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適性科目 令和2年度 Ⅱ-4

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 近年,企業の情報漏洩に関する問題が社会的現象となっている。営業秘密等の漏洩は企業にとって社会的な信用低下や顧客への損害賠償等,甚大な損失を被るリスクがある。例えば,石油精製業等を営む会社のポリカーボネート樹脂プラントの設計図面等を,その従業員を通じて競合企業が不正に取得し,さらに中国企業に不正開示した事案では,その図面の廃棄請求,損害賠償請求等が認められる(知財高裁平成23.9.27)など,基幹技術など企業情報の漏えい事案が多発している。また,サイバー空間での窃取,拡散など漏えい態様も多様化しており,抑止力向上と処罰範囲の整備が必要となっている。
 営業秘密に関する次の(ア)〜(エ)の記述について,正しいものは〇,誤っているものは✕として,最も適切な組合せはどれか。

  1. 顧客名簿や新規事業計画書は,企業の研究・開発や営業活動の過程で生み出されたものなので営業秘密である。
  2. 製造ノウハウやそれとともに製造過程で発生する有害物質の河川への垂れ流しといった情報は,社外に漏洩してはならない営業秘密である。
  3. 刊行物に記載された情報や特許として公開されたものは,営業秘密に該当しない。
  4. 技術やノウハウ等の情報が「営業秘密」として不正競争防止法で保護されるためには,(1)秘密として管理されていること,(2)有用な営業上又は技術上の情報であること,(3)公然と知られていないこと,の3つの要件のどれか1つに当てはまれば良い。
 

解答・解説

解答

 ②

解説

 営業秘密は,「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3つの要件を全て満たす必要があります。

  1. 顧客名簿や新規事業計画書は,企業の研究・開発や営業活動の過程で生み出されたものなので営業秘密である。 ⭕
    正しいです。

  2. 製造ノウハウやそれとともに製造過程で発生する有害物質の河川への垂れ流しといった情報は,社外に漏洩してはならない営業秘密である。 
    営業秘密の要件を満たさないため,誤りです。

  3. 刊行物に記載された情報や特許として公開されたものは,営業秘密に該当しない。 ⭕
    正しいです。

  4. 技術やノウハウ等の情報が「営業秘密」として不正競争防止法で保護されるためには,(1)秘密として管理されていること,(2)有用な営業上又は技術上の情報であること,(3)公然と知られていないこと,の3つの要件のどれか1つに当てはまれば良い。 
    どれか1つではなく,全てを満たす必要があるため,誤りです。