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ST 令和6年度春期 午後Ⅰ 問2

   

地方新聞社におけるITを活用したビジネスモデル変革に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

 H社は,K地域を中心に活動する地方新聞社であり,全国紙に次ぐ購読者数をもっている。K地域は,古くから発展してきた歴史的な都市や,政財界人を多く輩出する都市,特色のある大学が拠点を置く都市などが散在するが,地域全体としては1次2次産業が中心であり,人口減少や産業の衰退などが大きな社会課題となっているH社は,K地域に密着して得た多くの記事やコンテンツをもつ点や,K地域の政財界の各団体や企業,文化人を多く知っており,密接にコミュニケーションを行っている点など,地方紙ならではの強みをもっている。一方で,昨今の地方消滅などと言われる状況は,H社にとって収益減につながり,経営基盤そのものを揺るがす大きなリスクだと認識している。

〔H社の現状〕
 H社の収益源は,紙面販売が6割,広告収入が3割,残りは雑誌や書籍などの出版物販売などである。

(1)紙面販売
 H社の紙面購読者は,昔から継続購読している高齢者が中心であるが,購読者数は漸減しており,若い世代の購読者数も伸びていない。デジタル版も発行しているが,デジタル版ならではのコンテンツは提供できておらず,購読者数の回復には至っていない。若い世代は,歴史や伝統工芸品,K地域の身近な課題にも興味はあるが,スマートフォンを利用して様々な情報を得ており,リアルタイムな情報とそれに対するフィードバックが返せるような双方向コミュニケーションが人気であり新聞離れが進んでいる。H社は,一般記事に加え,地域の歴史ある建造物や伝統工芸品などに関する研究内容や史実に関する記事,地域医療や介護,働きやすさなどの社会課題といった地域性の高い記事を多く報道してきている。最近,読者目線で社会課題を捉えたコンテンツを立ち上げ,一般の読者からテーマを募集し,記事の投稿を受け付ける取組を開始した。この取組では,記事投稿者を“トナリのレポーター”(以下,トナレポという)と呼び,トナレポが取り上げたテーマのうち,編集部が注目した一部のテーマは,H社が詳細な調査やインタビューを行ったり,関連する各団体などに取材を申し入れたりして,その見解もトナレポが投稿した記事に追加して掲載する。K地域の自治体は,トナレポの投稿記事をきっかけとして,当該テーマを政策検討に取り入れ,子育て世代の流入を増やすといった成果を出した先進自治体として注目を集めている。この取組による成果が評判となり,社会課題の研究者や意識の高い若い世代の購読者数が増加傾向にある。また,同様の社会課題を抱える他地域の自治体や地方新聞社からも問合せが来ている。本取組は,従来型の一方向の情報提供の形をとっているが,双方向コミュニケーションができれば,更に購読者数の増加が期待できる。

(2)出版物販売
 H社は,記事制作を通じて蓄積した地域性の高い情報を生かして,旅行や歴史,伝統工芸品をテーマにした書籍や雑誌を出版し,全国の書店で販売しており,国内での評価は高い。しかし,紙媒体であることや多言語対応ができていないことから,海外では認知されていない。
 近年,訪日外国人観光客が増加している。K地域は,歴史ある建造物などが多く,外国人観光客の人気も高い。旅行会社には,外国人観光客から“母国語の資料があれば是非読みたい”との声も多く寄せられていることから,旅行会社からH社に対し多言語の出版物や資料の問合せが増加しているが,応えられていない。

(3)広告収入
 紙面版の新聞に掲載する広告は,読者が紙面版の購読者に限定されるので,紙面の販売部数減少とともに広告掲載する企業も減少している。デジタル版はまだ購読者数は少なく広告収入は少ない。H社が出版する地域の歴史ある建造物や伝統工芸品を特集した雑誌への広告掲載は,全国の購読者への宣伝を狙って,伝統工芸品を扱う企業などからは広告掲載の申込みは多いが,紙面広告と比較すると雑誌の売上げは少なく,H社の収益改善には余り寄与していない。デジタルを活用した広告機会が増えれば,新たな収益源として期待できるが,実現できていない。

 

〔アンケート調査〕
 現状を踏まえH社は,今後のH社に期待する役割を把握するために,K地域の様々な人にアンケート調査を行った。

・若い世代:“自治体や他の読者との双方向のタイムリーなコミュニケーションを通じて,子育てや働き方,地域の暮らしにおけるウェルビーイング(Well-Being)などに関する若い世代の声を表明する場を提供してほしい。"

・伝統工芸品を扱う企業:“お客様に伝統工芸品の魅力を伝え,お客様からの感想や要望を確認するといった,情報発信や交流の場があれば参加し,双方向コミュニケーションの中から新しい顧客やイノベーションを見いだしたい。

・旅行会社:“旅行会社の営業が見込み客に対し,より魅力あるK地域で活躍する人と触れ合える体験型の旅行を提案するために,旅行前にそれらの人と見込み客とが交流する場を提供してほしい。また,多言語対応を加速してほしい。

 

 その他,アンケート調査の結果からは,H社に期待する役割は多様化しており,どの領域でも,これまでのような一方向の情報提供ではなく,双方向コミュニケーションによる社会価値共創を期待する人が増えていることが読み取れた。

 

〔ビジネスモデルの変革に向けた方針〕
 自社の現状やアンケート調査の結果を受けH社は,デジタル化へと大きくかじを切ることにした。そして,目指すべきビジョンを“地域社会を活性化するデジタルメディアになる”と定義した。具体的には,自社の強みを生かして,地域社会におけるコミュニケーションハブとなることによってビジネスモデルを変革する。その上で,次の三つの方針を定めた。

