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弁理士 特許協力条約(PCT)

PCT

前文

締約国は、
科学及び技術の進歩に貢献することを希望し、
発明の法的保護を完全なものにすることを希望し、
複数の国において発明の保護が求められている場合に発明の保護の取得を簡易かつ一層経済的なものにすることを希望し、
新たな発明を記載した文書に含まれている技術情報の公衆による利用が容易かつ速やかに行われるようにすることを希望し、
開発途上にある国の特別の必要に応ずる技術的解決の可能性に関する入手の容易な情報を提供することにより、また、絶えず増大する近代技術の利用を容易にすることにより、国内的制度であるか広域的制度であるかを問わず開発途上にある国における発明の保護のための法律制度の効率を高めるための措置を採用することを通じてその経済発展を助長し及び促進することを希望し、
諸国間の協力がこれらの目的の達成を極めて容易にすることを確信して、
この条約を締結した。

第一条 同盟の設立

(1) この条約の締約国(以下「締約国」という。)は、発明の保護のための出願並びにその出願に係る調査及 び審査における協力のため並びに特別の技術的業務の提供のための同盟を形成する。この同盟は、国際特許協力同盟という。

(2) この条約のいかなる規定も、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国民又は居住者の同条約に 基づく権利を縮減するものと解してはならない。

第二条 定義

 この条約及び規則の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、

(ⅰ) 「出願」とは、発明の保護のための出願をいう。「出願」というときは、特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証及び追加実用証の出願をいうものとする。

(ⅱ) 「特許」というときは、特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証及び追加実用証をいうものとする。

(ⅲ) 「国内特許」とは、国内当局によつて与えられる特許をいう。

(ⅳ) 「広域特許」とは、二以上の国において効力を有する特許を与える権限を有する国内当局又は政府間当局によつて与えられる特許をいう。

(ⅴ) 「広域出願」とは、広域特許の出願をいう。

(ⅵ) 「国内出願」というときは、この条約に従つてされる出願以外の国内特許及び広域特許の出願をいうものとする。

(ⅶ) 「国際出願」とは、この条約に従つてされる出願をいう。

(ⅷ) 「出願」というときは、国際出願及び国内出願をいうものとする。

(ⅸ) 「特許」というときは、国内特許及び広域特許をいうものとする。

(ⅹ) 「国内法令」というときは、締約国の国内法令又は、広域出願若しくは広域特許にあつては、広域出願をすること若しくは広域特許を与えることについて規定している条約をいうものとする。

(ⅹⅰ) 「優先日」とは、期間の計算上、次の日をいう。

(a) 国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日

(b) 国際出願が第八条の規定による二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日

(c) 国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日

(ⅹⅱ) 「国内官庁」とは、特許を与える任務を有する締約国の政府の当局をいう。「国内官庁」というときは、二以上の国から広域特許を与える任務を委任されている政府間当局をもいうものとする。ただし、これらの国のうち少なくとも一の国が締約国であり、かつ、この条約及び規則が国内官庁について定める義務及び権限を負い及び行使することをこれらの国が当該政府間当局に委任している場合に限る。

(ⅹⅲ) 「指定官庁」とは、第一章の規定に従い出願人によつて指定された国の国内官庁又はその国のために行動する国内官庁をいう。

(ⅹⅳ) 「選択官庁」とは、第二章の規定に従い出願人によつて選択された国の国内官庁又はその国のために行動する国内官庁をいう。

(ⅹⅴ) 「受理官庁」とは、国際出願がされた国内官庁又は政府間機関をいう。

(ⅹⅵ) 「同盟」とは、国際特許協力同盟をいう。

(ⅹⅶ) 「総会」とは、同盟の総会をいう。

(ⅹⅷ) 「機関」とは、世界知的所有権機関をいう。

(ⅹⅸ) 「国際事務局」とは、機関の国際事務局及び、それが存続する限り、知的所有権保護合同国際事 務局(BIRPI)をいう。

(ⅹⅹ) 「事務局長」とは、機関の事務局長及び、それが存続する限り、知的所有権保護合同国際事務局 の事務局長をいう。

第一章 国際出願及び国際調査

第三条 国際出願

(1) 締約国における発明の保護のための出願は、この条約による国際出願としてすることができる。

(2) 国際出願は、この条約及び規則の定めるところにより、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含むものとする。

(3) 要約は、技術情報としてのみ用いるものとし、他の目的のため、特に、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならない。

(4) 国際出願は、次の条件に従う。

(ⅰ) 所定の言語で作成すること。

(ⅱ) 所定の様式上の要件を満たすこと。

(ⅲ) 所定の発明の単一性の要件を満たすこと。

(ⅳ) 所定の手数料を支払うこと。

第四条 願書

(1) 願書には、次の事項を記載する。

(ⅰ) 国際出願がこの条約に従つて処理されることの申立て

(ⅱ) 国際出願に基づいて発明の保護が求められている一又は二以上の締約国の指定(このように指定される締約国を「指定国」という。)。指定国について広域特許を受けることが可能であり、かつ、出願人が国内特許ではなく広域特許を受けることを希望する場合には、願書にその旨を表示する。広域特許に関する条約により出願人がその条約の締約国のうち一部の国にその出願を限定することができない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなす。指定国の国内法令に基づきその国の指定が広域特許の出願としての効果を有する場合には、その国の指定は、広 域特許を受けることを希望する旨の表示とみなす。

(ⅲ) 出願人及び、該当する場合には、代理人の氏名又は名称並びにこれらの者に関するその他の所定の事項

(ⅳ) 発明の名称

(ⅴ) 指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めている場合には、それらの事項。その他の場合には、それらの事項は、願書において又は、指定官庁の属する国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めているときは、当該指定官庁にあてた別個の届出において、表示することができる。

(2) 各指定については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。

(3) 指定は、第四十三条に規定する他の種類の保護が出願人によつて求められている場合を除くほか、求められている発明の保護が指定国により又は指定国について与えられる特許であることを意味するものとする。第 二条(ⅱ)の規定は、この(3)の規定については、適用しない。

(4) 発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項が願書に表示されていないことは、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めて いる場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。別個の届出においてそれらの事項が表示されていないことも、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めていない場合には、当該指定 国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

第五条 明細書

 明細書には、当該技術分野の専門家が実施することができる程度に明確かつ十分に、発明を開示する。

第六条 請求の範囲

 請求の範囲には、保護が求められている事項を明示する。請求の範囲は、明確かつ簡潔に記載されていなければならない。請求の範囲は、明細書により十分な裏付けがされていなければならない。

第七条 図面

(1) (2)(ⅱ)の規定が適用される場合を除くほか、図面は、発明の理解に必要な場合に要求される。

(2) 図面が発明の理解に必要でない場合であつても、発明の性質上図面によつて説明することができるときは、

(ⅰ) 出願人は、国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができる。

(ⅱ) 指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができる。

第八条 優先権の主張

(1) 国際出願は、規則の定めるところにより、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において又は同条約の締約国についてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができる。

(2)(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、(1)の規定に基づいて申し立てられた優先権の主張の条件及び効果は、工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第四条の定めるところによる。

(b) いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国 内法令の定めるところによる。

第九条 出願人

(1) 締約国の居住者及び国民は、国際出願をすることができる。

(2) 総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。

(3) 住所及び国籍の概念並びに二人以上の出願人がある場合又は出願人がすべての指定国について同一でない場合におけるこれらの概念の適用については、規則に定める。

第十条 受理官庁

 国際出願は、所定の受理官庁にするものとし、受理官庁は、この条約及び規則の定めるところにより、国際出願を点検し及び処理する。

第十一条 国際出願日及び国際出願の効果

(1) 受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。

(ⅰ) 出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。

(ⅱ) 国際出願が所定の言語で作成されていること。

(ⅲ) 国際出願に少なくとも次のものが含まれていること。

(a) 国際出願をする意思の表示

(b) 少なくとも一の締約国の指定

(c) 出願人の氏名又は名称の所定の表示

(d) 明細書であると外見上認められる部分

(e) 請求の範囲であると外見上認められる部分

(2)(a) 受理官庁は、国際出願が(1)に掲げる要件を受理の時に満たしていないと認める場合には、規則の定めるところにより、出願人に対し必要な補充をすることを求める。

(b) 受理官庁は、出願人が規則の定めるところにより(a)の求めに応ずる場合には、当該補充の受理 の日を国際出願日として認める。

(3) 第六十四条(4)の規定に従うことを条件として、(1)(ⅰ)から(ⅲ)までに掲げる要件を満たし、かつ、国際出願日の認められる国際出願は、国際出願日から各指定国における正規の国内出願の効果を有するものとし、国際出願日は、各指定国における実際の出願日とみなす。

(4) (1)(ⅰ)から(ⅲ)までに掲げる要件を満たす国際出願は、工業所有権の保護に関するパリ条約にいう正規の国内出願とする。

第十二条 国際出願の国際事務局及び国際調査機関への送付

(1) 規則の定めるところにより、国際出願の一通(「受理官庁用写し」)は受理官庁が保持し、一通(「記録原本」)は国際事務局に送付され、他の一通(「調査用写し」)は第十六条に規定する管轄国際調査機関に送付される。

(2) 記録原本は、国際出願の正本とする。

(3) 国際事務局が所定の期間内に記録原本を受理しなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなす。

第十三条 国際出願の写しの指定官庁による入手の可能性

(1) 指定官庁は、第二十条の送達に先立つて国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、優先日から一年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。

(2)(a) 出願人は、国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができる。

(b) 出願人は、国際出願の写しを指定官庁に送付することをいつでも国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。

(c) いずれの国内官庁も、(b)の写しの受領を希望しない旨を国際事務局に通告することができる。この場合には、(b)の規定は、その国内官庁については、適用しない。

第十四条 国際出願の欠陥

(1)(a) 受理官庁は、国際出願に次のいずれかの欠陥が含まれていないかどうかを点検する。

(ⅰ) 規則の定めるところによる署名がないこと。

(ⅱ) 出願人に関する所定の記載がないこと。

(ⅲ) 発明の名称の記載がないこと。

(ⅳ) 要約が含まれていないこと。

(ⅴ) 所定の様式上の要件が規則に定める程度にまで満たされていないこと。

(b) 受理官庁は、(a)のいずれかの欠陥を発見した場合には、出願人に対し所定の期間内に国際出願の補充をすることを求める。補充をしなかつた場合には、その国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。

(2) 国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には、受理官庁は、出願人にその旨を通知するものとし、出願人は、所定の期間内にその図面を提出することができる。出願人が所定の期間内にその図面を提出した場合には、受理官庁がその図面を受理した日を国際出願日とする。その他の場合には、 その図面への言及は、ないものとみなす。

(3)(a) 第三条(4)(ⅳ)にいう所定の手数料が所定の期間内に又はいずれの指定国についても第四条(2) にいう所定の手数料が所定の期間内に支払われていないと受理官庁が認めた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。

(b) 第四条(2)にいう所定の手数料が所定の期間内に一又は二以上の指定国について支払われているがすべての指定国については支払われていないと受理官庁が認めた場合には、その手数料が所定の期間内に支払われていない指定国の指定は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。

(4) 受理官庁が、国際出願日を認めた後所定の期間内に、当該国際出願が第十一条(1)(ⅰ)から(ⅲ)ま でに掲げるいずれかの要件をその国際出願日において満たしていなかつたと認定した場合には、当該国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。

第十五条 国際調査

(1) 各国際出願は、国際調査の対象とする。

(2) 国際調査は、関連のある先行技術を発見することを目的とする。

(3) 国際調査は、明細書及び図面に妥当な考慮を払つた上で、請求の範囲に基づいて行う。

(4) 次条に規定する国際調査機関は、可能な限り多くの関連のある先行技術を発見するよう努めるものとし、いかなる場合にも、規則に定める資料を調査する。

(5)(a) 締約国の国内法令が認める場合には、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁に国内出願をした出願人は、国内法令に定める条件に従い、国際調査に類する調査(「国際型調査」)がその 国内出願について行われることを請求することができる。

(b) 締約国の国内法令が認める場合には、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、当該国内官庁にされた国内出願を国際型調査に付することができる。

(c) 国際型調査は、次条に規定する国際調査機関であつて国内出願が国際出願として(a)及び(b)に規定する国内官庁にされたとしたならば国際調査を管轄したであろうとされるものが行う。国際調査機関が処理することができないと認める言語で国内出願がされている場合には、国際型調査は、国際出願のための所定の言語であつて当該国際調査機関が国際出願の言語として認めることを約束しているもので出願人が作成した翻訳文に基づいて行う。国内出願及び必要な翻訳文は、国際出願のための所定の形式で提出する。

第十六条 国際調査機関

(1) 国際調査は、国際調査機関が行うものとし、国内官庁又は出願の対象である発明に関する先行技術につ いての資料調査報告を作成する任務を有する政府間機関(例えば、国際特許協会)を国際調査機関とすることが できる。

(2) 単一の国際調査機関が設立されるまでの間に二以上の国際調査機関が存在する場合には、各受理官庁は、

(3)(b)に規定する関係取決めに従い、国際出願についての国際調査を管轄することとなる一又は二以上の国際調査機関を特定する。

(3)(a) 国際調査機関は、総会が選定する。国内官庁及び政府間機関は、(c)に規定する要件を満たしている場合には、国際調査機関として選定されることができる。

(b) 選定は、選定される国内官庁又は政府間機関の同意を得ること及び総会の承認を得て当該国内官庁又は当該政府間機関と国際事務局との間に取決めが締結されることを条件とする。この取決めには、当事者の権利及び義務、特に、国際調査のすべての共通の準則を適用しかつ遵守する旨の当該国内官庁又は当該政府間機関の公式の約束を明記する。

(c) 国内官庁又は政府間機関が選定される前に及び選定されている間満たしていなければならない最小限の要件、特に人員及び資料に関する要件は、規則に定める。

(d) 選定は、一定の期間を付して行うものとし、選定期間は、更新することができる。

(e) 総会は、国内官庁若しくは政府間機関の選定若しくは選定期間の更新について決定する前又は選定期間の満了前に、当該国内官庁又は当該政府間機関の意見を聴取し及び、第五十六条に規定する技術協力委員会が設置されている場合には、同委員会の助言を求める。

第十七条 国際調査機関における手続

(1) 国際調査機関における手続は、この条約、規則並びに国際事務局がこの条約及び規則に従つて当該国際調査機関と締結する取決めの定めるところによる。

(2)(a) 国際調査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、その旨を宣言するものとし、出願人及び国際事務局に対し国際調査報告を作成しない旨を通知する。

(ⅰ) 当該国際調査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際調査機関による調査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について調査を行わないことを決定したこと。

(ⅱ) 当該国際調査機関が、明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めたこと。

(b) (a)に規定するいずれかの事由が一部の請求の範囲のみとの関連においてある場合には、国際調査報告は、当該請求の範囲についてはその旨を表示するものとし、他の請求の範囲については次条の規定に従つ て作成される。

(3)(a) 国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し追加手数料の支払を求める。国際調査機関は、国際出願のうち、請求の範囲に最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には、追加手数料が支払われた発明に係る部分について、国際調査報告を作成する。

(b) 指定国の国内法令は、当該指定国の国内官庁が国際調査機関による(a)の求めを正当であると認める場合に、出願人が追加手数料を支払わなかつたために調査が行われなかつた国際出願の部分は、当該指定国における効果に関する限り、出願人が当該指定国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合をくほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。

第十八条 国際調査報告

(1) 国際調査報告は、所定の期間内に、所定の形式で作成する。

(2) 国際調査報告は、作成の後速やかに、国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付する。

(3) 国際調査報告又は前条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて翻訳する。翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成される。

第十九条 国際事務局に提出する請求の範囲の補正書

(1) 出願人は、国際調査報告を受け取つた後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、 国際出願の請求の範囲について一回に限り補正をすることができる。出願人は、同時に、補正並びにその補正が 明細書及び図面に与えることのある影響につき、規則の定めるところにより簡単な説明書を提出することができる。

(2) 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。

(3) 指定国の国内法令が(2)の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、(2)の規定に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

第二十条 指定官庁への送達

(1)(a) 国際出願は、国際調査報告(第十七条(2)(b)の表示を含む。)又は第十七条(2)(a)の宣 言とともに、規則の定めるところにより各指定官庁に送達される。ただし、当該指定官庁が送達の義務の全部又は一部を免除する場合は、この限りでない。

(b) 送達される文書には、(a)の国際調査報告又は宣言の所定の翻訳文を含める。

(2) 請求の範囲について前条(1)の規定に基づく補正がされた場合には、送達される文書には、出願時に おける請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文又は出願時における請求の範囲の全文及び補正を明記す る記載を含めるものとし、また、同条(1)に規定する説明書がある場合には、その説明書を含める。

(3) 国際調査機関は、指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより、当該指定官庁又は当該出願人に対し国際調査報告に列記された文献の写しを送付する。

第二十一条 国際公開

(1) 国際事務局は、国際出願の国際公開を行う。

(2)(a) 国際出願の国際公開は、(b)及び第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。

(b) 出願人は、(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国 際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は、規則の定めるところにより手続をとる。

(3) 国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて公開する。

(4) 国際公開の言語、形式その他の細目は、規則に定める。

(5) 国際公開の技術的な準備が完了する前に国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされる場合には、国際公開は、行わない。

(6) 国際事務局は、国際出願に善良の風俗若しくは公の秩序に反する表現若しくは図面が含まれており又は 規則に定める誹謗の記載が含まれていると認める場合には、その刊行物においてそのような表現、図面及び記載 を省略することができる。この場合には、省略した語又は図面の箇所及び数を表示し並びに請求により個別に省 略箇所の写しを交付する。

第二十二条 指定官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払

(1) 出願人は、優先日から三十箇月※を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送 達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。 出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定め ているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載 されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月※を経過する時までにそれらの事項を届け出る。

(2) 国際調査機関が第十七条(2)(a)の規定に基づき国際調査報告を作成しない旨を宣言した場合には、

(1)に規定する行為をすべき期間は、(1)に定める期間と同一とする。

(3) 国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間より も遅い時に満了する期間を定めることができる。

第二十三条 国内手続の繰延べ

(1) 指定官庁は、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の処理又は審査を行つてはならない。

(2) (1)の規定にかかわらず、指定官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができる。

第二十四条 指定国における効果の喪失

(1) 第十一条(3)に定める国際出願の効果は、次の場合には、(ⅱ)にあつては次条の規定に従うことを条 件として、指定国において、当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。

(ⅰ) 出願人が国際出願又は当該指定国の指定を取り下げた場合

(ⅱ) 国際出願が第十二条(3)若しくは第十四条(1)(b)、(3)(a)若しくは(4)の規定により ※編者の注釈: 三十ヶ月の期限は、二千二年四月一日から発効するが、その官庁に適用される国内法と不整合がある旨の通知を、国際事務局 に行った指定官庁には適用されない。二十ヶ月の期限が、二千二年三月三十一日まで効力があったが、改正された第二十二条(1)が該当 する国内法に整合しないことが続く限り、そのような指定官庁には、先の日付の後にも適用される。そのような不整合及び通知の取下げに 関する通知は、ガゼットで公表される。 取り下げられたものとみなされる場合又は当該指定国の指定が第十四条(3)(b)の規定により取り下げられたものとみなされる場合

(ⅲ) 出願人が第二十二条に規定する行為を該当する期間内にしなかつた場合

(2) (1)の規定にかかわらず、指定官庁は、第十一条(3)に定める効果を、その効果の次条(2)の規定による維持が必要とされない場合を含め、維持することができる。

第二十五条 指定官庁による検査

(1)(a) 受理官庁が国際出願日を認めることを拒否した場合若しくは国際出願は取り下げられたものとみな す旨を宣言した場合又は国際事務局が第十二条(3)の規定により所定の期間内に記録原本を受理しなかつたと 認定した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、出願人が特定した指定官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。

(b) 受理官庁がいずれかの国の指定は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合には、国際事務局 は、出願人の請求に応じ、当該国の国内官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。

(c) (a)又は(b)にいう請求は、所定の期間内に行う。

(2)(a) (b)の規定に従うことを条件として、各指定官庁は、必要な国内手数料の支払及び所定の適当な 翻訳文の提出が所定の期間内にあつた場合には、(1)の拒否、宣言又は認定がこの条約及び規則に照らし正当で あるかどうかを決定するものとし、その拒否若しくは宣言が受理官庁の過失の結果であり又はその認定が国際事 務局の過失の結果であると認めた場合には、当該国際出願を、当該指定官庁に係る国における効果に関する限り、このような過失の結果が生じなかつたものとして取り扱う。

(b) (a)の規定は、記録原本が出願人の過失により第十二条(3)にいう所定の期間の満了の後に国 際事務局に到達した場合について準用する。ただし、第四十八条(2)の規定が適用される場合に限る。

第二十六条 指定官庁における補充の機会

 指定官庁は、同一又は類似の場合における国内出願について国内法令に定める範囲内で及び手続に従い国際出願 の補充をする機会をあらかじめ出願人に与えることなく、この条約及び規則に定める要件を満たしていないことを理由として国際出願を却下してはならない。

第二十七条 国内的要件

(1) 国内法令は、国際出願が、その形式又は内容について、この条約及び規則に定める要件と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならない。

(2) (1)の規定は、第七条(2)の規定の適用を妨げるものではなく、また、国内法令が、指定官庁における国際出願の処理が開始された後に、

(ⅰ) 出願人が法人である場合にその法人を代表する権限を有する役員の氏名を届け出ること、又は

(ⅱ) 国際出願の一部をなす書類ではないが、国際出願においてされている主張若しくは記述の裏付けと なる書類(出願時に出願人の代表者又は代理人が国際出願に署名している場合に、出願人が自己の署名によつて国際出願を確認するものを含む。)を提出することを定めることを妨げるものでもない。

(3) 出願人が発明者でないという理由で当該指定国の国内法令により国内出願をする資格を有しない場合には、当該指定官庁は、当該国際出願を却下することができる。

(4) 指定国の国内法令が、国内出願の形式又は内容につき、この条約及び規則に国際出願について定める要 件よりも出願人の立場からみて有利な要件を定めている場合には、当該指定国の国内官庁、裁判所その他の権限 のある機関又は当該指定国のために行動するこれらの機関は、この条約及び規則に定める要件に代えて当該国内 法令に定める要件を国際出願について適用することができる。ただし、出願人が、この条約及び規則に定める要件が国際出願について適用されることを要求するときは、この限りでない。

(5) この条約及び規則のいかなる規定も、各締約国が特許性の実体的な条件を定める自由を制限するものと 解してはならない。特に先行技術の定義に関するこの条約及び規則の規定は、専ら国際的手続について適用され るものであり、したがつて、いずれの締約国も、国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たつて、先行技術 その他の特許性の条件(出願の形式及び内容に係るものを除く。)に関する国内法令上の基準を適用する自由を有する。

(6) 国内法令は、その定める特許性の実体的な条件に関する証拠を出願人が提出することを要求することができる。

(7) 受理官庁又は国際出願の処理を開始した指定官庁は、当該受理官庁若しくは当該指定官庁に対して出願 人を代理する資格を有する代理人によつて出願人が代理され又は出願人が通知を受け取るためのあて名を指定国内に有するという要件に関する限り、国内法令を適用することができる。

(8) この条約及び規則のいかなる規定も、締約国が自国の安全を保持するために必要と認める措置をとる自 由又は締約国が自国の一般的な経済的利益の保護のため自国の居住者若しくは国民の国際出願をする権利を制限する自由を制限するものと解してはならない。

第二十八条 指定官庁における請求の範囲、明細書及び図面の補正

(1) 出願人は、各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を 与えられる。指定官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。

(2) 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、指定国の国内法令が認める場合は、この限りでない。

(3) 補正は、この条約及び規則に定めのないすべての点については、指定国の国内法令の定めるところによる。

(4) 補正書は、指定官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、その翻訳文の言語で作成する。

第二十九条 国際公開の効果

(1) 指定国における出願人の権利の保護に関する限り、国際出願の国際公開の指定国における効果は、(2) から(4)までの規定に従うことを条件として、審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開について当該指定国の国内法令が定める効果と同一とする。

(2) 指定国の国内法令は、当該指定国において国内法令に基づく公開に用いられる言語と異なる言語で国際 公開が行われた場合に(1)に定める効果が次のいずれかの時からのみ生ずることを定めることができる。

(ⅰ) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国内法令の定めるところにより公表された時

(ⅱ) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国内法令の定めるところにより公衆の閲覧に供されることによつて公衆が利用することができるようにされた時

(ⅲ) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国際出願に係る発明を許諾を得ないで現に実施しており又は実施すると予想される者に対し出願人によつて送付された時

(ⅳ) (ⅰ)及び(ⅲ)に規定する措置の双方がとられた時又は(ⅱ)及び(ⅲ)に規定する措置の双方がとられた時

(3) 指定国の国内法令は、国際公開が出願人の請求により優先日から十八箇月を経過する前に行われた場合 に(1)に定める効果が優先日から十八箇月を経過した時からのみ生ずることを定めることができる。

(4) 指定国の国内法令は、(1)に定める効果が第二十一条の規定に従つて公開された国際出願を当該指定国 の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁が受領した日からのみ生ずることを定めることができる。当該国内官庁は、その公報にその受領の日をできる限り速やかに掲載する。

第三十条 国際出願の秘密保持

(1)(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開 が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。

(b) (a)の規定は、管轄国際調査機関への送付、第十三条の送付及び第二十条の送達については、適用しない。

(2)(a) 国内官庁は、次の日のうち最も早い日前に、第三者に対し国際出願が知得されるようにしてはなら ない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。

(ⅰ) 国際出願の国際公開の日

(ⅱ) 第二十条の規定に従つて送達される国際出願の受理の日

(ⅲ) 第二十二条の規定に基づく国際出願の写しの受理の日

(b) (a)の規定は、国内官庁が自己が指定官庁とされた旨を第三者に通知すること又はその指定され た事実を公表することを妨げるものではない。ただし、その通知又は公表には、受理官庁の名称、出願人の氏名又は名称、国際出願日、国際出願番号及び発明の名称以外の事項を含めることができない。

(c) (a)の規定は、指定官庁が司法当局に対し国際出願が知得されるようにすることを妨げるものではない。

(3) (2)(a)の規定は、第十二条(1)の送付の場合を除くほか、受理官庁について適用する。

(4) この条の規定の適用上、「知得されるようにする」とは、手段のいかんを問わず第三者が知ることができ るようにすることをいい、個別に通報すること及び一般に公表することを含む。ただし、国内官庁が、国際公開 前又は、国際公開が優先日から二十箇月を経過する時までに行われない場合には、優先日から二十箇月を経過する前に、国際出願又はその翻訳文を一般に公表してはならないことを条件とする。

第二章 国際予備審査

第三十一条 国際予備審査の請求

(1) 国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とする。

(2)(a) 出願人が、規則の定めるところによつて、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民であ る場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。

(b) 総会は、国際出願をする資格を有する者に対し、その者が非締約国又はこの章の規定に拘束されな い締約国の居住者又は国民である場合においても、国際予備審査の請求をすることを認めることを決定することができる。

(3) 国際予備審査の請求は、国際出願とは別個に行う。この請求書には、所定の事項を記載するものとし、この請求書は、所定の言語及び形式で作成する。

(4)(a) 国際予備審査の請求書には、国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する一又は二以上 の締約国(「選択国」)を表示する。選択国は、後にする選択によつて追加することができる。選択の対象は、第四条の規定によつて既に指定された締約国に限る。

(b) (2)(a)の出願人は、この章の規定に拘束されるいずれの締約国をも選択することができる。(2) (b)の出願人は、この章の規定に拘束される締約国であつて(2)(b)の出願人によつて選択される用意があることを宣言しているもののみを選択することができる。

(5) 国際予備審査の請求については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。

(6)(a) 国際予備審査の請求は、次条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行う。

(b) 後にする選択は、国際事務局に届け出る。

(7) 各選択官庁は、自己が選択官庁とされた旨の通知を受ける。

第三十二条 国際予備審査機関

(1) 国際予備審査は、国際予備審査機関が行う。

(2) 受理官庁は前条(2)(a)にいう国際予備審査の請求につき、総会は同条(2)(b)にいう国際予備 審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定する。

(3) 第十六条(3)の規定は、国際予備審査機関について準用する。

第三十三条 国際予備審査

(1) 国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明 のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。

(2) 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には、新規性を有するものとする。

(3) 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、所定の基準日に当該技術分野の専門 家にとつて規則に定義する先行技術からみて自明のものではない場合には、進歩性を有するものとする。

(4) 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、いずれかの産業の分野においてその 発明の対象がその発明の性質に応じ技術的な意味において生産し又は使用することができるものである場合には、 産業上の利用可能性を有するものとする。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。

(5) (1)から(4)までに規定する基準は、国際予備審査にのみ用いる。締約国は、請求の範囲に記載さ れている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たつては、追加の又は異なる基準を適用することができる。

(6) 国際予備審査に当たつては、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとし、更に、当該事案に関連があると認められる文献をも考慮に入れることができる。

第三十四条 国際予備審査機関における手続

(1) 国際予備審査機関における手続は、この条約、規則並びに国際事務局がこの条約及び規則に従つて当該国際予備審査機関と締結する取決めの定めるところによる。

(2)(a) 出願人は、国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有する。

(b) 出願人は、国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に、請求の範囲、 明細書及び図面について補正をする権利を有する。この補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。

(c) 出願人は、国際予備審査機関が次のすべての条件が満たされていると認める場合を除くほか、少なくとも一回当該国際予備審査機関から書面による見解を示される。

(ⅰ) 発明が前条(1)に規定する基準に適合していること。

(ⅱ) 国際出願が当該国際予備審査機関の点検した範囲内でこの条約及び規則に定める要件を満たしていること。

(ⅲ) 当該国際予備審査機関が次条(2)の末文の意見を述べることを意図していないこと。

(d) 出願人は、書面による見解に対して答弁をすることができる。

(3)(a) 国際予備審査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合 には、出願人に対し、その選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができる。

(b) 選択国の国内法令は、(a)の規定により出願人が請求の範囲を減縮することを選択する場合に、そ の減縮の結果国際予備審査の対象とならない国際出願の部分は、当該選択国における効果に関する限り、出願人 が当該選択国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。

(c) 出願人が所定の期間内に(a)の求めに応じない場合には、国際予備審査機関は、国際出願のうち 主発明であると認められる発明に係る部分について国際予備審査報告を作成し、この報告に関係事実を記載する。 選択国の国内法令は、当該選択国の国内官庁が国際予備審査機関の求めを正当であると認める場合に、主発明に 係る部分以外の国際出願の部分は、当該選択国における効果に関する限り、出願人が当該国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。

(4)(a) 国際予備審査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、前条(1)の問題を 検討することなく、出願人に対しその旨の見解及びその根拠を通知する。

(ⅰ) 当該国際予備審査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際予備審査機関による国際予備 審査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したこと。

(ⅱ) 当該国際予備審査機関が、明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため又は請求の範囲 が明細書により十分な裏付けをされていないため、請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性(自明の ものではないこと)又は産業上の利用可能性について有意義な見解を示すことができないと認めたこと。

(b) (a)に規定するいずれかの事由が一部の請求の範囲のみについて又は一部の請求の範囲のみとの 関連においてある場合には、(a)の規定は、当該請求の範囲のみについて適用する。

第三十五条 国際予備審査報告

(1) 国際予備審査報告は、所定の期間内に、所定の形式で作成する。

(2) 国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けるこ とができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についての いかなる陳述をも記載してはならない。国際予備審査報告には、(3)の規定が適用される場合を除くほか、請求 の範囲が国際予備審査に当たつての第三十三条(1)から(4)までに規定する新規性、進歩性(自明のもので はないこと)及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述 する。その記述には、その記述の結論を裏付けると認められる文献を列記するものとし、場合により必要な説明を付する。また、その記述には、規則に定める他の意見を付する。

(3)(a) 国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に前条(4)(a)に規定するいずれかの事 由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、

(2)のいかなる記述もしてはならない。

(b) 前条(4)(b)に規定する事情があると認められる場合には、国際予備審査報告には、同条(4)

(b)にいう一部の請求の範囲については(a)の記述をするものとし、他の請求の範囲については(2)の記 述をする。

第三十六条 国際予備審査報告の送付、翻訳及び送達

(1) 国際予備審査報告は、所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付する。

(2)(a) 国際予備審査報告及び附属書類は、所定の言語に翻訳する。

(b) 国際予備審査報告の翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属 書類の翻訳文は、出願人が作成する。

(3)(a) 国際予備審査報告は、所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに、国際事務局が各選択官庁に送達 する。

(b) 附属書類の所定の翻訳文は、出願人が所定の期間内に選択官庁に送付する。

(4) 第二十条(3)の規定は、国際予備審査報告に列記された文献であつて国際調査報告には列記されてい ないものの写しについて準用する。

第三十七条 国際予備審査の請求又は選択の取下げ

(1) 出願人は、いずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができる。

(2) すべての選択国の選択が取り下げられた場合には、国際予備審査の請求は、取り下げられたものとみな す。

(3)(a) 取下げは、国際事務局に届け出る。

(b) (a)の届出があつた場合には、国際事務局は、関係選択官庁及び関係国際予備審査機関にその旨を通 告する。

(4)(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、国際予備審査の請求又は選択の取下げは、関係締約国 に関する限り、国際出願の取下げとみなす。ただし、関係締約国の国内法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(b) 国際予備審査の請求又は選択の取下げは、第二十二条に規定する当該期間の満了前に行われた場合 には、国際出願の取下げとはみなさない。もつとも、締約国は、自国の国内官庁が当該期間内に国際出願の写し、 所定の翻訳文及び国内手数料を受け取つた場合にのみこの(b)の規定が適用されることを国内法令で定めることができる。

第三十八条 国際予備審査の秘密保持

(1) 国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局(国際予備審査報告 の作成の後は、選択官庁を除く。)に対しても国際予備審査の一件書類につき第三十条(4)(ただし書を含む) に定義する意味において知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。

(2) (1)、第三十六条(1)及び(3)並びに前条(3)(b)の規定に従うことを条件として、国際事務 局及び国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の有無及び国際予備審査の請求又は選択の取下げの有無に ついて情報を提供してはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。

第三十九条 選択官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払

(1)(a) 締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、第二十二条の規定は、当該 締約国については適用しないものとし、出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各選択官庁に対し、 国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。

(b) 国内法令は、(a)に規定する行為をするため、(a)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。

(2) 第十一条(3)に定める効果は、出願人が(1)(a)に規定する行為を(1)(a)又は(b)に規定 する当該期間内にしなかつた場合には、選択国において、当該選択国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。

(3) 選択官庁は、出願人が(1)(a)又は(b)の要件を満たしていない場合においても、第十一条(3)に定める効果を維持することができる。

第四十条 国内審査及び他の処理の繰延べ

(1) 締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、第二十三条の規定は、当該締約 国については適用しないものとし、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、(2)の 規定が適用される場合を除くほか、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の審査及び他の処理を開始してはならない。

(2) (1)の規定にかかわらず、選択官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の審査及び他の処理をいつでも開始することができる。

第四十一条 選択官庁における請求の範囲、明細書及び図面の補正

(1) 出願人は、各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を 与えられる。選択官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。

(2) 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、選択国の国内法令が認める場合は、この限りでない。

(3) 補正は、この条約及び規則に定めのないすべての点については、選択国の国内法令の定めるところによる。

(4) 補正書は、選択官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、その翻訳文の言語で作成する。

第四十二条 選択官庁における国内審査の結果

 国際予備審査報告を受領した選択官庁は、出願人に対し、他の選択官庁における当該国際出願に関する審査に係 る書類の写しの提出又はその書類の内容に関する情報の提供を要求することができない。

第三章 共通規定

第四十三条 特定の種類の保護を求める出願

 指定国又は選択国が発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証又は追加実用証を与えることを国内 法令に定めている場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国に関する限り、国際出願が特許ではなく発明 者証、実用証若しくは実用新案を求める出願であること又は国際出願が追加特許、追加発明者証若しくは追加実 用証を求める出願であることを規則の定めるところによつて表示することができるものとし、その国際出願は、 出願人のこのような選択に従つて取り扱われる。第二条(ⅱ)の規定は、この条及びこの条の規定に基づく規則の規定については、適用しない。

第四十四条 二の種類の保護を求める出願

 指定国又は選択国が、特許又は前条に規定する他の種類の保護のうち、一の種類の保護を求める出願が他の一の 種類の保護をも求める出願であることを国内法令で認める場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国につ いては、その求める二の種類の保護を規則の定めるところによつて表示することができるものとし、当該国際出 願は、出願人のこのような表示に従つて取り扱われる。第二条(ⅱ)の規定は、この条の規定については、適用しない。

第四十五条 広域特許条約

(1) 広域特許を与えることを定める条約(「広域特許条約」)であつて、第九条の規定に基づいて国際出願を する資格を有するすべての者に対し広域特許の出願をする資格を与えるものは、広域特許条約の締約国でありか つこの条約の締約国である国の指定又は選択を含む国際出願を広域特許の出願としてすることができることを定めることができる。

(2) (1)に規定する指定国又は選択国の国内法令は、国際出願における当該指定国又は当該選択国の指定 又は選択を広域特許条約に基づく広域特許を受けることを希望する旨の表示とみなすことを定めることができる。

第四十六条 国際出願の正確でない翻訳

 国際出願が正確に翻訳されなかつたため、当該国際出願に基づいて与えられた特許の範囲が原語の国際出願の範 囲を超えることとなる場合には、当該締約国の権限のある当局は、それに応じて特許の範囲を遡及して限定する ことができるものとし、特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる限りにおいて特許が無効であることを宣言することができる。

第四十七条 期間

(1) この条約に規定する期間の計算については、規則に定める。

(2)(a) 前二章に定めるすべての期間は、第六十条の規定による改正のほか、締約国の決定によつても変更することができる。

(b) (a)の決定は、総会において又は通信による投票によつて行うものとし、全会一致によらなければならない。

(c) (a)の変更のための手続の細目は、規則に定める。

第四十八条 遵守されなかつた期間

(1) この条約又は規則に定める期間が郵便業務の中断又は避けることのできない郵便物の亡失若しくは郵便 の遅延によつて遵守されなかつた場合において、規則に定める場合に該当し、かつ、規則に定める立証その他の条件が満たされているときは、期間は、遵守されたものとみなす。

(2)(a) 締約国は、期間が遵守されていないことが国内法令で認められている遅滞の事由と同一の事由による場合には、自国に関する限り、遅滞を許すものとする。

(b) 締約国は、期間が遵守されていないことが(a)の事由以外の事由による場合であつても、自国に関する限り、遅滞を許すことができる。

第四十九条 国際機関に対し業として手続をとる権能

 弁護士、弁理士その他の者であつて当該国際出願がされた国内官庁に対し業として手続をとる権能を有するもの は、当該国際出願について、国際事務局、管轄国際調査機関及び管轄国際予備審査機関に対し業として手続をとる権能を有する。

第四章 技術的業務の提供

第五十条 特許情報提供業務

(1) 国際事務局は、公表された文書、主として特許及び公表された出願に基づいてその有する技術情報その 他の適切な情報を提供する業務(この条において「情報提供業務」という。)を行うことができる。

(2) 国際事務局は、直接に又は取決めを締結した国際調査機関その他の国内的若しくは国際的な専門的組織を通じて、情報提供業務を行うことができる。

(3) 情報提供業務は、特に、技術的知識及び技術(入手可能な公開のノウ・ハウを含む。)の開発途上にある締約国による取得を容易にするように行う。

(4) 情報提供業務は、締約国の政府並びにその国民及び居住者の利用に供する。総会は、情報提供業務を他の者の利用にも供することを決定することができる。

(5)(a) 締約国の政府に対する業務は、実費で提供する。ただし、開発途上にある締約国の政府に対する業 務については、実費との差額を締約国の政府以外の者に提供する業務から生ずる利益又は次条(4)に規定する財源で賄うことができる場合に限り、実費に満たない額で提供する。

