タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あるが,アミノ酸1個に対してDNAを構成する塩基3つが1組となって1つのコドンを形成して対応し,コドンの並び方,すなわちDNA塩基の並び方がアミノ酸の並び方を規定することにより,遺伝子がタンパク質の構造と機能を決定する。しかしながら,DNAの塩基は4種類あることから,可能なコドンは4 × 4 × 4 = 64通りとなり,アミノ酸の数20をはるかに上回る。この一見して矛盾しているような現象の説明として,最も適切なものはどれか。
① コドン塩基配列の1つめの塩基は,タンパク質の合成の際にはほとんどの場合,遺伝情報としての意味をもたない。
② 生物の進化に伴い,1種類のアミノ酸に対して1種類のコドンが対応するように,64 − 20 = 44のコドンはタンパク質合成の鋳型に使われる遺伝子には存在しなくなった。
③ 64 − 20 = 44のコドンのほとんどは20種類のアミノ酸に振分けられ,1種類のアミノ酸に対していくつものコドンが存在する。
④ 64のコドンは,DNAからRNAが合成される過程において配列が変化し,1種類のアミノ酸に対して1種類のコドンに収束する。
⑤ 基本となるアミノ酸は20種類であるが,生体内では種々の修飾体が存在するので,64 − 20 = 44のコドンがそれらの修飾体に使われる。
解答・解説
解答
③
解説
① コドン塩基配列の1つめの塩基は,タンパク質の合成の際にはほとんどの場合,遺伝情報としての意味をもたない。
1つめの塩基も遺伝情報としての意味をもちますので,不適切です。
② 生物の進化に伴い,1種類のアミノ酸に対して1種類のコドンが対応するように,64 − 20 = 44のコドンはタンパク質合成の鋳型に使われる遺伝子には存在しなくなった。
あらゆるコドンは,タンパク質合成の遺伝子情報として使われますので,不適切です。
③ 64 − 20 = 44のコドンのほとんどは20種類のアミノ酸に振分けられ,1種類のアミノ酸に対していくつものコドンが存在する。
適切です。
④ 64のコドンは,DNAからRNAが合成される過程において配列が変化し,1種類のアミノ酸に対して1種類のコドンに収束する。
この過程では,1種類のコドンに収束しませんので,不適切です。
⑤ 基本となるアミノ酸は20種類であるが,生体内では種々の修飾体が存在するので,64 − 20 = 44のコドンがそれらの修飾体に使われる。
コドンは生体内の修飾体には使われませんので,不適切です。
参考情報
過去の出題
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