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ST 令和4年度春期 午後Ⅱ 問1

   

ITを活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画について

 近年,顧客が商品やサービスに興味をもってから,購入や利用までの一連の体験を通じて得る満足度を向上させることが,企業が差別化を図るために重要になっている。そのため,ITを活用して,顧客との接点を増やしたり,関係性を高めたりすることで,顧客に新たな価値を感じてもらえる新商品や新サービスを提供することがある。
 ある保険会社では,顧客の声を収集,分析したところ,多くの商品で年齢ごとに保険料が一律であることに不満が多かった。また,契約と保険金の支払以外で顧客との接点が少なかった。そのため,健康に気を使えば保険料を割り引く,健康増進型の保険商品を企画した。具体的には,スマートデバイスで契約期間中の顧客との接点を増やし,顧客の同意のもと健康診断や歩行などの健康データを収集する。そして収集した健康データを活用して,翌年以降の保険料を割り引く仕組みを提供した。さらに,健康的な食事などへのアドバイスや,スポーツジムの利用の割引を提供した。それによって,顧客に新たな価値を感じてもらえる新商品を実現した。
 ITストラテジストは,ITを活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画を行う際,次のような事項を検討することが重要である。

 ・どのような顧客に対して,接点を増やしたり,関係性を高めたりするか。

 ・顧客との接点で,どのような新たな価値を提供するか。

 ・新商品や新サービスを実現するためにどのようなデータを扱うか。

 

 その上で,顧客満足度を向上させる新商品や新サービスについて,顧客満足度を測る指標や投資効果とともに,経営層に提案する必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア あなたが携わったITを活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画において,事業概要,顧客満足度を向上させることが必要となった背景を,事業特性とともに800字以内で述べよ。

設問イ 設問アで述べた顧客満足度を向上させるために,ITを活用してどのような新商品や新サービスを企画したか。顧客との接点や関係性,新たな価値,扱うデータを明確にして,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ 設問イで述べた顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画について経営層に何を提案し,どのように評価されたか。経営層の評価を受けて改善したこととともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 IT ストラテジストは,IT を活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画を行うことがある。本問は,IT を活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスについて,どのような企画を行ったか, 顧客との接点や関係性,新たな価値,扱うデータを明確にして,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,IT を活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画において,IT ストラテジストに必要な構想力,効果目標や評価指標を設定する能力などを評価する。

採点講評

 全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが散見された。これらは,評価の対象となるので,矛盾が生じないように適切な記述を心掛けてほしい。また,字数が少なくて経験や考えを十分に表現できていない論述も目立った。
 午後Ⅱ試験では,IT ストラテジスト自身の経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,注意してほしい。

 問 1 では,ターゲットとする顧客を定め,顧客満足度を向上させるために,新しい価値を提供する新商品や新サービスを企画している論述が多く見受けられ,論述しやすかったと思われる。一方,顧客との接点や関係性,顧客の体験などを十分に理解できておらず,IT を活用した新サービスなどの記述にとどまっている論述も 散見された。IT ストラテジストは,顧客の体験や顧客の業務などの視点に立って,顧客にとって価値のあるサービスや商品を構想できる能力を身に付けてほしい。

解答例

構成例

 準備中

論述例
設問ア

 準備中

設問イ

 準備中

設問ウ

 準備中

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