特許・実用新案 R1-3

 

 特許法及び実用新案法に規定する手続に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。
 また、特に文中に示した場合を除いて、実用新案登録出願は、国際出願に係る実用新案登録出願、実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願、出願の変更に係る実用新案登録出願ではなく、実用新案登録に基づく特許出願がされておらず、取下げ、放棄又は却下されておらず、審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。
 さらに、以下において、「最後の拒絶理由通知」とは、特許法第17条の2第1項第3号に規定する「最後に受けた」拒絶理由通知をいうものとする。

  1. 甲の実用新案登録Aに対して、他人から実用新案技術評価の請求がなされたが、甲は、当該実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から2月を経過するまでに訂正を行わなかった。当該実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から1年後、甲の当該実用新案登録Aに対して、実用新案登録無効審判が請求された。この実用新案登録無効審判について、実用新案法第39条第1項に規定された答弁書の提出のために最初に指定された期間内であれば、甲は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正をすることができる。
  2. 特許庁長官は、特許出願人の氏名又は名称の記載がない特許出願について、不適法な手続であって、その補正をすることができないものであるとして、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面を提出する機会を与えた後、その特許出願を却下することがある。
  3. 出願人は、最後の拒絶理由通知において指定された期間内に、明細書のみについて補正するとともに意見書を提出した。これに対し、当該補正が特許法第17条の2第3項の要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしているものの、当該補正及び意見書によって最後の拒絶理由通知に係る拒絶の理由が解消されていないと審査官が認めた場合、この補正は却下される。
  4. 出願人は、特許法第29条第2項のいわゆる進歩性の規定に違反することのみを理由とする最後の拒絶理由通知を受け、指定された期間内に請求項の削除のみを目的とする補正をするとともに意見書を提出した。これに対し、当該補正及び意見書によって最後の拒絶理由通知に係る拒絶の理由が解消されていないと審査官が認めた場合、この補正は却下されず、拒絶をすべき旨の査定がされる。
  5. 実用新案法には、訂正要件として、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正をする場合、訂正後における実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものでなければならない旨が規定されている。

解答・解説

解答

 4

解説

  1. 甲の実用新案登録Aに対して、他人から実用新案技術評価の請求がなされたが、甲は、当該実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から2月を経過するまでに訂正を行わなかった。当該実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から1年後、甲の当該実用新案登録Aに対して、実用新案登録無効審判が請求された。この実用新案登録無効審判について、実用新案法第39条第1項に規定された答弁書の提出のために最初に指定された期間内であれば、甲は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正をすることができる。
    ❌ 実14条の2 1項
    実用新案権者は、「第十三条第三項の規定による最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があつた日から二月を経過したとき」、「実用新案登録無効審判について、第三十九条第一項の規定により最初に指定された期間を経過したとき」を除き、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正を一回に限りすることができます。[実14条の2 1項]
    よって、謄本の送達があった日から2月を経過するまでに訂正を行わなかったため、訂正はできません。

  2. 特許庁長官は、特許出願人の氏名又は名称の記載がない特許出願について、不適法な手続であって、その補正をすることができないものであるとして、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面を提出する機会を与えた後、その特許出願を却下することがある。
    ❌ 特18条の2特38条の2 1項2号
    特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下しますが、第三十八条の二第一項各号に該当する場合は、この限りではありません。[特18条の2]
    ここで、第三十八条の二第一項には、特許出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が特許出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき[特38条の2 1項2号]が含まれます。
    よって、不適法な手続として却下することはありません。

  3. 出願人は、最後の拒絶理由通知において指定された期間内に、明細書のみについて補正するとともに意見書を提出した。これに対し、当該補正が特許法第17条の2第3項の要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしているものの、当該補正及び意見書によって最後の拒絶理由通知に係る拒絶の理由が解消されていないと審査官が認めた場合、この補正は却下される。
    ❌ 特53条特17条の2 1項3号・3項〜6項
    願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければなりません。[特53条]
    一方、特許出願人は、拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内には補正をすることができます。[特17条の2 1項3号]
    また、明細書のみの補正は同条3項の要件を満たす必要がありますが、本肢はこれを満たしています。
    よって、適法であるため、却下されません。

  4. 出願人は、特許法第29条第2項のいわゆる進歩性の規定に違反することのみを理由とする最後の拒絶理由通知を受け、指定された期間内に請求項の削除のみを目的とする補正をするとともに意見書を提出した。これに対し、当該補正及び意見書によって最後の拒絶理由通知に係る拒絶の理由が解消されていないと審査官が認めた場合、この補正は却下されず、拒絶をすべき旨の査定がされる。
    ⭕️ 特53条特17条の2 1項3号・3項〜6項
    願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければなりません。[特53条]
    一方、特許出願人は、拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内には補正をすることができます。[特17条の2 1項3号]
    また、請求項の削除の補正は、同条3項・5項の要件を満たす必要がありますが、本肢はこれを満たしています。
    よって、補正は適法であり却下されず、拒絶をすべき旨の査定がされます。

  5. 実用新案法には、訂正要件として、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正をする場合、訂正後における実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものでなければならない旨が規定されている。
    ❌ 規定なし(実14条の2
    そのような規定はありません。

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