管理図に関する次の文章において, 内に入るもっとも適切なものを下欄の選択肢からひとつ選べ。ただし,各選択肢を複数回用いることはない。
ある製造工程において,X-R管理図により工程管理を行った。データの計測はその品質特性について1日に5回行ったところ,この品質特性値の1日あたり5個の計測値の平均値を計算すると,10日分でXは1.240,その範囲の平均値Rは0.25となった。
① 解析用管理図作成にあたり,このX管理図の管理線を計算すると,
中心線CL=1.240,上側管理限界線UCL= (1) ,下側管理限界線LCL= (2)
となる。また,R管理図の管理線を計算すると,
中心線CL=0.25,上側管理限界線UCL= (3)
となる。ただし,次表の管理限界線を計算するための係数表を用いること。
n | A2 | D3 | D4 |
2 | 1.880 | ー | 3.267 |
3 | 1.023 | ー | 2.575 |
4 | 0.729 | ー | 2.282 |
5 | 0.577 | ー | 2.114 |
6 | 0.483 | ー | 2.004 |
7 | 0.419 | 0.076 | 1.924 |
8 | 0.373 | 0.136 | 1.864 |
9 | 0.337 | 0.184 | 1.816 |
10 | 0.308 | 0.223 | 1.777 |
② この解析用管理図においては,X管理図,R管理図ともに管理限界線を超えることはなく,点の並にクセもなかったので,当工程は統計的管理状態にあると判断できた。
そこで,さらに5日間の品質特性値のXとRを計算し,次表の結果を得た。
これらについて,解析用管理図の管理限界線を延長し,管理用管理図を作成すると (4) 管理図において,群番号 (5) に管理限界線を超えており,異常を確認できた。
群番号 | X | R |
1 | 1.38 | 0.4 |
2 | 1.20 | 0.2 |
3 | 1.24 | 0.6 |
4 | 1.35 | 0.5 |
5 | 1.10 | 0.3 |
(1)〜(3)の選択肢
- 0.529
- 0.712
- 0.990
- 1.096
- 1.384
- 1.490
- 1.769
(4)〜(5)の選択肢
- X
- R
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
解答
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
オ | エ | ア | イ | オ |
解説
① 解析用管理図作成にあたり,このX管理図の管理線を計算すると,
中心線CL=1.240,上側管理限界線UCL= 1.384 ,下側管理限界線LCL= 1.096
なる。また,R管理図の管理線を計算すると,
中心線CL=0.25,上側管理限界線UCL= 0.529 となる。
X管理図のUCL,LCLは次の式で求められます。
UCL = X + A2R
LCL = X − A2R
群の大きさnは5のため,係数表より A2 = 0.577 となるので,
UCL = 1.240 + 0.577 × 0.250 = 1.38425
LCL = 1.240 − 0.577 × 0.250 = 1.09575
となります。
R管理図のUCLは次の式で求められます。
UCL = D4R
群の大きさnは5のため,係数表より D4 = 2.114 となるので,
UCL = 2.114 × 0.250 = 0.5285
となります。
② この解析用管理図においては,X管理図,R管理図ともに管理限界線を超えることはなく,点の並にクセもなかったので,当工程は統計的管理状態にあると判断できた。
そこで,さらに5日間の品質特性値のXとRを計算し,次表の結果を得た。
これらについて,解析用管理図の管理限界線を延長し,管理用管理図を作成すると R 管理図において,群番号 3 に管理限界線を超えており,異常を確認できた。
①で得られた管理限界線と比較すると,群番号3のR=0.6が,R管理図のUCL=0.529を超過していることがわかります。