(b) (a)の実費は、国内官庁又は国際調査機関の任務の遂行に伴つて通常生ずる費用を超える部分とする。

(6) この条の規定の実施に関する細目は、総会の決定により及び総会が設置することのある作業部会が総会の定める範囲内で行う決定によつて定める。

(7) 総会は、必要と認めるときは、(5)に規定する財政措置を補足するための財政措置を勧告する。

第五十一条 技術援助

(1) 総会は、技術援助委員会(この条において「委員会」という。)を設置する。

(2)(a) 委員会の構成国は、開発途上にある国が代表されるように妥当な考慮を払つた上で、締約国の中から選出する。

(b) 事務局長は、その発意又は委員会の要請により、開発途上にある国に対する技術援助に関与する政府間機関の代表者が委員会の作業に参加するよう招請する。

(3)(a) 委員会は、開発途上にある締約国に対し各国別の又は広域的な特許制度の発展を目的として供与される技術援助を組織し及び監督することを任務とする。

(b) 技術援助は、特に、専門家の養成及び派遣並びに教習用及び実務用の設備の供与を含むものとする。

(4) 国際事務局は、この条の規定に基づく事業計画のための資金を調達することを目的として、一方におい て国際金融機関及び政府間機関、特に、国際連合、国際連合の諸機関及び技術援助に関与する国際連合の専門機関と、他方において技術援助を受ける国の政府と取決めを締結するよう努める。

(5) この条の規定の実施に関する細目は、総会の決定により及び総会が設置することのある作業部会が総会の定める範囲内で行う決定によつて定める。

第五十二条 この条約の他の規定との関係

 この章のいかなる規定も、他の章の財政に関する規定に影響を及ぼすものではない。それらの規定は、この章の規定及びこの章の規定の実施については、適用しない。

第五章 管理規定

第五十三条 総会

(1)(a) 総会は、第五十七条(8)の規定に従うことを条件として、締約国で構成する。

(b) 各締約国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。

(2)(a) 総会は、次のことを行う。

(ⅰ) 同盟の維持及び発展並びにこの条約の実施に関するすべての問題を取り扱うこと。

(ⅱ) この条約の他の規定によつて明示的に総会に与えられた任務を遂行すること。

(ⅲ) 国際事務局に対し改正会議の準備に関する指示を与えること。

(ⅳ) 事務局長の同盟に関する報告及び活動を検討し及び承認し、並びに事務局長に対し同盟の権限内の事項についてすべての必要な指示を与えること。

(ⅴ) (9)の規定に従つて設置される執行委員会の報告及び活動を検討し及び承認し、並びに執行委員会に対し指示を与えること。

(ⅵ) 同盟の事業計画を決定し及び三年予算を採択し、並びに決算を承認すること。

(ⅶ) 同盟の財政規則を採択すること。

(ⅷ) 同盟の目的を達成するために必要と認める委員会及び作業部会を設置すること。

(ⅸ) 非締約国並びに、(8)の規定に従うことを条件として、政府間機関及び国際的な非政府機関であつて総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること。

(ⅹ) 同盟の目的を達成するため他の適当な措置をとり、及びその他この条約に基づく必要な任務を遂行すること。

(b) 総会は、機関が管理業務を行つている他の同盟にも利害関係のある事項については、機関の調整委員会の助言を受けた上で決定を行う。

(3) 代表は、一の国のみを代表し及びその国の名においてのみ投票することができる。

(4) 各締約国は、一の票を有する。

(5)(a) 締約国の二分の一をもつて定足数とする。

(b) 総会は、定足数に満たない場合においても、決定を行うことができる。ただし、その決定は、総会 の手続に関する決定を除くほか、規則に定める通信による投票で定足数が満たされかつ必要な多数が得られた場合にのみ効力を生ずる。

(6)(a) 第四十七条(2)(b)、第五十八条(2)(b)及び(3)並びに第六十一条(2)(b)の規定が 適用される場合を除くほか、総会の決定は、投じられた票の三分の二以上の多数による議決で行う。

(b) 棄権は、投票とみなさない。

(7) 第二章の規定に拘束される締約国にのみ利害関係のある事項については、(4)から(6)までに規定する締約国とは、同章の規定に拘束される締約国のみをいう。

(8) 国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、総会にオブザーバーとして出席することを認められる。

(9) 総会は、締約国の数が四十を超える場合には、執行委員会を設置する。この条約及び規則において執行委員会というときは、設置された後の執行委員会をいうものとする。

(10) 総会は、執行委員会が設置されるまでの間は、事務局長が作成した年次事業計画及び年次予算を事業計画及び三年予算の範囲内で承認する。

(11)(a) 総会は、事務局長の招集により、二年ごとに通常会期として会合するものとし、例外的な場合を除くほか、機関の一般総会と同一期間中に同一の場所において会合する。

(b) 総会は、執行委員会の要請又は締約国の四分の一以上の要請があつたときは、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。

(12) 総会は、その手続規則を採択する。

第五十四条 執行委員会

(1) 総会が執行委員会を設置したときは、執行委員会は、(2)から(10)までの規定に従うものとする。

(2)(a) 執行委員会は、第五十七条(8)の規定に従うことを条件として、総会の構成国の中から総会によつて選出された国で構成する。

(b) 執行委員会の各構成国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。

(3) 執行委員会の構成国の数は、総会の構成国の数の四分の一とする。議席の数の決定に当たつては、四で除した余りの数は、考慮に入れない。

(4) 総会は、執行委員会の構成国の選出に当たり、衡平な地理的配分に妥当な考慮を払う。

(5)(a) 執行委員会の構成国の任期は、その選出が行われた総会の会期の終了時から総会の次の通常会期の終了時までとする。

(b) 執行委員会の構成国は、最大限その構成国の三分の二まで再選されることができる。

(c) 総会は、執行委員会の構成国の選出及び再選に関する細目を定める。

(6)(a) 執行委員会は、次のことを行う。

(ⅰ) 総会の議事日程案を作成すること。

(ⅱ) 事務局長が作成した同盟の事業計画案及び二年予算案について総会に提案をすること。

(ⅲ) 削除

(ⅳ) 事務局長の定期報告及び年次会計検査報告を、適当な意見を付して、総会に提出すること。

(ⅴ) 総会の決定に従い、また、総会の通常会期から通常会期までの間に生ずる事態を考慮して、事務局長による同盟の事業計画の実施を確保するためすべての必要な措置をとること。

(ⅵ) その他この条約に基づいて執行委員会に与えられる任務を遂行すること。

(b) 執行委員会は、機関が管理業務を行つている他の同盟にも利害関係のある事項については、機関の調整委員会の助言を受けた上で決定を行う。

(7)(a) 執行委員会は、事務局長の招集により、毎年一回、通常会期として会合するものとし、できる限り機関の調整委員会と同一期間中に同一の場所において会合する。

(b) 執行委員会は、事務局長の発意により又は執行委員会の議長若しくはその構成国の四分の一以上の要請に基づき、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。

(8)(a) 執行委員会の各構成国は、一の票を有する。

(b) 執行委員会の構成国の二分の一をもつて定足数とする。

(c) 決定は、投じられた票の単純多数による議決で行う。

(d) 棄権は、投票とみなさない。

(e) 代表は、一の国のみを代表し及びその国の名においてのみ投票することができる。

(9) 執行委員会の構成国でない締約国及び国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、執行委員会の会合にオブザーバーとして出席することを認められる。

(10) 執行委員会は、その手続規則を採択する。

第五十五条 国際事務局

(1) 同盟の管理業務は、国際事務局が行う。

(2) 国際事務局は、同盟の諸機関の事務局の職務を行う。

(3) 事務局長は、同盟の首席の管理職員とし、同盟を代表する。

(4) 国際事務局は、公報その他規則又は総会の定める刊行物を発行する。

(5) 国際事務局、国際調査機関及び国際予備審査機関がこの条約に基づく任務を遂行するに当たつて国内官庁が与える援助については、規則に定める。

(6) 事務局長及びその指名する職員は、総会、執行委員会その他この条約又は規則に基づいて設置される委 員会又は作業部会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長又はその指名する職員一人は、当然にこれらの機関の事務局の長としての職務を行う。

(7)(a) 国際事務局は、総会の指示に従い、かつ、執行委員会と協力して、改正会議の準備を行う。

(b) 国際事務局は、改正会議の準備に関し政府間機関及び国際的な非政府機関と協議することができる。

(c) 事務局長及びその指名する者は、改正会議における審議に投票権なしで参加する。

(8) 国際事務局は、その他国際事務局に与えられる任務を遂行する。

第五十六条 技術協力委員会

(1) 総会は、技術協力委員会(この条において「委員会」という。)を設置する。

(2)(a) 総会は、開発途上にある国が衡平に代表されるように妥当な考慮を払つた上で、委員会の構成を決定し及びその構成員を任命する。

(b) 国際調査機関及び国際予備審査機関は、当然に委員会の構成員となる。国際調査機関又は国際予備 審査機関が締約国の国内官庁である場合には、当該締約国は、委員会において重複して代表を出すことができない。

(c) 委員会の構成員の総数は、締約国の数に照らして可能な場合には、当然に委員会の構成員となるものの数の二倍を超える数とする。

(d) 事務局長は、その発意又は委員会の要請により、関係機関に利害関係のある討議に当該関係機関の代表者が参加するよう招請する。

(3) 委員会は、助言又は勧告を行うことによつて次のことに寄与することを目的とする。

(ⅰ) この条約に基づく業務を絶えず改善すること。

(ⅱ) 二以上の国際調査機関又は二以上の国際予備審査機関が存在する限り、その資料及び作業方法につ いてできる限りの統一性を確保すること並びにその報告の質ができる限り高くかつ均一であることを確保すること。

(ⅲ) 総会又は執行委員会の発意に基づき、特に単一の国際調査機関の設立に関する技術的問題を解決すること。

(4) 締約国及び関係国際機関は、委員会に対し、委員会の権限内にある問題につき書面によつて意見を述べることができる。

(5) 委員会は、事務局長に対し又は、事務局長を通じて、総会、執行委員会、すべての若しくは一部の国際 調査機関及び国際予備審査機関並びにすべての若しくは一部の受理官庁に対し、助言及び勧告を行うことができる。

(6)(a) 事務局長は、いかなる場合においても、執行委員会に対し委員会のすべての助言及び勧告を送付する。事務局長は、その助言及び勧告について意見を付することができる。

(b) 執行委員会は、委員会の助言、勧告又は他の活動について見解を表明することができるものとし、 委員会に対し、委員会の権限内にある問題について研究し及び報告することを求めることができる。執行委員会 は、総会に対し、適当な意見を付して委員会の助言、勧告及び報告を提出することができる。

(7) 執行委員会が設置されるまでの間は、(6)にいう執行委員会とは、総会をいうものとする。

(8) 委員会の手続の細目は、総会の決定によつて定める。

第五十七条 財政

(1)(a) 同盟は、予算を有する。

(b) 同盟の予算は、収入並びに同盟に固有の支出及び機関が管理業務を行つている諸同盟の共通経費の予算に対する同盟の分担金から成る。

(c) 諸同盟の共通経費とは、同盟にのみでなく機関が管理業務を行つている他の同盟にも帰すべき経費 をいう。共通経費についての同盟の分担の割合は、共通経費が同盟にもたらす利益に比例する。

(2) 同盟の予算は、機関が管理業務を行つている他の同盟の予算との調整の必要性を考慮した上で決定する。

(3) (5)の規定が適用される場合を除くほか、同盟の予算は、次のものを財源とする。

(ⅰ) 国際事務局が同盟の名において提供する役務について支払われる手数料及び料金

(ⅱ) 同盟に関する国際事務局の刊行物の販売代金及びこれらの刊行物に係る権利の使用料

(ⅲ) 贈与、遺贈及び補助金

(ⅳ) 賃貸料、利子その他の雑収入

(4) 国際事務局に支払われる手数料及び料金の額並びに国際事務局の刊行物の価格は、この条約の管理業務 に係る国際事務局のすべての経費を通常の状態において賄うことができるように定める。

(5)(a) 会計年度が欠損を伴つて終了する場合には、締約国は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、その欠損を填補するため分担金を支払う。

(b) 各締約国の分担金の額は、当該年度における各締約国からの国際出願の数に妥当な考慮を払つた上で総会が定める。

(c) 総会は、欠損の全部又は一部を他の方法によつて暫定的に填補することができる場合には、その欠 損を繰り越すこと及び締約国に分担金の支払を求めないことを決定することができる。

(d) 総会は、同盟の財政状態が許す場合には、(a)の規定に従つて支払われた分担金をこれを支払つた締約国に払い戻すことを決定することができる。

(e) (b)の規定に基づく分担金を総会が定める支払期日から二年以内に支払わなかつた締約国は、同 盟のいずれの機関においても、投票権を行使することができない。ただし、同盟のいずれの機関も、支払の延滞 が例外的なかつ避けることのできない事情によるものであると認める限り、当該締約国が当該機関において引き続き投票権を行使することを許すことができる。

(6) 予算が新会計年度の開始前に採択されなかつた場合には、財政規則の定めるところにより、前年度の予算をもつて予算とする。

(7)(a) 同盟は、各締約国の一回限りの支払金から成る運転資金を有する。運転資金が十分でなくなつた場 合には、総会は、その増額のための措置をとる。運転資金の一部が必要でなくなつた場合には、その運転資金の一部は、払い戻す。

(b) 運転資金に対する各締約国の当初の支払金の額及び運転資金の増額の部分に対する各締約国の分担額は、(5)(b)に定める原則と同様の原則に基づいて総会が定める。

(c) 支払の条件は、事務局長の提案に基づき、かつ、機関の調整委員会の助言を受けた上で、総会が定める。

(d) 払戻しは、各締約国の支払つた額に比例して行うものとし、各締約国の支払つた日を考慮に入れる。

(8)(a) その領域内に機関の本部が所在する国との間で締結される本部協定には、運転資金が十分でない場 合にその国が立替えをすることを定める。立替えの額及び条件は、その国と機関との間の別個の取極によつてそ の都度定める。その国は、立替えの義務を有する限り、当然に総会及び執行委員会に議席を有する。

(b) (a)の国及び機関は、それぞれ、書面による通告により立替えの約束を廃棄する権利を有する。廃棄は、通告が行われた年の終わりから三年を経過した時に効力を生ずる。

(9) 会計検査は、財政規則の定めるところにより、一若しくは二以上の締約国又は外部の会計検査専門家が 行う。これらの締約国又は会計検査専門家は、総会がこれらの締約国又は会計検査専門家の同意を得て指定する。

第五十八条 規則

(1) この条約に附属する規則には、次の事項に関する規定を設ける。

(ⅰ) この条約において、規則に明示的にゆだねられている事項又は所定の事項であることが明示的に定められている事項

(ⅱ) 業務の運用上の要件、事項又は手続

(ⅲ) この条約の規定を実施するために有用な細目

(2)(a) 総会は、規則を修正することができる。

(b) 修正は、(3)の規定に従うことを条件として、投じられた票の四分の三以上の多数による議決で行う。

(3)(a) 規則は、次のいずれかの場合に限つて修正することができる規定を特定する。

(ⅰ) 全会一致の合意がある場合

(ⅱ) 自国の国内官庁を国際調査機関又は国際予備審査機関とする締約国及び、政府間機関が国際調 査機関又は国際予備審査機関である場合には、当該政府間機関の権限のある機関において他の構成国から委任を受けた当該政府間機関の構成国である締約国のいずれも異なる意見を表明しない場合

(b) 将来において、当該規定につき付されている条件を解除するためには、場合に応じ、(a)(ⅰ)又は(ⅱ)に定める条件が満たされなければならない。

(c) 将来において、いずれかの規定につき(a)に定めるいずれかの条件を付するためには、全会一致の合意がなければならない。

(4) 規則は、総会の監督の下において事務局長が実施細則を作成することについて定める。

(5) この条約の規定と規則の規定とが抵触する場合には、この条約の規定が優先する。

第六章 紛争

第五十九条 紛争

 第六十四条(5)の規定が適用される場合を除くほか、この条約又は規則の解釈又は適用に関する二以上の締約 国の間の紛争で交渉によつて解決されないものは、紛争当事国が他の解決方法について合意しない限り、いずれ かの紛争当事国が、国際司法裁判所規程に合致した請求を行うことにより、国際司法裁判所に付託することがで きる。紛争を国際司法裁判所に付託する締約国は、その旨を国際事務局に通報するものとし、国際事務局は、それを他の締約国に通報する。

第七章 改正及び修正

第六十条 この条約の改正

(1) この条約は、締約国の特別の会議により随時改正することができる。

(2) 改正会議の招集は、総会が決定する。

(3) 国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、改正会議にオブザーバーとして出席することを認められる。

(4) 第五十三条(5)、(9)及び(11)、第五十四条、第五十五条(4)から(8)まで、第五十六条並び に第五十七条の規定は、改正会議により又は次条の規定に従つて修正することができる。

第六十一条 この条約の特定の規定の修正

(1)(a) 第五十三条(5)、(9)及び(11)、第五十四条、第五十五条(4)から(8)まで、第五十六 条並びに第五十七条の規定の修正の提案は、総会の構成国、執行委員会又は事務局長が行うことができる。

(b) (a)の提案は、遅くとも総会による審議の六箇月前までに、事務局長が締約国に送付する。

(2)(a) (1)に規定する規定の修正は、総会が採択する。

(b) 採択は、投じられた票の四分の三以上の多数による議決で行う。

(3)(a) (1)に規定する規定の修正は、その修正が採択された時に総会の構成国であつた国の四分の三か ら、それぞれの憲法上の手続に従つて行われた受諾についての書面による通告を事務局長が受領した後一箇月で効力を生ずる。

(b) (a)の規定に従つて受諾された(1)に規定する規定の修正は、その修正が効力を生ずる時に総 会の構成国であるすべての国を拘束する。ただし、締約国の財政上の義務を増大する修正は、その修正の受諾を通告した締約国のみを拘束する。

(c) (a)の規定に従つて受諾された修正は、その修正が(a)の規定に従つて効力を生じた日の後に総会の構成国となるすべての国を拘束する。

第八章 最終規定

第六十二条 締約国となるための手続

(1) 工業所有権の保護に関する国際同盟の構成国は、次のいずれかの手続により、締約国となることができる。

(ⅰ) 署名し、その後に批准書を寄託すること。

(ⅱ) 加入書を寄託すること。

(2) 批准書又は加入書は、事務局長に寄託する。

(3) 工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第二十四条の規定は、この条約の適用について準用する。

(4) (3)の規定は、いずれかの締約国が(3)の規定に基づいてこの条約を適用する領域の事実上の状態 を、他の締約国が承認し又は黙示的に容認することを意味するものと解してはならない。

第六十三条 この条約の効力発生

(1)(a) この条約は、(3)の規定に従うことを条件として、八の国が批准書又は加入書を寄託した後三箇 月で効力を生ずる。ただし、それらの国のうち少なくとも四の国がそれぞれ、次のいずれかの条件を満たしていなければならない。

(ⅰ) 当該国でされた出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において四万を超えていること。

(ⅱ) 当該国の国民又は居住者が一の外国にした出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において千以上であること。

(ⅲ) 当該国の国内官庁が外国の国民又は居住者から受理した出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において一万以上であること。

(b) この(1)の規定の適用上、「出願」には、実用新案の出願を含めない。

(2) (3)の規定に従うことを条件として、この条約が(1)の規定に従つて効力を生じた時に締約国とな らない国は、批准書又は加入書を寄託した日の後三箇月でこの条約に拘束される。

(3) 第二章の規定及びこの条約に附属する規則中同章の規定に対応する規定は、(1)に定める三の条件のう ち少なくとも一の条件を満たす三の国が同章の規定に拘束される意思を有しないことを次条(1)の規定に基づ いて宣言することなく締約国となつた日から、適用する。もつとも、その日は、(1)の規定に基づく当初の効力発生の日前ではないものとする。

第六十四条 留保

(1)(a) いずれの国も、第二章の規定に拘束されないことを宣言することができる。

(b) (a)の宣言を行つた国は、第二章の規定及び規則中同章の規定に対応する規定に拘束されない。

(2)(a) (1)(a)の宣言を行わない国は、次のことを宣言することができる。

(ⅰ) 国際出願の写し及び所定の翻訳文の提出については第三十九条(1)の規定に拘束されないこと。

(ⅱ) 第四十条に規定する国内処理の繰延べの義務によつて、自国の国内官庁による又はこれに通ず る国際出願又はその翻訳文の公表が妨げられることのないこと。もつとも、当該国内官庁に対し第三十条及び第三十八条の義務を免除するものと解してはならない。

(b) (a)の宣言を行つた国は、その限度において当該規定に拘束されない。

(3)(a) いずれの国も、自国に関する限り、国際出願の国際公開を行う必要がないことを宣言することができる。

(b) 優先日から十八箇月を経過した時に、国際出願に(a)の宣言を行つている国のみの指定が含まれ ている場合には、その国際出願の第二十一条(2)の規定に基づく国際公開は、行わない。

(c) (b)の規定が適用される場合であつても、国際事務局は、

(ⅰ) 出願人から請求があつたときは、規則の定めるところにより当該国際出願の国際公開を行う。

(ⅱ) 国際出願に基づく国内出願又は特許が(a)の宣言を行つているいずれかの指定国の国内官庁 により又はその国内官庁のために公表されたときは、その公表の後速やかに当該国際出願の国際公開を行う。ただし、優先日から十八箇月を経過する前であつてはならない。

(4)(a) 自国の特許が公表の日前の日から先行技術としての効果を有することを定めているが工業所有権の 保護に関するパリ条約に基づいて主張される優先日を先行技術の問題については自国における実際の出願日と同 等に取り扱わないこととする国内法令を有する国は、自国の指定を含む国際出願であつて他国においてしたもの を先行技術の問題については自国における実際の出願と同等に取り扱わないことを宣言することができる。

(b) (a)の宣言を行つた国は、その限度において第十一条(3)の規定に拘束されない。

(c) (a)の宣言を行う国は、同時に、自国の指定を含む国際出願が自国において先行技術としての効 果を有することとなる日及びそのための条件を書面で通知する。その通知は、事務局長にあてた通知により、いつでも変更することができる。

(5) いずれの国も、第五十九条の規定に拘束されないことを宣言することができる。同条の規定は、その宣 言を行つた締約国と他の締約国との間の紛争については、適用しない。

(6)(a) この条の規定に基づく宣言は、書面で行う。その宣言は、この条約の署名若しくは批准書若しくは 加入書の寄託の際に又は、(5)の宣言を除くほか、事務局長にあてた通告によりその後いつでも、行うことがで きる。その通告による宣言は、事務局長がその通告を受領した日の後六箇月で効力を生ずるものとし、その六箇月の期間の満了前にされた国際出願には影響を及ぼさない。

(b) この条の規定に基づく宣言は、事務局長にあてた通告により、いつでも撤回することができる。そ の撤回は、事務局長がその通告を受領した日の後三箇月で効力を生ずるものとし、(3)の宣言の撤回にあつては、その三箇月の期間の満了前にされた国際出願には影響を及ぼさない。

(7) 留保は、(1)から(5)までの規定に基づく留保を除くほか、この条約のいかなる規定についても行うことができない。

第六十五条 漸進的適用

(1) 国際調査機関又は国際予備審査機関との間の取決めが当該国際調査機関又は当該国際予備審査機関が処 理を引き受ける国際出願の数又は種類について経過的に制限を定める場合には、総会は、特定の範囲の国際出願 についてのこの条約及び規則の漸進的適用に必要な措置を採択する。この(1)の規定は、第十五条(5)の規定に基づく国際型調査の請求について準用する。

(2) 総会は、(1)に規定する条件の下で国際出願をすることができることとなる日及び国際予備審査の請求 をすることができることとなる日を定める。これらの日は、それぞれ、第六十三条(1)の規定に従つてこの条 約が効力を生じた後六箇月以内の日及び同条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなつた後六 箇月以内の日とする。

第六十六条 廃棄

(1) いずれの締約国も、事務局長にあてた通告により、この条約を廃棄することができる。

(2) 廃棄は、その通告の事務局長による受領の後六箇月で効力を生ずる。廃棄は、国際出願がその六箇月の 期間の満了前にされている場合には及び、廃棄を行う国が選択されている場合にあつてはその選択がその六箇月 の期間の満了前に行われているときに限り、廃棄を行う国における当該国際出願の効果に影響を及ぼさない。

第六十七条 署名及び用語

(1)(a) この条約は、ひとしく正文である英語及びフランス語による原本一通について署名する。

(b) 事務局長は、関係政府との協議の上、スペイン語、ドイツ語、日本語、ポルトガル語、ロシア語その他総会が指定する言語による公定訳文を作成する。 (2) この条約は、千九百七十年十二月三十一日まで、ワシントンにおいて署名のために開放しておく。

第六十八条 寄託

(1) この条約の原本は、署名のための開放が終了したときは、事務局長に寄託する。

(2) 事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府及び、要請があつたときは、 他の国の政府に対し、この条約及びこの条約に附属する規則の謄本二通を認証して送付する。

(3) 事務局長は、この条約を国際連合事務局に登録する。

(4) 事務局長は、すべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及び規則の修正の謄本二通を認証して送付する。

第六十九条 通報

 事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府に対し、次の事項を通報する。

(ⅰ) 第六十二条の署名

(ⅱ) 第六十二条に規定する批准書又は加入書の寄託

(ⅲ) この条約の効力発生の日及び第六十三条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなる日

(ⅳ) 第六十四条(1)から(5)までの規定に基づく宣言

(ⅴ) 第六十四条(6)(b)の規定に基づく撤回

(ⅵ) 第六十六条の規定によつて受領した廃棄通告

(ⅶ) 第三十一条(4)の宣言

PCT規則

A部 序

第一規則 略称

1.1 略称の意味

(a) この規則において「条約」とは、特許協力条約をいう。

(b) この規則において「章」及び「条」とは、条約の当該章及び当該条をいう。

第二規則 用語の解釈

2.1 「出願人」

 「出願人」というときは、出願人の代理人その他の代表者をもいうものとする。ただし、出願人の語が用いられている規定の表現若しくは性質又は文脈から明らかに異なつた意味に解される場合、例えば、特に、その規定が出願人の住所又は国籍に言及している場合は、この限りでない。

2.2 「代理人」

 「代理人」というときは、代理人の語が用いられている規定の表現若しくは性質又は文脈から明らかに異なつた意味に解される場合を除くほか、90.1の規定に基づき選任された代理人をいうものとする。

2.2の2 「共通の代表者」

 「共通の代表者」というときは、90.2の規定に基づき共通の代表者として選任され又は共通の代表者とみなされた出願人をいうものとする。

2.3 「署名」

 「署名」というときは、受理官庁、管轄国際調査機関又は管轄国際予備審査機関が適用する国内法令が署名に代えて押印を要求している場合には、当該官庁又は当該機関については、押印をいうものとする。

2.4 「優先期間」

(a) 優先権の主張に関して「優先期間」というときは、その優先権の基礎となる先の出願の出願の日から十二箇月の期間をいうものとする。先の出願の日はその期間に含まれない。

(b) 80.5の規定は、優先期間に準用する。

B部 第一章に関する規則

第三規則 願書(様式)

3.1 願書の様式

 願書は、印刷した様式を用いて作成し、又はコンピューター印字により表わす。

3.2 印刷した様式の入手の可能性

 印刷した様式は、受理官庁又は、受理官庁が希望する場合には、国際事務局が出願人に無料で提供する。

3.3 照合欄

(a) 願書には、次の事項を表示する欄を設ける。

(ⅰ) 国際出願の用紙の枚数の合計及び国際出願の各要素(願書、明細書(明細書の配列リストの部分の用紙の枚数を別個に表示する。)、請求の範囲、図面及び要約)のそれぞれの用紙の枚数

(ⅱ) 該当する場合には、委任状(代理人又は共通の代表者を選任する書面)、包括委任状の写し、優先権書類、電子形式での配列リスト、手数料の支払に関する書類又は照合欄に明記するその他の書類の国際出願への添付の有無

(ⅲ) 要約が掲載される場合にその要約とともに掲載するよう出願人が示す図の番号。例外的な場合には、出願人は、二以上の図を示すことができる。

(b) 照合欄は、出願人が表示するものとし、表示がない場合には、受理官庁が必要な事項を表示する。ただし、受理官庁は、(a)(ⅲ)に規定する番号を表示してはならない。

3.4 細目

 3.3の規定に従うことを条件として、印刷した願書の様式及びコンピューター印字により表した願書に関する細目は、実施細則で定める。

第四規則 願書(内容)

4.1 必要的及び任意的な内容並びに署名

(a) 願書には、次の事項を記載する。

(ⅰ) 申立て

(ⅱ) 発明の名称

(ⅲ) 出願人及び、代理人がある場合には、代理人に関する表示

(ⅳ) 指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称を表示することを定めている場合には、発明者に関する表示

(b) 願書には、該当する場合には、次の事項を記載する。

(ⅰ) 優先権の主張

(ⅱ) 4.12(ⅰ)並びに12の2.1(b)及び(d)に規定する先の調査に関する表示

(ⅲ) 原出願又は原特許の表示

(ⅳ) 出願人が選択する管轄国際調査機関の表示

(c) 願書には、次の事項を記載することができる。

(ⅰ) いずれの指定国の国内法令も国内出願をする時に発明者の氏名又は名称を表示することを定めていない場合であつても、発明者に関する表示

(ⅱ) 優先権の主張の基礎となる出願が受理官庁である国内官庁又は政府間当局に出願されている場合には、優先権書類の作成及び国際事務局への送付についての受理官庁に対する請求

(ⅲ) 規則4.17に規定する申立て

(ⅳ) 4.18に規定する陳述

(ⅴ) 優先権の回復の請求

(ⅵ) 4.12(ⅱ)に規定する陳述

(d) 願書には、署名をする。

4.2 申立て

 申立ては、次の趣旨によるものとし、次の文言とすることが望ましい。署名者は、この国際出願が特許協力条約に従つて処理されることを請求する。

4.3 発明の名称

 発明の名称は、短く(英語の場合又は英語に翻訳した場合に二語以上七語以内であることが望ましい。)かつ的確なものとする。

4.4 氏名又は名称及びあて名

(a) 自然人の氏名については、姓及び名を記載するものとし、姓を名の前に記載する。

(b) 法人の名称については、完全な公式の名称を記載する。

(c) あて名については、郵便物が速やかに当該あて名に配達されるための慣習上の要件を満たすように記載するものとし、いかなる場合においても、すべての該当する行政単位(住居番号があるときはその番号を含む。)を記載する。指定国の国内法令が住居番号を記載することを要求していない場合には、その番号の記載がないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。出願人との速やかな連絡を可能にするため、出願人又は、該当する場合には、代理人若しくは共通の代表者の加入電信番号、電話番号、ファクシミリ番号又は他の同様の通信手段についてはこれらに相当する情報を記載することが望ましい。

(d) 各出願人、各発明者又は各代理人については、一のあて名のみを記載する。ただし、出願人又は二人以上の出願人がある場合にあつてすべての出願人を代表する代理人が選任されていないときは、出願人又は二人以上の出願人がある場合の共通の代表者については、願書に記載されたあて名に加え、通知が送付されるための他のあて名を記載することができる。

4.5 出願人

(a) 願書には、出願人又は、二人以上の出願人があるときは、各出願人につき、次の事項を記載する。

(ⅰ) 氏名又は名称

(ⅱ) あて名

(ⅲ) 国籍及び住所

(b) 出願人の国籍については、出願人が国民である国の国名を記載する。

(c) 出願人の住所については、出願人が居住者である国の国名を記載する。

(d) 願書には、異なる指定国について異なる出願人を記載することができる。この場合には、願書には各指定国又は各指定国群ごとに出願人を記載する。

(e) 出願人が受理官庁として行動する国内官庁に登録されている場合には、その番号又は他の表示を願書に記載することができる。

4.6 発明者

(a) 4.1(a)(ⅳ)又は(c)(ⅰ)の規定が適用される場合には、願書には、発明者又は、二人以上の発明者があるときは、各発明者につき、その氏名又は名称及びあて名を記載する。

(b) 出願人が発明者である場合には、願書には、(a)の規定による記載に代えてその旨の陳述を記載する。

(c) 発明者の記載に関し指定国の国内法令の要件が同一でない場合には、願書には、異なる指定国について異なる者を発明者として記載することができる。この場合には、願書には、各指定国又は各指定国群において特定の者又は同一の者を発明者とすべき旨の個別の陳述を記載する。

4.7 代理人

(a) 代理人が選任されている場合には、願書には、その旨を記載するものとし、代理人の氏名又は名称及びあて名を記載する。

(b) 代理人が受理官庁として行動する国内官庁に登録されている場合には、その番号又は他の表示を願書に記載することができる。

4.8 共通の代表者

 共通の代表者を選任した場合には、願書にその旨を記載する。

4.9 国の指定、保護の種類、国内及び広域特許

(a) 願書の提出は、次の事項を構成する。

(ⅰ) 国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定

(ⅱ) 第四十三条又は第四十四条が適用される指定国において、その国を指定することによつて得られる全ての種類の保護を求める旨の表示

(ⅲ) 第四十五条(1)が適用される指定国において広域特許を求める旨及び、第四十五条(2)が適用される場合を除き、国内特許を求める旨の表示

(b) (a)(ⅰ)の規定にかかわらず、二千五年十月五日において、締約国の国内法令が、当該国の指定及び当該

 国で効力を有する先の国内出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願により、当該先の国内出願が取下げと同一の効果をもって消滅することを定めている場合には、当該指定官庁が当該国の指定に関してこの規定が適用される旨を二千六年一月五日までに国際事務局に通告すること及びその通告が当該国際出願日になお効力を有することを条件として、当該国でされた先の国内出願に基づく優先権を主張する全ての願書は当該国を指定しない旨の表示を伴うことができる。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

4.10 優先権の主張

(a) 第八条(1)に規定する申立て(「優先権の主張」)は、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において若しくは同条約の締約国について又は同条約の締約国ではないが世界貿易機関の加盟国である国において若しくは同条約の締約国ではないが同機関の加盟国である国についてされた先の出願に基づく優先権を主張することによつて行うことができる。優先権の主張は、願書において行うものとし、先の出願に基づく優先権を主張する旨の陳述及び次の事項を記載することによつて行う。

(ⅰ) 先の出願の日付

(ⅱ) 先の出願の番号

(ⅲ) 先の出願が国内出願である場合にあつては、その出願がされた工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国又は同条約の締約国ではないが世界貿易機関の加盟国である国の国名

(ⅳ) 先の出願が広域出願である場合にあつては、適用される広域特許条約に基づき広域特許を与える任務を有する当局

(ⅴ) 先の出願が国際出願である場合にあつては、その出願がされた受理官庁

(b) (a)(ⅳ)又は(ⅴ)の規定に基づき要求される記載に加え、

(ⅰ) 先の出願が広域出願又は国際出願である場合にあつては、優先権の主張には、その先の出願がその国についてされた一又は二以上の工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国名を記載することができる。

(ⅱ) 先の出願が広域出願であり、かつ、当該広域出願について適用される広域特許条約の締約国のいずれかが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国のいずれでもない場合にあつては、優先権の主張には、その先の出願がその国についてされた国のうち少なくとも一の同条約の締約国又は同機関の加盟国の国名を記載する。

(c) 第二条(ⅵ)の規定は、(a)及び(b)の規定については、適用しない。

4.11 継続出願若しくは一部継続出願又は原出願若しくは原特許の表示

(a) 次のいずれかの出願について、

(ⅰ) 出願人が、49の2.1(a)若しくは(b)の規定により、国際出願がいずれかの指定国において追加特許、追加証、追加発明者証若しくは追加実用証を求める出願として取り扱われることを希望する旨の記載をする場合又は

(ⅱ) 出願人が、49の2.1(d)の規定により、国際出願がいずれかの指定国において先の出願の継続出願若しくは一部継続出願として取り扱われることを希望する旨の記載をする場合には、願書には、その旨の表示を記載し、関連する原出願、原特許又はその他原付与を表示する。

(b) (a)の規定による表示の願書面への記載は4.9の規定の適用上は効力を生じない。

4.12 先の調査の結果の考慮

 出願人が国際調査機関に対し、国際調査を行うに当たり、同一若しくは他の国際調査機関又は国内官庁によつて行われた先の国際調査、国際型調査又は国内調査(「先の調査」)の結果を考慮することを希望する場合には、

(ⅰ) 願書には、その旨の表示を記載し、当該機関又は当該官庁及び先の調査が行われた出願を明示する。

(ⅱ) 願書には、該当する場合には、国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨又は異なる言語で出願されたことを除き国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨の陳述を記載することができる。

4.13 削除

4.14 削除

4.14の2 国際調査機関の選択

 国際出願についての国際調査を管轄する国際調査機関が二以上存在する場合には、出願人は、自己の選択する国際調査機関を願書に記載する。

4.15 署名

 願書には、出願人が署名をする。二人以上の出願人がある場合には、すべての出願人が署名をする。

4.16 特定の語の音訳又は翻訳

(a) 氏名若しくは名称又はあて名は、ローマ字以外の文字で記載する場合には、更に、単なる音訳又は英語への翻訳によりローマ字を用いて表示する。出願人は、いずれの語を単なる音訳とし又は翻訳とするかについて決定する。

(b) ローマ字以外の文字で記載する国名は、更に、英語で表示する。

4.17 51の2.1(a)(ⅰ)から(ⅴ)までに規定する国内的要件に関する申立て

 願書には、一又は二以上の指定国が適用する国内法令のために、実施細則に定める文言により、一又は二以上の次の申立てを含めることができる。

(ⅰ) 51の2.1(a)(ⅰ)に規定する発明者の特定に関する申立て

(ⅱ) 出願し及び特許を与えられる国際出願日における出願人の資格であつて、51の2.1(a)(ⅱ)に規定するものに関する申立て

(ⅲ) 先の出願に基づく優先権を主張する国際出願日における出願人の資格であつて、51の2.1(a)(ⅲ)に規定するものに関する申立て

(ⅳ) 51の2.1(a)(ⅳ)に規定する発明者である旨の申立てであつて実施細則に定める署名がされたもの

(ⅴ) 51の2.1(a)(ⅴ)に規定する、不利にならない開示又は新規性の喪失の例外に関する申立て

4.18 引用により含める旨の陳述

 第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に、国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴う場合において、第十一条(1)(ⅲ)(d)若しくは(e)に規定する国際出願の要素、若しくは20.5(a)に規定する明細書、請求の範囲若しくは図面の部分、又は20.5の2(a)に規定する要素若しくは明細書、請求の範囲若しくは図面の部分が、当該国際出願に記載されていないが先の出願に完全に記載されているときは、20.6の規定の適用上、当該要素又は部分を20.6の規定に基づく確認に従つて引用により当該国際出願に含める旨の陳述を願書に記載することができる。当該陳述は、当該受理の日に願書に記載されていない場合には、当該受理の日に国際出願に記載されている場合又は国際出願とともに提出された場合に限り、願書に追加することができる。

4.19 他の事項の記載

(a) 願書には、4.1から4.18までに定める事項以外のいかなる事項も記載してはならない。ただし、実施細則は、願書に記載することが許される他の事項を定めることができる。もつとも、他の事項の記載を義務的なものとすることはできない。

(b) 受理官庁は、願書に4.1から4.18までに定める事項以外の事項又は(a)の規定に従つて実施細則により願書に記載が許される事項以外の事項が記載されている場合には、当該記載事項を職権によつて抹消する。

第五規則 明細書

5.1 明細書の記述方法

(a) 明細書には、願書に記載されている発明の名称を冒頭に表示し及び次の事項を次のように記載する。

(ⅰ) その発明の関連する技術分野を明示する。

(ⅱ) 出願人の知る限りにおいてその発明の理解、調査及び審査に有用であると思われる背景技術を表示する。また、その背景技術について記述している文献を引用することが望ましい。

(ⅲ) 技術的課題(技術的課題が明白に記述されていない場合を含む。)及びその解決方法を理解することができるように、請求の範囲に記載されている発明を開示する。その発明が背景技術との関連において有利な効果を有する場合には、その効果を記載する。

(ⅳ) 図面がある場合には、図について簡単に説明する。

(ⅴ) 請求の範囲に記載されている発明の実施をするための形態のうち少なくとも出願人が最良であると考えるものを記載する。その記載は、適当なときは実施例を用いて、図面があるときはその図面を引用して行う。指定国の国内法令が最良の形態ではなくいずれかの形態(最良であると考えられるものであるかどうかを問わない。)を記載することを認めている場合には、出願人が最良であると考える形態が記載されていないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

