組換えDNA技術の進歩はバイオテクノロジーを革命的に変化させ,ある生物のゲノムから目的のDNA断片を取り出して,このDNAを複製し,塩基配列を決め,別の生物に導入して機能させることを可能にした。組換えDNA技術に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
① 組換えDNA技術により,大腸菌によるインスリン合成に成功したのは1990年代後半である。
② ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では,ポリメラーゼが新たに合成した全DNA分子が次回の複製の鋳型となるため,30回の反復増幅過程によって最初の鋳型二本鎖DNAは30倍に複製される。
③ ある遺伝子の翻訳領域が,1つの組織から調製したゲノムライブラリーには存在するのに,その同じ組織からつくったcDNAライブラリーには存在しない場合がある。
④ 6塩基の配列を識別する制限酵素EcoRIでゲノムDNAを切断すると,生じるDNA断片は正確に46塩基対の長さになる。
⑤ DNAの断片はゲル電気泳動によって陰極に向かって移動し,大きさにしたがって分離される。
解答・解説
解答
③
解説
① 組換えDNA技術により,大腸菌によるインスリン合成に成功したのは1990年代後半である。
大腸菌によるインスリン合成に成功したのは1979年ですので,不適切です。
② ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では,ポリメラーゼが新たに合成した全DNA分子が次回の複製の鋳型となるため,30回の反復増幅過程によって最初の鋳型二本鎖DNAは30倍に複製される。
30回の反復増幅過程で,230倍に複製されますので,不適切です。
③ ある遺伝子の翻訳領域が,1つの組織から調製したゲノムライブラリーには存在するのに,その同じ組織からつくったcDNAライブラリーには存在しない場合がある。
適切です。
④ 6塩基の配列を識別する制限酵素EcoRIでゲノムDNAを切断すると,生じるDNA断片は正確に46塩基対の長さになる。
DNA断片は同じ長さになるとは限りませんので,不適切です。
⑤ DNAの断片はゲル電気泳動によって陰極に向かって移動し,大きさにしたがって分離される。
陽極に向かって移動しますので,不適切です。
参考情報
過去の出題
なし
オンラインテキスト
(準備中)