ある製造業の事業場の労働者数及び有害業務等従事状況並びに産業医及び衛生管理者の選任の状況は、次の①〜③のとおりである。この事業場の産業医及び衛生管理者の選任についての法令違反の状況に関する⑴〜⑸の記述のうち、正しいものはどれか。
ただし、産業医及び衛生管理者の選任の特例はないものとする。
①労働者数及び有害業務等従事状況
常時使用する労働者数は800人であり、このうち、深夜業を含む業務に常時500人が、著しく暑熱な場所における業務に常時20人が従事しているが、他に有害業務に従事している者はいない。
②産業医の選任の状況
選任している産業医は1人である。この産業医は、この事業場に専属の者ではないが、産業医としての法令の要件を満たしている医師である。
③衛生管理者の選任の状況
選任している衛生管理者は3人である。このうち1人は、この事業場に専属でない労働衛生コンサルタントで、衛生工学衛生管理者免許を有していない。
他の2人は、この事業場に専属で、共に衛生管理者としての業務以外の業務を兼任しており、また、第一種衛生管理者免許を有しているが、衛生工学衛生管理者免許を有していない。
⑴ 選任している産業医がこの事業場に専属でないことが違反である。
⑵ 選任している衛生管理者数が少ないことが違反である。
⑶ 衛生管理者として選任している労働衛生コンサルタントがこの事業場に専属でないことが違反である。
⑷ 衛生工学衛生管理者免許を有する者のうちから選任した衛生管理者が1人もいないことが違反である。
⑸ 専任の衛生管理者が1人もいないことが違反である。
解答
⑴
解説
⑴ 選任している産業医がこの事業場に専属でないことが違反である。
正しいです。
500人以上を深夜業を含む有害業務に従事させる事業場では産業医を専属させる必要があります。
⑵ 選任している衛生管理者数が少ないことが違反である。
常時501人以上1,000人以下の事業場では衛生管理者は3名以上選任すれば良いので違反ではありません。
⑶ 衛生管理者として選任している労働衛生コンサルタントがこの事業場に専属でないことが違反である。
2人以上の衛生管理者を選任する場合に労働衛生コンサルタントがいる場合は、労働衛生コンサルタントの内1人は専属でなくても違反ではありません。
⑷ 衛生工学衛生管理者免許を有する者のうちから選任した衛生管理者が1人もいないことが違反である。
常時使用労働者数が500人を超える事業場で有害業務に常時30人以上の労働者を従事させるときは衛生管理者の内1人は“衛生工学衛生管理者”を選任しなければなりませんが、本問は有害業務への従事者が20人なので“衛生工学衛生管理者”を選任しなくても違反ではありません。
⑸ 専任の衛生管理者が1人もいないことが違反である。
坑内労働または有害業務の常時使用労働者数が30人以上である500人を超える事業場では衛生管理者を専任にする必要があります。ただし、この有害業務には深夜業は含まれないので専任しなくても違反ではありません。