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ST 令和4年度春期 午後Ⅱ 問2

   

基幹システムの再構築における開発の優先順位付けについて

 長期にわたって改善を繰り返してきた基幹システムは,複数のサブシステムが複雑に連携し合い,保守性が低下し,事業環境の変化に追随できなくなっていることが多い。このような基幹システムの再構築には,多くの費用,期間が必要であり,一度に全てのサブシステムを再構築することはリソース制約とともにリスクも大きい。一方,経営層からは業務効率の大幅な向上や,投資効果を早期に享受することが求められるようになってきている。
 ITストラテジストは,基幹システムの再構築を計画する際,全体システム化計画との整合性に留意しつつ,それぞれのサブシステムを,どのような順序で,どのくらいの費用と期間を掛けて再構築するかの優先順位を検討する。優先順位を検討する際,次のようなことを考慮することが重要である。

 ・経営層からの要請,業務や現行システムが抱える問題,制度変更への対応など,対象となるサブシステムが解決すべき課題の重要性及び緊急性は何か。

 ・どのような順序で,どのくらいの費用と期間を掛けて再構築すると,投資効果を早期に享受し,改修規模を極小化できるか。

 ・現行の機能の再利用,IT部門のリソース制約,技術上の難易度などを考慮した上で,どのような順序で取り組むことで,再構築リスクを軽減できるか。

 

 ITストラテジストは,検討した優先順位について,定性・定量の両面における投資効果とともに経営層に説明し,承認を得る必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア あなたが携わった基幹システムの再構築の計画策定について,企業の事業概要,背景となった事業環境の変化,基幹システムの概要を,事業特性とともに800字以内で述べよ。

設問イ 設問アで述べた基幹システムについて,あなたはそれぞれのサブシステムを,どのような優先順位で再構築することとしたか。特に重要と考えて考慮したこととその内容,あなたが工夫したこととともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ 設問イで述べた優先順位について,経営層にどのような説明を行い,どのような評価を受けたか。経営層の評価を受けて改善したこととともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 IT ストラテジストは,事業戦略の実現に向け,基幹システム再構築の計画を策定し,その計画を,経営層に 説明し,承認を得ることがある。
 本問は,再構築対象となる基幹システムのサブシステムについて,事業戦略を踏まえて再構築の優先順位をどのように検討したか,検討上の工夫点とともに,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,IT ストラテジストに必要な事業戦略の理解力,基幹システムの再構築計画の策定力,情報システムと業務課題の関連付けを行う能力などを評価する。

採点講評

 全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが散見された。これらは,評価の対象となるので,矛盾が生じないように適切な記述を心掛けてほしい。また,字数が少なくて経験や考えを十分に表現できていない論述も目立った。
 午後Ⅱ試験では,IT ストラテジスト自身の経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,注意してほしい。

 問 2 では,基幹システムのサブシステムを明記し,経営層・事業部門の声やシステム部門のリソース制約などを考慮して,優先順位を検討した内容について具体的に論述している解答が多く見受けられた。事業環境の変化への対応や,事業面から見た投資効果を適切に論述できているものも多く,題意はおおむね理解されているようだった。
 一方で,システム構築のマネジメントリスクや基盤技術の選定に終始している論述も散見された。特に,期間短縮やコスト削減の対応方法として“クラウド・SaaS を活用した”,“柔軟に対応するためにマイクロサービスを活用した”などの活用技術だけを論述したものも散見された。IT ストラテジストとして,それらがどのように経営課題を解決するかを具体的に論述してほしい。

解答例

構成例

 準備中

論述例
設問ア

 準備中

設問イ

 準備中

設問ウ

 準備中

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