(ⅵ) 発明の説明又は性質から明らかでない場合には、その発明の対象の産業上の利用方法並びに生産方法及び使用方法又は、単に使用されるものであるときは、使用方法を明示的に記載する。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。

(b) (a)に規定する記述方法及び順序は、発明の性質上異なる記述方法又は順序により発明を一層よく理解することができるようになり及び表現が一層簡潔となる場合を除くほか、遵守する。

(c) (b)の規定に従うことを条件として、(a)の各事項の前には、実施細則に示す適当な見出しを付することが望ましい。

5.2 ヌクレオチド又はアミノ酸の配列の開示

(a) 国際出願がヌクレオチド又はアミノ酸の配列であつて実施細則の規定に従つて配列リストに含まれることを要求されるものの開示を含む場合には、明細書には、実施細則に定める基準を満たした明細書の配列リストの部分を含むものとする。

(b) 明細書の配列リストの部分に含まれる言語依存フリーテキストは、明細書の主要な部分に含まれることを要しない。

第六規則 請求の範囲

6.1 請求の範囲の数及び番号の付け方

(a) 請求の範囲の数は、請求の範囲に記載される発明の性質を考慮して妥当な数とする。

(b) 請求の範囲の数が二以上の場合には、請求の範囲には、アラビア数字により連続番号を付する。

(c) 請求の範囲について補正をする場合における番号の付け方は、実施細則で定める。

6.2 国際出願の他の部分の引用

(a) 請求の範囲は、不可欠である場合を除くほか、発明の技術的特徴について明細書又は図面を引用する記載によつてはならない。特に、請求の範囲は、「明細書の…の箇所に記載したように」又は「図面の…の図に示したように」のような引用をする記載によつてはならない。

(b) 国際出願が図面を含む場合には、請求の範囲に記載されている技術的特徴には、その特徴に係る引用符号を付することが望ましい。引用符号は、括弧を付して用いることが望ましい。引用符号を付することが請求の範囲の速やかな理解を特に容易にするものでない場合には、引用符号は、用いない。指定官庁は、公表に当たつては、引用符号を省略することができる。

6.3 請求の範囲の記述方法

(a) 保護が求められている事項は、発明の技術的特徴を記載することによつて明示する。

(b) 請求の範囲には、適当と認められるときは、次のものを含める。

(ⅰ) 保護が求められている事項の明示に必要な発明の技術的特徴であつて結合して先行技術をなすものを表示する陳述

(ⅱ) (ⅰ)の規定に従つて記載された技術的特徴と結合して保護が求められている技術的特徴を簡潔に記載する特徴部分。この部分は、「に特徴を有する」、「を特徴とする」、「のように改良した」又はその他これらの表現と同様の表現を用いて示される。

(c) 指定国の国内法令が(b)に規定する請求の範囲の記述方法を定めていない場合には、その記述方法に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。ただし、実際に用いられる請求の範囲の記述方法が当該指定国の国内法令の要件を満たしている場合に限る。

6.4 従属請求の範囲

(a) 一又は二以上の他の請求の範囲のすべての特徴を含む請求の範囲(この従属的な形式の請求の範囲を以下「従属請求の範囲」という。)の記載は、可能なときは冒頭に、他の請求の範囲を引用して行い、次に、保護が求められている追加の特徴を記載することによつて行う。二以上の他の請求の範囲を引用する従属請求の範囲(「多数従属請求の範囲」)は、引用しようとする請求の範囲を択一的な形式によつてのみ引用する。多数従属請求の範囲は、他の多数従属請求の範囲のための基礎として用いてはならない。国際調査機関として行動する国内官庁に係る国の国内法令が多数従属請求の範囲を前二文に規定する請求の範囲の記述方法と異なる方法によつて起草することを許していない場合において、前二文に規定する請求の範囲の記述方法に従わないときは、国際調査報告に第十七条(2)(b)の規定に基づく表示をすることができる。実際に用いられる請求の範囲の記述方法が指定国の国内法令の要件を満たしている場合には、第二文又は第三文に規定する請求の範囲の記述方法に従わないことは、当該指定国においていかなる影響も及ぼすものではない。

(b) 従属請求の範囲は、それが引用する請求の範囲に含まれるすべての限定又は、従属請求の範囲が多数従属請求の範囲である場合には、当該多数従属請求の範囲と関係する特定の請求の範囲に含まれるすべての限定を含むものと解する。

(c) 前の単一の請求の範囲を引用するすべての従属請求の範囲及び前の二以上の請求の範囲を引用するすべての従属請求の範囲は、可能な範囲でかつ最も実際的な方法で取りまとめて記載する。

6.5 実用新案

 国際出願に基づき実用新案を与えることを求められている指定国は、国際出願の処理がその指定国において開始された後は、6.1から6.4までに規定する事項につき、これらの規定に代えて実用新案に関する国内法令の規定を適用することができる。

 ただし、出願人が、出願を当該国内法令の規定に適合させるため、第二十二条に規定する当該期間の満了の後少なくとも二箇月の期間の猶予を与えられることを条件とする。

第七規則 図面

7.1 工程図及び図表

 工程図及び図表は、図面とする。

7.2 期間

 第七条(2)(ⅱ)に規定する期間は、事情に応じて相当の期間とし、いかなる場合にも、同条(2)(ⅱ)の規定に基づいて図面又は追加の図面の提出を要求する書面の日付の日から二箇月未満であつてはならない。

第八規則 要約

8.1 要約の内容及び形式

(a) 要約は、次の事項から成る。

(ⅰ) 明細書、請求の範囲及び図面に含まれている開示の概要。概要は、発明の属する技術分野を表示し、並びに技術的課題、発明による技術的課題の解決方法の要点及び発明の主な用途を明瞭に理解することができるように起草する。

(ⅱ) 該当する場合には、国際出願に記載されているすべての化学式のうち発明の特徴を最もよく表すもの

(b) 要約は、表現することができる限りにおいて簡潔なもの(英語の場合又は英語に翻訳した場合に五十語以上百五十語以内であることが望ましい。)とする。

(c) 要約には、請求の範囲に記載されている発明の利点若しくは価値の主張又はその発明の思惑的な利用について記載してはならない。

(d) 要約に記載されている主要な技術的特徴であつて国際出願の図面に示されているもののそれぞれには、括弧付きの引用符号を付する。

8.2 図

(a) 出願人が3.3(a)(ⅲ)に掲げる表示をしない場合又は国際調査機関が図面全体のすべての図のうち出願人の示した図以外の図が発明の特徴を一層よく表していると認めた場合には、国際調査機関は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局が要約とともに公表する図を表示する。この場合には、要約とともに、国際調査機関の表示した図を公表する。その他の場合には、(b)の規定が適用される場合を除くほか、要約とともに出願人の示した図を公表する。

(b) 国際調査機関は、図面中のいずれの図も要約の理解に役立たないと認めた場合には、国際事務局にその旨を通知する。この場合には、国際事務局による要約の公表に、出願人が3.3(a)(ⅲ)の規定に従つて図を示している場合であつても、いかなる図も掲載しない。

8.3 起草上の指針

 要約は、当該技術分野における調査のための選別手段として、特に、当該国際出願自体を調べる必要性の有無を判断する上で科学者、技術者又は研究者に役立つよう、効率的に利用することができるように起草する。

第九規則 使用してはならない表現等

9.1 定義

 国際出願には、次のものを記載してはならない。

(ⅰ) 善良の風俗に反する表現又は図面

(ⅱ) 公の秩序に反する表現又は図面

(ⅲ) 出願人以外の特定の者の生産物、方法又は出願若しくは特許の利点若しくは有効性を誹謗する記述(先行技術との単なる比較は、それ自体では、誹謗とはみなさない。)

(ⅳ) 状況からみて明らかに関連性のない又は不必要な記述又は他の事項

9.2 規定が遵守されていないことの注記

 受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関及び国際事務局は、9.1の規定が遵守されていないことを注記することができるものとし、国際出願を自発的に訂正するよう出願人に示唆することができる。この場合において、受理官庁、管轄国際調査機関、補充調査のために指定された管轄機関及び国際事務局は、該当する場合には、そのような示唆について通知を受ける。

9.3 第二十一条(6)との関係

 第二十一条(6)にいう「誹謗の記載」とは、9.1(ⅲ)に規定する意味を有する。

第十規則 用語及び記号

10.1 用語及び記号

(a) 度量衡の単位は、メートル法で記載するものとし、メートル法以外のもので記載した場合には、メートル法によるものを併記する。

(b) 温度は、摂氏で記載するものとし、摂氏以外のもので記載した場合には、摂氏によるものを併記する。

(c) 削除

(d) 熱、エネルギー、光、音及び磁気の表示並びに数式及び電気の単位については、国際慣行に従う。化学式については、一般に用いられている記号、原子量及び分子式を用いる。

(e) 技術用語、記号及び符号は、通常、当該技術分野において一般に採用されているものを用いる。

(f) 国際出願又はその翻訳文を英語、中国語又は日本語で作成する場合には、小数部分は、最初に小数点を付することによつて表示し、国際出願又はその翻訳文を英語、中国語又は日本語以外の言語で作成する場合には、小数点は、コンマを用いる。

10.2 一貫性

 用語及び記号は、当該国際出願の全体を通じて一貫して使用する。

第十一規則 国際出願の様式上の要件

11.1 提出部数

(a) 国際出願及び照合欄に明記する各書類(3.3(a)(ⅱ))は、(b)の規定に従うことを条件として、一通を提出する。

(b) 受理官庁は、国際出願及び照合欄に明記する各書類(3.3(a)(ⅱ))(支払つた手数料の領収書又は手数料の支払のための小切手を除く。)について、二通又は三通を提出することを要求することができる。この場合には、受理官庁は、記録原本と他の一通又は二通との同一性を確認する責任を負う。

11.2 複製のための適合性

(a) 国際出願のすべての要素(願書、明細書、請求の範囲、図面及び要約)は、写真、静電的方法、写真オフセット及びマイクロフィルムによつて、直接に任意の部数の複製をすることができるように作成する。

(b) 用紙には、しわ及び裂け目があつてはならない。用紙は、折つてはならない。

(c) 用紙は、片面のみを用いる。

(d) 用紙は、11.10(d)及び11.13(j)の規定が適用される場合を除くほか、縦長にして用いる(用紙の短辺を上下とする。)。

11.3 使用すべき材料

 国際出願のすべての要素は、可撓性のある、丈夫な、白色の、滑らかな、光沢のない、かつ、耐久性のある紙を用いて作成する。

11.4 用紙の別等

(a) 国際出願の各要素(願書、明細書、請求の範囲、図面及び要約)は、別個の用紙を用いて作成する。

(b) 国際出願のすべての用紙は、調べる際に容易にめくることができるよう並びに複製のため容易に分離し及びとじ直すことができるようにとじる。

11.5 用紙の大きさ

 用紙の大きさは、A4判(縦二十九・七センチメートル、横二十一センチメートル)とする。ただし、受理官庁は、他の大きさの用紙による国際出願を許すことができる。もつとも、国際事務局に送付する記録原本及び、管轄国際調査機関が要求するときは、調査用写しは、A4判の大きさとする。

11.6 余白

(a) 明細書、請求の範囲及び要約を記載する用紙の余白は、少なくとも次のとおりとする。

上端 二センチメートル

左端 二・五センチメートル

右端 二センチメートル

下端 二センチメートル

(b) (a)に規定する余白については、次の数値を超えないことが望ましい。

上端 四センチメートル

左端 四センチメートル

右端 三センチメートル

下端 三センチメートル

(c) 図面を記載する用紙については、その使用することができる面は、縦二十六・二センチメートル、横十七センチメートルを超えないものとする。用紙の使用することができる面又は使用した面の周囲には、枠を記載してはならない。余白は、少なくとも次のとおりとする。

上端 二・五センチメートル

左端 二・五センチメートル

右端 一・五センチメートル

下端 一センチメートル

(d) (a)から(c)までに定める余白は、A4判の大きさの用紙について適用する。したがつて、受理官庁がA4判以外の大きさの用紙を許す場合においても、A4判の大きさの記録原本及び、要求されたときは、A4判の大きさの調査用写しには、(a)から(c)までに定める余白をとる。

(e) (f)及び11.8(b)の規定に従うことを条件として、国際出願の余白は、その提出の際は、完全な空白としておかなければならない。

(f) 上端の余白の左隅には、出願人の書類記号を付することができる。ただし、書類記号は、用紙の上端から一・五センチメートル以内に付さなければならない。出願人の書類記号の文字数は、実施細則に定める数を超えてはならない。

11.7 用紙の番号の付け方

(a) 国際出願のすべての用紙には、アラビア数字により連続番号を付する。

(b) (a)の番号は、用紙の上端又は下端(余白を除く。)の中央に付する。

11.8 行の番号の付け方

(a) 明細書及び請求の範囲の各用紙には、五行目ごとに番号を付することが極めて望ましい。

(b) (a)の番号は、用紙の左側の余白の右半分に付する。

11.9 記載事項の書き方

(a) 願書、明細書、請求の範囲及び要約は、タイプ印書又は印刷による。

(b) 図式記号、化学式、数式及び中国語又は日本語の特定の漢字に限り、必要なときは、手書きによることができる。

(c) タイプ印書による場合には、行の間隔は、一・五文字の幅とする。

(d) 記載事項は、大文字の大きさが縦〇・二八センチメートル以上の文字及び暗色の退色性のない色であつて11.2に定める要件を満たすもので記載する。ただし、願書の文言は、大文字の大きさが縦〇.二一センチメートル以上の文字で記載することができる。

(e) (c)及び(d)の規定は、タイプ印書による場合の行の間隔及び文字の大きさに関する限り、中国語又は日本語による記載については、適用しない。

11.10 図、式及び表を用いる記載

(a) 願書、明細書、請求の範囲及び要約には、図を記載してはならない。

(b) 明細書、請求の範囲及び要約には、化学式又は数式を記載することができる。

(c) 明細書及び要約には、表を使用することができる。請求の範囲には、表を使用することが望ましい事項についてのみ、表を使用することができる。

(d) 表及び化学式又は数式は、その上下を正しくしては縦長にして用いられる用紙に十分に配置することができない場合には、横にして用紙の長辺と並行に配置することができる。表、化学式又は数式がそのように配置される用紙は、表又は式の上端が用紙の左側になるようにして提示する。

11.11 図面中の語句

(a) 図面には、不可欠な場合における「水」、「蒸気」、「開」、「閉」、「ABの切断面」等の単語又は語句並びに電気回路、ブロックダイヤグラム及び工程図表の場合における理解のために不可欠な表示のための短い語句を除くほか、文言を記載してはならない。

(b) 用いる語は、翻訳された場合にその語が覆われることになるように、また、図面中のいずれの線にもかかることなくその翻訳をはり付けることができるように配置する。

11.12 訂正等

 各用紙においては、合理的な範囲を超えて消してはならず、また、訂正、重ね書き及び行間挿入を行つてはならない。内容の真正であることに疑いがなく、かつ、良好な複製のための要件が損なわれないことを条件として、第一文の規定に従わないことを認めることができる。

11.13 図面に関する特別の要件

(a) 図面は、耐久性のある、黒色の、十分に濃厚な、均一の太さの、かつ、明瞭な線及び画で着色することなく、作成する。

(b) 切断面は、平行斜線によつて示す。この場合において、引用符号及び引出し線の明瞭な読取りが妨げられてはならない。

(c) 図の大きさ及び作図の明瞭性は、三分の二の線縮尺による写真複製をした場合にすべての細部を容易に識別することができるようなものとする。

(d) 例外的に図面の尺度を示す場合には、尺度は、図式で表示する。

(e) 図面に記載するすべての数字、文字及び引出し線は、簡潔かつ明瞭なものとする。括弧、円又は引用符は、数字及び文字とともには、用いない。

(f) 図面中のすべての線は、通常、製図用具を用いて引く。

(g) 図の各要素は、異なる比率を使用することが図の明瞭性に不可欠な場合を除くほか、図中の他の要素のそれぞれに対して妥当な比率のものとする。

(h) 数字及び文字の大きさは、縦〇・三二センチメートル以上とする。図面中の文字は、ローマ字及び、慣習となつている場合には、ギリシャ文字を用いる。

(i) 図面の同一の用紙には、二以上の図を記載することができる。二以上の用紙に描く図が単一の完全な図を構成する場合には、二以上の用紙に描く図は、単一の完全な図を得るように合わせたときに各用紙に示されているいずれの図のいずれの部分をも隠すこととならないように配置する。

(j) 個々の図は、不必要な間隔を置くことなく、望ましくは図の上下を正しく、相互に十分に離して一又は二以上の用紙に配置する。図の上下を正しく配置することができない場合には、図の上端が用紙の左側になるように図を横にして用紙の長辺と並行に配置して提示する。

(k) 個々の図には、用紙の番号とは関係なく、アラビア数字により連続番号を付する。

(l) 明細書に用いない引用符号は図面に、図面に用いない引用符号は明細書に用いない。

(m) 同一の部分は、引用符号を用いて示す場合には、当該国際出願の全体を通じて同一の符号によつて示す。

(n) 図面に多数の引用符号を用いる場合には、すべての引用符号及びその対応する部分を掲げる別紙を添付することが極めて望ましい。

11.14 後に提出する書類

 第十規則及び11.1から11.13までの規定は、国際出願をした後に提出するすべての書類(例えば、差替え用紙、補正後の請求の範囲、翻訳文)についても適用する。

第十二規則 国際出願の言語並びに国際調査及び国際公開のための翻訳文

12.1 国際出願をするために認められる言語

(a) 国際出願は、受理官庁が国際出願のために認める言語で行う。

(b) 各受理官庁は、国際出願をするために、次の(ⅰ)及び(ⅱ)に該当する言語のうち少なくとも一の言語を認める。

(ⅰ) 受理官庁に提出した国際出願の国際調査を管轄する国際調査機関又は該当する場合には二以上の国際調査機関のうち少なくとも一の国際調査機関が認める言語

(ⅱ) 国際公開の言語

(c) (a)の規定にかかわらず、願書は、受理官庁がこの(c)の規定の適用上認める国際公開の言語で提出する。

(d) (a)の規定にかかわらず、明細書の配列リストの部分に記載されている言語依存フリーテキストは、受理官庁が言語依存フリーテキストのために認める言語で提出する。この(d)の規定に基づいて認められるが(a)の規定に基づいて認められない言語は、(b)の規定の要件を満たすものとする。受理官庁は、実施細則に定めるところにより言語依存フリーテキストを二以上の言語で提出することを提出することを認めることができるが、これを要求してはならない。12.1の2 20.3、20.5、20.5の2又は20.6の規定に基づき提出される要素及び部分の言語20.3(b)、20.5の2(b)、20.5の2(c)又は20.6(a)の規定に基づき出願人により提出される第十一条(1)(ⅲ)(d)又は(e)に規定する要素及び20.5(b)、20.5(c)、20.5の2(b)、20.5の2(c)又は20.6(a)の規定に基づき出願人が提出する明細書、請求の範囲又は図面の部分は、出願時における国際出願の言語で作成し、12.3(a)又は12.4(a)の規定に基づき出願の翻訳が要求される場合には、出願時における国際出願の言語及び当該翻訳の言語で作成する。

12.1の3 13の2.4の規定に基づき提出される表示の言語

 13の2.4の規定に基づき提出される寄託された生物材料に関する表示は、国際出願の言語で記載する。ただし、12.3(a)又は12.4(a)の規定に基づき国際出願の翻訳が要求されている場合には、当該表示は、当該国際出願がされた言語及び当該翻訳の言語で提出する。

12.2 国際出願に加える変更の言語

(a) 国際出願についての補正は、46.3及び55.3に規定する場合を除くほか、当該国際出願がされた言語で行う。

(b) 91.1に規定する国際出願中の明白な誤記の訂正は、当該国際出願がされた言語で行う。ただし、次の(ⅰ)及び(ⅱ)に規定する場合を除く。

(ⅰ) 国際出願の翻訳文が12.3(a)、12.4(a)又は55.2(a)の規定に基づき要求される場合には、91.1(b)(ⅱ)及び(ⅲ)に規定する訂正は、当該国際出願の言語及びその翻訳文の言語の双方で行う。

(ⅱ) 願書の翻訳文が26.3の3(c)の規定に基づき要求される場合には、91.1(b)(ⅰ)に規定する訂正は、その翻訳文の言語のみで足りる。

(c) 第二十六規則の規定に基づく国際出願の欠陥の補充は、当該国際出願がされた言語で行う。12.3又は12.4の規定に基づき提出される国際出願の翻訳文の第二十六規則に基づく欠陥の補充、55.2(a)の規定に基づき提出される翻訳文の55.2(c)の規定に基づく欠陥の補充、又は26.3の3(c)の規定に基づき提出される願書の翻訳文の欠陥の補充は、その翻訳文の言語で行う。

12.3 国際調査のための翻訳文

(a) 国際出願が国際調査を行う国際調査機関により認められていない言語によりされた場合には、出願人は、受理官庁が国際出願を受理した日から一箇月以内に、当該受理官庁に次のすべてを満たす言語による翻訳文を提出する。

(ⅰ) 当該国際調査機関が認める言語

(ⅱ) 国際公開の言語

(ⅲ) 国際出願が国際公開の言語でされる場合を除くほか、12.1(a)の規定に基づき受理官庁が認める言語

(aの2)明細書の配列リストの明細書の配列リストの部分については、(a)の規定は言語依存フリーテキストについてのみ適用する。言語依存フリーテキストの翻訳文については、実施細則で定める。

(b) (a)の規定は、願書については適用されない。

(c) 受理官庁が20.2(c)の規定に基づく通知を出願人に送付するまでに出願人が(a)の規定に基づき要求される翻訳文を提出しなかつた場合には、受理官庁は、望ましくは当該通知とともに、出願人に対し次のことを求める。

(ⅰ) (a)に規定する期間内に要求された翻訳文を提出すること。

(ⅱ) (a)に規定する期間内に要求された翻訳文が提出されなかつた場合には、その求めの日から一箇月の期間又は受理官庁による国際出願の受理の日から二箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間内に当該翻訳文を提出し及び該当するときは(e)に定める遅延提出手数料を支払うこと。

(d) 受理官庁が(c)の規定に基づく求めを出願人に送付し、かつ、出願人が(c)(ⅱ)に規定する当該期間内に要求される翻訳文の提出及び要求される遅延提出手数料の支払を行わなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。受理官庁がその宣言を行う前であり、かつ、優先日から十五箇月の期間を経過する前に当該受理官庁が受理した翻訳文及び支払は、当該期間の満了前に受理したものとみなす。

(e) 受理官庁は、(a)に規定する期間の満了後の翻訳文の提出については、手数料表一に掲げる三十枚を超える国際出願の用紙一枚ごとの料金を考慮に入れない国際出願手数料の二十五パーセントに等しい遅延提出手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。

12.4 国際公開のための翻訳文

(a) 国際出願が国際公開の言語でない言語でされ、かつ、翻訳文が12.3(a)の規定に基づき要求されていない場合には、出願人は、優先日から十四箇月の期間内に、受理官庁に対し、受理官庁がこの(a)の規定の適用上認める国際公開の言語による国際出願の翻訳文を提出する。

(aの2)明細書の配列リストの明細書の配列リストの部分については、(a)の規定は言語依存フリーテキストについてのみ適用する。言語依存フリーテキストの翻訳文については、実施細則で定める。

(b) (a)の規定は、願書については適用されない。

(c) 出願人が(a)に規定する期間内に(a)の規定に基づき要求される翻訳文を提出しなかつた場合には、受理官庁は、出願人に対し、優先日から十六箇月の期間内にその翻訳文を提出し及び該当するときは(e)に規定する遅延提出手数料の支払を求める。受理官庁がその求めを送付する前に当該受理官庁が受理した翻訳文は、(a)に規定する期間の満了前に受理したものとみなす。

(d) 出願人が(c)に規定する期間内に要求される翻訳文の提出及び要求される遅延提出手数料の支払を行わなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。受理官庁がその宣言を行う前であり、かつ、優先日から十七箇月の期間を経過する前に当該受理官庁が受理した翻訳文及び支払は、(c)に規定する期間の満了前に受理したものとみなす。

(e) 受理官庁は、(a)に規定する期間の満了後の翻訳文の提出については、手数料表一に掲げる三十枚を超える国際出願の用紙一枚ごとの料金を考慮に入れない国際出願手数料の二十五パーセントに等しい遅延提出手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。

第十二規則の二 先の調査に関する書類の出願人による提出

12の2.1 4.12の規定に基づく請求における先の調査に関する書類の出願人による提出

(a) 出願人が同一若しくは他の国際調査機関又は国内官庁によつて行われた先の調査の結果を考慮するよう4.12の規定に基づき国際調査機関に対して請求した場合には、出願人は、(b)から(d)までの規定に従うことを条件として、国際出願とともに先の調査の結果の写しを当該機関又は当該官庁が作成する形式(例えば、調査報告、列記された先行技術の一覧表、審査報告の形式)で受理官庁に提出する。

(b) 先の調査が受理官庁として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合には、出願人は、(a)に規定する写しの提出に代えて、受理官庁に対し、それを作成し、国際調査機関に送付することを希望する旨を記載することができる。その請求は、願書において行うものとし、また、受理官庁は、手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。

(c) 先の調査が同一の国際調査機関又は国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合には、(a)に規定する写しは、(a)の規定に基づいて提出することを要求されない。

(d) (a)に規定する写しが受理官庁又は国際調査機関が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により当該受理官庁又は国際調査機関が入手可能である場合において、出願人が願書にその旨を記載したときは、写しは、(a)の規定に基づいて提出することを要求されない。

12の2.2 4.12の規定に基づく請求における先の調査に関する書類の提出の国際調査機関による求め

(a) 国際調査機関は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、事情に応じて相当の期間内に、出願人に対し、次のものを提出するよう求めることができる。

(ⅰ) 関係する先の出願の写し

(ⅱ) 先の出願が当該国際調査機関が認めていない言語でされた場合には、当該国際調査機関が認める言語による当該先の出願の翻訳文

(ⅲ) 先の調査の結果が当該国際調査機関が認めていない言語で作成された場合には、当該国際調査機関が認める言語による当該先の調査の結果の翻訳文

(ⅳ)先の調査の結果に列記された文献の写し

(b) 先の調査が同一の国際調査機関若しくは国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合又は(a)に規定する写し若しくは翻訳文が当該国際調査機関が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により若しくは優先権書類の形式で当該国際調査機関が入手可能である場合には、(a)に規定する写し又は翻訳文は、(a)の規定に基づいて提出することを要求されない。

(c) 願書に国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨又は異なる言語で出願されたことを除いて国際出願が先の調査が行われた出願と同一若しくは実質的に同一である旨の陳述が4.12(ⅱ)の規定に基づいて記載された場合には、(a)(ⅰ)及び(ⅱ)に規定する写し又は翻訳文は、これらの規定に基づいて提出することを要求されない。

第十三規則 発明の単一性

13.1 要件

 国際出願は、一の発明又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明についてのみ行う(「発明の単一性の要件」)。

13.2 発明の単一性の要件を満たしていると認められる場合

 一群の発明が同一の国際出願の請求の範囲に記載されている場合には、これらの発明の間に一又は二以上の同一の又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的な関係があるときに限り、13.1に規定する発明の単一性の要件は満たされる。「特別な技術的特徴」とは、請求の範囲に記載された各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴をいう。

13.3 請求の範囲の記載方法により影響されない発明の単一性の判断

 一群の発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関しているかの判断は、これらの発明が別個の請求の範囲に記載されているか単一の請求の範囲に択一的な形式によつて記載されているかを考慮することなく行う。

13.4 従属請求の範囲

 13.1の規定に従うことを条件として、従属請求の範囲の特徴がそれ自体で発明を構成すると認められる場合であつても、独立請求の範囲に記載されている発明の特定の態様について保護を求める相当の数の従属請求の範囲を同一の国際出願に包含させることが許される。

13.5 実用新案

 国際出願に基づき実用新案を与えることを求められている指定国は、国際出願の処理がその指定国において開始された後は、13.1から13.4までに規定する事項につき、これらの規定に代えて実用新案に関する国内法令の規定を適用することができる。ただし、出願人が、出願を当該国内法令の規定に適合させるため、第二十二条に規定する当該期間の満了の後少なくとも二箇月の期間の猶予を与えられることを条件とする。

第十三規則の二 生物材料に係る発明

13の2.1 定義

 この第十三規則の二の規定の適用上、「寄託された生物材料への言及」とは、寄託機関に対する生物材料の寄託又は寄託された当該生物材料に関して国際出願に記載された事項をいう。

13の2.2 言及(総則)

 寄託された生物材料への言及は、この第十三規則の二の規定に従つて行うものとし、その場合には、各指定国の国内法令の要件を満たしているものとみなす。

13の2.3 言及の内容及び言及又は表示が含まれていない場合

(a) 寄託された生物材料への言及には、次の事項を表示する。

(ⅰ) 寄託をした寄託機関の名称及びあて名

(ⅱ) 当該寄託機関に生物材料を寄託した日付

(ⅲ) 当該寄託機関が寄託について付した受託番号

(ⅳ) 13の2.7 (a)(ⅰ)の規定により国際事務局が通知を受けた追加事項。ただし、当該追加事項を表示するとの要件が国際出願のされる時の遅くとも二箇月前までに13の2.7(c)の規定に従つて公報に掲載された場合に限る。

(b) 寄託された生物材料への言及が含まれていないこと又は寄託された生物材料への言及に(a)の規定による表示が含まれていないことは、指定国の国内法令が国内出願に当該言及又は当該表示を要求していない場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

13の2.4 言及における表示の届出の期限

(a) (b)及び(c)の規定が適用される場合を除くほか、出願時における国際出願において13の2.3(a)に掲げる事項の表示のいずれかが寄託された生物材料への言及に含まれていない場合において、

(ⅰ) 優先日から十六箇月以内に国際事務局に届け出られたときは、その表示は、指定官庁について所定の期限までに行われたものとみなす。

(ⅱ) 優先日から十六箇月を経過した後に国際事務局に届け出られたときであつても、その表示が国際公開の技術的準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、その表示は、指定官庁について当該期間の末日に行われたものとみなす。

(b) 指定官庁が適用する国内法令が国内出願について要求している場合には、当該指定官庁は、13の2.3(a)に掲げる事項の表示を優先日から十六箇月よりも早い時に届け出ることを要求することができる。ただし、13の2.7(a)(ⅱ)の規定により国際事務局がその要件の通知を受け、かつ、国際事務局が国際出願のされる時の遅くとも二箇月前までにその要件を13の2.7(c)の規定に従つて公報に掲載した場合に限る。

(c) 指定官庁は、出願人が第二十一条(2)(b)の規定に基づいて早期の国際公開の請求をする場合には、国際公開の技術的準備が完了する前に届け出られていない表示を所定の期限までに行われなかつたものとみなすことができる。

(d) 国際事務局は、(a)の規定により届け出る表示を受理した日付を出願人に通知するとともに、次のことを行う。

(ⅰ) 表示が国際公開の技術的準備が完了する前に受理された場合には、(a)の規定により届け出る表示及び受理の日の表示を国際出願とともに公表すること。

(ⅱ) 表示が国際公開の技術的準備が完了した後に受理された場合には、当該日付及び(a)の規定により届け出る表示に関連のある事項の表示を指定官庁に通知すること。

13の2.5 一又は二以上の指定国のための言及及び表示、異なる指定国のための異なる寄託並びに通知された寄託機関以外の寄託機関に対する寄託

(a) 寄託された生物材料への言及は、指定国のうち一部の国のためにのみ明示的に行われた場合を除くほか、すべての指定国のために行われたものとみなす。言及に含まれる表示についても、同様とする。

(b) 生物材料の異なる寄託への言及は、異なる指定国のために行うことができる。

(c) 指定官庁は、13の2.7(b)の規定に従つて通知された寄託機関以外の寄託機関にされた寄託を無視することができる。

13の2.6 試料の分譲

 国際出願に言及が行われた寄託された生物材料の試料の分譲は、出願人の承諾を得た場合を除くほか、第二十三条及び第四十条の規定に従い、国内処理をそれらの規定により開始することができる当該期間の満了時前は行われない。ただし、出願人が当該期間の満了前であるが国際公開の後に第二十二条又は第三十九条に規定する行為をする場合には、当該行為の後は、寄託された生物材料の試料の分譲を行うことができる。この(b)の規定にかかわらず、指定官庁が適用する国内法令に基づき国際公開が審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開の効果をもつたときは、寄託された生物材料の試料の分譲は、当該国内法令に基づいて行うことができる。

13の2.7 国内要件の通知及び公表

(a) いずれの国内官庁も、国際事務局に次の国内法令の要件を通知することができる。

(ⅰ) 国内出願において13の2.3(a)(ⅰ)から(ⅲ)までに掲げる事項に加え、通知書に明記した事項が寄託された生物材料への言及に含まれることを要求していること。

(ⅱ) 13の2.3(a)に掲げる一又は二以上の事項の表示が出願時における国内出願に含まれること又は当該表示が優先日の後十六箇月よりも早い時で通知書に明記した時に届け出られることを要求していること。

(b) 各国内官庁は、国際事務局に対し、当該国内官庁における特許手続上生物材料の寄託がされると国内法令が認める寄託機関を通知し又は、国内法令が当該寄託について定めていない場合若しくは認めていない場合には、その事実を通知する。

(c) 国際事務局は、(a)の規定に従つて通知された要件及び(b)の規定に従つて通知された情報を速やかに公報に掲載する。

第十三規則の三 ヌクレオチド又はアミノ酸の配列リスト

13の3.1 国際調査機関における手続

(a) 国際調査機関は、国際出願がヌクレオチド又はアミノ酸の配列であって実施細則の規定に従つて配列リストに含まれることを要求されるものの開示を含む場合には、実施細則に定める基準を満たす配列リストが認められた形式、言語及び方法で既に入手可能である場合を除くほか、出願人に対し、国際調査のため、実施細則に定める基準を満たす配列リストを提出することを求めることができ、また、該当する場合には、国際調査機関に対して(c)に定める遅延提出手数料を指定した期間内に支払うよう求めることができる。

(b) [削除]

(c) 国際調査機関は、(a)の規定に基づく求めに応じた配列表の提出には、遅延提出手数料の支払を条件とすることができる。遅延提出手数料の額は国際調査機関が定めるものとし、その額は手数料表一に掲げる国際出願手数料の額(ただし国際出願の用紙が三十枚を超える場合の手数料を考慮に入れない)の二十五パーセントを超えてはならない。

(d) 国際調査機関は、出願人が要求された配列リストを(a)の規定に基づいて指定した期間内に提出せず、また、要求された遅延提出手数料を支払わない場合には、配列リストなしで有意義な調査を行うことができる限度においてのみ、国際出願の調査を行うことを要する。

(e) 出願時における国際出願に含まれていない配列リストは、(a)の規定に基づく求めに応じて又はその他の理由により提出されたか否かを問わず、国際出願の一部を構成しない。ただし、この規定は、出願人が配列リストに関して第三十四条(2)(b)の規定に基づき明細書を補正することを妨げるものではない。

(f) [削除]

13の3.2 国際予備審査機関における手続

 13の3.1の規定は、国際予備審査機関における手続について準用する。

13の3.3 指定官庁のための配列リスト

 指定官庁は、出願人に対し実施細則に定める基準を満たす配列リスト以外の配列リストを提出することを要求してはならない。

第十四規則 送付手数料

14.1 送付手数料

(a) 受理官庁は、出願人に対し、国際出願の受理、国際出願の国際事務局及び管轄国際調査機関への送付並びに受理官庁の資格において国際出願に関して行うべきその他のすべての任務の遂行に係る手数料(「送付手数料」)を支払うことを要求することができる。

(b) 送付手数料の額は、受理官庁が定める。

(c) 送付手数料は、国際出願の受理の日から一箇月以内に支払う。支払額は、当該受理の日に適用される額とする。

第十五規則 国際出願手数料

15.1 国際出願手数料

 各国際出願については、国際事務局のための手数料(「国際出願手数料」)を支払わなければならない。国際出願手数料は受理官庁が徴収する。

15.2 額及び移転

(a) 国際出願手数料の額は、手数料表に掲げるとおりとする。

(b) 国際出願手数料は、受理官庁が定める一の通貨又は二以上の通貨(以下この15.2において「所定の通貨」という。)のうちの一の通貨で支払う。

(c) 所定の通貨がスイス・フランである場合には、受理官庁は、96.2の規定に従つて国際出願手数料をスイス・フランにより国際事務局に移転する。

(d) 所定の通貨がスイス・フラン以外の通貨である場合においては、次の(ⅰ)又は(ⅱ)に規定するとおりとする。

(ⅰ) 所定の通貨がスイス・フランに自由に交換することができるものであるときは、事務局長は、国際出願手数料の支払のための通貨として所定の通貨を定めている各受理官庁ごとに、総会が定めた指針により、所定の通貨による当該手数料の換算額を決定する。受理官庁は、96.2の規定に従つて所定の通貨による当該手数料の換算額を国際事務局に移転する

(ⅱ) 所定の通貨がスイス・フランに自由に交換することができるものでないときは、受理官庁は、国際出願手数料を所定の通貨からスイス・フランに交換する責任を負うものとし、96.2の規定に従い、手数料表に掲げる額の当該手数料をスイス・フランにより国際事務局に移転する。また、受理官庁が希望する場合には、当該受理官庁は、国際出願手数料を所定の通貨からユーロ又は合衆国ドルに交換し、96.2の規定に従い、(ⅰ)に規定する総会が定めた指針により事務局長が決定する当該手数料の換算額をユーロ又は合衆国ドルにより国際事務局に移転することができる。

15.3 支払期間及び支払額

 国際出願手数料は国際出願の受理の日から一箇月以内に受理官庁に支払う。支払額は、当該受理の日に適用される額とする。

15.4 払戻し

 受理官庁は、次の場合には、国際出願手数料を出願人に払い戻す。

(ⅰ) 第十一条(1)の規定に基づく決定が否定的である場合

(ⅱ) 国際事務局へ記録原本を送付する前に、国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされた場合

(ⅲ) 国の安全に関する規定により、国際出願が国際出願として取り扱われない場合

第十六規則 調査手数料

16.1 手数料を要求する権利

(a) 各国際調査機関は、出願人に対し、国際調査の実施並びに条約及びこの規則によつて国際調査機関に与えられたその他のすべての任務の遂行に係る手数料(「調査手数料」)を支払うことを要求することができる。

(b) 調査手数料は、受理官庁が徴収する。調査手数料は、受理官庁が定める通貨(以下この16.1において「所定の通貨」という。)で支払う。

(c) 所定の通貨が国際調査機関が調査手数料を決定するに当たり用いた通貨(以下この16.1において「決定通貨」という。)である場合には、受理官庁は、96.2の規定に従つて調査手数料を所定の通貨で当該国際調査機関に移転する。

(d) 所定の通貨が決定通貨以外の通貨である場合においては、次の(ⅰ)又は(ⅱ)に規定するとおりとする。

(ⅰ) 所定の通貨が決定通貨に自由に交換することができるものであるときは、事務局長は、調査手数料の支払のための通貨として所定の通貨を定めている各受理官庁ごとに、総会が定めた指針により、所定の通貨による当該手数料の換算額を決定する。受理官庁は、96.2の規定に従つて所定の通貨による当該手数料の換算額を国際調査機関に移転する。

(ⅱ) 所定の通貨が決定通貨に自由に交換することができるものでないときは、受理官庁は、調査手数料を所定の通貨から決定通貨に交換する責任を負うものとし、96.2の規定に従い、国際調査機関が定める額の当該手数料を決定通貨により当該国際調査機関に移転する。

(e) 決定通貨以外の所定の通貨による調査手数料の支払に関し、国際調査機関が16.1(d)(ⅰ)の規定に基づき所定の通貨で現実に受領する額が、決定通貨に交換された場合において当該国際調査機関が決定した額より少ないときは、その差額は、国際事務局によつて当該国際調査機関に支払われるものとし、また、その現実に受領する額が多い場合には、その差額は、国際事務局に帰属する。

