資格部

資格・検定の試験情報、対策方法、問題解説などをご紹介

弁理士 特許・実用新案 R1-2

 

 特許権又は実用新案権の侵害に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

  1. 特許権者は、故意又は過失により自己の特許権を侵害した者に対し、当該特許権の存続期間中に限り、その侵害により自己が受けた損害の賠償を請求することができる。
  2. 特許権者は、過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害した者がその侵害の行為により利益を受けていないときは、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額(以下「実施料相当額」という。)を超える損害を受けていたとしても、実施料相当額を超える賠償を請求することはできない。
  3. 実用新案権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした時から30日を経過するまでの間は、自己の実用新案権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その権利を行使することができない。
  4. 特許権の侵害に係る訴訟において、被告が、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものであるとの主張をした場合に、その主張が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、その主張が時機に後れたものでなくとも、裁判所は、職権で却下の決定をすることができる。
  5. 特許権の侵害に係る訴訟において、特許法第105条の4に規定する秘密保持命令が発せられた場合には、その命令は、命令が発せられた時から、効力を生ずる。

解答・解説

解答

 4

解説

  1. 特許権者は、故意又は過失により自己の特許権を侵害した者に対し、当該特許権の存続期間中に限り、その侵害により自己が受けた損害の賠償を請求することができる。
    ❌ 民709条
    故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益(ここでは特許権)を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。[民709条]
    特許権については、存続期間満了後でも、損害賠償を請求することができます。[青本特123条]
    よって、存続期間中に限るわけではありません。

  2. 特許権者は、過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害した者がその侵害の行為により利益を受けていないときは、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額(以下「実施料相当額」という。)を超える損害を受けていたとしても、実施料相当額を超える賠償を請求することはできない。
    ❌ 特102条3項・5項
    特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができます。[特102条3項]
    この規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げません。特102条5項]
    よって、実施料相当額を超える賠償を請求することはできます。

  3. 実用新案権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした時から30日を経過するまでの間は、自己の実用新案権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その権利を行使することができない。
    ❌ 実29条の2
    実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができません。[実29条の2]
    よって、警告をした時から30日を経過せずとも、権利を行使することができます。

  4. 特許権の侵害に係る訴訟において、被告が、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものであるとの主張をした場合に、その主張が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、その主張が時機に後れたものでなくとも、裁判所は、職権で却下の決定をすることができる。
    ⭕️ 特104条の3 2項
    審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができます。[特104条の3 2項]

  5. 特許権の侵害に係る訴訟において、特許法第105条の4に規定する秘密保持命令が発せられた場合には、その命令は、命令が発せられた時から、効力を生ずる。
    ❌ 特105条の4 4項
    秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生じます。[特105条の4 4項]
    よって、命令が発せられた時から、効力を生ずるわけではありません。

前問 一覧 次問