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弁理士 意匠 R3-8

 

 意匠権の実施権に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

  1. 甲は、意匠イを基礎意匠とする関連意匠ロについて意匠権の設定登録を受けた。甲が、意匠ロの意匠権について乙に対して通常実施権を許諾するためには、同時に意匠イについても乙に対して通常実施権を許諾しなければならない。
  2. 甲は、意匠イについて意匠登録出願をした。甲は、意匠イについて取得すべき意匠権について、乙に仮専用実施権を設定することができる。
  3. 甲は、自ら創作した意匠イについて意匠登録出願をしたが、取り下げた。乙は、その後、意匠イと類似する意匠ロを創作し、意匠登録出願をし、意匠権の設定登録を受けた。甲が、乙の意匠ロの意匠権の設定登録の際現に日本国内において意匠イの実施である事業の準備をしていた場合、甲は、乙の意匠権について先出願による通常実施権を有する。
  4. 甲は、意匠イについて意匠登録出願をし、その後、補正をして、補正後の意匠イ’について意匠権の設定登録を受けた。乙は、意匠イ’を知らないで意匠イ’と類似する意匠ロを自ら創作し、意匠イの出願の際は、意匠ロの実施である事業の準備はしていなかったが、甲が手続補正書を提出した際現に日本国内において、当該事業の準備をしていた。甲のした補正が要旨を変更するものと認められる場合、乙は、甲の意匠権について先使用による通常実施権を有しない。
  5. 甲は、意匠イについて意匠権を有し、乙は、意匠ロについて意匠権を有している。意匠イの出願日は意匠ロの出願日より前である。甲の意匠イについての意匠権が消滅したが、乙の意匠ロについて意匠権が存続している場合、甲は、乙の許諾を得なくても、意匠イと意匠ロの双方に類似する意匠ハを業として実施することができる場合がある。

解答・解説

解答

 5

解説

  1. 甲は、意匠イを基礎意匠とする関連意匠ロについて意匠権の設定登録を受けた。甲が、意匠ロの意匠権について乙に対して通常実施権を許諾するためには、同時に意匠イについても乙に対して通常実施権を許諾しなければならない。
    ❌ 意27条1項、意28条1項
    意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。[意27条1項]
    意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。[意28条1項]

  2. 甲は、意匠イについて意匠登録出願をした。甲は、意匠イについて取得すべき意匠権について、乙に仮専用実施権を設定することができる。
    ❌ 意5条の2
    意匠登録を受ける権利を有する者は、その意匠登録を受ける権利に基づいて取得すべき意匠権について、その意匠登録出願の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠又はこれに類似する意匠の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。[意5条の2]

  3. 甲は、自ら創作した意匠イについて意匠登録出願をしたが、取り下げた。乙は、その後、意匠イと類似する意匠ロを創作し、意匠登録出願をし、意匠権の設定登録を受けた。甲が、乙の意匠ロの意匠権の設定登録の際現に日本国内において意匠イの実施である事業の準備をしていた場合、甲は、乙の意匠権について先出願による通常実施権を有する。
    ❌ 意29条の2 2号
    意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠権の設定の登録の際現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者(前条に該当する者を除く。)は、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
    二 前号の自らした意匠登録出願について、その意匠登録出願に係る意匠が第三条第一項各号の一に該当し、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した者であること。[意29条の2 2号]

  4. 甲は、意匠イについて意匠登録出願をし、その後、補正をして、補正後の意匠イ’について意匠権の設定登録を受けた。乙は、意匠イ’を知らないで意匠イ’と類似する意匠ロを自ら創作し、意匠イの出願の際は、意匠ロの実施である事業の準備はしていなかったが、甲が手続補正書を提出した際現に日本国内において、当該事業の準備をしていた。甲のした補正が要旨を変更するものと認められる場合、乙は、甲の意匠権について先使用による通常実施権を有しない。
    ❌ 意29条、意9条の2
    意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠登録出願の際(第九条の二の規定により、又は第十七条の三第一項(第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により、その意匠登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの意匠登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。[意29条]
    願書の記載(第六条第一項第一号及び第二号に掲げる事項並びに同条第二項の規定により記載した事項を除く。第十七条の二第一項及び第二十四条第一項において同じ。)又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと意匠権の設定の登録があつた後に認められたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。[意9条の2]

  5. 甲は、意匠イについて意匠権を有し、乙は、意匠ロについて意匠権を有している。意匠イの出願日は意匠ロの出願日より前である。甲の意匠イについての意匠権が消滅したが、乙の意匠ロについて意匠権が存続している場合、甲は、乙の許諾を得なくても、意匠イと意匠ロの双方に類似する意匠ハを業として実施することができる場合がある。
    ⭕️ 意31条1項
    意匠登録出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該意匠権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。[意31条1項]

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