(f)調査手数料の支払期間及び支払額については、国際出願手数料に関する15.3の規定を準用する。

16.2 払戻し

 受理官庁は、次の場合には、調査手数料を出願人に払い戻す。

(ⅰ) 第十一条(1)の規定に基づく決定が否定的である場合

(ⅱ) 国際調査機関へ調査用写しを送付する前に、国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされた場合

(ⅲ) 国の安全に関する規定により、国際出願が国際出願として取り扱われない場合

16.3 部分的な払戻し

 国際調査機関が国際調査を行うに当たり41.1の規定に従つて先の調査の結果を考慮する場合には、当該国際調査機関は、国際出願について支払われた調査手数料を第十六条(3)(b)に規定する取決めで定める範囲において及び条件に従つて払い戻す。

第十六規則の二 手数料の支払期間の延長

16の2.1 受理官庁による求め

(a) 受理官庁は、14.1(c)、15.3及び16.1(f)の規定に基づく支払時期までに手数料が当該受理官庁に支払われていないと認めた場合又は当該受理官庁に支払われた額が送付手数料、国際出願手数料及び調査手数料に不足すると認めた場合には、(d)の規定が適用される場合を除くほか、これらの手数料を賄うために必要な額及び、該当するときは、16の2.2の規定に基づく後払手数料を求めの日から一箇月以内に支払うよう出願人に求める。

(b) 削除

(c) 受理官庁は、(a)の規定に基づく求めを出願人に送付し、かつ、当該出願人が(a)に規定する期間内に支払うべき額(該当する場合には、16の2.2の規定に基づく後払手数料を含む。)を完全に支払わなかつた場合には、

(e)の規定が適用される場合を除くほか、次の措置をとる。

(ⅰ) 第十四条(3)の規定に基づく宣言をすること。

(ⅱ) 第二十九規則に定めるところにより手続をとること。

(d) 受理官庁が(a)の規定に基づく求めを送付する前に受領した支払は、14.1(c)、15.3、16.1

(f)に規定する期間の満了前に受領したものとみなす。

(e) 受理官庁が第十四条(3)に規定する宣言を行う前に受領した支払は、(a)に規定する期間の満了前に受領したものとみなす。

16の2.2 後払手数料

(a) 受理官庁は、16の2.1(a)の規定に基づく求めに応じた手数料の支払には、後払手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。その額は、次のとおりとする。

(ⅰ) 求めにおいて特定された未払の手数料の額の五十パーセント

(ⅱ) (ⅰ)の規定に基づき計算された額が送付手数料より少ない場合には、送付手数料に等しい額

(b) 後払手数料の額は手数料表一に掲げる国際出願手数料の額(ただし国際出願の用紙が三十枚を超える場合の手数料を考慮に入れない)の五十パーセントを超えてはならない。

第十七規則 優先権書類

17.1 先の国内出願又は国際出願の謄本を提出する義務

(a) 第八条の規定により先の国内出願又は国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該先の国内出願又は国際出願を受理した当局が認証したその出願の謄本(「優先権書類」)は、既に優先権書類が優先権を主張する国際出願とともに受理官庁に提出されている場合並びに(b)及び(bの2)の規定に従う場合を除くほか、優先日から十六箇月以内に出願人が国際事務局又は受理官庁に提出する。ただし、当該期間の満了後に国際事務局が受理した当該先の出願の写しは、その写しが国際出願の国際公開の日前に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。

(b) 優先権書類が受理官庁により発行される場合には、出願人は、優先権書類の提出に代えて、受理官庁に対し、優先権書類を、作成し及び国際事務局に送付するよう請求することができる。その請求は、優先日から十六箇月以内にするものとし、また、受理官庁は、手数料の支払を条件とすることができる。

(bの2) 国際事務局が優先権書類を実施細則に定めるところにより国際出願の国際公開の日前に電子図書館から入手可能である場合には、出願人は、優先権書類の提出に代えて、国際事務局に対し、国際公開の日前に、当該優先権書類を当該電子図書館から入手するよう請求することができる。

(c) (a)、(b)及び(bの2)の要件のいずれも満たされない場合には、指定官庁は、(d)の規定に従うことを条件として、優先権の主張を無視することができる。ただし、指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に出願人に優先権書類を提出する機会を与えた後でなければ、優先権の主張を無視することはできない。

(d) 指定官庁は、(a)に規定する先の出願が国内官庁としての当該指定官庁に出願されている場合又は当該指定官庁が実施細則に定めるところにより優先権書類を電子図書館から入手可能な場合は、(c)の規定により優先権の主張を無視することはできない。

17.2 写しの入手の可能性

(a) 出願人が17.1(a)、又は(b)又は(bの2)の要件を満たす場合には、国際事務局は、指定官庁の明示の要請に応じて、国際出願の国際公開の後速やかに、優先権書類の写しを当該指定官庁に提供する。指定官庁は、出願人に対しては優先権書類の写しの提出を要求しない。出願人は、翻訳文を第二十二条に規定する当該期間の満了前に指定官庁に提出することを要求されることはない。出願人が国際出願の国際公開前に指定官庁に対し第二十三条(2)の規定に基づく明示の請求を行った場合には、国際事務局は、指定官庁の明示の要請に応じて、優先権書類の写しの受理後速やかに当該写しを当該指定官庁に提供する。

(b) 国際事務局は、国際出願の国際公開前に優先権書類の写しを公衆の利用に供しない。

(c) 国際事務局は、国際出願が第二十一条の規定に基づき公開された場合には、請求により、費用の支払を条件として、いかなる者に対しても優先権書類の写しを提供する。ただし、次の場合を除く。

(ⅰ) 当該国際出願が公開前に取り下げられた場合

(ⅱ) 関連のある優先権の主張が公開前に取り下げられた場合又は26の2.2(b)の規定に基づきなかつたものとみなされた場合

第十八規則 出願人

18.1 住所及び国籍

(a) 出願人が自ら居住者又は国民であると主張する締約国の居住者又は国民であるかどうかの問題は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、当該締約国の国内法令によるものとし、受理官庁が決定する。

(b) いかなる場合にも、

(ⅰ) 締約国において現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有することは、当該締約国において住所を有するものとみなす。

(ⅱ) 締約国の国内法令に従つて設立された法人は、当該締約国の国民とみなす。

(c) 国際出願が受理官庁としての国際事務局にされた場合には、国際事務局は、実施細則に定めるところにより、関係締約国の国内官庁又はその関係締約国のために行動する国内官庁に対し、(a)の問題について決定を行うよう要請する。国際事務局は、出願人にその要請について通知する。出願人は、当該国内官庁に対して直接論拠を提出する機会を有する。当該国内官庁は、その問題について速やかに決定を行う。

18.2 削除

18.3 二人以上の出願人

 二人以上の出願人がある場合において、出願人のうち少なくとも一人が第九条の規定に基づき国際出願をする資格を有するときは、国際出願をすることができる。

18.4 出願人についての国内法令に規定する要件に関する情報

(a)及び(b) 削除

(c) 国際事務局は、国内出願をする資格を有する者(発明者、発明者の承継人、発明の所有者その他の者)に関する各国の国内法令に関する情報を随時公表するものとし、指定国における国際出願の効果が、その指定国につき出願人として表示されている者がその指定国の国内法令に基づき国内出願をする資格を有する者であるかどうかによつて影響されることがある旨の警告を当該情報に付記する。

第十九規則 管轄受理官庁

19.1 出願先

(a) 国際出願は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、出願人の選択により、次のいずれかに対して行う。

(ⅰ) 出願人がその居住者である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁

(ⅱ) 出願人がその国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁

(ⅲ) 国際事務局(出願人がその居住者又は国民である締約国のいかんを問わない。)

(b) 締約国は、他の締約国又は政府間機関との間で、当該他の締約国の国内官庁又は政府間機関が自国の国内官庁に代わつて自国の居住者又は国民である出願人のための受理官庁として全部又は一部の目的のために行動することについて合意することができる。その合意にかかわらず、当該締約国の国内官庁は、第十五条(5)の規定の適用上、権限のある受理官庁とみなす。

(c) 総会は、第九条(2)の規定に基づいて行つた決定に関連して、その特定した国の居住者又は国民の出願のための受理官庁として行動する国内官庁又は政府間機関を選定する。その選定には、当該国内官庁又は政府間機関の事前の同意を必要とする。

19.2 二人以上の出願人

 二人以上の出願人がある場合において、

(ⅰ) 国際出願がされた国内官庁が出願人のうちの少なくとも一人がその居住者若しくは国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁であるときは、19.1に規定する要件は満たされたものとみなす。

(ⅱ) 出願人のうちの少なくとも一人が締約国の居住者又は国民であるときは、国際出願は、19.1(a)

(ⅲ)の規定に基づき国際事務局に対して行うことができる。

19.3 受理官庁の任務を委任した事実の公表

(a) 19.1(b)に規定する合意は、他の締約国の国内官庁若しくは当該他の締約国のために行動する国内官庁又は政府間機関に受理官庁の任務を委任した締約国が国際事務局に速やかに通知する。

(b) 国際事務局は、(a)の通知の受領の後速やかにその通知を公報に掲載する。

19.4 受理官庁としての国際事務局への送付

(a) 国際出願が条約に基づいて受理官庁として行動する国内官庁にされた場合において、次のときは、その国際出願は、

(b)の規定に従うことを条件として、19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局に代わつて当該国内官庁が受理したものとみなす。

(ⅰ) 当該国内官庁が19.1又は19.2の規定に従いその国際出願の受理を管轄しないとき。

(ⅱ) その国際出願が、12.1(a)の規定に基づき当該国内官庁が認める言語ではない又は明細書の配列リストの部分に記載されている言語依存フリーテキストが12.1(d)の規定に基づき当該国内官庁が認める言語ではないが、12.1(a)又は(d)の規定に基づき受理官庁としての国際事務局が認める言語で行われたとき。

(ⅱの2)国際出願の全部又は一部が、当該国内官庁が認めていない電子形式によつて行われたとき。

(ⅲ) 当該国内官庁及び国際事務局が、(ⅰ)、(ⅱ)及び(ⅱの2)の規定に従つて明記された理由以外の理由により、出願人の承諾を得て、この第十九規則に規定する手続を適用することを合意したとき。

(b) 国内官庁は、19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局に代わり、(a)の規定に従つて国際出願を受理する場合には、その国際出願を、国の安全に関する規定によつて送付することが妨げられない限り、国際事務局に速やかに送付する。当該国内官庁は、その送付について、第十四規則の規定に基づいて課する送付手数料に等しい手数料を課することができる。送付された国際出願は、当該国内官庁がその国際出願の受理の日に19.1(a)(ⅲ)の規定に基づいて受理官庁としての国際事務局が受理したものとみなす。

(c) 14.1(c)、15.3及び16.1(f)の規定の適用上、(b)の規定に基づき国際出願が国際事務局に送付された場合には、国際出願の受理の日は、国際事務局が実際に受理した日とみなす。この(c)の規定の適用上、(b)の末文の規定は適用しない。

第二十規則 国際出願日

20.1 第十一条の規定に基づく決定

(a) 受理官庁は、国際出願として提出される書類を受理した後速やかにその書類が第十一条(1)に掲げる要件を満たしているかどうかを決定する。

(b) 出願人の氏名若しくは名称が誤つて綴られている場合、そのすべての名が記載されていない場合又は法人にあつてはその名称の記載が略称で若しくは不完全に行われている場合であつても、出願人の氏名又は名称の記載は、当該出願人の同一性を確認することができるように行われているときは、第十一条(1)(ⅲ)(c)の規定の適用上、十分なものとする。

(c) 明細書であると認められる部分(明細書の配列リストの部分を除く。)及び請求の範囲であると認められる部分が12.1(a)の規定により受理官庁が認める言語で作成されている場合には、第十一条(1)(ⅱ)の規定の適用上、十分なものとする。

(d) (c)の規定が千九百九十七年十月一日において受理官庁の適用する国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を千九百九十七年十二月三十一日までに国際事務局に通告することを条件として、同規定は、当該国内法令に引き続き適合しない間、当該受理官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。2

20.2 第十一条の規定に基づく肯定的な決定

(a) 受理官庁は、国際出願として提出される書類を受理する時に、第十一条(1)に掲げる要件が満たされていると決定した場合には、当該国際出願を受理した日を国際出願日として認める。

(b) 受理官庁は、国際出願日を認めた国際出願の願書に、実施細則に定める押印をする。願書に当該押印をした一通を、国際出願の記録原本とする。

(c) 受理官庁は、出願人に国際出願番号及び国際出願日を速やかに通知すると同時に、国際事務局に対し、出願人に送付した通知の写しを送付する。ただし、22.1(a)の規定に従い、受理官庁が国際事務局に記録原本を既に送付している場合又は出願人への通知と同時に国際事務局に記録原本を送付する場合は、この限りでない。

20.3 第十一条の規定に基づく欠陥

(a) 受理官庁は、国際出願として提出される書類が第十一条(1)に掲げる要件を満たしているかどうかを決定するに当たつて、第十一条(1)に掲げる要件を満たしていない、又は満たしていると思われないと認めた場合には、当該受理官庁は、出願人の選択により、出願人に対し次のいずれかのことを求める。

(ⅰ) 第十一条(2)の規定に基づき必要とされる補充書を提出すること。

(ⅱ) 当該要件が第十一条(1)(ⅲ)(d)又は(e)に規定する要素に関するものである場合には、当該要素を4.18の規定に基づく引用により含めることを20.6(a)の規定に従つて確認すること。また、意見がある場合には、20.7の規定に基づく当該期間内に意見を述べることを求める。受理官庁は、優先権の主張の基礎となる出願の日から十二箇月を経過した後に当該期間が満了する場合には、これにつき出願人の注意を喚起する。

(b) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、

(ⅰ) 出願人が、受理官庁が国際出願として提出されたものを受理した日の後であるが20.7に規定する当該期間内である一層遅い日に、第十一条(2)の規定に基づき必要とされる補充書を受理官庁に提出する場合には、受理官庁は、その一層遅い日を国際出願日として認め、また20.2(b)及び(c)に規定するところによつて処理する。

(ⅱ) 第十一条(1)(ⅲ)(d)又は(e)に規定する要素が、20.6(b)の規定に基づき、第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に当該国際出願に記載されているものとみなされた場合には、受理官庁は、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日を国際出願日として認め、20.2(b)及び(c)に定めるところによつて処理する。

(c) 受理官庁は、第十一条(1)に掲げる要件が書類の受理の時に満たされていたにも関わらず(a)の規定に基づく求めを誤つて発出したことを後に発見し又は出願人の応答に基づいて知つた場合には、20.2に規定するところによつて処理する。

20.4 第十一条の規定に基づく否定的な決定

 受理官庁は、20.7に規定する当該期間内に20.3(a)に規定する補充書若しくは確認書を受領しなかつた場合又は補充書若しくは確認書を受領したが、当該出願について、なお第十一条(1)に掲げる要件が満たされていない場合には、次の措置をとる。

(ⅰ) 出願人に対し、その出願が国際出願として取り扱われないことを理由を示して速やかに通知する。

(ⅱ) 国際事務局に対し、当該書類の番号が国際出願番号として用いられないことを通知する。

(ⅲ) 国際出願として提出されたものを構成する書類及びそれに関連するすべての通信文を93.1に定めるところによつて保存する。

(ⅳ) 第二十五条(1)にいう出願人の請求により国際事務局が(ⅲ)の書類の写しを必要とし、かつ、特に要求する場合には、その写しを国際事務局に送付する。

20.5 欠落部分

(a) 受理官庁は、国際出願として提出される書類が第十一条(1)に掲げる要件を満たしているかどうかを決定するに当たつて、明細書、請求の範囲、又は図面の部分が欠落している若しくは欠落していると思われると認める場合(すべての図面が欠落している若しくは欠落していると認められる場合を含むが、第十一条(1)(ⅲ)(d)又は(e)に規定する要素の全体が欠落している若しくは欠落していると認められる場合及び20.5の2(a)に規定する場合を除く。以下「欠落部分」という。)には、出願人の選択により、速やかに出願人に対し次のいずれかのことを求める。

(ⅰ) 欠落部分を提出することにより、国際出願として提出されたものを完成すること。

(ⅱ) 4.18の規定に基づき当該部分を引用により含めることを20.6(a)の規定に従つて確認すること。また、意見がある場合には、20.7に規定する当該期間内に意見を述べることを求める。受理官庁は、優先権の主張の基礎となる出願の日から十二箇月を経過した後に当該期間が満了する場合には、これにつき出願人の注意を喚起する。

(b) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、出願人が、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日又は満たす日の前であるが20.7に規定する当該期間内に、国際出願として提出されたものを完成するために(a)に規定する欠落部分を当該受理官庁に提出した場合には、当該部分は国際出願に含まれるものとし、受理官庁は、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日を国際出願日として認め、20.2(b)及び(c)に定めるところによつて処理する。

(c) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、出願人が、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日の後であるが20.7に規定する当該期間内に、国際出願を完成するために(a)に規定する欠落部分を当該受理官庁に提出した場合には、当該部分は国際出願に含まれるものとし、受理官庁は、国際出願日を当該受理官庁が当該部分を受理した日に訂正し、当該出願人にその旨を通知し、実施細則に定めるところによつて処理する。

(d) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、(a)に規定する部分が、20.6(b)の規定に基づき、第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に国際出願として提出されたものに記載されているとみなす場合には、当該受理官庁は、第十一条(1)に掲げる要件のすべてが満たされた日を国際出願日として認め、20.2(b)及び(c)に定めるところによつて処理する。

(e) (c)の規定に基づき国際出願日が訂正された場合には、出願人は、(c)の規定に基づく通知の日から一箇月以内に受理官庁に提出する書面において、当該欠落部分を無視することを請求することができる。この場合には、当該欠落部分は提出されなかつたものとみなされるとともに、当該規定に基づく国際出願日の訂正はなされなかつたものとみなされ、受理官庁は、実施細則に定めるところによつて処理する。

20.5の2 誤つて提出された要素及び部分

(a) 受理官庁は、国際出願として提出される書類が第十一条(1)に掲げる要件を満たしているかどうかを決定するに当たり、第十一条(1)(ⅲ)(d)若しくは(e)に規定する要素の全体が誤つて提出された若しくは提出されたと認められる場合、又は明細書、請求の範囲、若しくは図面の部分が誤つて提出された若しくは提出されたと認められる場合(すべての図面が誤つて提出された又は誤つて提出されたと認められる場合を含む。以下「誤つて提出された要素又は部分」という。)には、出願人の選択により、速やかに出願人に対して次のいずれかのことを求める。

(ⅰ) 正しい要素又は部分を提出することにより、国際出願として提出されたものを補充すること。

(ⅱ) 4.18の規定に基づき当該正しい要素又は部分を引用により含めることを20.6(a)の規定に従つて確認すること。また、意見がある場合には、20.7に規定する当該期間内に意見を述べることを求める。受理官庁は、優先権の主張の基礎となる出願の日から十二箇月を経過した後に当該期間が満了する場合には、これにつき出願人の注意を喚起する。

(b) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、出願人が、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日又は満たす日の前であるが20.7に規定する当該期間内に、国際出願として提出されたものを補充するために正しい要素又は部分を当該受理官庁に提出した場合には、当該正しい要素又は部分は国際出願に含まれるものとし、誤つて提出された要素又は部分は国際出願から削除されるものとし、受理官庁は、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日を国際出願日として認め、20.2(b)及び(c)並びに実施細則に定めるところによつて処理する。

(c) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、出願人が、第十一条(1)に掲げる要件のすべてを満たした日の後であるが20.7に規定する当該期間内に、国際出願を補充するために正しい要素又は部分を当該受理官庁に提出した場合には、当該正しい要素又は部分は国際出願に含まれるものとし、誤つて提出された要素又は部分は国際出願から削除されるものとし、受理官庁は、国際出願日を当該受理官庁が当該正しい要素又は部分を受理した日に訂正し、当該出願人にその旨を通知し、実施細則に定めるところによつて処理する。

(d) (a)の規定に基づく求め又はその他の理由による結果、正しい要素又は部分が、20.6(b)の規定に基づき、第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に国際出願として提出されたものに記載されているとみなす場合には、誤つて提出された要素又は部分は国際出願に残るものとし、当該受理官庁は、第十一条(1)に掲げる要件のすべてが満たされた日を国際出願日として認め、20.2(b)及び(c)並びに実施細則に定めるところによつて処理する。

(e) (c)の規定に基づき国際出願日が訂正された場合には、出願人は、(c)の規定に基づく通知の日から一箇月以内に受理官庁に提出する書面において、当該正しい要素又は部分を無視することを請求することができる。この場合には、当該正しい要素又は部分は提出されなかつたもの、当該誤つて提出された要素又は部分は削除されなかつたもの及び当該規定に基づく国際出願日の訂正はなされなかつたものとみなされ、受理官庁は、実施細則に定めるところによつて処理する。

20.6 要素及び部分の引用により含めることの確認

(a) 出願人は、受理官庁に、4.18の規定に基づき要素又は部分を当該国際出願に引用により含めることを確認する書面の通知を20.7に規定する当該期間内に、次のものとともに提出することができる。

(ⅰ) 先の出願に記載されている要素の全体又は当該部分を含む一又は二以上の用紙

(ⅱ) 出願人が、優先権書類に関して17.1(a)、(b)又は(bの2)の規定に従つていない場合には、提出された先の出願の写し

(ⅲ) 先の出願が、当該国際出願がされた言語ではない場合には、当該国際出願の言語による先の出願の翻訳文、また12.3(a)又は12.4(a)の規定に基づき当該国際出願の翻訳が要求されている場合には、当該国際出願がされた言語による先の出願の翻訳文及び、当該翻訳文の言語への翻訳文

(ⅳ) 明細書、請求の範囲又は図面の部分の場合には、先の出願のどこに当該部分が記載されているかに関する表示及び(ⅲ)に規定する翻訳文(該当する場合)

(b) 受理官庁が、4.18及び(a)に掲げる要件に従つていること並びに(a)に規定する当該要素又は部分が先の出願に完全に記載されていることを認めた場合には、当該要素又は部分は、第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に、国際出願として提出されたものに記載されていたものとみなす。

(c) 受理官庁が、4.18若しくは(a)の規定に基づく要件に従つていないこと又は(a)に規定する当該要素若しくは部分が先の出願に完全には記載されていないことを認めた場合には、当該受理官庁は、20.3(b)(ⅰ)、20.5(b)、20.5(c)、20.5の2(b)又は20.5の2(c)に定めるところによつて処理する。

20.7 期間

(a) 20.3(a)及び(b)、20.4、20.5(a)、(b)及び(c)、20.5の2(a)、(b)及び(c)、並びに20.6(a)に規定する期間は、次のとおりとする。

(ⅰ) 20.3(a)、20.5(a)又は20.5の2(a)の規定に基づく求めを出願人に発出している場合には、その求めの日から二箇月

(ⅱ) 当該求めを出願人に発出していない場合には、第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日から二箇月

(b) 第十一条(2)の規定に基づく補充又は20.6(a)の規定に基づく通知であつて第十一条(1)(ⅲ)(d)若しくは(e)に規定する要素を引用により含めることを確認するもののいずれも(a)の規定に基づく期間の満了前に受理官庁が受理していない場合において、当該期間の満了後であるが、当該受理官庁が20.4(ⅰ)の規定に基づく書面を当該出願人へ送付する前に受理官庁が受理した当該補充又は通知は、当該期間内に受理されたものとみなす。

20.8 国内法令との不適合

(a) 二千五年十月五日において20.3(a)(ⅱ)及び(b)(ⅱ)、20.5(a)(ⅱ)及び(d)、並びに20.6の規定が受理官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、その国内法令に適合しない間、当該受理官庁に提出された国際出願については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。3

(aの2) 二千十九年十月九日において20.5の2(a)(ⅱ)及び(d)の規定が受理官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を二千二十年四月九日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、その国内法令に適合しない間、当該受理官庁に提出された国際出願については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

(aの3) 20.8(a)又は(aの2)の適用上、4.18及び20.6の規定に基づき要素又は部分が引用により当該国際出願に含まれない場合には、受理官庁は、20.3(b)(ⅰ)、20.5(b)、20.5(c)、20.5の2(b)又は20.5の2(c)の定めるところによつて処理する。受理官庁が20.5(c)又は20.5の2(c)の定めるところによつて処理する場合には、出願人は20.5(e)又は20.5の2(e)の定めるところによつて処理することができる。

(b) 二千五年十月五日において20.3(a)(ⅱ)及び(b)(ⅱ)、20.5(a)(ⅱ)及び(d)、並びに20.6の規定が指定官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、その国内法令に適合しない間、当該指定官庁については、第二十二条に規定する行為が当該指定官庁に対して行われた国際出願に関して、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。3

(bの2) 二千十九年十月九日において20.5の2(a)(ⅱ)及び(d)の規定が指定官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千二十年四月九日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、その国内法令に適合しない間、当該指定官庁については、第二十二条に規定する行為が当該指定官庁に対して行われた国際出願に関して、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

(c) 20.6(b)の規定に基づき受理官庁の発見により要素又は部分を引用により当該国際出願に含めたが、当該引用により当該国際出願に含めることが、20.8の(b)又は(bの2)の適用上、指定官庁での手続上適用されない場合には、当該指定官庁は、20.3(b)(ⅰ)、20.5(b)若しくは20.5の2(b)の規定に基づき国際出願日を認めたものとして、又は20.5(c)若しくは20.5の2(c)の規定に基づき国際出願日を訂正したものとして当該出願を取り扱うことができる。ただし、82の3.1(c)及び(d)を準用する。

第二十一規則 写しの作成

21.1 受理官庁の責任

(a) 国際出願について一通を提出することが要求されている場合には、受理官庁は、第十二条(1)の規定によつて必要とされる受理官庁用写し及び調査用写しを作成する責任を負う。

(b) 国際出願について二通を提出することが要求されている場合には、受理官庁は、受理官庁用写しを作成する責任を負う。

(c) 国際出願について11.1(b)の規定によつて必要とされる部数よりも少ない部数が提出された場合には、受理官庁は、必要な部数を速やかに作成する責任を負うものとし、当該任務を遂行するための手数料を定め、かつ、その手数料を出願人から徴収する権限を有する。

21.2 出願人のための認証謄本

 受理官庁は、手数料の支払を条件として、出願時における国際出願及びそれに係る補充書の認証謄本を出願人に対し請求に応じて交付する。

第二十二規則 記録原本及び翻訳文の送付

22.1 手続

(a) 第十一条(1)の規定に基づく決定が肯定的である場合には、国際出願を国際出願として取り扱うことが国の安全に関する規定によつて妨げられない限り、受理官庁は、国際事務局に記録原本を送付する。その送付は、国際出願の受理の後速やかに又は、国の安全を保持するための点検が行われなければならない場合には、必要な手続を経た後できる限り速やかに行う。受理官庁は、いかなる場合にも、優先日から十三箇月を経過する時までに国際事務局に到達するように記録原本を送付する。受理官庁は、その送付を郵便で行う場合には、優先日から十三箇月を経過する時の五日前までに記録原本を発送する。

(b) 国際事務局は、20.2(c)の通知の写しを受理しているが、優先日から十三箇月を経過する時までに記録原本を受け取つていない場合には、受理官庁に対し、国際事務局に記録原本を速やかに送付するよう注意を喚起する。

(c) 国際事務局は、20.2(c)の通知の写しを受理しているが、優先日から十四箇月を経過する時までに記録原本を受け取つていない場合には、出願人及び受理官庁にその旨を通知する。

(d) 出願人は、優先日から十四箇月を経過した後は、受理官庁に対し、その国際出願の写しが出願時における国際出願と同一であることの認証を請求できるものとし、また、その認証された謄本を国際事務局に送付することができる。

(e) (d)の認証は、無料とするものとし、また、次のいずれかの理由のみにより拒否することができる。

(ⅰ) 受理官庁が認証することを請求された写しが、出願時における国際出願と同一でないこと。

(ⅱ) 国際出願を国際出願として扱うことが国の安全に関する規定によつて妨げられること。

(ⅲ) 受理官庁が国際事務局に記録原本を既に送付し、かつ、国際事務局が当該受理官庁に対し、記録原本を受理した旨を通知してあること。

(f) 国際事務局が記録原本を受理していない場合又は記録原本を受理するまでの間は、(e)の規定に従つて、認証され、かつ、国際事務局が受理した謄本を記録原本とみなす。

(g) 第二十二条に規定する期間が満了する時までに、出願人が同条に規定する行為を行つたにもかかわらず、国際事務局が指定官庁に対し記録原本の受理について通報していない場合には、当該指定官庁は、国際事務局に通報する。国際事務局は、記録原本を受け取つていない場合には、(c)の規定により既に通知している場合を除くほか、出願人及び受理官庁にその旨を速やかに通知する。

(h) 国際出願が12.3又は12.4の規定に基づき提出された当該国際出願の翻訳文の言語で国際公開される場合には、当該翻訳文は、受理官庁により、(a)の記録原本とともに、又は(a)の規定に基づき受理官庁が既に記録原本を国際事務局に送付しているときは翻訳文の受理の後速やかに、国際事務局に送付される。

22.2 削除

22.3 第十二条(3)に規定する期間

 第十二条(3)に規定する期間は、22.1(c)又は(g)の規定に従つて国際事務局が出願人に通知した日から三箇月とする。

第二十三規則 調査用写し、翻訳文及び配列リストの送付

23.1 手続

(a) 12.3(a)の規定に基づく国際出願の翻訳文が要求されていない場合には、調査用写しは、調査手数料が支払われていない場合を除くほか、遅くとも記録原本が国際事務局に送付される日と同じ日に受理官庁が国際調査機関に送付する。調査手数料が支払われていない場合には、調査手数料の支払いの後、速やかに調査用写しを送付する。

(b) 12.3の規定に基づき国際出願の翻訳文が提出された場合には、第十二条(1)の調査用写しとみなされる当該翻訳文の写し及び願書の写しは、調査手数料が支払われていない場合を除くほか、受理官庁が国際調査機関に送付する。調査手数料が支払われていない場合には、調査手数料の支払の後、速やかに当該翻訳文の写し及び願書の写しを送付する。

(c) 第十三規則の三の規定の適用上提出された電子形式による配列リストであって、国際調査機関に代えて受理官庁に提出されたものは、当該受理官庁が国際調査機関に速やかに送付する。

第二十三規則の二 先の調査又は先の分類に関する書類の送付

23の2.1 4.12の規定に基づく請求における先の調査に関する書類の送付

(a) 受理官庁は、調査用写しとともに、出願人が4.12の規定に基づく請求を行つた先の調査に関する12の2.1(a)に規定する写しを、国際調査機関に送付する。ただし、当該写しが次のいずれかの条件を満たすものとする。

(ⅰ) 出願人によつて国際出願とともに受理官庁に提出されたこと。

(ⅱ) 受理官庁が作成し、当該国際調査機関に送付するよう出願人によつて請求されたこと。

(ⅲ) 12の2.1(d)の規定に従い、受理官庁が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により当該受理官庁が入手可能であること。

(b) 12の2.1(a)に規定する先の調査の結果の写しに、受理官庁が付与した先の分類の結果の写しが含まれていない場合には、当該受理官庁は、既に入手可能なときは、調査用写しとともに先の分類の結果の写しも国際調査機関に送付する。

23の2.2 41.2の規定の適用のための先の調査又は先の分類に関する書類の送付

(a) 41.2の規定の適用上、国際出願が受理官庁として行動する官庁と同一の官庁に提出された一又は二以上の先の出願に基づく優先権の主張を伴い、及び当該官庁が当該先の出願について先の調査を行つた場合又は当該先の出願を分類した場合には、受理官庁は、第三十条(3)の規定によつて適用する同条(2)(a)、並びに(b)、(d)及び(e)の規定に従うことを条件として、当該官庁が入手可能な形式で(例えば、調査報告、列記された先行技術の一覧表又は審査報告の形式で)調査用写しとともに当該先の調査の結果の写し及び、既に入手可能なときは、当該官庁が付与したその先の分類の結果の写しを国際調査機関に送付する。当該受理官庁は、第三十条(3)の規定によつて適用する同条(2)(a)の規定に従うことを条件として、当該国際調査機関にとつて国際調査を行うために有用であると認める当該先の調査に関するその他の書類を、当該国際調査機関に送付することもできる。

(b) (a)の規定にかかわらず、受理官庁は、二千十六年四月十四日までに、国際出願とともに提出された出願人の請求により、国際調査機関に先の調査の結果を送付しないことを決定することができる旨を国際事務局に通知することができる。国際事務局は、この(b)の規定に基づく通知を公報に掲載する。

(c) 受理官庁の選択により、国際出願が受理官庁として行動する官庁と異なる官庁に提出された一又は二以上の先の出願に基づく優先権の主張を伴い、及び当該官庁が当該先の出願について先の調査を行つた場合又は当該先の出願を分類した場合並びに当該先の調査又はその分類の結果が、当該受理官庁が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により当該受理官庁が入手可能である場合には、(a)の規定を準用する。

(d) 先の調査が同一の国際調査機関若しくは国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて行われた場合又は先の調査若しくは先の分類の結果の写しが当該国際調査機関が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により当該国際調査機関が入手可能であることを受理官庁が認識している場合には、(a)及び(c)の規定は、適用しない。

(e) 二千十五年十月十四日において、(a)に規定する写しの出願人の承諾を得ない送付又は(a)に規定するような特定の形式の写しの出願人の承諾を得ない送付が受理官庁の適用する国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を二千十六年四月十四日までに国際事務局に通告することを条件として、(a)の規定は、そのような出願人の承諾を得ない送付が国内法令に引き続き適合しない間、当該受理官庁に提出された国際出願に関し、当該写しの送付又は当該特定の形式の写しの送付については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。5

第二十四規則 国際事務局による記録原本の受理

24.1 削除

24.2 記録原本の受理の通知

(a) 国際事務局は、記録原本の受理の事実及び日付を次の者に速やかに通知する。

(ⅰ) 出願人

(ⅱ) 受理官庁

(ⅲ) 国際調査機関(通知を受けることを希望しない旨を国際事務局に通知していない場合に限る。)その通知には、国際出願番号、国際出願日及び出願人の氏名又は名称を記載することによつて国際出願を特定し並びに、優先権の主張の基礎となる先の出願がある場合には、その出願の日を表示する。出願人に送付する通知には、指定官庁及び広域特許の付与の責任を有する指定官庁の場合には、その広域特許のために指定される締約国の一覧表も含める。

(b) 削除

(c) 国際事務局は、22.3に定める期間の満了の後に記録原本を受領した場合には、出願人、受理官庁及び国際調査機関にその旨を速やかに通知する。

第二十五規則 国際調査機関による調査用写しの受領

25.1 調査用写しの受領の通知

 国際調査機関は、国際事務局、出願人及び、国際調査機関が受理官庁と同一でない限り、受理官庁に対し、調査用写しの受領の事実及び日付を速やかに通知する。

第二十六規則 国際出願の要素の受理官庁による点検及び受理官庁に提出する補充

26.1 第十四条(1)(b)の規定に基づく補充の求め

 受理官庁は、第十四条(1)(b)に規定する補充の求めを、できる限り速やかに発出する。この場合において、国際出願の受理の時から一箇月以内に行うことが望ましい。当該求めにおいて、当該受理官庁は、出願人に対し、26.2に規定する期間内に、必要とされる補充書を提出するよう求め、かつ、意見を述べる機会を出願人に与える。

26.2 補充のための期間

 26.1に規定する期間は、補充の求めの日から二箇月とする。指定した期間は、決定が行われる前はいつでも、受理官庁が延長することができる。

26.2の2 第十四条(1)(a)(ⅰ)及び(ⅱ)に規定する要件の点検

(a) 二人以上の出願人がある場合には、国際出願が少なくとも出願人のうちの一人により署名されているときは、第十四条(1)(a)(ⅰ)の規定の適用上、十分なものとする。

(b) 二人以上の出願人がある場合には、4.5(a)(ⅱ)及び(ⅲ)に規定する表示が、少なくとも出願人のうちの一人であつて19.1の規定に基づき受理官庁に国際出願をする資格を有する者についてされているときは、第十四条(1)(a)(ⅱ)の規定の適用上、十分なものとする。

26.3 第十四条(1)(a)(ⅴ)に規定する様式上の要件の点検

(a) 受理官庁は、国際出願が国際公開の言語で行われた場合には、次のことを行う。

(ⅰ) 国際出願について、第十一規則に定める様式上の要件が、国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされているかいないかのみを点検すること。

(ⅱ) 12.3の規定に基づき提出された翻訳文について、第十一規則に定める様式上の要件が、満足すべき複製を行うために必要な程度にまで満たされているかいないかを点検すること。

(b) 受理官庁は、国際出願が国際公開の言語でない言語で行われた場合には、次のことを行う。

(ⅰ) 国際出願について、第十一規則に定める様式上の要件が、満足すべき複製を行うために必要な程度にまで満たされているかいないかのみを点検すること。

(ⅱ) 12.3又は12.4の規定に基づき堤出された翻訳文及び図面について、第十一規則に定める様式上の要件が、国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされているかいないかを点検すること。26.3の2 第十一規則の規定に基づく欠陥の補充の第十四条(1)(b)に規定する求め受理官庁は、第十一規則に定める様式上の要件が、26.3の規定によつて必要とされる程度にまで満たされている場合には、同規則の規定に基づく欠陥の補充をするよう第十四条(1)(b)に規定する求めを発出することを要しない。

26.3の3 第三条(4)(ⅰ)の規定に基づく欠陥の補充の求め

(a) 受理官庁は、要約又は図面の文言が明細書及び請求の範囲の言語以外の言語で提出されている場合には、出願人に対し国際出願が国際公開される言語による要約又は図面の文言の翻訳文を提出することを求めるものとし、26.1、26.2、26.3、26.3の2、26.5及び29.1の規定を準用する。ただし、次の場合は、この限りでない。

(ⅰ) 12.3(a)の規定に基づき国際出願の翻訳文が要求される場合

(ⅱ) 要約又は図面の文言が、国際出願が国際公開される言語で作成されている場合

(b) (a)の規定が千九百九十七年十月一日において受理官庁の適用する国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を千九百九十七年十二月三十一日までに国際事務局に通告することを条件として、同規定は、その国内法令に引き続き適合しない間、当該受理官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。6

(c) 願書が12.1(c)の規定に従つていない場合には、受理官庁は、出願人に対し、12.1(c)の規定を満たすよう翻訳文の提出を求める。この場合には、第三規則、26.1、26.2、26.5及び29.1の規定を準用する。

(d) (c)の規定が千九百九十七年十月一日において受理官庁の適用する国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を千九百九十七年十二月三十一日までに国際事務局に通告することを条件として、同規定は、その国内法令に引き続き適合しない間、当該受理官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。6

26.4 手続

 受理官庁に提出される願書の補充は、その補充によつて書き換えられる用紙の明瞭さ及び直接複製の可能性に悪影響を及ぼすことなく書簡から願書に書き換えられることができる性質のものである場合には、受理官庁にあてる書簡において記載することができる。その他の場合及び願書以外の国際出願の要素の補充の場合には、出願人は、その補充を含む差替え用紙を提出することを要求されるものとし、その差替え用紙を添付する書簡において、差し替えられる用紙と差替え用紙との相違について注意を喚起する。

26.5 受理官庁による決定

 受理官庁は、出願人が補充を26.2の期間内に提出したかどうかを決定する。補充が当該期間内に提出された場合には、受理官庁は、そのように補充された国際出願は取り下げられたものとみなすべきであるかどうかを決定する。ただし、国際出願は、第十一規則に定める様式上の要件が国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされている場合には、当該様式上の要件を満たさないことを理由として取り下げられたものとみなさない。

第二十六規則の二 優先権の主張の補充又は追加

26の2.1 優先権の主張の補充又は追加

(a) 出願人は、優先日から十六箇月の期間又は、優先権の主張の補充若しくは優先権の主張の願書への追加により優先日について変更が生じる場合には、変更された優先日から十六箇月の期間のうちいずれか早く満了する期間内に、受理官庁又は国際事務局に提出する書面によつて、優先権の主張の補充又は追加をすることができる。ただし、当該書面が国際出願日から四箇月を経過する時までに提出することができる場合に限る。優先権の主張の補充には、4.10に規定する表示の追加を含めることができる。

