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司法書士 刑法 問3

 

 詐欺罪に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。

  1. Aは,病気を治癒する効果のない儀式であるのにその効果があるように装って,Bに対し,その旨うそを言い,儀式料の名目で金員の交付を求めた。その際,Aは,その方法として,Bにおいて,Aから商品を購入したように仮装して信販会社Cとの間で立替払契約を締結し,当該契約に基づき商品購入代金としてCからAに金員を交付させる方法を勧め,Bは,その方法に従って,Aに金員を支払った。この場合において,AのBに対する詐欺罪が成立する。
  2. Aは 1 万円を持ち,代金を支払うつもりで飲食店に入り,店主Bに対し,700 円の定食を注文してその提供を受けたが,食べ終わった後になって代金を支払うのが惜しくなり,Bの伱を見て,何も言わずに店外に出て,代金を支払わないまま逃走した。この場合において,AのBに対する詐欺罪が成立する。
  3. Aは,Bから,「知り合いのCから自由に使ってくれと言われて預かっているクレジットカードだ。10 万円以内の買い物なら使用してよい。」と言われ,規約上名義人のみが利用できるC名義のクレジットカードを受け取ったが,実際には,当該クレジットカードは,BがCから窃取したものであった。Aは,Bが窃取したクレジットカードであることに気付かず,Cの口座から確実に代金の決済がされるものと考え,Cに成りすまして当該クレジットカードを支払手段として家電量販店店員Dに示し,代金 8 万円のスマートフォン 1 台を購入してその交付を受けた。この場合において,AのDに対する詐欺罪は成立しない。
  4. Aは,第三者に売り渡すつもりで甲銀行の預金通帳を入手しようと考え,甲銀行乙支店に赴き,行員Bに対し,その意図を秘して自己名義の預金口座の開設並びに口座開設に伴う自己名義の預金通帳の交付を申し込み,BからA名義の預金通帳の交付を受けた。甲銀行では,預金口座開設等の申込時,契約者に対して,規定により通帳名義人以外の第三者に預金通帳を譲渡,質入れ又は利用させるなどすることを禁止していた。この場合において,AのBに対する詐欺罪が成立する。
  5. Aは,甲銀行乙支店に開設した自己名義の預金口座の残高が全くないことを知りながら,入出金履歴を通帳に記帳した際,当該預金口座の残高が 100 万円になっていたことから,入出金状況を調べてみると,全く身に覚えのないBから 100 万円が振り込まれており,Bが誤って振り込んだものであることに気付いた。Aは,この 100 万円を自分のものにしてしまおうと考え,甲銀行乙支店に赴き,その意図を秘して,行員Cに対し,当該預金口座からの 100 万円の払戻しを請求し,Cから 100 万円の交付を受けた。この場合において,AのCに対する詐欺罪は成立しない。
  1. アウ
  2. アエ
  3. イウ
  4. イオ
  5. エオ

出典:令和2年度 午前の部 第26問

解答・解説

解答

 2

解説

  1. Aは,病気を治癒する効果のない儀式であるのにその効果があるように装って,Bに対し,その旨うそを言い,儀式料の名目で金員の交付を求めた。その際,Aは,その方法として,Bにおいて,Aから商品を購入したように仮装して信販会社Cとの間で立替払契約を締結し,当該契約に基づき商品購入代金としてCからAに金員を交付させる方法を勧め,Bは,その方法に従って,Aに金員を支払った。この場合において,AのBに対する詐欺罪が成立する。 ⭕️
    準備中

  2. Aは 1 万円を持ち,代金を支払うつもりで飲食店に入り,店主Bに対し,700 円の定食を注文してその提供を受けたが,食べ終わった後になって代金を支払うのが惜しくなり,Bの伱を見て,何も言わずに店外に出て,代金を支払わないまま逃走した。この場合において,AのBに対する詐欺罪が成立する。 ❌
    準備中

  3. Aは,Bから,「知り合いのCから自由に使ってくれと言われて預かっているクレジットカードだ。10 万円以内の買い物なら使用してよい。」と言われ,規約上名義人のみが利用できるC名義のクレジットカードを受け取ったが,実際には,当該クレジットカードは,BがCから窃取したものであった。Aは,Bが窃取したクレジットカードであることに気付かず,Cの口座から確実に代金の決済がされるものと考え,Cに成りすまして当該クレジットカードを支払手段として家電量販店店員Dに示し,代金 8 万円のスマートフォン 1 台を購入してその交付を受けた。この場合において,AのDに対する詐欺罪は成立しない。 ❌
    準備中

  4. Aは,第三者に売り渡すつもりで甲銀行の預金通帳を入手しようと考え,甲銀行乙支店に赴き,行員Bに対し,その意図を秘して自己名義の預金口座の開設並びに口座開設に伴う自己名義の預金通帳の交付を申し込み,BからA名義の預金通帳の交付を受けた。甲銀行では,預金口座開設等の申込時,契約者に対して,規定により通帳名義人以外の第三者に預金通帳を譲渡,質入れ又は利用させるなどすることを禁止していた。この場合において,AのBに対する詐欺罪が成立する。 ⭕️
    準備中

  5. Aは,甲銀行乙支店に開設した自己名義の預金口座の残高が全くないことを知りながら,入出金履歴を通帳に記帳した際,当該預金口座の残高が 100 万円になっていたことから,入出金状況を調べてみると,全く身に覚えのないBから 100 万円が振り込まれており,Bが誤って振り込んだものであることに気付いた。Aは,この 100 万円を自分のものにしてしまおうと考え,甲銀行乙支店に赴き,その意図を秘して,行員Cに対し,当該預金口座からの 100 万円の払戻しを請求し,Cから 100 万円の交付を受けた。この場合において,AのCに対する詐欺罪は成立しない。 ❌
    準備中

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