(1)読者である住民の社会課題検討を促し,K地域の政財界の各団体や企業,文化人などとの双方向コミュニケーションを通じてK地域の活性化を実現する。

(2)K地域に興味をもつ他地域の企業や人々と,K地域の歴史ある建造物や伝統工芸品との新たな出会いを促し,K地域の活性化を実現する。

(3)これらの取組をH社やK地域だけに閉じるのではなく,全国に広めていくことによって日本の社会課題の解決に貢献する。

 

デジタルメディアの立ち上げ
 H社は,新聞記事の紙面販売及びデジタル版販売は継続しつつも,デジタルメディアのプラットフォームを構築することとした。そして,プラットフォームを利用した施策の第一弾として,次の二つのデジタルメディアを立ち上げることとした。これによって,アンケート調査の結果で明らかとなったH社に期待する役割に対応することができる。また,従来の一方向の情報提供だけでなく,双方向コミュニケーションにも強い地方メディアを体現し,K地域の活性化に貢献し,個々の読者のニーズに密着した情報を提供していく。今後,構築したプラットフォームは,他地域の地方新聞社にも利用を促し,プラットフォーマーとしての収益獲得も計画している。

(1)トナレポデジタル:デジタル版の読者が利用できるスマートフォンアプリケーションプログラムを使ったデジタルメディア。若い世代をターゲットに紙面版で好評なトナレポの投稿記事に対して,スマートフォン経由で迅速な双方向コミュニケーションを可能とする。

(2)テーマ特化メディア(以下,TMという):K地域の特色に特化したテーマを扱うデジタルメディア。第一弾では,インバウンド需要の拡大に備え,外国人観光客を主な利用者に想定し観光をテーマとしたTM(以下,観光TMという)を立ち上げる。

 

トナレポデジタル
 デジタル版の読者と,政財界の各団体や文化人とをつなぐメディアである。
 読者は,自身が感じる社会課題の記事をトナレポデジタルへ投稿する。H社の編集部では投稿された記事の内容を確認し,掲載可能と判断した記事をトナレポデジタルへ掲載する。H社の編集部は,必要に応じて各団体などへの取材を通じて深掘りした記事や,社会課題の研究者の協力を得て行った共同研究の成果を,投稿記事に併せてトナレポデジタルに掲載する。記事が掲載された読者(以下,投稿者という)は,トナレポデジタル内のコミュニティルームにスレッドを立てることができる。投稿者は,スレッド内で各団体などや他の読者と双方向のタイムリーなコミュニケーションができる。
 H社は,今後はトナレポデジタルの活動で蓄積したノウハウを活用し,双方向コミュニケーションによる社会価値共創の取組を全国に普及させるために他地域の自治体や地方新聞社に対し,有料コンサルティングをしていく計画である。

 

観光TM
 観光TMは,K地域を模したメタバース空間内のバーチャル地域(以下,V地域という)で,利用者のアバター同士の交流やショッピング,イベント開催などを行うプラットフォームである。収益モデルは,プラットフォーム利用料や広告収入,販売手数料などである。利用者は,アバターを活用しV地域を自由に歩き,遠方にいながらK地域の観光地を巡ることができる。V地域にはバーチャル展示場(以下,V展示場という)やバーチャル観光案内所(以下,V案内所という)を設置する。多言語化されたV展示場では,地域にまつわる伝統工芸品の購入に加え,歴史ある建造物や伝統工芸品に関する研究内容や史実なども照会できる。V案内所では,観光スポットの紹介のほかに,“K地域で活躍する工芸家や文化人など”(以下,地域活躍人材という)も紹介する。利用者は,アバターを介して地域活躍人材のアバターと交流を図ることも可能である。AIを活用した逐次翻訳機能によって,外国人でも言葉の壁を感じることなくV地域の散策や地域活躍人材との交流を行うことができる。旅行会社の営業は,K地域に実際に訪れたい見込み客を案内し,より充実した旅行プランを一緒に作ることができる。

設問1 〔デジタルメディアの立ち上げ〕について答えよ。

 

(1)H社は施策の第一弾としてデジタルメディアを立ち上げることによってH社に期待されているどのような役割を担うことができると考えたか。25字以内で答えよ。

 

解答・解説
解答例

 XXX

解説

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(2)H社がプラットフォームを構築し,他地域の地方新聞社にも利用を促しプラットフォーマーとなることによって目指すことは何か。25字以内で答えよ。

 

解答・解説
解答例

 XXX

解説

 ー

 

設問2 〔トナレポデジタル〕について答えよ。

 

(1)H社がトナレポデジタルで双方向コミュニケーションを可能とすることによって期待する効果は何か。二つ挙げ,それぞれ30字以内で答えよ。

 

解答・解説
解答例

 XXX

解説

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(2)H社が蓄積したノウハウを活用して他地域の自治体や地方新聞社に対しコンサルティングできると考えた理由は何か。35字以内で答えよ。

 

解答・解説
解答例

 XXX

解説

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設問3 〔観光TM〕について答えよ。

 

(1)観光TMの立ち上げに利用するH社の強みは何か。V展示場とV案内所の観点で,それぞれ45字以内で答えよ。

 

解答・解説
解答例

 XXX

解説

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(2)旅行会社は,観光TMを活用することによって,どのような旅行プランを作れるか。25字以内で答えよ。

 

解答・解説
解答例

 XXX

解説

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