(b) 出願人が第二十一条(2)(b)の規定に基づいて早期の国際公開を請求した後に受理官庁又は国際事務局が受理した(a)に規定する書面は、当該請求が国際公開の技術的準備の完了前に取り下げられない限り、提出されなかつたものとみなす。

(c) 優先権の主張の補充又は追加により優先日に変更が生じる場合には、先に適用された優先日から起算した場合にまだ満了していない期間は、変更された優先日から起算する。

26の2.2 優先権の主張の欠陥

(a) 受理官庁又は、受理官庁が怠つたときは、国際事務局は、優先権主張に関して次のいずれかのことを認める場合には、出願人に対し優先権の主張の補充をするよう求める。

(ⅰ) 当該国際出願の国際出願日が、当該優先期間の満了の日の後であり、かつ、26の2.3の規定に基づく優先権の回復の請求が提出されていないこと。

(ⅱ) 当該優先権の主張が4.10に定める要件を満たしていないこと。

(ⅲ) 当該優先権の主張における表示がこれに対応する優先権書類に記載されている表示と合致しないこと。(ⅰ)に規定する場合において、国際出願日が当該優先期間の満了の日から二箇月以内であるときは、当該受理官庁又は国際事務局は、26の2.3の規定に従つて優先権の回復のための請求の提出の可能性を出願人に通知する。ただし、受理官庁が国際事務局に対して、26の2.3(a)から(i)までの規程が当該受理官庁によつて適用される国内法令と適合しないことを、26の2.3(j)の規定に基づき通知した場合は、この限りでない。

(b) 出願人が、26の2.1(a)に規定する期間の満了前に、優先権の主張の補充をする書面を提出しない場合には、当該優先権の主張は、(c)の規定に従うことを条件として、条約の手続上行われなかつたものとみなし(「無効とみなす」)、受理官庁又は国際事務局は、その旨を宣言し、及び出願人に通知する。受理官庁又は国際事務局がその旨を宣言する前であり、かつ、当該期間の満了の後一箇月以内に受理した優先権の主張の補充をするいかなる書面も、当該期間の満了の前に受理したものとする。

(c) 優先権の主張は、次のいずれかの理由のみでは無効とはみなさない。

(ⅰ) 4.10(a)(ⅱ)に規定する先の出願の番号の表示が欠落していること。

(ⅱ) 優先権の主張における表示がこれに対応する優先権書類に記載されている表示と合致しないこと。

(ⅲ) 当該国際出願の国際出願日が、当該優先期間が満了した日よりも遅い日であること。ただし、国際出願日は当該満了の日から二箇月の期間内とする。

(d) 受理官庁若しくは国際事務局が(b)の規定に基づく宣言を行つた場合、又は(c)が適用されるという理由のみで優先権の主張が無効とみなされなかつた場合には、国際事務局は、実施細則に定めるところにより、優先権の主張に関する情報及び国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局が受理した出願人の提出した当該優先権の主張に関する情報を国際出願とともに公表する。国際出願の国際公開が第六十四条(3)の規定により行われない場合には、当該情報は、第二十条の送達に含める。

(e) 出願人は、優先権の主張の補充又は追加を希望するが26の2.1に規定する期間が満了している場合には、優先日から三十箇月を経過する前に、実施細則でその額を定める特別の手数料の支払を条件として、当該事項に関する情報を公表することを請求することができ、国際事務局は、速やかにその情報を公表する。

26の2.3 受理官庁による優先権の回復

(a) 国際出願の国際出願日が、当該優先期間の満了の日の後であるが、当該満了の日から二箇月の期間内である場合には、受理官庁は、出願人の請求により、かつ、(b)から(g)までの規定に従うことを条件として、当該受理官庁が採用する基準(「回復のための基準」)が満たされていること、すなわち、当該優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが、次のいずれかの場合によると認めた場合には、優先権を回復する。

(ⅰ) 状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかかわらず生じた場合

(ⅱ) 故意ではない場合各受理官庁は、これらの基準のうち少なくとも一を適用するものとし、また、これらの両方を適用することができる。

(b) (a)の規定に基づく請求は、次のとおりとする。

(ⅰ) (e)に規定する期間内に当該受理官庁に提出すること。

(ⅱ) 当該優先期間内に国際出願を提出されなかつたことの理由を記載すること。

(ⅲ) 望ましくは(f)の規定に基づき要求される申立てその他の証拠が添付されているものとすること。

(c) 先の国際出願についての優先権の主張が当該国際出願に記載されていない場合には、当該出願人は、(e)に規定する期間内に、26の2.1(a)の規定に基づく優先権の主張を追加する書面を提出する。

(d) (a)に規定する請求の提出は、(e)に規定する期間内に回復請求手数料の受理官庁への支払を条件とすることができる。当該手数料の額は、受理官庁が定める。当該手数料の支払期間は、受理官庁の選択により、(e)に規定する当該期間の満了の後最長二箇月の期間延長することができる。

(e) (b)(ⅰ)、(c)及び(d)に規定する期間は優先期間の満了の日から二箇月とする。ただし、出願人が、第二十一条(2)(b)の規定に基づき早期の国際公開を請求する場合において、国際公開の技術的な準備が完了した後に(a)の規定に基づく請求若しくは(c)に規定する書面で提出されたもの又は(d)に規定する手数料で支払われたものは、当該期間内に提出されなかった又は支払われなかつたものとみなす。

(f) 受理官庁は、事情に応じて相当の期間内に(b)(ⅱ)に規定する理由の陳述を裏付ける申立てその他の証拠を提出することを要求することができる。

(g) 受理官庁は、(a)の規定に基づく請求の全部又は一部に関し、拒否しようとすることについて事情に応じて相当の期間内に意見を述べる機会を出願人に与えることなく、これを拒否しない。受理官庁による拒否しようとする書面は、(f)の規定に基づく申立てその他の証拠を提出する求めとともに出願人に送付できる。

(h) 受理官庁は、速やかに次のことを行う。

(ⅰ) 国際事務局に(a)の規定に基づく請求の受理を通知すること。

(ⅱ) 当該請求に基づく決定すること。

(ⅲ) 出願人及び国際事務局に当該決定及び当該決定が基づいた回復のための基準を通知すること。

(ⅳ) (hの2)の規定に従うことを条件として、出願人から受領した(a)の規定に基づく請求に関する全ての書類(請求自体の写し、(b)(ⅱ)に規定する理由の陳述及び(f)に規定する申立てその他の証拠を含む。)を国際事務局に送付すること。

(hの2) 受理官庁は、次のことを認めるときは、出願人による理由を示した請求により、又は受理官庁の決定に基づき、

(a)の規定に基づく請求に関して受領した書類又はその一部を送付してはならない。

(ⅰ) 当該書類又はその一部が国際出願について公衆に周知する目的に明らかに資さないこと。

(ⅱ) 当該書類又はその一部の公開又は公衆による利用により、いずれかの者の個人的な又は経済的な利益が明らかに損なわれること。

(ⅲ) 当該書類又はその一部を利用する優先的な公共の利益がないこと。受理官庁は、書類又はその一部を国際事務局に送付しないことを決定する場合には、国際事務局にその旨を通知する。

(i) 各受理官庁は、国際事務局に当該受理官庁が採用する回復のための基準及びこれに関する後の変更を通知するものとする。国際事務局は、当該情報を速やかに公報に掲載する。

(j) 二千五年十月五日において(a)から(i)までの規定が受理官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該受理官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、その国内法令に適合しない間、当該受理官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。7

第二十六規則の三 4.17に規定する申立ての補充又は追加

26の3.1 申立ての補充又は追加

 出願人は、優先日から十六箇月の期間内に国際事務局に提出する書面によつて、4.17に規定する申立てを願書に補充し又は追加することができる。ただし、当該期間の満了後に国際事務局が受理した当該書面は、国際公開の技術的準備が完了する前に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。

26の3.2 申立ての処理

(a) 受理官庁又は国際事務局は、4.17に規定する申立てが必要な文言とされていないこと又は4.17(ⅳ)に規定する発明者である旨の申立てにつき必要な署名がされていないことを認めた場合には、場合により、出願人に対し優先日から十六箇月の期間内に当該申立てを補充するよう求めることができる。

(b) 国際事務局は、26の3.1に定める期間の満了後に申立て又は26の3.1に規定する補充を受理した場合には、出願人にその旨を通知し、実施細則の定めるところによつて処理する。

第二十六規則の四 4.11に規定する表示の補充又は追加

26の4.1 表示の補充又は追加

 出願人は、優先日から十六箇月の期間内に国際事務局に提出する書面によつて、4.11に規定する表示を願書に補充し又は追加することができる。ただし、当該期間の満了後に国際事務局が受理した当該書面は、国際公開の技術的準備が完了する前に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。

26の4.2 遅れた表示の補充又は追加

 国際事務局は、4.11に規定する表示の補充又は追加が26の4.1に定める期間内に受理されない場合には、出願人にその旨を通知し、実施細則の定めるところによつて処理する。

第二十七規則 手数料の不払

27.1 手数料

(a) 第十四条(3)(a)の規定の適用上、「第三条(4)(ⅳ)にいう所定の手数料」とは、送付手数料(第十四規則)、国際出願手数料(15.1)、調査手数料(第十六規則)及び、該当する場合には、後払手数料(16の2.2)をいう。

(b) 第十四条(3)(a)及び(b)の規定の適用上、「第四条(2)にいう所定の手数料」とは、国際出願手数料(15.1)及び、該当する場合には、後払手数料(16の2.2)をいう。

第二十八規則 国際事務局が認めた欠陥

28.1 欠陥についての注意

(a) 国際事務局は、国際出願に第十四条(1)(a)(ⅰ)、(ⅱ)又は(ⅴ)の欠陥が含まれているとの見解を有する場合には、その欠陥について受理官庁の注意を喚起する。

(b) 受理官庁は、(a)の見解に同意しない場合を除くほか、第十四条(1)(b)及び第二十六規則に定めるところによつて処理する。

第二十九規則 取り下げられたとみなされる国際出願

29.1 受理官庁による認定

 第十四条(1)(b)及び26.5(ある種の欠陥の補充がされない場合)、同条(3)(a)(27.1(a)に規定する所定の手数料が支払われない場合)、同条(4)(第十一条(1)(ⅰ)から(ⅲ)までに掲げる要件が満たされていなかつたと後に認定した場合)、12.3(d)若しくは12.4(d)(要求される翻訳文が提出されない場合又は、該当する場合には、遅延提出手数料が支払われない場合)又は92.4(g)(ⅰ)(書類の原本が提出されない場合)の規定に従い、受理官庁が国際出願は取下げられたものとみなす旨を宣言する場合には、

(ⅰ) 受理官庁は、国際事務局に対し、記録原本(既に送付されている場合を除く。)及び出願人が提出した補充を送付する。

(ⅱ) 受理官庁は、出願人及び国際事務局にその宣言を速やかに通知するものとし、国際事務局は、既に指定が通知された各指定官庁に通知する。

(ⅲ) 受理官庁は、第二十三規則に規定する調査用写しの送付を行わないものとし、調査用写しを既に送付している場合には、国際調査機関にその宣言を通知する。

(ⅳ) 国際事務局は、出願人に記録原本の受理を通知することを要しない。

(ⅴ) 受理官庁により送付されたその宣言の通告が国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、当該国際出願の国際公開は、行わない。

29.2 削除

29.3 ある種の事実についての受理官庁に対する注意の喚起

 国際事務局又は国際調査機関は、第十四条(4)に規定する認定を受理官庁が行うべきであると認める場合には、関係する事実について受理官庁の注意を喚起する。

29.4 第十四条(4)に規定する宣言を行う意図の通知

(a) 受理官庁は、第十四条(4)に規定する宣言を行う前に、宣言を行う意図及び理由を出願人に通知する。出願人は、受理官庁による暫定的な認定に同意しない場合には、その通知の時から二箇月以内にその旨の抗弁を提出することができる。

(b) 受理官庁は、第十一条(1)(ⅲ)(d)又は(e)に規定する要素について第十四条(4)に規定する宣言を行う意図を有する場合には、(a)に規定する通知において、出願人に対し、当該要素を4.18に規定する引用により含めることを20.6(a)の規定に従つて確認するよう求める。20.7(a)(i)の規定の適用上、この(b)の規定に基づいて発出した出願人に対する求めは、20.3(a)(ⅱ)の規定に基づく求めとみなす。

(c) (b)の規定は、受理官庁が国際事務局に対し、20.3(a)(ⅱ)及び(b)(ⅱ)並びに20.6の規定が当該受理官庁が適用する国内法令に適合しないことを20.8(a)の規定に従つて通告した場合には、適用しない。

第三十規則 第十四条(4)に規定する期間

30.1 期間

 第十四条(4)に規定する期間は、国際出願日から四箇月とする。

第三十一規則 第十三条の規定に基づいて請求される写し

31.1 写しの請求

(a) 第十三条(1)の規定に基づく要請は、当該国内官庁が指定官庁となつている国際出願の全部、特定の種類又は個々について行うことができる。国際出願の全部又は特定の種類についての要請は、前年の十一月三十日までに当該国内官庁から国際事務局にあてた通告により、毎年更新しなければならない。

(b) 第十三条(2)(b)の規定に基づく要請は、写しの作成及び郵便に係る費用を賄う手数料の支払を条件とする。

31.2 写しの作成

 第十三条の規定に基づいて請求される写しの作成は、国際事務局の責任とする。

第三十二規則 特定の承継国に対する国際出願の効果の適用

32.1 承継国に対する国際出願の効果の適用

(a) 国際出願日が(b)に定める期間内にある国際出願の効果は、自国の独立の前においてその領域が、当該国際出願で指定された締約国であつて後に消滅した国(「先行国」)の領域の一部であつた国(「承継国」)について適用することができる。ただし、承継国が条約を適用する旨の継続の宣言を事務局長に寄託することにより締約国になつた場合に限る。

(b) (a)に規定する期間は、先行国が存続する最終の日の次の日に始まり、事務局長が(a)に規定する宣言を工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国政府に通報した日の後二箇月で終了する。ただし、承継国の独立の日が先行国が存続する最終の日の次の日より早い場合には、承継国は、当該期間が承継国の独立の日に始まることを宣言することができる。この宣言は、(a)に規定する宣言とともに行うものとし、また、独立の日を特定する。

(c) 出願日が(b)に該当する期間内にありその効果が承継国について適用される国際出願についての情報は、国際事務局により公報に掲載される。

32.2 承継国に対する適用の効果

(a) 32.1の規定に従い国際出願の効果が承継国について適用される場合には、

(ⅰ) 承継国は、国際出願において指定されたものとみなす。

(ⅱ) 承継国について第二十二条又は第三十九条(1)に規定する期間は、32.1(c)の規定による情報の公開の日から少なくとも六箇月を経過するまで延長する。

(b) 承継国は、(a)(ⅱ)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。国際事務局は、この期間に関する情報を公報に掲載する。

第三十三規則 国際調査における関連のある先行技術

33.1 国際調査における関連のある先行技術

(a) 第十五条(2)の規定の適用上、関連のある先行技術とは、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によつて公衆が利用することができるようにされており、かつ、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの及び進歩性を有するもの(自明のものではないもの)と認められるかどうかを決定するに当たつて役立ち得るすべてのものをいう。ただし、公衆が利用することができるようにされたことが当該国際出願日前に生じていることを条件とする。

(b) 書面による開示を公衆が利用することができるようにされたことが国際出願日と同じ日又はその後に生じている場合にあつては、国際調査報告は、書面による開示が口頭による開示、使用、展示その他の手段であつて書面による開示の内容を公衆が利用することができるようにしたものに言及し、かつ、公衆が利用することができるようにされたことが国際出願日前に生じていた場合には、その事実及びその事実の生じた日付を個々に指摘する。

(c) いずれかの公表された出願又はいずれかの特許は、その公表の日が調査の対象となつている国際出願の国際出願日と同じ日又はその後であるがその出願の日(該当する場合には、その主張する優先日)が当該国際出願日前であるものである場合において、当該国際出願日前に公表されたとしたならば第十五条(2)の規定の適用上関連のある先行技術を構成したであろうとされるものであるときは、国際調査報告において特別に指摘する。

33.2 国際調査を行うべき分野

(a) 国際調査は、当該発明に関連する技術を包含する可能性があるすべての技術分野につき及びその可能性があるすべての調査用資料に基づいて行う。

(b) したがつて、当該発明を分類することができる技術分野に属する技術についてのみでなく、類似の技術(いずれの分野に分類されるかを問わない。)についても調査する。

(c) 当該事案においていずれの技術を類似の技術とすべきかの問題については、当該国際出願に明示的に記載されている特定の機能のみならず、当該発明の必然的かつ本質的な機能又は用途であると思われるものに照らして考慮する。

(d) 国際調査は、国際出願に記載されている発明がその細部において異なつている場合であつても、請求の範囲に記載されている発明の対象とその発明の全部又は一部の特徴について均等であると一般に認められているすべての事項を包含するものとする。

33.3 国際調査の方向付け

(a) 国際調査は、明細書及び図面に妥当な考慮を払つた上で、特に請求の範囲に含まれる発明概念に重点を置いて、請求の範囲に基づいて行う。

(b) 国際調査は、可能かつ合理的である限り、請求の範囲に含まれる事項の全体又は補正後の請求の範囲に含まれるであろうと合理的に予測される事項の全体について行う。

第三十四規則 最小限資料

34.1 定義

(a) 第二条(ⅰ)及び(ⅱ)の定義は、この第三十四規則については、適用しない。

(b) 第十五条(4)に規定する資料(「最小限資料」)は、次のものから成る。

(ⅰ) (c)に掲げる「国内特許文献」

(ⅱ) 公表された国際(PCT)出願、特許又は発明者証の公表された広域出願並びに公表された広域特許及び広域発明者証

(ⅲ) 公表された非特許文献のうち国際調査機関が合意するものであつて最初の合意の際に及び変更の都度国際事務局によつて一覧表において公表されるもの

(c) 「国内特許文献」は、(d)及び(e)の規定に従うことを条件として、次のものとする。

(ⅰ) アメリカ合衆国、スイス(ドイツ語及びフランス語のものに限る。)、旧ソヴィエト連邦、旧ドイツ特許庁、日本国、フランス及び連合王国によつて千九百二十年以後に発行された特許

(ⅱ) 大韓民国、ドイツ連邦共和国、中華人民共和国及びロシア連邦によつて発行された特許

(ⅲ) (ⅰ)及び(ⅱ)に掲げる国において千九百二十年以後に公表された特許出願

(ⅳ) 旧ソヴィエト連邦によつて発行された発明者証

(ⅴ) フランスによつて発行された実用証及び公表された実用証の出願

(ⅵ) 千九百二十年後に他の国によつて発行された特許及び他の国において公表された特許出願のうち英語、スペイン語、ドイツ語又はフランス語のものであつて優先権の主張を伴わないもの。ただし、当該他の国の国内官庁がこれらの文献を抽出して各国際調査機関が自由に利用することができるようにする場合に限る。

(d) 出願が再度公表される場合(例えば、出願公開公報(Offenlegungschrift)及び出願公告公報(Auslegeschrift)の場合)又は三度以上公表される場合には、国際調査機関は、その資料にそれらのすべての種類を保持する義務を負わない。したがつて、各国際調査機関は、二種類以上を保持しないことができる。更に、出願が認められて特許又は実用証(フランス)が発行される場合には、国際調査機関は、その資料に出願及び特許又は実用証(フランス)の双方を保持する義務を負わない。したがつて、各国際調査機関は、出願又は特許若しくは実用証(フランス)のいずれか一方に限つて保持することができる。

(e) 国際調査機関の公用語が中国語、韓国語、スペイン語、日本語又はロシア語でない場合には、当該国際調査機関は、その資料に中華人民共和国、日本国、大韓民国、ロシア連邦若しくは旧ソヴィエト連邦の特許文献又はスペイン語による特許文献であつて英語の要約が一般に利用することができないものを含めないことができる。英語の要約がこの規則の効力発生の日の後に一般に利用することができるようになつた場合には、その要約が一般に利用することができるようになつた後六箇月以内にその要約に係る特許文献を含めることが要求される。英語の要約が以前には一般に利用することができていた技術分野における英語の要約を提供する業務が中断した場合には、総会は、その技術分野におけるその業務の速やかな回復のための適当な措置をとる。

(f) この第三十四規則の規定の適用上、公衆の閲覧に供されたにすぎない出願は、公表された出願とはみなさない。

第三十五規則 管轄国際調査機関

35.1 一の国際調査機関による管轄

 各受理官庁は、第十六条(3)(b)に規定する関係取決めに従い、国際出願についての国際調査を管轄する国際調査機関を国際事務局に通知するものとし、国際事務局は、その通知を速やかに公表する。

35.2 二以上の国際調査機関による管轄

(a) 受理官庁は、第十六条(3)(b)に規定する関係取決めに従い、次のいずれかの方法により二以上の国際調査機関を特定することができる。

(ⅰ) 当該受理官庁にされたいずれの国際出願についても特定するすべての国際調査機関によつて管轄されることを宣言し、かつ、その選択を出願人にゆだねること。

(ⅱ) 当該受理官庁にされた特定の種類の国際出願については一又は二以上の国際調査機関によつて管轄されることを宣言し、かつ、当該受理官庁にされた他の種類の国際出願については一又は二以上の他の国際調査機関によつて管轄されることを宣言すること。ただし、二以上の国際調査機関によつて管轄されることを宣言した種類の国際出願については、その選択を出願人にゆだねることを条件とする。

(b) (a)の規定に基づく権能を行使する受理官庁は、国際事務局に速やかに通知するものとし、国際事務局は、その通知を速やかに公表する。

35.3 国際事務局が19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁である場合

(a) 国際出願が19.1(a)(ⅲ)の規定に基づいて受理官庁としての国際事務局にされた場合には、その国際出願についての国際調査は、その国際出願が19.1の(a)の(ⅰ)若しくは(ⅱ)、(b)若しくは(c)又は19.2(ⅰ)の規定に基づき管轄受理官庁にされたとしたならば管轄したであろう国際調査機関が管轄する。

(b) (a)の規定に基づき二以上の国際調査機関が管轄する場合には、その選択を出願人にゆだねる。

(c) 35.1及び35.2の規定は、19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局については、適用しない。

第三十六規則 国際調査機関の最小限の要件

36.1 最小限の要件の定義

 第十六条(3)(c)に規定する最小限の要件は、次のとおりとする。

(ⅰ) 国内官庁又は政府間機関は、調査を行うために十分な技術的資格を備えた常勤の従業者を百人以上有していなければならない。

(ⅱ) 国内官庁又は政府間機関は、少なくとも、紙、マイクロフォーム又は電子媒体により、調査の目的のために適正に整備された第三十四規則に定める最小限資料を所有し又は利用し得るようにしていなければならない。

(ⅲ) 国内官庁又は政府間機関は、所要の技術分野を調査することができる職員であつて少なくとも第三十四規則に定める最小限資料が作成され又は翻訳された言語を理解する語学力を有するものを有していなければならない。

(ⅳ) 国内官庁又は政府間機関は、国際調査の一般原則に従い調査の質の管理制度及び内部における検討制度を設ける。

(ⅴ)国内官庁又は政府間機関は、国際予備審査機関として選定されなければならない。

第三十七規則 発明の名称の欠落又は欠陥

37.1 発明の名称の欠落

 国際出願に発明の名称の記載がない場合において、受理官庁が出願人に対し当該欠陥の補充をすることを求めた旨を国際調査機関に通知したときは、国際調査機関は、その国際出願は取り下げられたものとみなす旨の通知を受領しない限り、国際調査を続行する。

37.2 発明の名称の決定

 国際出願に発明の名称の記載がない場合において出願人に対し発明の名称の補充をすることを求めた旨の受理官庁からの通知を国際調査機関が受領していないとき又は発明の名称が4.3の規定に従つていないと国際調査機関が認めた場合には、国際調査機関は、自ら発明の名称を決定する。当該発明の名称は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語又は23.1(b)の規定に基づき他の言語による翻訳文が送付されかつ国際調査機関が希望する場合には当該翻訳文の言語で決定する。

第三十八規則 要約の欠落又は欠陥

38.1 要約の欠落

 国際出願に要約が含まれていない場合において、受理官庁が出願人に対し当該欠陥の補充をすることを求めた旨を国際調査機関に通知したときは、国際調査機関は、その国際出願は取り下げられたものとみなす旨の通知を受領しない限り、国際調査を続行する。

38.2 要約の作成

 国際出願に要約が含まれていない場合において出願人に対し要約の補充をすることを求めた旨の受理官庁からの通知を国際調査機関が受領していないとき又は要約が第八規則の規定に従つていないと国際調査機関が認めた場合には、国際調査機関は、自ら要約を作成する。当該要約は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語又は23.1(b)の規定に基づき他の言語による翻訳文が送付されかつ国際調査機関が希望する場合には当該翻訳文の言語で作成する。

38.3 要約の修正

 出願人は、国際調査報告が郵送で発送された日から一箇月を経過するときまでに、国際調査機関に、次のいずれかを述べることができる。

(ⅰ) 提案された要約の修正

(ⅱ) 当該国際調査機関が要約を作成した場合には、提案された当該要約の修正若しくは当該要約についての意見、又は修正及び意見の両方また、国際調査機関は、当該要約をそれに応じて修正するかどうかを決定する。国際調査機関は、当該要約を修正した場合には、その修正を国際事務局に通知する。

第三十九規則 第十七条(2)(a)(ⅰ)に規定する国際出願の対象

39.1 定義

 国際調査機関は、国際出願の対象の全部又は一部が次のいずれかである場合には、当該国際出願の全部又は一部について調査をすることを要しない。

(ⅰ) 科学及び数学の理論

(ⅱ) 植物及び動物の品種又は植物及び動物の生産の本質的に生物学的な方法。ただし、微生物学的方法及び微生物学的方法による生産物については、この限りでない。

(ⅲ) 事業活動、純粋に精神的な行為の遂行又は遊戯に関する計画、法則又は方法

(ⅳ) 手術又は治療による人体又は動物の体の処置方法及び人体又は動物の体の診断方法

(ⅴ) 情報の単なる提示

(ⅵ) コンピューター・プログラムのうち国際調査機関が当該プログラムについて先行技術を調査する態勢にある範囲外のもの

第四十規則 発明の単一性の欠如(国際調査)

40.1 追加手数料の支払の求め、期間

 第十七条(3)(a)に規定する追加手数料の支払の求めは、次のとおりとする。

(ⅰ) 国際出願が発明の単一性の要件を満たしているとは認められない理由を明記する。

(ⅱ) 出願人に対し、追加手数料をその求めの日から一箇月以内に支払うよう求め、及び支払うべき手数料の額を表示する。

(ⅲ) 該当する場合には、出願人に対し、40.2(e)に規定する異議申立手数料をその求めの日から一箇月以内に支払うよう求め、及び支払うべき手数料の額を表示する。

40.2 追加手数料

(a) 第十七条(3)(a)の規定に従って調査のために支払うべき追加手数料の額は、管轄国際調査機関が定める。

(b) 第十七条(3)(a)の規定に従って調査のために支払うべき追加手数料は、国際調査機関に直接に支払う。

(c) 出願人は、異議を申し立てて、すなわち、国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述書を添付して、追加手数料を支払うことができる。異議は、国際調査機関の枠組みにおいて設置される検査機関が審理するものとし、この機関は、異議を正当と認める限度において追加手数料の全部又は一部を出願人に払い戻すことを命ずる。異議及び当該異議についての決定の書面は、出願人の請求により、国際調査報告とともに指定官庁に通知する。出願人は、第二十二条の規定に従って要求される国際出願の翻訳文の提出とともにそれらの書面の翻訳文を提出する。

(d) (c)に規定する検査機関の構成員には、異議の対象となった決定をした者を含めることができるが、これに限定してはならない。

(e) 国際調査機関は、(c)に規定する異議の審理には、異議申立手数料の国際調査機関への支払を条件とすることができる。出願人が40.1(ⅲ)に規定する期間内に要求される異議申立手数料を支払わなかった場合には、その異議申立ては、行われなかったものとみなし、国際調査機関は、その旨を宣言する。(c)に規定する検査機関がその異議を完全に正当と認めた場合には、異議申立手数料は、出願人に払い戻す。

第四十規則の二 国際出願に含まれる又は記載されているものとみなされた欠落部分又は正しい要素若しくは部分における追加手数料

40の2.1 追加手数料の支払の求め

 国際調査機関は、国際調査報告の作成を開始した後に次の(ⅰ)又は(ⅱ)に規定する事項が当該機関に通知された場合には、追加手数料を支払うよう求めることができる。

(ⅰ) 欠落部分又は正しい要素若しくは部分が、それぞれ20.5(c)又は20.5の2(c)の規定に基づき、国際出願に含まれること。

(ⅱ) 欠落部分又は正しい要素若しくは部分が、それぞれ20.5(d)又は20.5の2(d)の規定に基づき、第十一条(1)(ⅲ)に規定する一又は二以上の要素を受理官庁が最初に受理した日に国際出願に記載されているとみなされたこと。当該求めは、出願人に対し、追加手数料をその求めの日から一箇月以内に支払うよう求め、及び支払うべき手数料の額を表示する。追加手数料の額は当該国際調査機関が定めるものとし、その額は調査手数料の額を超えてはならない。追加手数料は、当該機関に直接に支払う。国際調査機関は、当該追加手数料が所定の期間内に支払われていることを条件として、当該欠落部分又は正しい要素若しくは部分を含む国際出願に関する国際調査報告を作成する。

第四十一規則 先の調査及び先の分類の結果の考慮

 41.1 4.12の規定に基づく請求における先の調査の結果の考慮出願人が、4.12の規定に基づき、国際調査機関に対し、先の調査の結果を考慮することを請求し、かつ、12の2.1の規定に従つた場合において、

(ⅰ) 当該先の調査が同一の国際調査機関によつて行われたとき又は国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて行われたときは、当該国際調査機関は、国際調査を行うに当たり当該先の調査の結果をできる限り考慮する。

(ⅱ) 当該先の調査が他の国際調査機関によつて行われたとき又は国際調査機関として行動する官庁以外の官庁によつて行われたときは、当該国際調査機関は、国際調査を行うに当たり当該先の調査の結果を考慮することができる。

41.2 他の場合における先の調査及び先の分類の結果の考慮

(a) 国際出願が、同一の国際調査機関又は国際調査機関として行動する官庁と同一の官庁によつて先の調査が行われた一又は二以上の先の出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該国際調査機関は、国際調査を行うに当たり当該先の調査の結果をできる限り考慮する。

(b) 受理官庁が23の2.2(a)又は(c)の規定に基づいて先の調査の結果若しくは先の分類の結果の写しを国際調査機関へ送付した場合又は当該写しが当該国際調査機関が認めた形式及び方法で、例えば、電子図書館により当該国際調査機関が入手可能である場合には、当該国際調査機関は、国際調査を行うに当たりこれらの結果を考慮することができる。

第四十二規則 国際調査のための期間

42.1 国際調査のための期間

国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言を作成するための期間は、国際調査機関による調査用写しの受領から三箇月の期間又は優先日から九箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間とする。

第四十三規則 国際調査報告

43.1 表示

国際調査報告には、国際調査報告を作成した国際調査機関をその国際調査機関の名称を記載することにより、当該国際出願を国際出願番号、出願人の氏名又は名称及び国際出願日を記載することによつて特定する。

43.2 日付

国際調査報告には、日付を記入するものとし、国際調査が実際に完了した日付を表示する。国際調査報告には、また、優先権の主張の基礎となる先の出願の日又は、二以上の先の出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、これらのうち最先の出願日を表示する。

43.3 分類(a) 国際調査報告には、少なくとも国際特許分類に従つて、発明の属する分類を表示する。(b) (a)の分類は、国際調査機関が付与する。

43.4 言語

国際調査報告及び第十七条(2)(a)の宣言は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語とする。ただし、

(ⅰ) 23.1(b)の規定に基づき他の言語による国際出願の翻訳文が送付されかつ国際調査機関が希望する場合には、国際調査報告及び第十七条(2)(a)の規定に基づく宣言は、当該翻訳文の言語で作成できる。

(ⅱ) 国際出願が、12.4の規定に基づき国際調査機関が受け入れない翻訳の言語で公開され、当該機関が望む場合には、国際調査報告及び第十七条(2)(a)の規定に基づく宣言は、当該機関が認める言語及び48.3(a)に規定する国際公開の言語の両方で作成できる。

43.5 列記

(a) 国際調査報告には、関連のあると認められる文献を列記する。

(b) 列記される文献を特定する方法は、実施細則で定める。

(c) 列記された文献のうち特に関連のあるものについては、特別に表示する。

(d) すべての請求の範囲には関連しない列記された文献は、その関連する請求の範囲との関係において表示する。

(e) 列記された文献の一部の箇所のみが関連し又は特に関連する場合には、その一部の箇所は、例えば、ページ、段又は行を表示することによつて特定する。文献全体が関連する場合であつても、ある箇所が特に関連するときは、その箇所を特定する。ただし、その特定が実行可能でない場合は、この限りでない。

43.6 調査を行つた分野

(a) 国際調査報告には、調査を行つた分野の分類の記号を表示する。その表示が国際特許分類以外の分類に基づいてされる場合には、国際調査機関は、その使用する分類を公表する。

(b) 国際調査が第三十四規則に定める最小限資料に含まれない国、期間又は言語に係る特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証、追加実用証又はこれらの種類の保護を求める公表された出願について行われた場合には、国際調査報告は、実行可能なときは、当該国際調査を行つた文献の種類、国、期間及び言語を表示する。第二条(ⅱ)の規定は、この(b)の規定については、適用しない。

(c) 国際調査が電子データベースに基づいて行われ又は電子データベースについて行われた場合において、国際調査報告には、そのデータベースの名称及び国際調査機関以外の者にとつて有用であり、かつ、実行可能であると認められるときは、使用したサーチタームを表示することができる。

43.6の2 明白な誤記の訂正の考慮

(a) 国際調査機関は、91.1の規定に基づき許可される明白な誤記の訂正を、(b)の規定に従うことを条件として、国際調査のために考慮に入れるものとし、国際調査報告には、その旨を表示する。

(b) 国際調査機関は、国際調査報告の作成を開始した後に明白な誤記の訂正が当該機関に許可又は通知された場合には、国際調査のために当該訂正を考慮に入れることを必要としない。この場合には、可能なときは当該国際調査報告には、その旨を表示するものとし、表示がない場合には、当該国際調査機関は国際事務局にその旨を通知し、国際事務局は実施細則の定めるところによつて処理する。

43.7 発明の単一性に関する注釈

出願人が国際調査のための追加手数料を支払つた場合には、国際調査報告には、その旨を表示する。更に、国際調査が主発明のみについて又はすべての発明より少ない発明について行われた場合(第十七条(3)(a))には、国際調査報告には、国際出願について調査を行つた部分及び調査を行わなかつた部分を表示する。

43.8 権限のある職員

国際調査報告には、その国際調査報告について責任を有する国際調査機関の職員の氏名を表示する。

43.9 追加事項

国際調査報告には、33.1(b)及び(c)、43.1から43.3まで、43.5から43.8まで並びに44.2に定める事項並びに第十七条(2)(b)の表示以外のいかなるものも記載してはならない。ただし、実施細則は、同細則に定める追加事項を国際調査報告に含めることを認めることができる。国際調査報告には、見解の表明、理由、論証又は説明を記載してはならないものとし、同細則は、これらを国際調査報告に含めることを認めてはならない。

43.10 様式

国際調査報告の様式上の要件は、実施細則で定める。

第四十三規則の二 国際調査機関の書面による見解

43の2.1 書面による見解

(a) 69.1(bの2)の規定に従うことを条件として、国際調査機関は、国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言の作成と同時に、次の事由について、書面による見解を作成する。

(ⅰ) 請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうか。

(ⅱ) 国際出願が、当該国際調査機関の点検した範囲内で条約及びこの規則に定める要件を満たしているかどうか。書面による見解には、規則に定める他の意見を付する。

(b) 書面による見解の作成に当たつては、第三十三条(2)から(6)及び第三十五条(2)及び(3)、43.4、43.6の2、第六十四規則、第六十五規則、66.1(e)、66.7、第六十七規則、70.2(b)及び(d)、70.3、70.4(ⅱ)、70.5(a)、70.6から70.10、70.12、70.14並びに70.15(a)の規定を準用する。

(c) 書面による見解には、国際予備審査の請求が行われた場合には、当該見解は、66.1の2(b)の規定に従うことを条件として、66.1の2(a)の規定により、66.2(a)の規定の適用上国際予備審査機関の書面による見解とみなされる旨、並びにこの場合には、54の2.1(a)に規定する期間の満了前に当該機関に対し答弁書及び、適当な場合には、補正書を提出することを出願人に求める旨の通知を含める。

第四十四規則 国際調査報告、書面による見解の送付等

44.1 報告又は宣言及び書面による見解の写し

 国際調査機関は、国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言、及び43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解を国際事務局及び出願人に各一通同一の日に送付する。

44.2 発明の名称及び要約

 国際調査報告には、国際調査機関が出願人の提出した発明の名称若しくは要約を承認する旨を表示し又は第三十七規則若しくは第三十八規則の規定に従つて国際調査機関が作成した発明の名称若しくは要約の本文を添付する。

44.3 列記された文献の写し

(a) 第二十条(3)の請求は、当該国際調査報告に係る国際出願の国際出願日から七年の期間いつでも行うことができる。

(b) 国際調査機関は、(a)の請求を行つた当事者(出願人又は指定官庁)に対し、写しの作成及び郵便に係る費用を支払うことを要求することができる。写しの作成に係る費用は、当該国際調査機関と国際事務局との間に締結される第十六条(3)(b)に規定する取決めで定める。

(c) 削除

(d) 国際調査機関は、自己に対して責任を負う他の機関を通じて(a)及び(b)に定める任務を遂行することができる。

第四十四規則の二 国際調査機関による特許性に関する国際予備報告

44の2.1 報告の作成、出願人への送付

(a) 国際予備審査報告が作成された場合又は作成される予定の場合を除き、国際事務局は、国際調査機関に代わつて、43の2.1(a)に規定する事項についての報告(第四十四規則の二において「報告」という。)を作成する。報告は、43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解と同一の内容とする。

(b) 報告には「特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第一章)」という表題及び第四十四規則の二の規定に基づき国際調査機関に代わつて国際事務局により作成された旨の表示を付す。

(c) 国際事務局は、(a)に基づいて作成する報告を一通、速やかに出願人に送付する。

44の2.2 指定官庁への送達

(a) 国際事務局は、44の2.1の規定に基づき報告が作成された場合には、93の2.1の規定に従い報告を各指定官庁に送達する。ただし、優先日から三十箇月を経過する前であつてはならない。

(b) 国際事務局は、出願人が第二十三条(2)の規定に基づき指定官庁に明示の請求を行つた場合には、当該指定官庁又は出願人の請求により、速やかに、43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解の写しを当該指定官庁に送達する。

44の2.3 指定官庁のための翻訳

(a) 指定国は、自国の国内官庁の公用語以外の言語によつて、44の2.1の規定に基づく報告が作成された場合には、英語による報告の翻訳文を要求することができる。この要求は、国際事務局に通知するものとし、国際事務局は、その要求を速やかに公報に掲載する。

(b) (a)の規定により翻訳文が要求された場合には、当該翻訳文は、国際事務局の責任において作成する。

(c) 国際事務局は、翻訳文の写しを、関係指定官庁及び出願人に指定官庁に報告を送達するのと同時に送付する。

(d) 44の2.2(b)に規定する場合には、43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解は、当該指定官庁の請求により、国際事務局により又はその責任において英語に翻訳される。国際事務局は、翻訳の請求を受理した日から二箇月以内に、翻訳文の写しを当該指定官庁に送達し、同時に出願人に送付する。

44の2.4 翻訳に関する意見

 出願人は、44の2.3(b)又は(d)に規定する翻訳文の正確性に関して書面による意見を作成することができ、その意見の写しを各関係指定官庁及び国際事務局に各一通送付する。

