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適性科目 令和元年度再試験 Ⅱ-12

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 技術者にとって安全確保は重要な使命の一つである。2014年に国際安全規格「ISO/IEC  Guide51」(JIS Z 8051:2015)が改定されたが,これは機械系や電気系の各規格に安全を導入するためのガイド(指針)を示すものである。日本においては各ISO/IEC規格のJIS化版に伴い必然的にその内容は反映されているが,規制法令である労働安全衛生法にも,その考え方が導入されている。国際安全規格の「安全」に関する次の(ア)〜(オ)の記述について,不適切なものの数はどれか。

  1. 「安全」とは,絶対安全を意味するものではなく,「リスク」(危害の発生確率及びその危害の度合いの組合せ)という数量概念を用いて,許容不可能な「リスク」がないことをもって,「安全」と規定している。この「安全」を達成するために,リスクアセスメント及びリスク低減の反復プロセスが必要である。
  2. リスクアセスメントのプロセスでは,製品によって,危害を受けやすい状態にある消費者,その他の者を含め,製品又はシステムにとって被害を受けそうな”使用者",及び“意図する使用及び合理的予見可能な誤使用”を同定し,さらにハザードを同定する。そのハザードから影響を受ける使用者グループへの「リスク」がどれくらい大きいか見積もり,リスクの評価をする。
  3. リスク低減プロセスでは,リスクアセスメントでのリスクが許容可能でない場合,リスク低減策を検討する。そして,再度,リスクを見積もり,リスクの評価を実施し,その「残留リスク」が許容可能なレベルまで反復する。許容可能と評価した最終的な「残留リスク」は妥当性を確認し文書化する。
  4. リスク低減方策には,設計段階における方策と使用段階における方策がある。設計段階では,本質安全設計,ガード及び保護装置,最終使用者のための使用上の情報の3方策がある。この方策には優先順位付けはなく,本質的安全設計方策の検討を省略して,安全防護策や使用上の情報を方策として検討し採用することができる。
  5. リスク評価の考え方として,「ALARPの原則」がある。ALARPとは,「合理的に実効可能なリスク低減方策を講じてリスクを低減する」という意味であり,リスク軽減を更に行なうことが実際的に不可能な場合,又は費用と比べて改善効果が甚だしく不釣合いな場合だけ,リスクが許容可能となる。

① 0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

解答・解説

解答

 ②

解説

  1. 「安全」とは,絶対安全を意味するものではなく,「リスク」(危害の発生確率及びその危害の度合いの組合せ)という数量概念を用いて,許容不可能な「リスク」がないことをもって,「安全」と規定している。この「安全」を達成するために,リスクアセスメント及びリスク低減の反復プロセスが必要である。 ⭕️
    適切です。

  2. リスクアセスメントのプロセスでは,製品によって,危害を受けやすい状態にある消費者,その他の者を含め,製品又はシステムにとって被害を受けそうな”使用者",及び“意図する使用及び合理的予見可能な誤使用”を同定し,さらにハザードを同定する。そのハザードから影響を受ける使用者グループへの「リスク」がどれくらい大きいか見積もり,リスクの評価をする。 ⭕️
    適切です。

  3. リスク低減プロセスでは,リスクアセスメントでのリスクが許容可能でない場合,リスク低減策を検討する。そして,再度,リスクを見積もり,リスクの評価を実施し,その「残留リスク」が許容可能なレベルまで反復する。許容可能と評価した最終的な「残留リスク」は妥当性を確認し文書化する。 ⭕️
    適切です。

  4. リスク低減方策には,設計段階における方策と使用段階における方策がある。設計段階では,本質安全設計,ガード及び保護装置,最終使用者のための使用上の情報の3方策がある。この方策には優先順位付けはなく,本質的安全設計方策の検討を省略して,安全防護策や使用上の情報を方策として検討し採用することができる。 ❌
    3方策の優先順位は高い順に,本質的安全設計方策,ガード及び保護装置,使用上の情報,と定められているため,不適切です。

  5. リスク評価の考え方として,「ALARPの原則」がある。ALARPとは,「合理的に実効可能なリスク低減方策を講じてリスクを低減する」という意味であり,リスク軽減を更に行なうことが実際的に不可能な場合,又は費用と比べて改善効果が甚だしく不釣合いな場合だけ,リスクが許容可能となる。 ⭕️
    適切です。