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PM 令和4年度秋期 午後Ⅱ 問1

   

システム開発プロジェクトにおける事業環境の変化への対応について

 システム開発プロジェクトでは,事業環境の変化に対応して,プロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に計画変更の要求を受けることがある。このような計画変更には,プロジェクトにプラスの影響を与える機会とマイナスの影響を与える脅威が伴う。計画変更を効果的に実施するためには,機会を生かす対応策と脅威を抑える対応策の策定が重要である。
 例えば,競合相手との差別化を図る機能の提供を目的とするシステム開発プロジェクトの実行中に,競合相手が同種の新機能を提供することを公表し,これに対応して営業部門から,差別化を図る機能の提供時期を,予算を追加してでも前倒しする計画変更が要求されたとする。この計画変更で,短期開発への挑戦というプラスの影響を与える機会が生まれ,プロジェクトチームの成長が期待できる。この機会を生かすために,短期開発の経験者をプロジェクトチームに加え,メンバーがそのノウハウを習得するという対応策を策定する。一方で,スケジュールの見直しというマイナスの影響を与える脅威が生まれ,プロジェクトチームが混乱したり生産性が低下したりする。この脅威を抑えるために,差別化に寄与する度合いの高い機能から段階的に前倒しして提供していくという対応策を策定する。
 策定した対応策を反映した上で,計画変更の内容を確定して実施し,事業環境の変化に迅速に対応する。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜設問ウに従って論述せよ。

設問ア あなたが携わったシステム開発プロジェクトの概要と目的,計画変更の背景となった事業環境の変化,及びプロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に受けた計画変更の要求の内容について,800字以内で述べよ。

設問イ 設問アで述べた計画変更の要求を受けて策定した,機会を生かす対応策,脅威を抑える対応策,及び確定させた計画変更の内容について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ 設問で述べた計画変更の実施の状況及びその結果による事業環境の変化への対応の評価について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 事業環境の変化が激しい昨今では,プロジェクトの目的を実現するために,プロジェクトの実行中の計画変更に積極的に対応するとともに,この計画変更をプロジェクトにとって効果的に実施することが求められる。そのためには,計画変更に伴う脅威を抑えるとともに,計画変更を機会と捉えてこれを生かして適応力を高め る対応策が重要である。
 本問は,プロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に要求された計画変更について,機会を生かす対応策及び脅威を抑える対応策の策定,並びに対応策を反映させた計画変更の内容,実施の状況及び評価を具体的に論述することを求めている。論述を通じて,プロジェクトマネジメント業務を担う者として有すべき,事業環境の変化に対応するための計画変更の実施に関する知識,経験,実践能力などを評価する。

採点講評

 全問に共通して,問題文中の事例や見聞きしたプロジェクトの事例を参考にしたと思われる論述や,プロジェクトの作業状況の記録に終始して,自らの考えや行動に関する記述が希薄な論述が散見された。プロジェクトマネジメント業務を担う者として,主体的に考えてプロジェクトマネジメントに取り組む姿勢を明確にした 論述を心掛けてほしい。

 問 1 では,脅威を抑える対応策については,実際の経験に基づいて論述していることがうかがわれた。一方で,機会を生かす対応策については,対応策が不明な論述やプロジェクトの状況に即していない論述も見受けられた。事業環境の変化が激しい昨今では,プロジェクトマネジメント業務を担う者として計画変更に伴う脅威を抑えるとともに,計画変更をプラスの機会と捉えて積極的に対応できるように,変化への適応力を高めるためのプロジェクトマネジメントのスキルの習得に努めてほしい。

解答例

 準備中

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