第四十五規則 国際調査報告の翻訳

45.1 言語

 国際調査報告及び第十七条(2)(a)の宣言は、英語で作成されていない場合には、英語に翻訳する。

第四十五規則の二 補充国際調査

45の2.1 補充調査請求

(a) 出願人は、優先日から二十二箇月を経過する前にいつでも、国際出願について45の2.9の規定に基づき補充国際調査を管轄する国際調査機関が補充国際調査を行うことを請求することができる。その請求は、二以上の当該国際調査機関について行うことができる。

(b) (a)の規定に基づく請求(「補充調査請求」)については、国際事務局に対して行うものとし、その請求書には、次の事項を記載する。

(ⅰ) 出願人及び、該当する場合には、代理人の氏名又は名称及びあて名、発明の名称、国際出願日並びに国際出願番号

(ⅱ) 補充国際調査を行うことを請求される国際調査機関(「補充調査のために指定された機関」)

(ⅲ) 国際出願が当該国際調査機関により認められていない言語によりされた場合には、12.3又は12.4の規定に基づき受理官庁に提出された翻訳文を補充国際調査の基礎とするか否か。

(c) 補充調査請求書には、該当する場合には、次のものを添付する。

(ⅰ) 国際出願がされた言語又は、該当する場合には、12.3又は12.4の規定に基づき提出された翻訳文の言語のいずれもが補充調査のために指定された機関が認める言語でない場合には、当該機関が認める言語による国際出願の翻訳文

(ⅱ) 補充調査のために指定された機関が要求する場合には、望ましくは、実施細則に定める基準を満たす電子形式による配列リストの写し

(d) 国際出願が発明の単一性の要件を満たしていないと国際調査機関が認めた場合には、補充調査請求書には、当該国際調査機関が特定する発明のうち第十七条(3)(a)に規定する主発明以外の一の発明に補充国際調査を減縮することを出願人が希望する旨の表示を記載することができる。

(e) 次の場合には、補充調査請求は行われなかつたものとみなし、国際事務局は、その旨を宣言する。

(ⅰ) (a)に規定する期間の満了後に受領した場合

(ⅱ) 補充調査のために指定された機関が、第十六条(3)(b)に規定する関係取決めにおいて当該調査を行う用意がある旨を記載していない場合又は45の2.9(b)の規定に基づき当該調査を管轄しない場合

45の2.2 補充調査取扱手数料

(a) 補充調査請求については、手数料表に掲げる国際事務局のための手数料(「補充調査取扱手数料」)を支払わなければならない。

(b) 補充調査取扱手数料は、手数料表に掲げる手数料の通貨又は国際事務局が定めるその他の通貨で支払う。当該その他の通貨により支払う額は、手数料表に掲げる額と端数のない数で等しい額であつて、国際事務局が決定したものとし、その額は、公報に掲載される。

(c) 補充調査取扱手数料は、補充調査請求の受理の日から一箇月以内に国際事務局に支払う。支払額は、支払の日に適用される額とする。

(d) 国際事務局は、45の2.4(e)(ⅰ)から(ⅳ)までに規定する書類が補充調査のために指定された機関に送付される前に、国際出願が取り下げられ、若しくは取り下げられたものとみなす場合又は補充調査請求が取り下げられ、若しくは45の2.1(e)の規定に基づき行われなかつたものとみなす場合には、補充調査取扱手数料を出願人に払い戻す。

45の2.3 補充調査手数料

(a) 補充国際調査を行う国際調査機関は、出願人に対し、当該調査の実施に係る手数料(「補充調査手数料」)を支払うことを要求することができる。

(b) 補充調査手数料は、国際事務局が徴収するものとし、16.1(b)から(e)までの規定を準用する。

(c) 補充調査手数料の支払期間及び支払額については、45の2.2(c)の規定を準用する。

(d) 国際事務局は、45の2.4(e)(ⅰ)から(ⅳ)までに規定する書類が補充調査のために指定された機関に送付される前に、国際出願が取り下げられ、若しくは取り下げられたものとみなす場合又は補充調査請求が取り下げられ、若しくは45の2.1(e)または45の2.4(d)の規定に基づき行われなかつたものとみなす場合には、補充調査手数料を出願人に払い戻す。

(e) 補充調査のために指定された機関は、45の2.5(a)の規定に従い当該機関が補充国際調査を開始する前に、45の2.5(g)の規定の基づき補充調査請求が行われなかつたものとみなす場合には、補充調査手数料を第十六条(3)(b)に規定する関係取決めで定める範囲において及び条件に従つて払い戻す。

45の2.4 補充調査請求書の点検、欠陥の補充、手数料の後払及び補充調査のために指定された機関への送付

(a) 国際事務局は、補充調査請求書を受理した後速やかに当該請求書が45の2.1(b)及び(c)(ⅰ)に規定する要件を満たしているかどうかを点検するものとし、求めの日から一箇月の期間内に欠陥を補充するよう出願人に求める。

(b) 国際事務局は、45の2.2(c)及び45の2.3(c)の規定に基づく支払時期までに、補充調査取扱手数料及び補充調査手数料が完全に支払われていないと認める場合には、これらの手数料を賄うために必要な額及び(c)の規定に基づく後払手数料を求めの日から一箇月の期間内に国際事務局に支払うよう出願人に求める。

(c) (b)の規定に基づく求めに応じた手数料の支払については、後払手数料の国際事務局への支払を条件とする。当該後払手数料の額は、補充調査取扱手数料の額の五十パーセントとする。

(d) 出願人が、(a)又は(b)に規定する期間の満了前に、必要な補充書を提出しない場合又は後払手数料を含む支払うべき手数料の額を完全に支払わない場合には、補充調査請求は行われなかつたものとみなし、国際事務局は、その旨を宣言し、及び出願人に通知する。

(e) 国際事務局は、45の2.1(b)及び(c)(ⅰ)、45の2.2(c)並びに45の2.3(c)に規定する要件が満たされていると認めた場合には、速やかに、補充調査のために指定された機関に次のものの写しを送付する。ただし、国際事務局が国際調査報告を受領した日又は優先日から十七箇月の期間の満了の時いずれか先に生ずる日より前に送付してはならない。

(ⅰ) 補充調査請求書

(ⅱ) 国際出願

(ⅲ) 45の2.1(c)(ⅱ)の規定に基づき提出された配列リスト

(ⅳ) 補充国際調査の基礎として用いられる12.3、12.4又は45の2.1(c)(ⅰ)の規定に基づき提出された翻訳文また、国際事務局は、次のものの写しを、(ⅰ)から(ⅳ)までに規定するものの写しの送付と同時に又は国際事務局が次のものを後に受領した後速やかに送付する。

(ⅴ) 国際調査報告及び43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解

(ⅵ) 国際調査機関による第十七条(3)(a)に規定する追加手数料の支払の求め

(ⅶ) 40.2(c)の規定に基づく出願人による異議及び国際調査機関の枠組みにおいて設置される検査機関による当該異議についての決定

(f) (e)(ⅴ)に規定する書面による見解は、それが英語又は補充調査のために指定された機関が認める言語によるものでない場合には、当該機関の請求により、国際事務局により又はその責任において英語に翻訳される。国際事務局は、翻訳の請求を受理した日から二箇月以内に、当該翻訳文の写しを当該機関に送付するものとし、同時に出願人に送付する。

45の2.5 補充国際調査の開始、基礎及び範囲

(a) 補充調査のために指定された機関は、45の2.4(e)(ⅰ)から(ⅳ)までに定める書類を受領した後速やかに補充国際調査を開始する。ただし、当該機関は、その選択により、45の2.4(e)(ⅴ)に定める書類を当該機関が受領し、又は優先日から二十二箇月の期間が満了する時のいずれか先に生ずる時まで、調査開始を遅らせることができる。

(b) 補充国際調査については、補充調査のために指定された機関が調査を開始する前に国際調査報告及び43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解を利用することができる場合には、それらを十分に考慮に入れて、出願時における国際出願又は45の2.1(b)(ⅲ)若しくは45の2.1(c)(ⅰ)に規定する翻訳文に基づいて行う。補充調査請求書に45の2.1(d)に規定する表示が記載されている場合には、補充国際調査は、45の2.1(d)の規定に従い出願人により特定された発明及び国際出願のうち当該発明に係る部分に減縮することができる。

(c) 補充国際調査については、第十七条(2)並びに13の3.1、第三十三規則及び第三十九規則を準用する。

(d) 補充調査のために指定された機関は、(a)の規定に基づき調査を開始する前に国際調査報告を利用することができる場合には、国際調査の対象とならなかつた請求の範囲を補充調査から除外することができる。

(e) 国際調査機関が第十七条(2)(a)に規定する宣言を行い、補充調査のために指定された機関が(a)の規定に基づく調査を開始する前に当該宣言を利用することができる場合には、当該補充調査のために指定された機関は、補充国際調査報告を作成しないことを決定することができる。この場合には、当該補充調査のために指定された機関は、その旨を宣言し、並びに出願人及び国際事務局に速やかに通知する。

(f) 補充国際調査は、少なくとも、第十六条(3)(b)に基づく関係取決めにおいて当該調査のために記載された資料について行う。

(g) 補充調査のために指定された機関が、45の2.9(a)に規定する限定又は条件(45の2.5(c)の規定によつて適用する第十七条(2)の規定に基づく限定を除く。)によつて調査の実施が完全に退けられると認める場合には、補充調査請求は、行われなかつたものとみなすものとし、当該機関は、その旨を宣言し、並びに出願人及び国際事務局に速やかに通知する。

(h) 補充調査のために指定された機関は、45の2.9(a)に規定する限定又は条件に従い、一部の請求の範囲のみに調査を減縮することを決定することができる。この場合において、補充国際調査報告には、その旨を表示する。

45の2.6 発明の単一性

(a) 補充調査のために指定された機関は、国際出願が発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、次のことを行う。

(ⅰ) 国際出願のうち、請求の範囲に最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分について、補充国際調査報告を作成すること。

(ⅱ) 国際出願が発明の単一性の要件を満たしていないとする当該機関の見解を出願人に通知し、かつ、その見解の理由を明記すること。

(ⅲ) (c)に規定する期間内に当該見解に関して検査を請求できることを、出願人に通知すること。

(b) 補充調査のために指定された機関は、国際出願が発明の単一性の要件を満たしているか否かを検討するに当たり、当該機関が補充国際調査を開始する前に45の2.4(e)(ⅵ)及び(ⅶ)の規定に基づき受領した書類を十分に考慮に入れる。

(c) 出願人は、(a)(ⅱ)の規定に基づく通知の日から一箇月以内に、(a)に規定する見解を検査することを補充調査のために指定された機関に請求することができる。当該機関は、検査の請求について、当該機関が定める額の検査手数料の当該機関への支払を条件とすることができる。

(d) 出願人が(c)に定める期間内に補充調査のために指定された機関による見解に関して検査を請求し、かつ、必要な検査手数料を支払う場合には、当該機関は、当該見解に関して検査を行う。当該検査は、検査の対象となつている決定を行つた者のみによつて行つてはならない。当該機関は、次の場合には、それぞれ次のことを行う。

(ⅰ) 当該機関が当該見解を完全に正当と認める場合には、その旨を出願人に通知すること。

(ⅱ) 当該機関が、当該見解について一部が不当であると認めるが、なお国際出願が発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、その旨を出願人に通知し、及び必要に応じて(a)(ⅰ)に定めるところによつて処理すること。

(ⅲ) 当該機関が当該見解を完全に不当と認める場合には、その旨を出願人に通知し、国際出願のすべての部分について補充国際調査報告を作成し、及び検査手数料を出願人に払い戻すこと。

(e) 検査の請求及び当該検査についての決定の書面については、出願人の請求により、補充国際調査報告とともに指定官庁に送達する。出願人は、第二十二条の規定に従つて要求される国際出願の翻訳文の提出とともにそれらの書面の翻訳文を提出する。

(f) 補充調査のために指定された機関が45の2.5(b)の第二文又は45の2.5(h)の規定に従い補充国際調査を減縮することを決定する場合には、(a)から(e)までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「国際出願」とあるのは、「国際出願のうち、45の2.1(d)の規定に基づき出願人が特定した発明に係る部分」又は「国際出願のうち、補充調査のために指定された機関が補充国際調査を実施する請求の範囲に係る部分及び国際出願のうち、補充調査のために指定された機関が補充国際調査を実施する部分」とそれぞれ読み替えるものとする。

45の2.7 補充国際調査報告

(a) 補充調査のために指定された機関は、優先日から二十八箇月以内に、補充国際調査報告を作成し、又は補充国際調査報告を作成しない旨を45の2.5(c)の規定によつて適用する第十七条(2)(a)の規定に基づいて宣言する。

(b) 補充国際調査報告、45の2.5(c)の規定によつて適用する第十七条(2)(a)の規定に基づく宣言及び45の2.5(e)の規定に基づく宣言は、すべて国際公開の言語で作成する。

(c) 補充国際調査報告の作成に当たつては、(d)及び(e)の規定に従うことを条件として、43.1、43.2、43.5、43.6、43.6の2、43.8及び43.10を準用する。43.9を準用する(ただし、43.3、43.7及び44.2の引用は、存在しないものとみなす。)。第二十条(3)及び44.3を準用する。

(d) 補充国際調査報告には、文献が国際調査報告に引用されていない他の文献との関連で列記する必要がある場合を除くほか、国際調査報告に引用されている文献を列記することを必要としない。

(e) 補充国際調査報告には、次の説明を記載することができる。

(ⅰ) 関連があると認められる文献の列記に関する説明

(ⅱ) 補充国際調査の範囲に関する説明

45の2.8 補充国際調査報告の送付及び効果

(a) 補充調査のために指定された機関は、補充国際調査報告又は補充国際調査報告を作成しない旨の宣言を、国際事務局及び出願人に各一通同一の日に送付する。

(b) (c)の規定に従うことを条件として、第二十条(1)並びに45.1、47.1(d)及び70.7(a)の規定は、補充国際調査報告が国際調査報告の一部であるものとして適用する。

(c) 国際予備審査機関は、書面による見解又は国際予備審査報告の作成を開始した後に補充国際調査報告を受領した場合には、書面による見解又は国際予備審査報告のために当該補充国際調査報告を考慮に入れることを必要としない。

45の2.9 補充国際調査を管轄する国際調査機関

(a) 国際調査機関は、補充国際調査を行う用意がある旨が第十六条(3)(b)に基づく関係取決めに記載されている場合には、当該取決めに規定する限定及び条件に従つて、補充国際調査を管轄する。

(b) 国際出願について第十六条(1)に基づき国際調査を行う国際調査機関は、当該国際出願について補充国際調査を管轄してはならない。

(c) (a)に規定する限定には、例えば、補充国際調査を行う対象となる事項に関する限定(45の2.5(c)の規定によって適用する第十七条(2)の規定に基づく限定を除く。)、特定の期間内に行う補充国際調査の総数に関する限定及び補充国際調査を一定の数を超える請求の範囲については行わない旨の限定を含むことができる。

第四十六規則 国際事務局に提出する請求の範囲の補正書

46.1 期間

 第十九条に規定する期間は、国際調査機関による国際事務局及び出願人への国際調査報告の送付の日から二箇月の期間又は優先日から十六箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間とする。ただし、第十九条の規定に基づく補正で当該期間の満了の後に国際事務局が受理したものは、その補正が国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。

46.2 提出先

 第十九条の規定に基づく補正書は、直接国際事務局に提出する。

46.3 補正書の言語

 国際出願が国際公開に用いられる言語以外の言語でされた場合には、第十九条の規定に基づく補正は、国際公開の言語でする。

46.4 説明書

(a) 第十九条(1)に規定する説明書は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語で作成するものとし、英語の場合又は英語に翻訳した場合に五百語を超えてはならない。説明書は、見出しによつて示すものとし、その見出しは、「第十九条(1)の規定に基づく説明書」の語句又は説明書の言語におけるこれと同義の語句を用いることが望ましい。

(b) (a)の説明書には、国際調査報告に関して誹謗する意見又は国際調査報告に列記された文献との関連性に関して誹謗する意見を記載してはならない。国際調査報告に列記された特定の請求の範囲に関連する文献についての言及は、当該請求の範囲の補正に関してのみ行うことができる。

46.5 補正書の形式

(a) 出願人は、第十九条の規定に基づく補正をする場合には、最初に提出したすべての請求の範囲と差し替えるために、完全な一式の請求の範囲を含む差替え用紙を提出しなければならない。

(b) 差替え用紙には、次のことを記載した書簡を添付する。

(ⅰ) 最初に提出した請求の範囲と補正により異なるものとなる請求の範囲を特定し、及び最初に提出した請求の範囲と補正後の請求の範囲との相違について注意を喚起すること。

(ⅱ) 最初に提出した請求の範囲であつて補正により削除されたものを特定すること。

(ⅲ) 出願時における国際出願中の補正の根拠を表示すること。

第四十七規則 指定官庁への送達

47.1 手続

(a) 第二十条に規定する送達は、93の2.1の規定に従い各指定官庁に対して、国際事務局が行う。ただし、47.4の規定が適用される場合を除くほか、その国際出願の国際公開より前に行うことはできない。

(aの2) 国際事務局は、93の2.1の規定に従い、各指定官庁に対し、記録原本の受理の事実及び日付並びに優先権書類の受理の事実及び日付を通知する。

(b) 46.1の規定に基づく期間内に国際事務局が受理した補正書が第二十条に規定する送達に含まれていなかつた場合には、国際事務局は、当該補正書を指定官庁に速やかに送達し、出願人にその旨を通知する。

(c)8 国際事務局は、優先日から二十八箇月を経過した後速やかに、出願人に対し、次の事項を記載した通知を送付する。

(ⅰ) 93の2.1の規定に基づいて第二十条に規定する送達を請求した指定官庁及びその送達の日付

(ⅱ) 93の2.1の規定に基づいて第二十条に規定する送達を請求しなかつた指定官庁

(cの2) 指定官庁は、次のとおり(c)に規定する通知を受け入れる。

(ⅰ) (c)(ⅰ)に規定する指定官庁の場合は、第二十条に規定する送達が通知に明記された日に正当に行われた証拠として。

(ⅱ) (c)(ⅱ)に規定する指定官庁の場合は、当該官庁を指定官庁として行動する締約国が、第二十二条の規定に基づく出願人による国際出願の写しの提供を要求しない証拠として。

(d) 各指定官庁は、要求したときは、45.1に定める翻訳による国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言をも受領する。

(e)8 指定官庁が、優先日から二十八箇月を経過する前に、93の2.1の規定に従い国際事務局に対し第二十条に規定する送達を請求しなかつたときは、当該官庁が指定官庁として行動する締約国は、49.1(aの2)の規定により、国際事務局に対し第二十二条の規定に基づく出願人による国際出願の写しの提出を要求しない旨を通知したものとみなされる。

47.2 写し

 送達に必要な写しは、国際事務局が作成する。送達に必要な写しに関するその他の細目は、実施細則で定めることができる。

47.3 言語

(a) 第二十条の規定に従つて送達される国際出願の言語は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語とする。

(b) 国際出願の国際公開に用いられる言語が当該国際出願がされた言語以外の言語である場合には、国際事務局は、指定官庁の要請があつたときは、国際出願がされた言語の国際出願の写しを当該指定官庁に提供する。

47.4 国際公開前の第二十三条(2)の規定に基づく明示の請求

 国際事務局は、出願人が国際出願の国際公開前に指定官庁に対し第二十三条(2)の規定に基づく明示の請求を行つた場合には、出願人又は当該指定官庁の請求により、当該指定官庁に対し第二十条に規定する送達を速やかに行う。

第四十八規則 国際公開

48.1 形式及び手段

 国際出願を国際公開する形式及び手段は、実施細則で定める。

48.2 内容

(a) 国際出願の国際公開は、次のものを含むものとする。

(ⅰ) 規格による表紙

(ⅱ) 明細書

(ⅲ) 請求の範囲

(ⅳ) 図面(該当する場合)

(ⅴ) 国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言((g)の規定が適用される場合を除く。)

(ⅵ) 第十九条(1)の規定に基づいて提出された説明書。ただし、当該説明書が46.4の規定に従つていないと国際事務局が認めた場合を除く。

(ⅶ) 国際事務局が、国際公開の技術的な準備が完了する前に91.3(d)の規定に基づく公表の要請を受理した場合には、91.3(d)に規定する明白な誤記の訂正のための請求、理由及び意見

(ⅷ) 明細書とは別個に第十三規則の二の規定に基づいて届け出た寄託された生物材料についての表示及び国際事務局が当該表示を受理した日付の表示

(ⅸ) 26の2.2(d)に規定する優先権の主張に関する情報

(ⅹ) 4.17に規定する申立て及び26の3.1に規定する補充であつて26の3.1に定める期間の満了前に国際事務局が受理したもの

(xi) 26の2.3の規定に基づく優先権の回復のための請求に関する情報、及び当該請求に基づく受理官庁による決定(当該決定が基づいた回復のための基準に関する情報も含む。)

(b) 表紙には、(c)の規定に従うことを条件として、次のものを掲載する。

(ⅰ) 願書から抽出する事項その他の実施細則で定める事項

(ⅱ) 8.2(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際出願が図面を含む場合には一又は二以上の図

(ⅲ) 要約。要約が英語及び他の言語の双方で作成されている場合には、英文を最初に掲載する。

(ⅳ) 該当する場合には、願書が4.17に規定する申立てを含む旨の表示であつて、26の3.1に定める期間の満了前に国際事務局が受理したもの

(ⅴ) 受理官庁が4.18及び20.6の規定に基づき要素又は部分を引用により含めることに基づいて、20.3(b)(ⅱ)、20.5の2(d)又は20.5(d)の規定に基づき国際出願日を認めた場合には、その旨の表示及び出願人が20.6(a)(ⅱ)のために優先権書類に関して17.1(a)、(b)若しくは(bの2)に従うことによつたかどうかの表示、又は先の出願の写しを別個に提出することによつたかどうかの表示

(ⅵ) 該当する場合には、公開された国際出願が26の2.2(d)の規定に基づく情報を含む旨の表示

(ⅶ) 該当する場合には、公開された国際出願が26の2.3の規定に基づく優先権の回復のための請求に関する情報及び当該請求に基づく受理官庁の決定を含む旨の表示

(ⅷ) 該当する場合には、誤つて提出された要素又は部分が20.5の2(b)又は(c)の規定に従つて国際出願から削除された旨の表示

(c) 第十七条(2)(a)の宣言が行われた場合には、表紙には、目立つようにその事実について言及するものとし、図面及び要約のいずれも掲載することを要しない。

(d) (b)(ⅱ)に掲げる図は、8.2に定めるところによつて選択する。その図は、縮小された形態で表紙に転載することができる。

(e) (b)(ⅲ)に掲げる要約の全体を表紙に掲載することができない場合には、その要約は、表紙の裏面に掲載する。48.3(c)の規定に従つて公開される必要がある場合における要約の翻訳文についても、同様とする。

(f) 請求の範囲について第十九条の規定に基づく補正がされた場合には、国際出願の国際公開には、出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文を含める。 同条(1)に規定する説明書も、その説明書が46.4の規定に従っていないと国際事務局が認める場合を除くほか、国際公開に含める。また、請求の範囲についての補正書の国際事務局による受理の日付を表示する。

(g) 国際公開の技術的な準備の完了の時に国際調査報告をまだ利用することができない場合には、表紙には、国際調査報告を利用することができなかった旨、及び国際調査報告が(利用することができるようになったときに)改訂された表紙とともに別個に公開される旨を掲載する。

(h) 国際公開の技術的な準備の完了の時に第十九条の規定に基づいて請求の範囲について補正をするための期間が満了していない場合には、表紙には、その事実について言及するものとし、同条の規定に基づいて請求の範囲について補正がされた場合に46.1の規定に基づく期間内に国際事務局がその補正を受理した後速やかに改訂された表紙とともに補正後の請求の範囲の全文を掲載する。同条(1)に規定する説明書が提出されたときは、その説明書が46.4の規定に従っていないと国際事務局が認める場合を除くほか、その説明書も、公開する。

(i) 国際出願の国際公開の技術的な準備が完了した後に、91.1の規定に基づく国際出願の明白な誤記の訂正の受理官庁、国際調査機関又は国際事務局による許可を、国際事務局が受理し、又は、該当する場合において付与したとき(該当する場合)には、訂正を含む用紙、又は差替え用紙及び91.2の規定に基づき提出される書簡とともに、すべての訂正を示す陳述を公開し、表紙を再度公開する。

(j) 国際出願の国際公開の技術的な準備が完了した時に26の2.3の規定に基づく優先権の回復のための請求がなお係属している場合には、公開された国際出願は、当該請求に基づく受理官庁の決定に代え、当該決定が利用できなかつた旨、及び当該決定が利用することができるようになつたときに別個に公開される旨の表示を含む。

(k) 国際事務局は、国際公開の技術的な準備が完了した後に91.3(d)の規定に基づく公開の請求を受理した場合には、当該公開の請求を受領した後に、当該規則に規定する訂正の請求、理由及び意見を速やかに公開し、表紙を再度公開する。

(l) 国際事務局は、次のことを認めるときは、国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局が受理した出願人による理由を示した請求により、情報を公開の対象から省略する。

(ⅰ) 当該情報が国際出願について公衆に周知する目的に明らかに資さないこと。

(ⅱ) 当該情報の公開により、いずれかの者の個人的な又は経済的な利益が明らかに損なわれること。

(ⅲ) 当該情報を利用する優先的な公共の利益がないこと。

26.4の規定は、出願人がこの(l)の規定に基づいて行う請求の対象である情報を提示する方法について準用する。

(m) 受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際事務局が(l)に規定する基準を満たす情報を認める場合には、(l)の規定に従つて出願人に国際公開の対象からの省略を請求するよう示唆することができる。

(n) 国際事務局が(l)の規定に従つて国際公開の対象から情報を省略し、及び当該情報が受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際予備審査機関が保有する国際出願の一件書類に含まれる場合には、国際事務局は、速やかにその旨を当該官庁及び当該機関に通知する。

48.3 言語

(a) 国際出願は、アラビア語、英語、スペイン語、中国語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、フランス語又はロシア語(「国際公開の言語」)でされた場合には、国際出願がされた言語で国際公開を行う。

(b) 国際出願は、国際公開の言語でされず、かつ、12.3又は12.4の規定により、国際公開の言語による翻訳文が提出された場合には、当該翻訳文の言語で国際公開される。

(c) 国際出願の国際公開が英語以外の言語で行われる場合には、国際調査報告(48.2(a)(ⅴ)の規定により公表された部分に限る。)又は第十七条(2)(a)の宣言、発明の名称、要約及び要約に添付する図に係る文言は、当該言語及び英語の双方で国際公開を行う。英語による翻訳文は、12.3の規定に基づき出願人が提出しない場合には、国際事務局の責任において作成する。

48.4 出願人の請求に基づく早期の国際公開

(a) 出願人が第二十一条(2)(b)及び第六十四条(3)(c)(ⅰ)の規定に基づいて国際公開を請求した場合において、国際出願とともに国際公開を行うために国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言をまだ利用することができないときは、国際事務局は、実施細則で定める額の特別の国際公開のための手数料を徴収する。

(b) 第二十一条(2)(b)及び第六十四条(3)(c)(ⅰ)の規定に基づく国際公開は、出願人が国際公開を請求した後及び、(a)の規定に従つて特別の手数料が支払われる場合には、その手数料の受領の後速やかに国際事務局が行う。

48.5 国内の公表の通知

 国際事務局による国際出願の国際公開が第六十四条(3)(c)(ⅱ)の規定に従つて行われるものである場合には、当該国内官庁は、同条(3)(c)(ⅱ)に規定する国内の公表を行つた後速やかにその国内の公表の事実を国際事務局に通知する。

48.6 特定の事実の公示

(a) 29.1(ⅱ)に規定する通知が当該国際出願の国際公開を取りやめることができる時よりも遅い時に国際事務局に到達した場合には、国際事務局は、速やかにその通知の要旨を公報に掲載する。

(b) 削除

(c) 国際公開の技術的な準備が完了した後に、第九十規則の二の規定に基づく国際出願、指定国の指定又は優先権の主張の取下げが行われた場合には、その取下げの通告は、公報に掲載する。

第四十九規則 第二十二条の規定に基づく写し、翻訳文及び手数料

49.1 通知

(a) 第二十二条の規定に基づき翻訳文の提出若しくは国内手数料の支払又はその双方を要求する締約国は、次の事項を国際事務局に通知する。

(ⅰ) 当該締約国が翻訳を要求する言語及びその翻訳文の言語

(ⅱ) 国内手数料の額

(aの2) 第二十二条の規定に基づく出願人による国際出願の写しの提出を要求しない(第四十七規則の規定に基づく国際事務局による国際出願の写しの送達が第二十二条に規定する期間の満了する時までに行われていない場合を含む。)締約国は、国際事務局にその旨を通知する。

(aの3) 自己が指定国である場合には、出願人が第二十二条に規定する当該期間の満了する時までに国際出願の写しを提出しない場合においても、第二十四条(2)の規定に従い第十一条(3)の効果を維持する締約国は、国際事務局にその旨を通知する。

(b) 国際事務局は、(a)、(aの2)又は(aの3)の規定に従つて受領した通知を速やかに公報に掲載する。

(c) 締約国は、(a)の要求を後に変更する場合には、その変更を国際事務局に通知するものとし、国際事務局は、その通知を速やかに公報に掲載する。変更は、当該変更前には要求されていなかつた言語による翻訳文を要求するものである場合には、通知が公報に掲載された後二箇月を経過した後にされる国際出願についてのみ効力を有する。その他の場合には、変更の効力発生の日は、当該締約国が定める。

49.2 言語

 翻訳文の言語として要求することができる言語は、指定官庁の公用語でなければならない。公用語が二以上ある場合において、国際出願がそれらの公用語のうちの一の言語で作成されているときは、翻訳を要求することができない。公用語が二以上ある場合において、翻訳文を提出しなければならないときは、出願人は、それらの公用語のうちのいずれか一の言語を選択することができる。この49.2の規定にかかわらず、公用語が二以上ある場合において、国内法令が外国人に対してはそれらの公用語のうちの一の言語を用いることを定めているときは、その言語による翻訳文を要求することができる。

49.3 第十九条の規定に基づく説明書及び13の2.4の規定による表示

 第二十二条及びこの第四十九規則の規定の適用上、第十九条(1)の規定に基づいて提出する説明書及び13の2.4の規定により届け出る表示は、49.5(c)及び(h)の規定に従うことを条件として、国際出願の一部とみなす。

49.4 国内様式の使用

 出願人は、第二十二条に規定する行為を行う時には、国内様式を使用することを要求されない。

49.5 翻訳文の内容及び様式上の要件

(a) 第二十二条の規定の適用上、国際出願の翻訳文は、明細書((aの2)の規定が適用される場合を除く。)、請求の範囲、図面の文言及び要約を含む。指定官庁が要求する場合には、翻訳文は、また、(b)、(cの2)及び(e)の規定に従うことを条件として、

(ⅰ) 願書を含み、

(ⅱ) 第十九条の規定に基づく請求の範囲の補正がされた場合には、出願時における請求の範囲及び補正後の請求の範囲を含み(補正後の請求の範囲は、最初に提出した全ての請求の範囲と差し替えるために、46.5(a)の規定に基づいて提出される完全な一式の請求の範囲の翻訳文の形式で提出する。)、並びに

(ⅲ) 図面の写しが添付されていなければならない。

(aの2) 指定官庁は、明細書の配列リストの部分が12.1(d)の規定に従い及び指定官庁が言語依存フリーテキストのために認める言語で記載された言語依存フリーテキストを含む場合には、明細書の配列リストの部分に含まれている文言の翻訳文を提出するよう出願人に要求してはならない。ただし、英語で記載された言語依存フリーテキストが含まれていない場合には、公表された配列リストをデータベースプロバイダに提供する指定官庁は、実施細則に定めるところにより、英語による明細書の配列リストの部分の翻訳文を要求することができる。

(b) 願書の翻訳文の提出を要求する指定官庁は、翻訳文の言語による願書の様式を出願人に無料で提供する。翻訳文の言語による願書の様式及び内容は、第三規則の願書の様式又は第四規則の願書の内容と異ならないものとし、特に、翻訳文の言語による願書の様式は、出願時における願書に記載されていないいかなる情報も要求しない。翻訳文の言語による願書の様式の使用は、任意とする。

(c) 出願人が第十九条(1)の規定に基づいて作成する説明書の翻訳文を提出しなかつた場合には、指定官庁は、その説明書を無視することができる。

(cの2) 出願人が出願時における請求の範囲及び補正後の請求の範囲の翻訳文を(a)(ⅱ)の規定に基づいて要求する指定官庁に対し要求されている二の翻訳文の一のみを提出した場合には、当該指定官庁は、提出されなかつた翻訳文に係る請求の範囲を無視し又は出願人に対し提出されなかつた翻訳文を事情に応じて相当のかつ指定する期間内に提出するよう求めることができる。当該指定官庁は、提出されなかつた翻訳文を提出するよう出願人に求めることを選択し、かつ、それが指定した期間内に提出されなかつた場合には、提出されなかつた翻訳文に係る請求の範囲を無視し又はその国際出願が取り下げられたものとみなすことができる。

(d) 図面に文言が記載されている場合には、その文言の翻訳文は、当初の文言の上にその翻訳文をはり付けた当初の図面の写し又は新たに作成した図面のいずれかの様式で提出する。

(e) (a)の規定に従つて図面の写しの提出を要求する指定官庁は、出願人が第二十二条に規定する期間内に当該写しを提出しなかつた場合には、出願人に対し、事情に応じて相当のかつ指定する期間内に当該写しの提出を求める。

(f) 「Fig.」という表現は、いかなる言語への翻訳も要しない。

(g) (d)又は(e)の規定に従つて提出された図面の写し又は新たに作成された図面が第十一規則に定める様式上の要件を満たしていない場合には、指定官庁は、出願人に対し、事情に応じて相当のかつ指定する期間内にこのような欠陥の補充を求めることができる。

(h) 出願人が要約の翻訳文又は13の2.4の規定により届け出る表示の翻訳文を提出しなかつた場合において、指定官庁が必要であると認めるときは、当該指定官庁は、出願人に対し、事情に応じて相当のかつ指定する期間内に翻訳文を提出するよう求める。

(i) 国際事務局は、(a)の第二文の規定に基づく指定官庁の要件及び運用に関する情報を公報に掲載する。

(j) 指定官庁は、国際出願の翻訳文が出願時における国際出願について定める様式上の要件以外の要件を満たすことを要求してはならない。

(k) 発明の名称が37.2の規定に基づき国際調査機関により決定された場合には、翻訳文には、当該国際調査機関が決定した発明の名称を含める。

(l) (cの2)又は(k)の規定が千九百九十一年七月十二日において指定官庁の適用する国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を千九百九十一年十二月三十一日までに国際事務局に通告することを条件として、同規定は、当該国内法令に引き続き適合しない間、当該指定官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

49.6 第二十二条に規定する行為を行わなかつた場合の権利の回復10

(a) 出願人が第二十二条に規定する行為を適用される期間内に行わなかつたことにより第十一条(3)に定める国際出願の効果が消滅した場合には、指定官庁は、出願人の請求により、かつ、(b)から(e)までの規定に従うことを条件として、期間が遵守されなかつたことが故意ではないと認めるとき又は指定官庁がその選択により、状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかかわらず期間が遵守されなかつたものであると認めるときは、その国際出願についての出願人の権利を回復する。

(b) (a)の請求の指定官庁への提出及び第二十二条に規定する行為は、次のいずれかのうち早く満了する期間内に行う。

(ⅰ) 第二十二条に規定する期間を遵守できなかつた理由がなくなつた日から二箇月

(ⅱ) 第二十二条に規定する期間が満了する日から十二箇月ただし、出願人は、指定官庁が適用する国内法令が認めるときは、より遅い時に請求することができる。

(c) (a)の請求には、第二十二条に規定する期間を遵守できなかつた理由を記載する。

(d) 指定官庁の適用する国内法令は、次のことを要求することができる。

(ⅰ) (a)の請求について手数料が支払われること

(ⅱ) (c)に規定する理由を裏付ける申立てその他の証拠を提出すること

(e) 指定官庁は、(a)の請求に関し、拒否しようとすることについて事情に応じた相当の期間内に意見を述べる機会を

第四十九規則の二 国内処理の目的のために求められる保護についての表示

49の2.1 特定の種類の保護の選択

(a) 出願人は、第四十三条が適用される指定国において国際出願が特許の付与ではなく同条に規定する他の種類の保護を求める出願として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、指定官庁に対しその旨を表示する。

(b) 出願人は、第四十四条が適用される指定国において国際出願が第四十三条に規定する二種類以上の保護を求める出願として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、指定官庁に対しその旨を表示する。該当する場合には、主として求める種類及び補助的に求める種類を明示する。

(c) (a)及び(b)に規定する場合において、出願人は、指定国において国際出願が追加特許、追加証、追加発明者証又は追加実用証として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、関連する原出願、原特許、原付与を表示する。

(d) 出願人は、指定国において国際出願が先の出願の継続出願又は一部継続出願として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、指定官庁に対しその旨を表示し、関連する原出願を特定する。

(e) 出願人が、第二十二条に規定する行為を行う時に、(a)に規定する明示の表示されていないが、出願人により支払われた第二十二条に規定する国内手数料が、特定の種類の保護の国内手数料に相当する場合、当該手数料の支払は、出願人が国際出願が当該種類の保護を求める出願として取り扱われることを希望する旨の表示とみなし、指定官庁は、その旨を出願人に通知する。

49の2.2 表示の届出の時

(a) 指定官庁は、第二十二条に規定する行為を行う前に、出願人に対し49の2.1に規定する表示又は、該当する場合には、国内特許若しくは広域特許を求める旨の表示を要求してはならない。

(b) 出願人は、当該指定官庁が適用する国内法令が認める場合には、その後いつでも、当該表示を提出し、該当する場合には、一の種類の保護を他の種類の保護に変更することができる。

第四十九規則の三 受理官庁による優先権の回復の効果、指定官庁による優先権の回復

49の3.1 受理官庁による優先権の回復の効果

(a) 受理官庁が当該優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかからわず生じたとの認定に基づき、26の2.3の規定に基づき優先権を回復した場合には、当該回復は、(c)の規定に従うことを条件として、各指定国において効力を有する。

(b) 受理官庁が当該優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが故意ではないと認定し、26の2.3の規定に基づき優先権を回復した場合には、当該回復は、(c)の規定に従うことを条件として、国内法令が当該基準、又は出願人からみて当該基準より有利な基準に基づく優先権の回復を規定する指定国において効力を有する。

(c) 26の2.3の規定に基づく受理官庁による優先権の回復の決定は、指定官庁、裁判所若しくはその他の権限のある機関又は当該指定国のために行動する機関が、26の2.3(a)の規定に基づき受理官庁に提出された請求に記載された理由及び26の2.3(b)(ⅲ)の規定に基づき受理官庁に提出された申立てその他の証拠を考慮に入れて、26の2.3(a)、(b)(ⅰ)又は(c)の規定に基づく要件が満たされていないと認めた指定国においては効力を有しない。

(d) 指定官庁は、(c)に規定する要件が満たされていることについて合理的な疑義がない限り、受理官庁の決定を検査してはならず、この場合には、指定官庁は出願人にその旨を通知し、当該疑義の理由を示し、また、出願人に相当な期間内に意見を述べる機会を与える。

(e) 指定国は、優先権の回復のための26の2.3の規定に基づく請求を拒否する受理官庁の決定に拘束されることはない。

(f) 受理官庁が優先権の回復のための請求を拒否する場合には、指定官庁は、当該請求を49の3.2(a)の規定に基づき当該規則に規定する期間内に指定官庁に提出された回復の請求とみなすことができる。

(g) 二千五年十月五日において(a)から(d)までの規定が指定官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これら規定は、その国内法令に適合しない間、当該指定官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。12

