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ES 令和5年度秋期 午後Ⅱ 問3

 

組込みシステム開発時の基本要素の選定・設計・評価について

 組込みシステムの要求定義は,対象となる製品によって多種多様である。それらの要求定義に対応するために,要求を分析して的確な機能要件非機能要件を定義し,それらの要件に適合する基本要素(以下,基盤という)を選定する必要がある。選定の対象として組込みシステムの基盤には,CPU,OS,ネットワークなどがある。さらに,可用性・信頼性の要件の場合には,組込みシステムの二重化などのシステム構成も含まれる。
 組込みシステムの開発時には,まず,採用する基盤の検討を実施する。次に要件と基盤との整合性を吟味し,その結果から基盤を補完する。例えば,省電力対応に特化したCPUでは,I/O処理を,割込み処理・ポーリング処理などのハードウェアとソフトウェア間でトレードオフしながらコストにも鑑みて,全体の設計を検討する。
 要件及びその要件に対応するための基盤の選定の例を次に示す。

例1:コンパクトな筐体で,かつ,バッテリーでの稼働が必須の要件の場合
 稼働時間はバッテリー容量にも依存するので,低消費電力の組込みシステムの設計に留意する必要がある。さらに,CPUの性能に留意して実行モード・休止モードの比率などで消費電力に鑑みてバッテリーなどを選定する必要がある。

例2:車載端末に地図情報などを蓄えて,操作の要求に対して瞬時にデータを抽出でき,電源の瞬停などへの対応が要求される要件の場合
 GUIをサポートしているOS,及び電源断回復機能が具備された組込みシステム用データベースなどを選定する必要がある。

例3:医療機器,防災などで可用性・信頼性が要求される要件の場合
 デュプレックスシステム構成で構築するケースがある。その際,両システム間における適切なインタフェースなどを選定する必要がある。

例4:業機械用の制御システムで,中長期的な供給が求められる要件の場合
 中長期的に入手可能で,かつ,IPコアを含めた汎用的なCPUの選定,及び汎用的なインタフェースのユニットなどを選定する必要がある。

 組込みシステムの開発時には,与えられた要求を分析し,定義した機能要件非機能要件それぞれに適合する基盤を選定することが重要である。加えてコストに鑑み,ハードウェア開発部門とソフトウェア開発部門でトレードオフを協議しながら設計することも重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って解答せよ。
 なお,解答欄には,文章に加えて,図表を記載してもよい。

設問ア あなたが携わった組込みシステムの概要,開発に至った経緯,要件に対して選定した基盤,及び選定で最も重要であると考えた内容について2ページ(800字相当)以内で答えよ。

設問イ 設問アで答えた基盤の選定において,最も重要であると考えた根拠,要件定義の内容及び吟味した整合性の内容,コストなどの影響を含めてハードウェアとソフトウェアで分担した内容,要件を満足するために抽出した課題及びその解決策について,2ページ(800字相当)以上,かつ,4ページ(1,600字相当)以内で具体的に答えよ。

設問ウ 設問イで答えた内容について,ハードウェアとソフトウェアで分担した結果の評価,課題抽出の評価,課題解決の妥当性の評価を,1.5ページ(600字相当)以上,かつ,3ページ(1,200字相当)以内で具体的に答えよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 未公開

採点講評

 全問に共通して,対象の組込みシステムの概要・構成が不明瞭な論述が散見された。システムについて複雑な状況を説明する場合には,必要に応じて図・表を活用することで,分かりやすく具体的に論述することを心掛けてほしい。解答に当たっては,エンベデッドシステムスペシャリストとして,自らの経験や考えに基づいて,組込みシステムの概要・構成や,求められている事項に対して詳細に説明をすることが望まれる。

 問 3 では,多くの論述で,対象の組込みシステムを設計する際に,要件に適合する基盤の選定についてその根拠も含めて具体的に論述されていた。一方で,要件に対して選定した基盤に関する説明が具体性に乏しい論述や,ハードウェアとソフトウェアで分担した内容,課題解決について触れられていない論述も散見された。エンベデッドシステムスペシャリストにおいては,対象の組込みシステムの要件定義から適合する基盤を選定し,ハードウェアとソフトウェアの分担,課題解決を適切に行えるように心掛けてほしい。

解答例

構成例

 準備中

論述例
設問ア

 準備中

設問イ

 準備中

設問ウ

 準備中

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