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ST 令和5年度春期 午後Ⅱ 問1

   

ITシステムに関わる改修要望の分析と対応方針の立案について

 昨今のITシステムは,ビジネスの変化の速さを背景に,構築後もITシステムの利用部門から,サービスや業務の改善のための,様々な改修要望が挙がってくる。
 そのような改修要望は,利用部門の視点だけで検討した部分的な内容にとどまっている可能性がある。利用部門から相談を受けたITストラテジストは,改修要望に対する利用部門の問題認識や,現状の業務プロセス,ITシステムの機能,ITシステムの利用状況などの情報を収集し,客観的に現状の分析を行う。その際,経営に貢献し続けるITシステムの実現に向け,次のような全社視点での多面的な分析を行った上で,改修要望が挙がってきた問題の真因を特定することが重要である。

 ・利用部門が認識している,問題に関連する制約事項や前提条件を,個別最適ではなく,全社最適の視点で見直す必要がないか。

 ・他の事業部門のサービスや業務に関連する,同様の問題や改修要望がないか。

 ・バリューチェーンの上流や下流における業務プロセスやITシステムに,この改修要望に関連する問題がないか。

 ・ITシステムの利用者,ITシステムの運用者,顧客,取引先などのステークホルダに,この改修要望に関連する問題や他の改修要望はないか。

 

 さらに,特定した問題の真因の解消に寄与する,解決手段,スケジュール,実行体制,投資効果などについて利用部門や関係部門と協議し,対応方針として立案する。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜設問ウに従って論述せよ。

設問ア あなたが携わったITシステムの改修要望の分析において,事業概要,分析の対象となる業務とITシステム,利用部門からの改修要望,利用部門の問題認識について,事業特性とともに800字以内で述べよ。

設問イ 設問アで述べた改修要望に対して,あなたはどのような情報を収集し,どのように分析し,どのような問題の真因を特定したか。工夫したこととともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ 設問イで述べた問題の真因について,あなたは利用部門や関係部門とともに,どのように協議し,どのような対応方針を立案したか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 昨今の IT システムは,ビジネスの変化の速さを背景に,構築後も IT システムに対する様々な改修要望が挙がってくる。そのような改修要望は,利用部門の視点だけで検討した部分的な内容にとどまっている可能性がある。経営に貢献し続ける IT システムを実現するためには,全社視点での多面的な分析を行い,問題の真因を 特定することが重要である。
 本問は,IT システムの改修要望に対して,どのように分析を行い,問題の真因を特定したか,立案した対応方針とともに,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,IT ストラテジストに必要な業務・システムの分析力,問題解決力などを評価する。

採点講評

 全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが散見された。これらは,評価の対象となるので,矛盾が生じないように適切な記述を心掛けてほしい。また,字数が少なくて経験や考えを十分に表現できていない論述も目立った。
 午後Ⅱ試験では,IT ストラテジスト自身の経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,注意してほしい。

 問 1 では,改修要望への対応についての多様な論述が見受けられ,IT システムの改修に携わった経験のある受験者には比較的論述しやすい題材だったと思われる。一方で,改修要望を与件と捉え,システム化要件として掘り下げたものを,“問題の真因”であるとして論述している解答も散見された。全社視点での多面的な分析を行い,経営に貢献し続ける IT システムを実現する上で,解決すべき真因が何かを特定するような論述を 心掛けてほしい。また,“特性要因分析”,“AI による対応”など,分析手法や技術を用いたと記述しつつも, 具体性に欠ける解答も散見された。IT ストラテジストとして,経営の視点で業務・システムを分析する能力, 問題を解決する能力を身に付けてほしい。

解答例

構成例

 準備中

論述例
設問ア

 準備中

設問イ

 準備中

設問ウ

 準備中

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