49の3.2 指定官庁による優先権の回復

(a) 国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴い、国際出願日が当該優先期間の満了の日の後であるが、当該満了の日から二箇月の期間内である場合には、指定官庁は、(b)の規定に基づく出願人の請求によつて、当該指定官庁が適用する基準(「回復のための基準」)が満たされていること、すなわち、優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが、次のいずれかの場合によると認めたときには、優先権を回復する。

(ⅰ) 状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかかわらず生じた場合

(ⅱ) 故意ではない場合各指定官庁は、これらの基準のうち少なくとも一つを採用し、また基準の両方を採用することができる。

(b) (a)の規定に基づく請求は、次のとおりとする。

(ⅰ) 第二十二条に規定する期間から一箇月の期間内に又は、出願人が第二十三条(2)の規定に基づき指定官庁に明示の請求を行つた場合には、指定官庁が当該請求を受領した日から一箇月の期間内に、当該指定官庁に提出する。

(ⅱ) 当該優先期間内に国際出願を提出されなかつたことの理由を記載するとともに、(c)の規定に基づき要求される申立てその他の証拠を公表することが望ましい。

(ⅲ) (d)の規定に基づき要求される回復請求のための手数料を添える。

(c) 指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に(b)(ⅱ)に規定する理由の記述を裏付ける申立てその他の証拠を要求することができる。

(d) (a)の規定に基づく請求の提出は、回復請求手数料の指定官庁への支払を条件とすることができる。

(e) 指定官庁は、(a)の規定に基づく請求の全部又は一部に関し、拒否しようとすることについて事情に応じて相当の期間内に意見を述べる機会を出願人に与えることなく、これを拒否しない。指定官庁による拒否しようとする書面は、(c)の規定に基づく申立てその他の証拠を提出する求めとともに出願人に送付できる。

(f) 指定官庁が適用する国内法令が、優先権の回復に関して、出願人の立場からみて、(a)及び(b)の規定に基づく要件よりも有利な要件を規定する場合には、当該指定官庁は、優先権を決定する場合に、当該(a)及び(b)の規定に基づく要件に代わり、国内法令の規定に基づく要件を適用することができる。

(g) 各指定官庁は、当該指定官庁が適用する回復のための基準、要件、該当する場合には(f)の規定に従つて適用される国内法令、及びこれに関する後の変更を国際事務局に通知するものとする。国際事務局は、当該情報を速やかに公報に掲載する。

(h) 二千五年十月五日において(a)から(g)までの規定が指定官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、当該国内法令に適合しない間、当該指定官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。13

第五十規則 第二十二条(3)の規定に基づく権能

50.1 権能の行使

(a) 第二十二条(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を認める締約国は、その定めた期間を国際事務局に通知する。

(b) 国際事務局は、(a)の規定に従つて受領した通知を速やかに公報に掲載する。

(c) 先に定めた期間の短縮に関する通知は、国際事務局がその通知を公報に掲載した日から起算して三箇月を経過した後にされる国際出願について効力を有する。

(d) 先に定めた期間の延長に関する通知は、国際事務局がその通知を公報に掲載した時から、その掲載の際現に係属しており又はその掲載の日の後にされる国際出願について効力を有する。ただし、通知を行う締約国が一層遅い日を定める場合には、その日から効力を有する。

第五十一規則 指定官庁による検査

51.1 写しの送付を請求するための期間

 第二十五条(1)(c)に規定する期間は、20.4(ⅰ)、24.2(c)又は29.1(ⅱ)の規定による出願人に対する通知の日から起算して二箇月とする。

51.2 通知の写し

 出願人は、第十一条(1)の規定に基づく否定的な決定を受領した後に、国際出願として提出されたものの一件書類の写しを指定官庁のうち特定したものに送付するよう第二十五条(1)の規定に基づき国際事務局に対して請求する場合には、その請求に20.4(ⅰ)の通知の写しを添付する。

51.3 国内手数料の支払及び翻訳文の提出のための期間

 第二十五条(2)(a)に規定する期間は、51.1に定める期間と同時に満了するものとする。

第五十一規則の二 第二十七条の規定に基づいて認められる国内的要件

51の2.1 認められる国内的要件

(a) 51の2.2の規定に従うことを条件として、第二十七条の規定に従い、指定官庁が適用する国内法令により出願人に提出を要求することができるものは、特に次のものを含む。

(ⅰ) 発明者の特定に関する書類

(ⅱ) 出願し及び特許を与えられる出願人の資格に関する書類

(ⅲ) 出願人が先の出願をした出願人でない場合又は先の出願がされた日以後出願人の氏名が変更されている場合には、先の出願に基づく優先権を主張する出願人の資格に関する証明を含む書類

(ⅳ) 国内法令が二千十二年十月九日の時点において発明者であることについての宣誓又は申立ての提出を要求している国を指定して国際出願がされた場合には、発明者であることについての宣誓又は申立てを含む書類

(ⅴ) 特定の期間内における不当な行為に起因する開示、特定の博覧会における開示及び出願人による開示のような不利にならない開示に関する証拠又は新規性の喪失の例外に関する証拠

(ⅵ) 願書に署名をしていない当該指定国における出願人について、署名によつて国際出願を確認するもの

(ⅶ) 当該指定国における出願人に関する4.5(a)(ⅱ)及び(ⅲ)の規定により要求される表示のうち、願書から欠落しているもの

(ⅷ) 82の3.1に規定する場合において、20.5の2(b)又は(c)の規定に従つて国際出願から削除された誤つて提出された要素又は部分の翻訳

(b) 指定官庁が適用する国内法令は、第二十七条(7)の規定に従い、次のことを要求することができる。

(ⅰ) 当該指定官庁に対して出願人を代理する資格を有する代理人によつて出願人が代理されること又は出願人が通知を受け取るためのあて名を指定国内に有すること。

(ⅱ) 出願人を代理する代理人がある場合には、当該代理人は、出願人によつて正当に選任されること。

(c) 指定官庁が適用する国内法令は、第二十七条(1)の規定に従い、国際出願、その翻訳文又は国際出願に関する書類を二通以上提出することを要求することができる。

(d) 指定官庁が適用する国内法令は、第二十七条(2)(ⅱ)の規定に従い、第二十二条の規定に基づいて出願人が提出する国際出願の翻訳文が次の要件を満たすことを要求することができる。

(ⅰ) 出願人又は国際出願を翻訳した者が、その知識の及ぶ限りにおいて完全かつ正確である旨の陳述をもつて証明すること

(ⅱ) 公の当局又は宣誓した翻訳者が認証すること。ただし、指定官庁が翻訳の正確性について合理的な疑義を有する場合に限る。

(e) 指定官庁が適用する国内法令は、第二十七条の規定に従い、出願人に対し優先権書類の翻訳文を提出することを要求することができる。ただし、次の場合に限る。

(ⅰ) 優先権の主張の有効性が、その発明が特許を受けることができるかどうかについての判断に関連する場合

(ⅱ) 受理官庁が4.18及び20.6の規定に基づき要素又は部分を引用により含めることに基づいて、20.3(b)(ⅱ)、20.5(d)又は20.5の2(d)の規定に基づき国際出願日が認められた場合において、82の3.1(b)の規定に基づき当該要素又は部分が優先権書類に完全に記載されているかどうかを決定するために、指定官庁が適用する国内法令が、明細書、請求の範囲又は図面の部分については、出願人に優先権書類の翻訳文のどの部分に当該部分が記載されているかに関する表示を提出することを要求できる場合

51の2.2 書類又は証拠を要求することができない場合

 指定官庁は、関連する表示又は申立ての真実性について合理的な疑義がない限り、次の書類又は証拠を要求することができない。

(ⅰ) 発明者に関する表示が4.6の規定に従つて願書に記載されているとき又は発明者の特定に関する申立てが4.17(ⅰ)の規定に従つて願書に記載されているとき若しくは指定官庁に直接提出されたときには、発明者の特定に関する書類又は証拠(51の2.1(a)(ⅰ))(ただし、発明者であることについての宣誓又は申立て(51の2.1(a)(ⅳ))を含む書類を除く。)

(ⅱ) 出願し及び特許を与えられる国際出願日における出願人の資格に関する申立てが4.17(ⅱ)の規定に従つて願書に記載されているとき又は指定官庁に直接提出されたときには、当該出願人の資格に関する書類又は証拠(51の2.1(a)(ⅳ))

(ⅲ) 先の出願に基づく優先権を主張する国際出願日における出願人の資格に関する申立てが4.17(ⅲ)の規定に従つて願書に記載されているとき又は指定官庁に直接提出されたときには、当該出願人の資格に関する書類又は証拠(51の2.1(a)(ⅲ))

(ⅳ) 発明者であることについての申立てが4.17(ⅳ)の規定に従つて願書に記載されているとき又は指定官庁に直接提出されたときには、発明者であることについての宣誓又は申立てを含む書類又は証拠(51の2.1(a)(ⅳ))

51の2.3 国内的要件を満たすための機会

(a) 51の2.1(a)(ⅰ)から(ⅳ)まで及び(c)から(e)までに規定する要件又は指定官庁が適用する国内法令で定める他の要件であつて、当該指定官庁が第二十七条(1)又は(2)の規定に基づいて適用できるものが、第二十二条の規定に基づく要件を満たさなければならない期間と同一の期間内に満たされていない場合には、指定官庁は、出願人に対し、求めの日から少なくとも二箇月の期間内に、当該要件を満たすことを求める。各指定官庁は、出願人に対して、求めに応じて国内的要件を満たすことに対して料金を支払うことを要求することができる。

(b) 指定官庁が適用する国内法令で定める要件であつて、当該指定官庁が第二十七条(6)又は(7)の規定に基づいて適用できるものが、第二十二条の規定に基づく要件を満たさなければならない期間と同一の期間内に満たされていない場合には、出願人は、当該期間の満了後に当該要件を満たすための機会を有する。

(c) (a)の規定が二千年三月十七日において(a)の規定の期間に関して指定官庁の適用する国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千年十一月三十日までに国際事務局に通告することを条件として、(a)の規定は、当該国内法令に引き続き適合しない間、当該指定官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

第五十二規則 指定官庁における請求の範囲、明細書及び図面の補正

52.1 期間

(a) 特別の請求なしに処理又は審査が開始される指定国においては、出願人は、希望するときは、第二十二条の規定に基づく要件を満たした時から一箇月以内に、第二十八条の規定に基づく権利を行使する。ただし、47.1の送達が第二十二条に規定する当該期間の満了する時までに行われなかつた場合には、当該期間の末日の後四箇月以内に行使する。もつとも、いずれの場合においても、指定国の国内法令が認めるときは、その後いつでも行使することができる。

(b) 国内法令が特別の請求によつてのみ審査が開始されることを定めている指定国においては、出願人が第二十八条の規定に基づく権利を行使することができる期間又は時は、特別の請求による国内出願の審査の場合における補正書の提出のための国内法令に定める期間又は時と同一とする。ただし、その期間又は時が(a)に規定する当該期間の満了前に満了せず又は到来しないことを条件とする。

C部 第二章に関する規則
第五十三規則 国際予備審査の請求書

53.1 様式

(a) 国際予備審査の請求書は、印刷した様式を用いて作成し、又はコンピューター印字により表す。印刷した様式及びコンピューター印字により表した国際予備審査の請求書に関する細目は、実施細則で定める。

(b) 印刷した国際予備審査の請求書の様式は、受理官庁又は国際予備審査機関が無料で提供する。

53.2 内容

(a) 国際予備審査の請求書には、次の事項を記載する。

(ⅰ) 申立て

(ⅱ) 出願人及び、代理人がある場合には、代理人に関する表示

(ⅲ) 国際予備審査の請求に係る国際出願に関する表示

(ⅳ) 該当する場合には、補正に関する記述

(b) 国際予備審査の請求書には、署名をする。

53.3 申立て

 申立ては、次の趣旨によるものとし、次の文言とすることが望ましい。特許協力条約第三十一条の規定に基づく請求署名者は、次の国際出願が特許協力条約に従つて国際予備審査の対象とされることを請求する。

53.4 出願人

 出願人に関する表示については、4.4及び4.16の規定を適用するものとし、4.5の規定を準用する。

53.5 代理人又は共通の代表者

 代理人又は共通の代表者が選任されている場合には、国際予備審査の請求書にはその旨を記載する。この場合には、4.4及び4.16の規定を適用するものとし、4.7の規定を準用する。

53.6 国際出願の特定

 国際出願は、出願人の氏名又は名称及びあて名、発明の名称、国際出願日(出願人が知つている場合)並びに国際出願番号又は、国際出願番号を出願人が知らない場合には、国際出願がされた受理官庁の名称によつて特定する。

53.7 国の選択

 国際予備審査の請求書の提出は、指定された国であつて第二章の規定に拘束される全締約国の選択を構成する。

53.8 署名

 国際予備審査の請求書には、出願人が署名をする。二人以上の出願人がある場合には、国際予備審査の請求をしたすべての出願人が署名をする。

53.9 補正に関する記述

(a) 出願人は、第十九条の規定に基づく補正が行われた場合には、国際予備審査のため、補正に関する記述にその補正について次のいずれを希望するかを表示する。

(ⅰ) 当該補正を考慮する。この場合には、国際予備審査の請求書とともに補正書の写し及び46.5(b)の規定に従つて要求される書簡の写しを提出することが望ましい。

(ⅱ) 当該補正は、第三十四条の規定に基づく補正により取り消されたものとみなす。

(b) 第十九条の規定に基づく補正が行われておらず、かつ、そのような補正書を提出する期間が満了していない場合には、この記述に、国際予備審査機関が69.1(b)の規定に従い国際調査と同時に国際予備審査を開始することを希望する場合には、69.1(d)の規定に従い国際予備審査の開始を延期することを希望する旨を表示することができる。

(c) 第三十四条の規定に基づく補正書を国際予備審査の請求書とともに提出する場合には、その旨を補正に関する記述に表示する。

第五十四規則 国際予備審査の請求をする資格を有する出願人

54.1 住所及び国籍

(a) (b)の規定に従うことを条件として、出願人の住所及び国籍は、第三十一条(2)の規定の適用上、18.1の(a)及び(b)の規定に従つて決定する。

(b) 国際予備審査機関は、実施細則に定めるところにより、受理官庁に対し又は、国際出願が受理官庁としての国際事務局にされた場合には、関係締約国の国内官庁若しくはその関係締約国のために行動する国内官庁に対し、出願人が自ら居住者又は国民であると主張する締約国の居住者又は国民であるかどうかの問題について決定を行うよう要請する。国際予備審査機関は、出願人にその要請について通知する。出願人は、当該国内官庁に対して直接論拠を提出する機会を有する。当該国内官庁は、その問題について速やかに決定を行う。

54.2 国際予備審査の請求をする権利

 国際予備審査の請求をする出願人又は、二人以上の出願人がある場合にはそのうちの少なくとも一人の出願人が、第二章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民であり、かつ、第二章の規定に拘束される締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁に国際出願した場合には、第三十一条(2)の規定に基づく国際予備審査の請求をすることができる。

54.3 受理官庁としての国際事務局にされた国際出願

 国際出願が19.1(a)(ⅲ)の規定に基づいて受理官庁としての国際事務局にされた場合には、国際事務局は、第三十一条(2)(a)の規定の適用上、出願人がその居住者又は国民である締約国のために行動するものとみなす。

54.4 国際予備審査の請求をする資格を有しない出願人

 出願人又は、二人以上の出願人がある場合においては、いずれの出願人も54.2の国際予備審査の請求をする資格を有しない場合には、当該請求は、行われなかつたものとみなす。

第五十四規則の二 国際予備審査の請求をするための期間

54の2.1 国際予備審査の請求をするための期間

(a) 国際予備審査の請求は、次の期間のうちいずれか遅く満了する期間までにすることができる。

(ⅰ) 出願人への国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言及び43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解の送付から三箇月

(ⅱ) 優先日から二十二箇月

(b) (a)に規定する期間の経過後になされた国際予備審査の請求は提出されなかつたものとみなし、国際予備審査機関は、その旨を宣言する。

第五十五規則 言語(国際予備審査)

55.1 国際予備審査の請求書の言語

 国際予備審査の請求書は、国際出願の言語又は、国際出願が国際公開に用いられる言語以外の言語でされた場合には、国際公開の言語で作成する。ただし、国際出願の翻訳文が55.2の規定に基づき要求される場合には、国際予備審査の請求書は、当該翻訳文の言語で作成する。

55.2 国際出願の翻訳文

(a) 国際出願がされる言語及び国際出願が国際公開される言語のいずれもが国際予備審査を行う国際予備審査機関が認める言語でない場合には、出願人は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際予備審査の請求書とともに、次の(ⅰ)及び(ⅱ)に該当する言語による国際出願の翻訳文を提出する。

(ⅰ) 国際予備審査機関が認める言語

(ⅱ) 国際公開の言語

(aの2) 国際出願の(a)に規定する言語への翻訳文は、出願人が20.3(b)、20.5の2(b)、20.5の2(c)又は20.6(a)の規定に基づき提出する第十一条(1)(ⅲ)(d)又は(e)に規定する要素、及び出願人が20.5(b)、20.5(c)、20.5の2(b)、20.5の2(c)又は20.6(a)の規定に基づき提出する20.6(b)の規定に基づき国際出願に含まれていたとみなされる明細書、請求の範囲又は図面の部分を含むものとする。

(aの3) 国際予備審査機関は、(a)の規定に基づき提出された翻訳文について、第十一規則に定める様式上の要件が、国際予備審査のために必要な程度にまで満たされているかいないかを点検する。

(b) (a)に規定する言語による国際出願の翻訳文が23.1(b)の規定に基づき国際調査機関に送付され、かつ、国際予備審査機関が国際調査機関と同一の国内官庁又は政府間機関の一部である場合には、出願人は、(a)の規定に基づく翻訳文を提出することを必要としない。この場合には、出願人が(a)の規定に基づく翻訳文を提出しない限り、国際予備審査は、23.1(b)の規定に基づき送付される翻訳文に基づいて行う。

(c) (a)、(a の2)及び(a の3)に規定する要件が満たされず、かつ、(b)の規定が適用されない場合には、国際予備審査機関は、出願人に対し、事情に応じて相当の期間内に要求する翻訳文又は必要な補充書を提出するよう求める。その期間は、求めの日から一箇月以上とするものとし、決定が行われる前はいつでも、国際予備審査機関が延長することができる。

(d) 出願人が(c)に定める期間内に求めに応ずる場合には、(a)、(a の2)及び(a の3)の要件が満たされたものとみなす。出願人が求めに応じない場合には、国際予備審査の請求書は、提出されなかつたものとみなし、国際予備審査機関は、その旨を宣言する。

55.3 補正書及び書簡の言語及び翻訳文

(a) 国際出願が国際公開に用いられる言語以外の言語により行われた場合には、(b)の規定に従うことを条件として、第三十四条の規定に基づく補正書並びに66.8(a)及び66.8(b)に規定する書簡並びに66.8(c)の規定によつて準用する46.5(b)に規定する書簡は、国際公開の言語によつて提出する。

(b) 国際出願の翻訳文が55.2の規定に基づいて要求される場合には、次の補正書又は書簡は、当該翻訳文の言語によるものとする。当該補正書又は書簡が別の言語によつて提出された又は提出されるときは、翻訳文についても、提出する。

(ⅰ) (a)に規定する補正書及び書簡

(ⅱ) 66.1(c)又は(d)の規定に基づいて考慮すべき第十九条の規定に基づく補正書及び46.5

(b)に規定する書簡

(c) 補正書又は書簡が(a)又は(b)の規定に従つて要求される言語によつて提出されない場合には、国際予備審査機関は、出願人に対し、事情に応じて相当の期間内に当該言語による補正書又は書簡を提出するよう求める。その期間は、その求めの日から一箇月以上とするものとし、決定が行われる前はいつでも、国際予備審査機関が延長することができる。

(d) 出願人が、(c)に規定する期間内に要求される言語による補正書を提出する求めに応じない場合には、国際予備審査において当該補正書を考慮しない。出願人が、(c)に規定する期間内に要求される言語による(a)に規定する書簡を提出する求めに応じない場合には、国際予備審査において当該補正書を考慮に入れることを要しない。

第五十六規則 削除
第五十七規則 取扱手数料

57.1 支払の義務

 各国際予備審査の請求については、当該請求が提出される国際予備審査機関が徴収する国際事務局のための手数料(「取扱手数料」)を支払わなければならない。

57.2 額及び移転

(a) 取扱手数料の額は、手数料表に掲げるとおりとする。

(b) 取扱手数料は、国際予備審査機関が定める一の通貨又は二以上の通貨(以下この57.2において「所定の通貨」という。)のうちの一の通貨で支払う。

(c) 所定の通貨がスイス・フランである場合には、国際予備審査機関は、96.2の規定に従つて取扱手数料をスイス・フランにより国際事務局に移転する。

(d) 所定の通貨が、スイス・フラン以外の通貨である場合においては、次の(ⅰ)又は(ⅱ)に規定するとおりとする。

(ⅰ) 所定の通貨がスイス・フランに自由に交換することができるものであるときは、事務局長は、取扱手数料の支払のための通貨として所定の通貨を定めている各国際予備審査機関ごとに、総会が定めた指針により、所定の通貨による当該手数料の換算額を決定する。国際予備審査機関は、96.2の規定に従つて所定の通貨による当該手数料の換算額を国際事務局に移転する。

(ⅱ) 所定の通貨がスイス・フランに自由に交換することができるものでないときは、国際予備審査機関は、取扱手数料を所定の通貨からスイス・フランに交換する責任を負うものとし、96.2の規定に従い、手数料表に掲げる額の当該手数料をスイス・フランにより国際事務局に移転する。また、国際予備審査機関が希望する場合には、当該国際予備審査機関は、取扱手数料を所定の通貨からユーロ又は合衆国ドルに交換し、96.2の規定に従い、(ⅰ)に規定する総会が定めた指針により事務局長が決定する当該手数料の換算額をユーロ又は合衆国ドルにより国際事務局に移転することができる。

57.3 支払期間及び支払額

(a) (b)及び(c)の規定に従うことを条件として、取扱手数料は、国際予備審査の請求書が提出された日から一箇月以内又は優先日から二十二箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間内に支払う。(

b) (c)の規定に従うことを条件に、国際予備審査の請求書が59.3の規定により国際予備審査機関に送付された場合には、取扱手数料は、当該国際予備審査機関が当該請求書を受理した日から一箇月以内又は優先日から二十二箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間内に支払う。

(c) 国際予備審査機関は、69.1(b)の規定に従い、国際調査と同時に国際予備審査を開始することを希望するときは、取扱手数料を求めの日から一箇月の期間内に支払うよう出願人に求める。

(d) 取扱手数料の支払額は、支払の日に適用される額とする。

57.4 払戻し

 国際予備審査機関は、次の場合には、取扱手数料を出願人に払い戻す。

(ⅰ) 当該国際予備審査機関が国際予備審査の請求書を国際事務局に送付する前に、国際予備審査の請求が取り下げられた場合

(ⅱ) 54.4又は54の2.1(b)の規定に基づき、国際予備審査の請求が行われなかつたものとみなされた場合

第五十八規則 予備審査手数料

58.1 手数料を要求する権利

(a) 各国際予備審査機関は、出願人に対し、国際予備審査の実施並びに条約及びこの規則によつて国際予備審査機関に与えられたその他のすべての任務の遂行に係る手数料(「予備審査手数料」)を支払うことを要求することができる。

(b) 予備審査手数料の額は、国際予備審査機関が定める。予備審査手数料の支払期間及び支払額については、取扱手数料に関する57.3の規定を準用する。

(c) 予備審査手数料は、国際予備審査機関に直接に支払う。予備審査手数料は、国際予備審査機関が国内官庁である場合には当該国内官庁が定める通貨で、国際予備審査機関が政府間機関である場合には当該政府間機関の所在する国の通貨又はその国の通貨に自由に交換することができる通貨で支払う。

58.2 削除

58.3 払戻し

 国際予備審査機関は、国際予備審査の請求が行われなかつたものとみなされた場合に予備審査手数料として支払われた額を払い戻す範囲(該当する場合)及び条件(該当する場合)を国際事務局に通報するものとし、国際事務局は、速やかにその通報を公表する。

第五十八規則の二 手数料の支払期間の延長

58の2.1 国際予備審査機関による求め

(a) 国際予備審査機関は、次の場合には、これらの手数料を賄うために必要な額及び、該当するときは、58の2.2の規定に基づく後払手数料を求めの日から一箇月の期間内に支払うよう出願人に求める。

(ⅰ) 当該国際予備審査機関に支払われた額が取扱手数料及び予備審査手数料に不足すると認めた場合、又は

(ⅱ) 57.3及び58.1(b)の規定に基づく支払時期までに手数料が当該国際予備審査機関に支払われていないと認めた場合

(b) 国際予備審査機関が(a)の規定に基づく求めを送付し、かつ、出願人が(a)に規定する期間内に支払うべき額(該当する場合には、58の2.2の規定に基づく後払手数料を含む。)を完全に支払わなかつた場合には、国際予備審査の請求は、(c)の規定が適用される場合を除くほか、行われなかつたものとみなし、国際予備審査機関はその旨を宣言する。

(c) 国際予備審査機関が(a)の規定に基づく求めを送付する前に受領した支払は、57.3又は58.1

(b)に規定する期間の満了前に受領したものとみなす。

(d) 国際予備審査機関が(b)の規定に基づく手続を行う前に受領した支払は、(a)の規定に基づく期間の満了前に受領したものとみなす。

58の2.2 後払手数料

(a) 国際予備審査機関は、58の2.1(a)の規定に基づく求めに応じた手数料の支払には、後払手数料の国際予備審査機関への支払を条件とすることができる。その額は、次のとおりとする。

(ⅰ) 求めにおいて特定された未払の手数料の額の五十パーセント

(ⅱ) (ⅰ)の規定に基づき計算された額が取扱手数料より少ない場合には、取扱手数料に等しい額

(b) 後払手数料の額は、取扱手数料の額の二倍を超えてはならない。

第五十九規則 管轄国際予備審査機関

59.1 第三十一条(2)(a)の規定に基づく国際予備審査の請求

(a) 第三十一条(2)(a)の規定に基づいて行われた国際予備審査の請求については、第二章の規定に拘束される各締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁は、第三十二条(2)及び(3)の関係取決めに従い、自己にされた国際出願の国際予備審査を管轄する国際予備審査機関を国際事務局に通知する。国際事務局は、その通知を速やかに公表する。二以上の国際予備審査機関が管轄する場合には、35.2の規定を準用する。

(b) 国際出願が19.1(a)(ⅲ)の規定に基づいて受理官庁としての国際事務局にされた場合には、35.3の(a)及び(b)の規定を準用する。(a)の規定は、19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局については、適用しない。

59.2 第三十一条(2)(b)の規定に基づく国際予備審査の請求

 第三十一条(2)(b)の規定に基づいて行われた国際予備審査の請求については、総会は、いずれかの国内官庁にされた国際出願について管轄する国際予備審査機関を特定するに当たり、当該国内官庁が国際予備審査機関である場合には当該国内官庁を優先させ、当該国内官庁が国際予備審査機関でない場合には当該国内官庁が推薦する国際予備審査機関を優先させる。

59.3 管轄国際予備審査機関への国際予備審査の請求書の送付

(a) 国際予備審査の請求書が受理官庁、国際調査機関又は国際出願の国際予備審査を管轄しない国際予備審査機関に提出された場合には、当該官庁又は当該機関は、当該請求書に受理の日付を付し、(f)の規定に基づく手続を行うことを決定する場合を除くほか、速やかに、国際事務局に対し当該請求書を送付する。

(b) 国際予備審査の請求書が国際事務局に提出された場合には、国際事務局は、当該請求書に受理の日付を付す。

(c) 国際予備審査の請求書が(a)の規定により国際事務局に送付され又は(b)の規定により国際事務局に提出された場合には、国際事務局は、速やかに次のことを行う。

(ⅰ) 一の管轄国際予備審査機関のみがある場合には、国際予備審査の請求書を当該国際予備審査機関に送付し、出願人にその旨を通知すること。

(ⅱ) 二以上の管轄国際予備審査機関がある場合には、出願人に対し、54の2.1(a)に規定する期間又はその求めの日から十五日のうちいずれか遅い日までに、国際予備審査の請求書を送付すべき管轄国際予備審査機関を表示するよう求めること。

(d) (c)(ⅱ)の規定に基づいて要求される表示の提出があつた場合には、国際事務局は、速やかに、出願人が表示した管轄国際予備審査機関に対して国際予備審査の請求書を送付する。表示が提出されなかつた場合には、国際予備審査の請求書は、提出されなかつたものとみなし、国際事務局は、その旨を宣言する。

(e) 国際予備審査の請求書は、(c)の規定に従つて管轄国際予備審査機関に送付された場合には、(a)又は(b)の規定により当該請求書に付された受理の日付の日に当該国際予備審査機関に代わつて(a)の官庁若しくは機関又は(b)の国際事務局が受理したものとみなし、送付された国際予備審査の請求書は、当該日付に当該国際予備審査機関が受理したものとみなす。

(f) (a)の規定により国際予備審査の請求書を提出された官庁又は機関が、当該請求書を管轄国際予備審査機関に直接送付することを決定する場合には、(c)から(e)までの規定を準用する。

第六十規則 国際予備審査の請求又は選択の欠陥

60.1 国際予備審査の請求書の欠陥

(a) (aの2)及び(aの3)の規定に従うことを条件として、国際予備審査の請求書が53.1、53.2(a)の(ⅰ)から(ⅲ)まで、53.2(b)、53.3から53.8まで及び55.1に定める要件を満たしていない場合には、国際予備審査機関は、出願人に対し、事情に応じて相当の期間内に欠陥の補充をすることを求める。その期間は、求めの日から一箇月以上とするものとし、決定が行われる前はいつでも、国際予備審査機関が延長することができる。

(aの2) 53.4の規定の適用上、二人以上の出願人がある場合において、4.5(a)(ⅱ)及び(ⅲ)に規定する表示が出願人のうちの一人であつて54.2の規定により国際予備審査の請求を行うことができる者についてされているときは、十分なものとする。

(aの3) 53.8の規定の適用上、二人以上の出願人がある場合において、国際予備審査の請求が出願人のうちの一人により署名されているときは、十分なものとする。

(b) 出願人が(a)に定める期間内に(a)の求めに応ずる場合には、国際予備審査の請求書は、提出された国際予備審査の請求書が当該国際出願を特定することができることを条件として、実際の請求日に受理されたものとみなす。その他の場合には、国際予備審査の請求書は、国際予備審査機関が(a)の補充を受領した日に受理されたものとみなす。

(c) 出願人が(a)に定める期間内に(a)の求めに応じない場合には、国際予備審査の請求は、行われなかつたものとみなし、国際予備審査機関は、その旨を宣言する。

(d) 削除

(e) 国際事務局は、欠陥を発見した場合には、その欠陥について国際予備審査機関の注意を喚起するものとし、国際予備審査機関は、(a)から(c)までに定めるところによつて処理する。

(f) 国際予備審査の請求書が補正に関する記述を含んでいない場合には、国際予備審査機関は、66.1及び69.1(a)又は(b)の定めるところによつて処理する。

(g) 補正に関する記述が第三十四条の規定に基づく補正書を国際予備審査の請求書とともに提出する旨の表示(53.9(c))を含んでいるがそのような補正書が実際には提出されていない場合には、国際予備審査機関は、出願人に対し指定した期間内に補正書を提出することを求め、かつ、69.1(e)の定めるところによつて処理する。

第六十一規則 国際予備審査の請求及び選択の通知

61.1 国際事務局及び出願人への通知

(a) 国際予備審査機関は、国際予備審査の請求書に受理の日又は、該当する場合には、60.1(b)に規定する日を表示する。国際予備審査機関は、当該請求書を国際事務局に速やかに送付し及びその写しを一件書類に保存し、又はその写しを国際事務局に送付し及び当該請求書を一件書類に保存する。

(b) 国際予備審査機関は、出願人に対し、国際予備審査の請求書の受理の日を速やかに通知する。国際予備審査の請求が54.4、55.2(d)、58の2.1(b)若しくは60.1(c)の規定により行われなかつたものとみなされた場合には、国際予備審査機関は、出願人及び国際事務局に対しその旨を通知する。

61.2 選択官庁への通知

(a) 第三十一条(7)の通知は、国際事務局が行う。

(b) (a)の通知には、国際出願番号、国際出願日、出願人の氏名又は名称、優先権の主張の基礎となる出願の日(優先権の主張を伴う場合に限る。)、及び国際予備審査の請求書の国際予備審査機関による受理の日を表示する。

(c) (a)の通知は、第二十条に規定する送達とともに選択官庁に送付する。その送達の後に行われた選択は、その選択が行われた後速やかに通知する。

(d) 出願人が、国際出願の国際公開前に第四十条(2)の規定に基づき選択官庁に明示の請求を行つた場合には、国際事務局は出願人又は選択官庁の請求により、当該選択官庁に第二十条に規定する送達を速やかに行う。

61.3 出願人への通報

 国際事務局は、出願人に対し、61.2にいう通知及び第三十一条(7)の規定により通知を受けた選択官庁を書面で通知する。

61.4 公報への掲載

 国際事務局は、国際予備審査の請求書の提出の後であつてその国際出願が国際公開された後速やかに、実施細則の定めるところにより、国際予備審査の請求書及び選択国に関する情報を公報に掲載する。

第六十二規則 国際予備審査機関のための国際調査機関の書面による見解及び第十九条の規定に基づく補正書の写し

62.1 国際調査機関の書面による見解と国際予備審査の請求書が提出される前にする補正の写し

 国際予備審査機関から国際予備審査の請求書又はその写しを受領した時は、国際事務局は、次のものを国際予備審査機関に速やかに送付する。

(ⅰ) 43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解の写し。ただし、国際調査機関として行動した国内官庁又は政府間機関が国際予備審査機関として行動する場合を除く。

(ⅱ) 第十九条の規定に基づく補正書の写し、同条に規定する説明書の写し及び46.5(b)の規定に従つて要求される書簡の写し。ただし、当該国際予備審査機関が既にその写しを受領した旨を表示した場合には、この限りでない。

62.2 国際予備審査の請求書が提出された後にする補正

 第十九条の規定に基づく補正書の提出の時に国際予備審査の請求書が既に提出されている場合には、出願人は、その補正書を国際事務局に提出すると同時にその写し、同条に規定する説明書の写し及び46.5(b)の規定に従つて要求される書簡の写しを国際予備審査機関にも提出することが望ましい。いかなる場合にも、国際事務局は、そのような補正書の写し、説明書の写し及び書簡の写しを当該国際予備審査機関に速やかに送付する。

第六十二規則の二 国際調査機関の書面による見解の国際予備審査機関のための翻訳

62の2.1 翻訳及び意見

(a) 43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解が、英語又は当該国際予備審査機関が認める言語でない場合には、国際予備審査機関の請求により、国際事務局の責任において英語に翻訳される。

(b) 国際事務局は、翻訳の請求を受理した日から二箇月以内に、当該翻訳文の写しを国際調査機関に送付すると同時に出願人に送付する。

(c) 出願人は、翻訳文の正確性について書面による意見を作成することができ、その写しを国際予備審査機関及び国際事務局に送付する。

第六十三規則 国際予備審査機関の最小限の要件

63.1 最小限の要件の定義

 第三十二条(3)に規定する最小限の要件は、次のとおりとする。

(ⅰ) 国内官庁又は政府間機関は、審査を行うために十分な技術的資格を備えた常勤の従業者を百人以上有していなければならない。

(ⅱ) 国内官庁又は政府間機関は、少なくとも、審査の目的のために適正に整備された第三十四規則に定める最小限資料を容易に利用することができるようにしておかなければならない。

(ⅲ) 国内官庁又は政府間機関は、所要の技術分野について審査することができる職員であつて少なくとも第三十四規則に定める最小限資料が作成され又は翻訳された言語を理解する語学力を有するものを有していなければならない。

(ⅳ) 国内官庁又は政府間機関は、国際予備審査の一般原則に従い調査の質の管理制度及び内部における検討制度を設ける。

(ⅴ) 国内官庁又は政府間機関は、国際調査機関として選定されていなければならない。

第六十四規則 国際予備審査における先行技術

64.1 先行技術

(a) 第三十三条(2)及び(3)の規定の適用上、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によつて公衆が利用することができるようにされているすべてのものは、先行技術とする。ただし、公衆が利用すること

ができるようにされたことが基準日前に生じていることを条件とする。(b) (a)の規定の適用上、基準日は、次の日とする。

(ⅰ) (ⅱ)及び(ⅲ)の規定が適用される場合を除くほか、当該国際予備審査の対象である国際出願の国際出願日

(ⅱ) 当該国際予備審査の対象である国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴い、国際出願日が当該優先期間内である場合には、国際予備審査機関が当該優先権の主張を有効でないと判断した場合を除くほか、先の出願の日

(ⅲ) 当該国際予備審査の対象である国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴い、国際出願日が当該優先期間の満了の日の後であるが、当該満了の日から二箇月の期間内である場合には、国際予備審査機関が、当該国際出願の国際出願日が当該満了の日の後であるという理由以外で当該優先権の主張を有効でないと判断した場合を除くほか、先の出願の日

64.2 書面による開示以外の開示

 口頭による開示、使用、展示その他の書面による開示以外の手段(「書面による開示以外の開示」)によつて公衆が利用することができるようにされたことが64.1(b)に定める基準日前に生じていた場合において、書面による開示以外の開示の日付がその基準日と同じ日又はその後に公衆が利用することができるようにされた書面による開示に記載されているときは、当該書面による開示以外の開示は、第三十三条(2)及び(3)の規定の適用上、先行技術の一部とはしない。もつとも、国際予備審査報告においては、当該書面による開示以外の開示につき70.9に定める方法によつて注意を喚起する。

64.3 ある種の公表された文書

 64.1に定める基準日前に出願されており又はその基準日前にされた先の出願に基づく優先権の主張を伴つている出願又は特許であつて、その基準日と同じ日又はその後に公表されたものは、その基準日前に公表されたとしたならば第三十三条(2)及び(3)の規定の適用上先行技術を構成したであろうとされるものである場合においても、同条(2)及び(3)の規定の適用上、先行技術の一部とはしない。もつとも、国際予備審査報告においては、当該出願又は当該特許につき70.10に定める方法によつて注意を喚起する。

第六十五規則 進歩性又は自明のものではないこと

65.1 先行技術との関係

 第三十三条(3)の規定の適用上、国際予備審査においては、個々の請求の範囲と先行技術全体との関係に考慮を払う。国際予備審査においては、請求の範囲と個々の文献又はその抜粋との関係のみでなく、個々の文献又はその抜粋の結合が当該技術分野の専門家にとつて自明である場合には、請求の範囲とそのような結合との関係についても考慮を払う。

65.2 基準日

 第三十三条(3)の規定の適用上、進歩性(自明のものではないこと)の判断についての基準日は、64.1に定める日とする。

第六十六規則 国際予備審査機関における手続

66.1 国際予備審査の基礎

(a) 国際予備審査は、(b)から(d)までの規定に従うことを条件として、出願時における国際出願に基づき行う。

(b) 出願人は、国際予備審査の請求書の提出の時又は66.4の2の規定に従うことを条件として国際予備審査報告が作成されるまでの間、第三十四条の規定に基づく補正書を提出することができる。

(c) 国際予備審査の請求書が提出される前にする第十九条の規定に基づく補正は、第三十四条の規定に基づく補正により差し替えられ又は取り消されたものとみなされる場合を除くほか、国際予備審査のために考慮に入れる。

(d) 国際予備審査の請求書が提出された後にする第十九条の規定に基づく補正及び国際予備審査機関に対してする第三十四条の規定に基づく補正は、66.4の2の規定に従うことを条件として、国際予備審査のために考慮に入れる。

(dの2) 国際予備審査機関は、66.4の2の規定に従うことを条件として、91.1の規定に基づき許可された明白な誤記の訂正を国際予備審査のために考慮に入れる。

(e) 国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲は、国際予備審査の対象とすることを必要としない。

66.1の2 国際調査機関の書面による見解

(a) (b)の規定に従うことを条件として、43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解は、66.2(a)の規定の適用上、国際予備審査機関の書面による見解とみなされる。

