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ES 令和5年度秋期 午後Ⅱ 問1

 

組込みシステムの製品企画段階における脅威分析について

 昨今,組込みシステムの市場は,デジタルトランスフォーメーション(DX)推進,IoTの普及などによって,既存市場とともに新市場も拡大している。さらには異業種からの新規参入も増加している。その一方で,半導体電子部品不足などが納期・供給に影響を及ぼしている問題も見受けられる。
 そのような状況下で新市場への参入,又は新製品を投入する際には,自社の保有技術などによる強みの分析だけではなく,外部環境によって影響される脅威を分析して,その結果を基に対策案を検討し,自社の優位性を確保することが重要である。
 脅威分析の一つに,製品投入後を想定した脅威を分析するファイブフォース分析というフレームワークがある。そのフレームワークを用いて,分析した結果を基に,関連部門と連携しながら協議し,対策案を検討する。
 組込みシステムにおけるファイブフォース分析で示される脅威の例を次に示す。

・既存業者間の競争:競合他社との製品の価格競争,及び競合他社との半導体電子部品などの供給不足による調達での競争に晒される脅威

・業界への新規参入者:海外メーカーを含め,新規参入者の資本力ブランドカなどによって優位性を奪われる脅威

・代替品の存在:業界が異なる別製品で代用できてしまうことによって市場を奪われる脅威

・買い手(顧客)の交渉力:顧客からの値引き要請などによる利益減少の脅威

・売り手(サプライヤー)の交渉力:半導体電子部品不足,輸入品を独占的に販売する仕入先からの価格の値上げ,供給遅延などの脅威

 これらの脅威に対応するためには,例えば既存業者間の競争では,競合他社との差別化が図れるか,又は複数の調達ルートが確保可能かなどの検討が重要になる。売り手(サプライヤー)の交渉力に関しては,ハードウェア開発部門,調達・購買部門などと連携して協議し,部品変更の容易性を含めた対策案などの検討が考えられる。
 製品を企画する際には,自社の優位性を確保するために,ファイブフォース分析のフレームワークなどを活用して複数の脅威を分析し,その結果を基にそれぞれの対策案を関連部門と連携しながら協議し,検討する必要がある。その検討結果から対策を講ずる際の課題を抽出し,事前に解決策案を策定しておくことも重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って解答せよ。
 なお,解答欄には,文章に加えて,図表を記載してもよい。

設問ア あなたが携わった製品の概要,企画に至った経緯,ファイブフォース分析のフレームワークなどを用いて分析したうちの三つの脅威について,2ページ(800字相当)以内で答えよ。

設問イ 設問アで答えた脅威において,そのうち特に重要と考えた二つの脅威についてどのようにフレームワークなどを活用し分析したか,それぞれの脅威に対し関連部門と連携してどのような対策案を検討したか,その対策を講ずる際の課題はどのように解決したか,2ページ(800字相当)以上,かつ,4ページ(1,600字相当)以内で具体的に答えよ。

設問ウ 設問イで答えた内容について,脅威の分析結果の評価,脅威に対する対策案の評価課題解決の評価を,1.5ページ(600字相当)以上,かつ,3ページ(1,200字相当)以内で具体的に答えよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 未公開

採点講評

 全問に共通して,対象の組込みシステムの概要・構成が不明瞭な論述が散見された。システムについて複雑な状況を説明する場合には,必要に応じて図・表を活用することで,分かりやすく具体的に論述することを心掛けてほしい。解答に当たっては,エンベデッドシステムスペシャリストとして,自らの経験や考えに基づいて,組込みシステムの概要・構成や,求められている事項に対して詳細に説明をすることが望まれる。

 問 1 では,多くの論述で,対象の組込みシステムの製品を企画する際の脅威の分析と,その分析結果に基づいた対策案について具体的に論述されていた。一方で,組込みシステムの用途だけが述べられており製品に関する説明が具体性に乏しい論述や,脅威への対策をする際の課題解決に触れていない論述も散見された。エンベデッドシステムスペシャリストにおいては,対象の組込みシステムの製品を企画する際は,想定される脅威を分析し,その対策案の検討とそれらを講ずる際の課題解決を適切にできるように心掛けてほしい。

解答例

構成例

 準備中

論述例
設問ア

 準備中

設問イ

 準備中

設問ウ

 準備中

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