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弁理士 特許・実用新案 R4-15

 

 特許出願に関する優先権に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとし、文中に示した優先権の主張は取り下げられていないものとする。
 また、以下において、「国内優先権」とは、特許法第41条第1項に規定する優先権をいい、「パリ優先権」とは、パリ条約第4条に規定する優先権をいうものとする。

  1. 甲は、発明イについて特許出願Aをし、その出願の日から5月後に、特許出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、発明イ及び発明ロについて特許出願Bをした。さらに甲は、特許出願Bの日から5月後に、特許出願Bのみを基礎とする国内優先権の主張を伴って、発明イ、発明ロ及び発明ハについて特許出願Cをした。この場合、特許出願Cは、特許出願Aの日から1年以内にされたものであるから、特許出願Cに係る発明イについても国内優先権の主張の効果が認められる。
  2. 甲は、外国語書面出願Aをし、その出願の日から1月後、外国語書面の翻訳文を提出したが、外国語書面に記載されていない発明イがその翻訳文に記載されていた。この場合、甲は、当該翻訳文に記載された発明イに基づいて国内優先権の主張をすることができる場合がある。
  3. 甲は、特許出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って特許出願Bをしたが、その出願の日から1月後、特許出願Bを取り下げた。この場合、さらに甲が特許出願Bにおける国内優先権の主張も取り下げなければ、特許出願Aはその出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げられたものとみなされる。
  4. 甲は、発明イについて外国語書面出願A(以下「特許出願A」という。)をした。特許出願Aの日から2月後、甲は、特許出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、発明イ及び発明ロについて特許出願Bをしたが、その後、甲は、特許出願Aの外国語書面の翻訳文の提出をしなかったので、特許出願Aは取り下げられたものとみなされた。この場合であっても、特許出願Bに係る発明イについて、国内優先権の主張の効果を受けることができる。
  5. パリ優先権を主張して、日本国に特許出願をする場合、最初の出願の日から1年4月以内に、特許法第43条第2項に規定する書類(いわゆる優先権書類)を提出しなかった場合は、直ちに当該パリ優先権の主張はその効力を失う。

解答・解説

解答

 4

解説

  1. 甲は、発明イについて特許出願Aをし、その出願の日から5月後に、特許出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、発明イ及び発明ロについて特許出願Bをした。さらに甲は、特許出願Bの日から5月後に、特許出願Bのみを基礎とする国内優先権の主張を伴って、発明イ、発明ロ及び発明ハについて特許出願Cをした。この場合、特許出願Cは、特許出願Aの日から1年以内にされたものであるから、特許出願Cに係る発明イについても国内優先権の主張の効果が認められる。
    ❌ 特41条2項
    前項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)についての第二十九条、第二十九条の二本文、第三十条第一項及び第二項、第三十九条第一項から第四項まで、第六十九条第二項第二号、第七十二条、第七十九条、第八十一条、第八十二条第一項、第百四条(第六十五条第六項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第百二十六条第七項(第十七条の二第六項、第百二十条の五第九項及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、同法第七条第三項及び第十七条、意匠法第二十六条、第三十一条第二項及び第三十二条第二項並びに商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第二十九条並びに第三十三条の二第一項及び第三十三条の三第一項(これらの規定を同法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該特許出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。[特41条2項]

  2. 甲は、外国語書面出願Aをし、その出願の日から1月後、外国語書面の翻訳文を提出したが、外国語書面に記載されていない発明イがその翻訳文に記載されていた。この場合、甲は、当該翻訳文に記載された発明イに基づいて国内優先権の主張をすることができる場合がある。
    ❌ 特41条1項
    特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。[特41条1項]

  3. 甲は、特許出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って特許出願Bをしたが、その出願の日から1月後、特許出願Bを取り下げた。この場合、さらに甲が特許出願Bにおける国内優先権の主張も取り下げなければ、特許出願Aはその出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げられたものとみなされる。
    ❌ 特42条3項
    前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から経済産業省令で定める期間内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。[特42条3項]

  4. 甲は、発明イについて外国語書面出願A(以下「特許出願A」という。)をした。特許出願Aの日から2月後、甲は、特許出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、発明イ及び発明ロについて特許出願Bをしたが、その後、甲は、特許出願Aの外国語書面の翻訳文の提出をしなかったので、特許出願Aは取り下げられたものとみなされた。この場合であっても、特許出願Bに係る発明イについて、国内優先権の主張の効果を受けることができる。
    ⭕️ 特41条1項3号
    特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
    三 先の出願が、その特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合[特41条1項3号]

  5. パリ優先権を主張して、日本国に特許出願をする場合、最初の出願の日から1年4月以内に、特許法第43条第2項に規定する書類(いわゆる優先権書類)を提出しなかった場合は、直ちに当該パリ優先権の主張はその効力を失う。
    ❌ 特43条6項・7項・9項
    6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
    7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
    9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。[特43条6項・7項・9項]

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