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適性科目 平成29年度 Ⅱ-13

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 倫理問題への対処法としての功利主義と個人尊重主義は,ときに対立することがある。次の記述の,   に入る語句の組合せとして,最も適切なものはどれか。

 倫理問題への対処法としての「功利主義」とは,19世紀のイギリスの哲学者であるべンサムやミルらが主張した倫理学説で,「最大多数の最大幸福」を原理とする。倫理問題で選択肢がいくつかあるとき,そのどれが最大多数の最大幸福につながるかで優劣を判断する。しかしこの種の功利主義のもとでは,特定個人への ア が生じたり,個人の権利が制限されたりすることがある。一方,「個人尊重主義」の立場からは,個々人の権利はできる限り尊重すべきである。功利主義においては,特定の個人に犠牲を強いることになった場合には,個人尊重主義と対立することになる。功利主義のもとでの犠牲が個人にとって イ できるものかどうかその確認の方法として,「黄金律」テストがある。黄金律とは,「自分の望むことを人にせよ」あるいは「自分の望まないことを人にするな」という教えである。自分がされた場合には憤概するようなことを,他人にはしていないかチェックする「黄金律」テストの結果,自分としては損害を イ できないとの結論に達したならば,他の行動を考える倫理的必要性が高いとされる。また,重要なのは,たとえ「黄金律」テストで自分でも イ できる範囲であると判断された場合でも,次のステップとして「相手の価値観においてはどうだろうか」と考えることである。
 以上のように功利主義と個人尊重主義とでは対立しうるが,権利にもレベルがあり,生活を維持する権利は生活を改善する権利に優先する。この場合の生活の維持とは,盗まれない権利,だまされない権利などまでを含むものである。また, ウ  エ に関する権利は最優先されなければならない。

 
不利益 無視 安全 人格
不道徳 許容 環境 人格
不利益 許容 安全 健康
不道徳 無視 環境 健康
不利益 許容 環境 人格

解答・解説

解答

 ③

解説

 功利主義と個人尊重主義に関する穴埋め問題です。設問の文章を穴埋めすると,次の通りになります。

 倫理問題への対処法としての「功利主義」とは,19世紀のイギリスの哲学者であるべンサムやミルらが主張した倫理学説で,「最大多数の最大幸福」を原理とする。倫理問題で選択肢がいくつかあるとき,そのどれが最大多数の最大幸福につながるかで優劣を判断する。しかしこの種の功利主義のもとでは,特定個人への 不利益 が生じたり,個人の権利が制限されたりすることがある。一方,「個人尊重主義」の立場からは,個々人の権利はできる限り尊重すべきである。功利主義においては,特定の個人に犠牲を強いることになった場合には,個人尊重主義と対立することになる。功利主義のもとでの犠牲が個人にとって 許容 できるものかどうかその確認の方法として,「黄金律」テストがある。黄金律とは,「自分の望むことを人にせよ」あるいは「自分の望まないことを人にするな」という教えである。自分がされた場合には憤概するようなことを,他人にはしていないかチェックする「黄金律」テストの結果,自分としては損害を 許容 できないとの結論に達したならば,他の行動を考える倫理的必要性が高いとされる。また,重要なのは,たとえ「黄金律」テストで自分でも 許容 できる範囲であると判断された場合でも,次のステップとして「相手の価値観においてはどうだろうか」と考えることである。
 以上のように功利主義と個人尊重主義とでは対立しうるが,権利にもレベルがあり,生活を維持する権利は生活を改善する権利に優先する。この場合の生活の維持とは,盗まれない権利,だまされない権利などまでを含むものである。また, 安全  健康 に関する権利は最優先されなければならない。