(b) 国際予備審査機関は、特定の国際調査機関が43の2.1の規定に基づき作成した書面による見解について、(a)の規定がその国際予備審査機関における手続については適用されないことを国際事務局に通告することができる。ただし、この通告は、国際調査機関として行動する国内官庁又は政府間機関が、国際予備審査機関として行動する場合には適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。15

(c) 国際予備審査機関は、(b)の規定による通告により、43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解が、66.2(a)の規定の適用上、国際予備審査機関の書面による見解とみなされない場合には、出願人にその旨を書面で通知する。

(d) 43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解は、(b)の規定による通告に基づき、66.2(a)の適用上、国際予備審査機関の書面による見解とみなされない場合であつても、66.2(a)の規定による手続において国際予備審査機関により考慮される。

66.1の3 トップアップ調査

 国際予備審査機関は、調査が何ら有益な目的に資さないと考えるものでない限り、国際調査報告を作成した日の後に発行された又は当該国際予備審査機関が調査のために利用可能となった第六十四規則に規定する文献を発見するための調査(以下、「トップアップ調査」という。)を行う。国際予備審査機関が第三十四条(3)若しくは(4)又は66.1(e)に規定するいずれかの事由があると認めた場合には、トップアップ調査は、国際出願のうち国際予備審査の対象となる部分のみについて行う。

66.2 国際予備審査機関の書面による見解

(a) 国際予備審査機関は、次のいずれかの場合には、出願人にその旨を書面で通知する。

(ⅰ) 当該国際予備審査機関が、第三十四条(4)に規定するいずれかの事由があると認めた場合

(ⅱ) 当該国際予備審査機関が、いずれかの請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)又は産業上の利用可能性を有するものとは認められないため、当該請求の範囲について国際予備審査報告が否定的となると認めた場合

(ⅲ) 当該国際予備審査機関が、国際出願の形式又は内容に条約又はこの規則に定める欠陥があると認めた場合

(ⅳ) 当該国際予備審査機関が、補正が出願時における国際出願の開示の範囲を超えてされたものと認めた場合

(ⅴ) 当該国際予備審査機関が、請求の範囲、明細書及び図面の明瞭性又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされているかいないかの問題についての意見を国際予備審査報告に付することを希望した場合

(ⅵ) 当該国際予備審査機関が、請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関するものであると認め、かつ、その請求の範囲について国際予備審査を行わないことを決定した場合

(ⅶ) 国際予備審査機関が、有意義な国際予備審査を行うことができる形式でヌクレオチド又はアミノ酸の配列リストを入手することができないと認めた場合国際予備審査機関として行動する国内官庁に係る国の国内法令が、多数従属請求の範囲を6.4(a)の第二文及び第三文の請求の範囲の記述方法と異なる方法で起草することを認めない場合において、6.4(a)の当該請求の範囲の記述方法が用いられないときは、国際予備審査機関は、第三十四条(4)(b)の規定を適用することができる。この場合においては、当該国際予備審査機関は、出願人にその旨を書面で通知する。

(b) (a)の通知には、国際予備審査機関の見解の根拠を十分に記述する。

(c) (a)の通知においては、答弁書及び、適当な場合には、補正書を提出することを出願人に求める。

(d) (a)の通知には、答弁のための期間として、事情に応じて相当の期間を指定する。指定する期間は、通常、通知の日の後二箇月とし、いかなる場合にも、通知の日の後一箇月未満であつてはならない。指定する期間は、通知と同時に国際調査報告が送付される場合には、通知の日の後二箇月以上とし、(e)の規定に従うことを条件として、通知の日の後三箇月を超えてはならない。

(e) (a)の通知に答弁をするための期間は、出願人が期間の満了前に延長する旨を請求した場合には、延長することができる。

66.3 国際予備審査機関に対する正式の答弁

(a) 出願人は、補正をすることにより若しくは、国際予備審査機関の見解に同意しない場合には、抗弁を提出することにより又はその双方を行うことにより、66.2(c)に規定する国際予備審査機関の求めに対して答弁をすることができる。

(b) (a)の答弁は、国際予備審査機関に直接に提出する。

66.4 補正書又は抗弁を提出するための追加の機会

(a) 国際予備審査機関は、希望するときは、追加の書面による見解を示すことができるものとし、66.2及び66.3の規定は、この場合についても適用する。

(b) 国際予備審査機関は、出願人の請求により、出願人に対し、補正書又は抗弁を提出する一又は二以上の追加の機会を与えることができる。

66.4の2 補正書、抗弁又は明白な誤記の訂正の考慮

 国際予備審査機関は、書面による見解又は国際予備審査報告の作成を開始した後に補正書、抗弁、又は明白な誤記の訂正を受理し、許可し、又は当該機関に対して通知された場合には、書面による見解又は国際予備審査報告のために当該補正書、抗弁、又は明白な誤記の訂正を考慮に入れることを必要としない。

66.5 補正

 請求の範囲、明細書又は図面についてのいかなる変更(請求の範囲、明細書中の特定の箇所及び特定の図面の削除を含むものとし、明白な誤記の訂正を除く。)も、補正とする。

66.6 出願人との非公式の連絡

 国際予備審査機関は、電話、書面又は面談により、随時、出願人と非公式の連絡をすることができる。国際予備審査機関は、その裁量により、出願人が請求する場合に二回以上の面談を認めるかどうか又は出願人からの書面による非公式の連絡に対して回答するかどうかを決定する。

66.7 優先権主張の基礎となる先の出願の写し及び翻訳文

(a) 国際予備審査機関が優先権の主張を伴う国際出願についてその主張の基礎となる先の出願の写しを必要とする場合には、国際事務局は、要請により、速やかにその写しを送付する。その写しが、出願人が17.1の要件を満たさないために国際予備審査機関に提出されない場合であつて、かつ当該先の出願が国内官庁としての権限を有する当該国際予備審査機関に出願されていない又は優先権書類を当該国際予備審査機関が実施細則に従い電子図書館から入手することができない場合には、国際予備審査報告は、優先権の主張がされなかつたものとして作成することができる。

(b) 優先権の主張を伴う国際出願についてその主張の基礎となる出願の言語が国際予備審査機関の特定する言語以外の言語である場合において、優先権の主張の有効性が第三十三条(1)に規定する見解を示すことに関連するときには、当該国際予備審査機関は、出願人に対し、求めの日から二箇月以内に当該国際予備審査機関の特定する言語のうち一の言語による翻訳文を提出することを求めることができる。その翻訳文が当該期間内に提出されない場合には、国際予備審査報告は、優先権の主張がなされなかつたものとして作成することができる。

66.8 補正書の形式

(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、出願人は、明細書又は図面を補正する場合には、補正のため、先に提出した用紙と異なる国際出願のすべての用紙について差替え用紙を提出しなければならない。差替え用紙には、差し替えられる用紙と差替え用紙との相違について注意を喚起する書簡を添付する。当該書簡においては、出願時における国際出願中の補正の根拠を表示するものとし、また、補正の理由を説明することが望ましい。

(b) 補正が一部の箇所の削除又は軽微な訂正若しくは追加である場合には、国際出願の関係する用紙の明瞭さ及び直接複製に悪影響を及ぼさないことを条件として、その用紙の写しに訂正又は追加をしたものを(a)に規定する差替え用紙とすることができる。補正により一の用紙の全体が削除されることとなる場合には、当該補正は、書簡によつて通知し、また、その書簡において当該補正の理由を説明することが望ましい。

(c) 請求の範囲を補正する場合には、46.5の規定を準用する。この(c)の規定によつて準用する46.5の規定に基づき提出された一式の請求の範囲は、最初に提出し、又は先に第十九条若しくは第三十四条の規定に基づいて補正したすべての請求の範囲と差し替える。

第六十七規則 第三十四条(4)(a)(ⅰ)に規定する国際出願の対象

67.1 定義

 国際予備審査機関は、国際出願の対象の全部又は一部が次のいずれかである場合には、当該国際出願の全部又は一部について国際予備審査を行うことを要しない。

(ⅰ) 科学及び数学の理論

(ⅱ) 植物及び動物の品種又は植物及び動物の生産の本質的に生物学的な方法。ただし、微生物学的方法及び微生物学的方法による生産物については、この限りでない。

(ⅲ) 事業活動、純粋に精神的な行為の遂行又は遊戯に関する計画、法則又は方法

(ⅳ) 手術又は治療による人体又は動物の体の処置方法及び人体又は動物の体の診断方法

(ⅴ) 情報の単なる提示

(ⅵ) コンピューター・プログラムのうち国際予備審査機関が当該プログラムについて国際予備審査を行う態勢にある範囲外のもの

第六十八規則 発明の単一性の欠如(国際予備審査)

68.1 減縮又は支払を求めない場合

 国際予備審査機関は、発明の単一性の要件が満たされていないと認めた場合において、請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを出願人に求めないときは、第三十四条(4)(b)及び66.1(e)の規定に従うことを条件として、国際出願の全体について国際予備審査を進めるものとし、書面による見解及び国際予備審査報告において発明の単一性の要件を満たしていないと認めた旨を表示し及びその理由を明記する。

68.2 減縮又は支払を求める場合

 国際予備審査機関は、発明の単一性の要件が満たされていないと認めた場合において、出願人の選択により請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを出願人に求めるときは、その求めは、次のとおりとする。

(ⅰ) 国際予備審査機関の見解によれば該当する要件が満たされることとなる減縮の少なくとも一の可能性を明示する。

(ⅱ) 国際出願が発明の単一性の要件を満たしているとは認められない理由を明記する。

(ⅲ) その求めの日から一箇月以内に応じるよう出願人に求める。

(ⅳ) 出願人が選択する場合には、支払うべき必要な追加手数料の額を表示する。

(ⅴ) 該当する場合には、出願人に対し、68.3(e)に規定する異議申立手数料をその求めの日から一箇月以内に支払うよう出願人に求め、及び、支払うべき手数料の額を表示する。

68.3 追加手数料

(a) 第三十四条(3)(a)の規定に従って国際予備審査のために支払うべき追加手数料の額は、管轄国際予備審査機関が定める。

(b) 第三十四条(3)(a)の規定に従って国際予備審査のために支払うべき追加手数料は、国際予備審査機関に直接に支払う。

(c) 出願人は、異議を申し立てて、すなわち、国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述書を添付して、追加手数料を支払うことができる。異議は、国際予備審査機関の枠組みにおいて設置される検査機関が審理するものとし、この機関は、異議を正当と認める限度において追加手数料の全部又は一部を出願人に払い戻すことを命ずる。異議及び当該異議についての決定の書面は、出願人の請求により、国際予備審査報告の附属書類として選択官庁に通知する。

(d) (c)に規定する検査機関の構成員には、異議の対象となった決定をした者を含めることができるが、これに限定してはならない。

(e) 国際予備審査機関は、(c)に規定する異議の審理には、異議申立手数料の国際予備審査機関への支払を条件とすることができる。出願人が68.2(ⅴ)に規定する期間内に要求される異議申立手数料を支払わなかった場合には、その異議申立ては、行われなかったものとみなし、国際予備審査機関はその旨を宣言する。(c)に規定する検査機関がその異議を完全に正当と認めた場合には、異議申立手数料は、出願人に払い戻す。

68.4 請求の範囲の不十分な減縮の場合の手続

 出願人が請求の範囲を減縮した場合において、発明の単一性の要件が満たされるに至らないときは、国際予備審査機関は、第三十四条(3)(c)の定めるところにより手続をとる。

68.5 主発明

 第三十四条(3)(c)の規定の適用上、いずれの発明が主発明であるか疑わしい場合には、請求の範囲に最初に記載されている発明を主発明とみなす。

第六十九規則 国際予備審査の開始及び国際予備審査のための期間

69.1 国際予備審査の開始

(a) (b)から(e)までの規定に従うことを条件として、国際予備審査機関は、次の全てを受領した場合には、国際予備審査を開始する。ただし、出願人が54の2.1(a)に規定する期間の満了する時まで国際予備審査の開始を延期するよう明示的に請求したときは、この限りではない。

(ⅰ) 国際予備審査の請求書

(ⅱ) 取扱手数料及び予備審査手数料の支払うべき額の全額(該当する場合には、58の2.2の規定に基づく後払手数料を含む。)

(ⅲ) 国際調査報告又は第十七条(2)(a)に基づき国際調査報告を作成しない旨の国際調査機関による宣言のいずれか及び43の2.1の規定に基づき作成された書面による見解

(b) 国際調査機関として行動する国内官庁又は政府間機関が国際予備審査機関としても行動する場合には、国際予備審査は、その国内官庁又は政府間機関が希望するときは、(d)及び(e)の規定に従うことを条件として、国際調査と同時に開始することができる。

(bの2) 国際調査機関及び国際予備審査機関として行動する国内官庁又は政府間機関が、(b)の規定に従い国際調査と同時に国際予備審査を開始することを希望し、かつ、第三十四条(2)(c)(ⅰ)から(ⅲ)の全ての条件が満たされていると認める場合には、その国内官庁又は政府間機関は、国際調査機関として、43の2.1の規定に基づく書面による見解を作成することを必要としない。

(c) 補正に関する記述が第十九条の規定に基づく補正を考慮することを希望する旨の表示(53.9(a)(ⅰ))を含む場合には、国際予備審査機関は、その補正書の写しを受領する前に国際予備審査を開始しない。

(d) 補正に関する記述が国際予備審査の開始を延期することを希望する旨の表示(53.9(b))を含む場合には、国際予備審査機関は、次のいずれかが最初に生じるまでは、国際予備審査を開始しない。

(ⅰ) 当該国際予備審査機関が、第十九条の規定に基づく補正書の写しを受領すること。

(ⅱ) 当該国際予備審査機関が、第十九条の規定に基づく補正をすることを希望しない旨の通知を出願人から受領すること。

(ⅲ) 46.1に規定する期間を経過すること。

(e) 補正に関する記述が第三十四条の規定に基づく補正書を国際予備審査の請求書とともに提出する旨の表示(53.9(c))を含んでいるがそのような補正書が実際には提出されていない場合には、国際予備審査機関は、補正書の受領又は60.1(g)に規定する求めに定めた期間の満了のいずれかが先に生じるまでは、国際予備審査を開始しない。

69.2 国際予備審査のための期間

 国際予備審査報告を作成するための期間は、次の期間のうち最も遅く満了する期間とする。

(ⅰ) 優先日から二十八箇月

(ⅱ) 69.1に規定する国際予備審査の開始の時から六箇月

(ⅲ) 55.2の規定に従って提出された翻訳文を国際予備審査機関が受理した日から六箇月

第七十規則 国際予備審査機関による特許性に関する国際予備報告(国際予備審査報告)

70.1 定義

 この第七十規則の規定の適用上、「報告」とは、国際予備審査報告をいう。

70.2 報告の基礎

(a) 請求の範囲について補正がされた場合には、報告は、補正後の請求の範囲に基づいて作成する。

(b) 66.7(a)又は(b)の規定に従い優先権の主張がされなかつたものとして報告を作成する場合には、報告には、その旨を表示する。

(c) 国際予備審査機関が、補正が出願時における国際出願の開示の範囲を超えてされたものと認める場合には、報告は、その補正がされなかつたものとして作成するものとし、報告には、その旨及びその開示の範囲を超えてされた補正と認める理由を表示する。

(cの2) 請求の範囲、明細書又は図面についての補正が行われた場合であつても、出願時における国際出願中の補正の根拠を表示する書簡であつて、46.5(b)(ⅲ)の規定、66.8(c)の規定によつて準用する46.5(b)

(ⅲ)の規定又は66.8(a)の規定に基づき要求されるものが差替え用紙に添付されていないときは、報告は、その補正が行われなかつたものとして作成することができる。この場合において、報告には、その旨を表示する。

(d) 請求の範囲が国際調査報告の作成されていない発明に関する場合であつて、そのため国際予備審査の対象とならないときは、報告にその旨を表示する。

(e) 66.1の規定に基づき明白な誤記の訂正が考慮に入れられる場合には、国際予備審査報告にその旨を表示する。66.4の2の規定に従い明白な誤記の訂正を考慮に入れない場合には、可能なときは国際予備審査報告にその旨を表示し、表示がない場合には、国際予備審査機関は国際事務局にその旨を通知し、国際事務局は、実施細則に定めるところによつて処理する。

(f) 報告には、66.1の3の規定に基づくトップアップ調査が行われた日を記載し、又はトップアップ調査が行われなかった旨を記述する。

70.3 表示

 報告には、報告を作成した国際予備審査機関をその国際予備審査機関の名称を記載することにより、当該国際出願を国際出願番号、出願人の氏名又は名称及び国際出願日を記載することによつて特定する。

70.4 日付

 報告には、次の日付を表示する。

(ⅰ) 国際予備審査の請求書が提出された日付

(ⅱ) 報告の日付。この日付は、報告を完成した日付とする。

70.5 分類

(a) 報告には、43.3の規定に従つて付与された分類に国際予備審査機関が同意する場合には、その分類を表示する。

(b) その他の場合には、国際予備審査機関は、少なくとも国際特許分類に従つて、正しいと認める分類を報告に表示する。

70.6 第三十五条(2)の記述

(a) 第三十五条(2)の記述は、「是」若しくは「非」の語、報告の言語におけるこれらの同義語又は実施細則で定める適当な記号から成るものとし、その記述には、該当する場合には、列記、説明及び第三十五条(2)の末文の意見を付する。

(b) 第三十五条(2)に規定する三の基準(新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性)のいずれかに適合していない場合には、(a)の記述は、否定的なものとする。この場合において、いずれかの基準に適合しているときは、報告には、その適合している基準を明記する。

70.7 第三十五条(2)の列記

(a) 報告には、第三十五条(2)の規定に従つて行われる記述を裏付けるため関連のあると認められる文献を、当該文献が国際調査報告で引用されているか否かを問わず、列記する。国際調査報告で引用されている文献は、国際予備審査機関により関連があると認められた場合にのみ国際予備審査報告に列記する必要がある。

(b) 43.5(b)及び(e)の規定は、報告についても適用する。

70.8 第三十五条(2)の説明

 実施細則には、第三十五条(2)の説明を付し又は付さない場合及びその説明の形式についての指針を含める。この指針は、次の原則に基づくものとする。

(ⅰ) いずれかの請求の範囲についての記述が否定的なものである場合には、説明を付する。

(ⅱ) 記述が肯定的なものである場合には、列記された文献を調査することによりその文献を列記した理由を容易に推測することができる場合を除くほか、説明を付する。

(ⅲ) 一般に、70.6(b)の末文の場合には、説明を付する。

70.9 書面による開示以外の開示

 64.2の規定により報告において言及する書面による開示以外の開示については、その種類、当該書面による開示以外の開示に言及している書面による開示を公衆が利用することができるようになつた日付及び当該書面による開示以外の開示が公然行われた日付を表示する。

70.10 ある種の公表された文書

 報告において64.3の規定により言及する公表された出願又は特許については、そのような出願又は特許として明記するものとし、その公表の日、出願の日及び、該当する場合には、主張する優先日を表示する。当該文書に係る優先日に関しては、報告には、国際予備審査機関の見解によればその優先日の主張が有効にされていない旨を表示することができる。

70.11 補正の表示

 国際予備審査機関に対し補正書が提出された場合には、その事実は、報告に表示する。補正により一の用紙の全体が削除されることとなる場合には、その事実も報告に明記する。

70.12 欠陥その他の事項の表示

 国際予備審査機関は、報告を作成する際に、

(ⅰ) 国際出願に66.2(a)(ⅲ)の欠陥が含まれていると認める場合には、報告にその旨の見解及びその根拠を記載する。

(ⅱ) 国際出願が66.2(a)(ⅴ)の意見を要すると認める場合には、報告にその旨の見解を記載することができるものとし、この場合においては、報告にその見解の根拠をも記載する。

(ⅲ) 第三十四条(4)に規定する事由があると認める場合には、報告にその旨の見解及びその理由を記載する。

(ⅳ) 有意義な国際予備審査を行うことができる形式でヌクレオチド又はアミノ酸の配列リストを入手することができないと認める場合には、報告にその旨を記載する。

70.13 発明の単一性に関する注釈

 出願人が国際予備審査のための追加手数料を支払つた場合又は国際出願若しくは国際予備審査が第三十四条(3)の規定に従つて減縮された場合には、報告には、その旨を表示する。更に、国際予備審査が減縮された請求の範囲(同条(3)(a))につき又は主発明(同条(3)(c))のみについて行われた場合には、報告には、国際出願について国際予備審査の対象となつた部分及び対象とならなかつた部分を表示する。国際予備審査機関が請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを出願人に求めない場合には、報告には、68.1に規定する表示を記載する。

70.14 権限のある職員

 報告には、その報告について責任を有する国際予備審査機関の職員の氏名を表示する。

70.15 様式、表題

(a) 報告の様式上の要件は、実施細則で定める。

(b) 報告には「特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第二章)」という表題及び国際予備審査機関が作成した国際予備審査報告である旨の表示を付す。

70.16 報告の附属書類

(a) 次の差替え用紙及び書簡は、報告に附属書類として添付する。ただし、(ⅰ)から(ⅲ)までに規定する差替え用紙については、後の差替え用紙又は66.8(b)の規定に基づき用紙の全体を削除することとなる補正によつて差し替えられたもの又は取り消されたとみなすものを除く。

(ⅰ) 第三十四条の規定に基づく補正を含む66.8に規定する差替え用紙並びに66.8(a)及び66.8

(b)に規定する書簡並びに66.8(c)の規定によつて準用する46.5(b)に規定する書簡

(ⅱ) 第十九条の規定に基づく補正を含む46.5に規定する差替え用紙及び46.5に規定する書簡

(ⅲ) 91.2の規定によつて準用する26.4に規定する差替え用紙であつて91.1(b)(ⅲ)に規定する国際予備審査機関によつて許可された明白な誤記の訂正を含むもの及び91.2の規定によつて準用する26.4に規定する書簡

(ⅳ) 報告が70.2(e)に規定する表示を含む場合には、66.4の2の規定に従つて考慮しない明白な誤記の訂正に関する用紙及び書簡

(b) 次の場合には、(a)の規定にかかわらず、(a)に規定する差替え用紙であつて、差し替えられ、又は取り消されたもの及び(a)に規定する書簡であつて、当該差し替えられ、又は取り消された差替え用紙に関するものについても、報告に附属書類として添付する。この場合には、当該差し替えられ、又は取り消された差替え用紙には、実施細則が定める記入をする。

(ⅰ) 国際予備審査機関が、関連する差し替えようとし、又は取り消そうとする補正を出願時における国際出願の開示の範囲を超えてされるものと認め、かつ、報告が70.2(c)に規定する表示を含むものと認める場合

(ⅱ) 出願時における国際出願中の補正の根拠を表示する書簡が、関連する差し替えようとし、又は取り消そうとする補正に添付されておらず、かつ、報告がその補正を行わなかつたものとして作成され、及び70.2(cの2)に規定する表示を含む場合

70.17 報告及び附属書類の言語

 報告及び附属書類は、当該国際出願の国際公開に用いられる言語又は国際予備審査が55.2の規定に基づき国際出願の翻訳文に基づいて行われる場合には当該翻訳文の言語で作成する。

第七十一規則 国際予備審査報告及び関連書類の送付

71.1 受取人

(a) 国際予備審査機関は、国際予備審査報告及び、該当する場合には、附属書類を国際事務局及び出願人に各一通同一の日に送付する。

(b) 国際予備審査機関は、実施細則に従つて、国際予備審査の一件書類中その他の書類の写しを国際事務局に送付する。

71.2 列記された文献の写し

(a) 第三十六条(4)の請求は、当該国際予備審査報告に係る国際出願の国際出願日から七年の期間いつでも行うことができる。

(b) 国際予備審査機関は、(a)の請求を行つた当事者(出願人又は選択官庁)に対し、写しの作成及び郵便に係る費用を支払うことを要求することができる。写しの作成に係る費用は、当該国際予備審査機関と国際事務局との間に締結される第三十二条(2)に規定する取決めで定める。

(c) 削除

(d) 国際予備審査機関は、自己に対して責任を負う他の機関を通じて(a)及び(b)に定める任務を遂行することができる。

第七十二規則 国際予備審査報告及び国際調査機関の書面による見解の翻訳

72.1 言語

(a) 選択国は、自国の国内官庁の公用語以外の言語で作成された国際予備審査報告を英語に翻訳することを要求することができる。

(b) (a)の要求は、国際事務局に通知するものとし、国際事務局は、その要求を速やかに公報に掲載する。

72.2 出願人のための翻訳文の写し

 国際事務局は、72.1(a)の規定に基づく国際予備審査報告の翻訳文の写しを、関係選択官庁に当該翻訳文を送達すると同時に出願人に送付する。

72.2の2 43の2.1の規定に基づき作成された国際調査機関の書面による見解の翻訳

 73.2(b)(ⅱ)に規定する場合には、43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解は、関係選択官庁の要求により、国際事務局によつて又はその責任において英語に翻訳される。国際事務局は、翻訳の要求を受領した日から二箇月以内に、翻訳文の写しを関係選択官庁に送付すると同時に、その写しを出願人に送付する。

72.3 翻訳に関する意見

 出願人は、国際予備審査報告の翻訳文又は規則43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解の翻訳文の正確性について書面による意見を作成することができるものとし、その書面による意見の写しを各関係選択官庁及び国際事務局に各一通送付する。

第七十三規則 国際予備審査報告又は国際調査機関の書面による見解の送達

73.1 写しの作成

 国際事務局は、第三十六条(3)(a)の規定に従つて送達すべき文書の写しを作成する。

73.2 選択官庁への送達

(a) 国際事務局は、第三十六条(3)(a)に規定する送達を93の2.1の規定に従い各選択官庁に対し行う。ただし、優先日から三十箇月を経過する前であつてはならない。

(b) 出願人が、第四十条(2)の規定に基づき選択官庁に明示の請求を行つた場合には、国際事務局は、選択官庁又は出願人の請求によつて、

(ⅰ) 国際予備審査報告が、71.1の規定に基づき既に国際事務局に送付されている場合には、当該選択官庁に対し第三十六条(3)(a)に規定する送達を速やかに行う。

(ⅱ) 国際予備審査報告が、71.1の規定に基づく国際事務局への送付がされていない場合には、当該選択官庁に対し43の2.1の規定に基づき国際調査機関が作成した書面による見解の写しの送達を速やかに行う。

(c) 出願人が国際予備審査の請求又は選択の一部又は全部を取り下げた場合にもかかわらず、国際事務局が国際予備審査報告を受領していた場合、(a)に規定する送達は選択官庁又は取下げの影響を受ける官庁に対して行われる。

第七十四規則 国際予備審査報告の附属書類の翻訳文及びその送付

74.1 翻訳文の内容及び翻訳文の送付のための期間

(a) 第三十九条(1)の規定に基づき選択官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、70.16の差替え用紙であつて国際予備審査報告に添付するものが要求される国際出願の翻訳文の言語でない限り、出願人は、第三十九条(1)に規定する期間内に当該差替え用紙の翻訳文を送付する。当該送付のための期間と同一の期間は、第六十四条(2)(a)(ⅰ)の規定に基づく宣言が行われたため、第二十二条に規定する期間内に選択官庁に対する国際出願の翻訳文の提出が行われなければならない場合にも適用する。

(b) 選択官庁が第三十九条(1)の規定に基づく国際出願の翻訳文の提出を要求しない場合には、当該選択官庁は、出願人に対し、第三十九条(1)に規定する期間内に70.16の差替え用紙であつて、国際予備審査報告に添付し、かつ、国際出願の国際公開に用いられる言語によらないものにつき、国際出願の国際公開に用いられる言語による翻訳文を提出するよう要求することができる。

第七十五規則 削除
第七十六規則 優先権書類の翻訳文、選択官庁における手続への規則の準用

76.1 削除

76.2 削除

76.3 削除

76.4 優先権書類の翻訳文の提出

 出願人は、優先権書類の翻訳文を第三十九条に規定する当該期間の満了前に選択官庁に提出することを要求されることはない。

76.5 選択官庁における手続への規則の準用

 13の3.3、20.8(c)、22.1(g)、47.1、第四十九規則、第四十九規則の二、第四十九規則の三及び第五十一規則の二の規定を準用する。この場合において、次のように読み替えるものとする。

(ⅰ) 当該規則中「指定官庁」又は「指定国」とあるのは、それぞれ、「選択官庁」又は「選択国」とする。

(ⅱ) 当該規則中「第二十二条」、「第二十三条(2)」又は「第二十四条(2)」とあるのは、それぞれ、「第三十九条(1)」、「第四十条(2)」又は「第三十九条(3)」とする。

(ⅲ) 49.1(c)中「国際出願」とあるのは、「国際予備審査の請求」とする。

(ⅳ) 第三十九条(1)の規定の適用上、第十九条の規定に基づく補正書の翻訳文は、国際予備審査報告が作成された場合には、その補正書が国際予備審査報告に附属書類として添付されているときに限り、要求される。

(ⅴ) 47.1(a)中「47.4」とあるのは、「61.2(d)」とする。

第七十七規則 第三十九条(1)(b)の規定に基づく権能

77.1 権能の行使

(a) 第三十九条(1)(a)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を認める締約国は、その定めた期間を国際事務局に通知する。

(b) 国際事務局は、(a)の規定に従つて受領した通知を速やかに公報に掲載する。

(c) 先に定めた期間の短縮に関する通知は、国際事務局がその通知を公報に掲載した日から起算して三箇月を経過した後に行われる国際予備審査の請求について効力を有する。

(d) 先に定めた期間の延長に関する通知は、国際事務局がその通知を公報に掲載した時から、その掲載の際現に係属しており又はその掲載の日の後に行われる国際予備審査の請求について効力を有する。ただし、通知を行う締約国が一層遅い日を定める場合には、その日から効力を有する。

第七十八規則 選択官庁における請求の範囲、明細書及び図面の補正

78.1 期間

(a) 出願人は、希望するときは、第三十九条(1)(a)の規定に基づく要件を満たした時から一箇月以内に、当該選択官庁に対して第四十一条の規定に基づき請求の範囲、明細書及び図面の補正をする権利を行使する。ただし、第三十六条(1)に規定する国際予備審査報告の送付が第三十九条に規定する期間の満了する時までにされない場合には、当該期間の末日の後四箇月以内に行使する。もつとも、いずれの場合においても、締約国の国内法令が認めるときは、その後に行使することができる。

(b) 国内法令が特別の請求によつてのみ審査が開始されることを定めている選択国においては、その国内法令は、出願人が第四十一条の規定に基づく権利を行使することができる期間又は時を特別の請求による国内出願の審査の場合における補正書の提出のための国内法令に定める期間又は時と同一とすることを定めることができる。ただし、その期間又は時が(a)に規定する当該期間の満了前に満了せず又は到来しないことを条件とする。

78.2 削除

78.3 実用新案

 6.5及び13.5の規定は、選択官庁について準用する。この場合において、選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合にあつては、第二十二条に規定する当該期間というときは、第三十九条に規定する当該期間をいうものとする。

D部 第三章に関する規則

第七十九規則 暦

79.1 日付の表示

 出願人、国内官庁、受理官庁、国際調査機関、国際予備審査機関及び国際事務局は、条約及びこの規則の適用上、西暦紀元及びグレゴリー暦によつて日付を表示するものとし、他の紀元又は暦を用いる場合には、西暦紀元及びグレゴリー暦による日付を併記する。

第八十規則 期間の計算

80.1 年をもつて定めた期間

 期間を定めるのに年をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当するその後の年において当該事象が生じた月に応当する月の当該事象が生じた日に応当する日に満了する。ただし、応当する月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

80.2 月をもつて定めた期間

 期間を定めるのに月をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当するその後の月において当該事象が生じた日に応当する日に満了する。ただし、その月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

80.3 日をもつて定めた期間

 期間を定めるのに日をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当する日数の最終の日に当たる日に満了する。

80.4 現地の日付

(a) 期間の起算日の日付は、当該事象が生じた時の当該地における日付とする。

(b) 期間の末日の日付は、必要な文書が提出され又は必要な手数料が支払われるべき地における日付とする。

80.5 期間の末日が就業日でない日又は法定の休日に当たる場合

 文書及び手数料が国内官庁又は政府間機関に到達すべき期間の末日が、

(ⅰ) 国内官庁若しくは政府間機関が公の事務の処理のために公衆に対して開庁していない日に当たる場合、

(ⅱ) 国内官庁若しくは政府間機関の所在地において通常の郵便物が配達されない日に当たる場合、

(ⅲ) 国内官庁若しくは政府間機関が二以上の地に所在する場合、国内官庁若しくは政府間機関の所在地のうち少なくとも一において法定の休日に当たり、かつ、その国内官庁若しくは政府間機関に適用される国内法令が、国内出願について、この場合にはその期間は後続の日に満了すると定めている場合、

(ⅳ) 国内官庁が特許を付与する任務を有する締約国の政府の当局である場合、その締約国の一部において法定の休日にあたり、かつ、その国内官庁に適用される国内法令が、国内出願について、この場合にはその期間は後続の日に満了すると定めている場合には、その期間は、それらの日のいずれにも該当しない後続の最初の日に満了する。

80.6 文書の日付

 国内官庁又は政府間機関の文書又は書簡の日付の日から期間が開始する場合には、関係者は、当該文書又は書簡がその日付の日よりも遅い日に郵便で発送されたことを証明することができる。この場合には、期間の計算上、実際に郵便で発送された日を期間の初日とする。当該文書又は書簡が郵便で発送された日にかかわらず、出願人が、国内官庁又は政府間機関に対し、当該文書又は書簡がその日付の日の後七日よりも遅い日に受領されたことを国内官庁又は政府間機関が認める証拠を提出する場合には、国内官庁又は政府間機関は、当該文書又は書簡の日付の日から開始する期間がその日付の日の後七日を超える日数と等しい日数を追加した日に満了するものとして取り扱う。

80.7 就業日の終了時

(a) 所定の日に満了する期間は、文書が提出され又は手数料が支払われるべき国内官庁又は政府間機関がその日の事務を終了する時に満了する。

(b) (a)の規定にかかわらず、国内官庁又は政府間機関は、該当する日の午後十二時まで期間を延長することができる。

第八十一規則 条約に定める期間の変更

81.1 提案

(a) 締約国又は事務局長は、第四十七条(2)の規定に基づく変更を提案することができる。

(b) 締約国が行う提案は、事務局長に提出する。

81.2 総会における決定

(a) 提案は、総会に対して行われる場合には、その提案が議事日程に掲げられる総会の会期の遅くとも二箇月前までに、事務局長がすべての締約国に送付する。

(b) 総会において提案が討議されている間は、その提案を修正し又はこれに付随する修正を提案することができる。

(c) 提案は、表決の時に出席しているいずれの締約国も反対票を投じなかつた場合には、採択されたものとする。

81.3 通信による投票

(a) 通信による投票が選択される場合には、提案は、事務局長が締約国に対し書面によつて通知するものとし、その通知は、締約国に対し賛否を書面によつて表明するよう要請する。

(b) (a)の要請には、書面によつて表明される賛否を含む回答が国際事務局に到達すべき期間を指定する。指定する期間は、要請の日から三箇月以上とする。

(c) 回答は、賛成又は反対のいずれかでなければならない。修正の提案又は単なる意見は、賛否の表明とはみなさない。

(d) 提案は、いずれの締約国も当該修正に反対しなかつた場合において、締約国の少なくとも二分の一が賛成、中立又は棄権を表明したときは、採択されたものとする。

第八十二規則 郵便業務における異常

82.1 郵便の遅延又は郵便物の亡失

(a) 関係者は、期間の末日の五日前までに文書又は書簡を郵便で発送したことの証拠を提出することができる。平面路による郵便物が差し出されてから通常二日以内に名あて地に到達する場合又は航空郵便業務を利用することができない場合を除くほか、その証拠は、文書又は書簡を航空郵便で発送した場合に限つて提出することができる。いかなる場合にも、その証拠は、文書又は書簡を郵政当局の書留扱いで発送した場合に限つて提出することができる。

(b) (a)の規定に基づく文書又は書簡の郵送の証拠が名あて人である国内官庁又は政府間機関にとつて満足するものである場合には、到達の遅延は、許される。また、文書又は書簡が郵送中に亡失した場合には、これに代えて新たな写しを提出することが許される。ただし、新たな写しが亡失した文書又は書簡と同一であることを関係者が当該国内官庁又は当該政府間機関に対し十分に立証することを条件とする。

(c) (b)の場合において、所定の期間内に郵便で発送したことの証拠並びに、文書又は書簡が亡失した場合にあつては、新たな写し及び当該新たな写しの亡失した文書又は書簡との同一性に関する証拠は、関係者が遅延若しくは亡失に気付いた日又は相当の注意を払つたとしたならば気付いたであろう日の後一箇月以内に提出するものとし、いかなる場合にも、当該期間の満了の後六箇月以内に提出する。

(d) 国内官庁又は政府間機関は、郵政当局以外の運送事業機関を文書又は書簡の郵送に利用する場合には、その旨を国際事務局に通知するものとし、その運送事業機関を郵政当局とみなして(a)から(c)までの規定を適用する。この場合には、(a)の末文の規定を適用しない。ただし、その発送のときに運送事業機関により当該発送が記録されたときに限り、当該発送の証拠を提出することができる。当該通知には、特定の運送事業機関又は特定の基準を満たす運送事業機関に限り利用する発送についてのみ適用する旨の表示を記載することができる。国際事務局は、通知された情報を公報に掲載する。

(e) 国内官庁又は政府間機関は、次の場合においても、(d)の規定に従い手続をとることができる。

(ⅰ) 利用する運送事業機関が、(d)に規定する通知において特定された運送事業機関でない場合又は特定された基準を満たしていない場合

(ⅱ) 国内官庁又は政府間機関が(d)に規定する通知を国際事務局に送付していない場合

第八十二規則の二 特定の期間が遵守されなかつたことによる遅滞についての指定国又は選択国の許容

82の2.1 第四十八条(2)の「期間」の意味

第四十八条(2)の「期間」とは、次の期間を含むものとする。

(ⅰ) 条約又はこの規則に定める期間

(ⅱ) 受理官庁、国際調査機関、国際予備審査機関若しくは国際事務局が定める期間又は国内法令に従つて受理官庁が適用する期間

(ⅲ) 出願人の指定官庁又は選択官庁に対する行為の遂行のために当該指定官庁若しくは選択官庁が定め又は国内法令に従つて適用する期間

82の2.2 権利の回復及び第四十八条(2)の規定が適用される他の規定期間が遵守されなかつたことによる遅滞についての指定国又は選択国の許容に関する第四十八条(2)に規定する国内法令の規定とは、権利の回復、文書の回復、原状回復又は、期間が遵守されなかつたにもかかわらず、更に手続を行うための規定及び期間の延長又は期間が遵守されなかつたことによる遅滞を許すことを定めるその他の規定をいう。

第八十二規則の三 受理官庁又は国際事務局による誤りの訂正

82の3.1 国際出願日及び優先権の主張に関する誤り

(a) 出願人が、指定官庁又は選択官庁に対し、当該受理官庁による誤りのために国際出願日が誤つていること又は当該受理官庁又は国際事務局が優先権の主張が無効と誤つてみなしたことについて十分に証明する場合、また、その誤りが当該指定官庁又は選択官庁によるものであつて、当該指定官庁又は選択官庁が国内法令又は国内運用に従つて訂正する誤りである場合には、当該指定官庁又は選択官庁は、訂正の後の国際出願日が認められたものとして又は優先権の主張が無効とみなされなかつたものとして取り扱う。

(b) 4.18及び20.6の規定に基づき要素又は部分を引用により含めることに基づいて、受理官庁により20.3(b)(ⅱ)、20.5(d)又は20.5の2(d)の規定に基づき国際出願日が認められた場合であるが、指定官庁又は選択官庁が、次のいずれかのことを認めるときは、当該指定官庁又は選択官庁は、(c)の規定に従うことを条件として、国際出願日が20.3(b)(ⅰ)、20.5(b)若しくは20.5の2(b)の規定に基づき認められた又は20.5(c)若しくは20.5の2(c)の規定に基づき訂正されたものとして取り扱うことができる。ただし、17.1(c)の規定を準用する。

(ⅰ) 出願人が、優先権書類に関して17.1(a)、(b)又は(bの2)の規定に従つていないこと。

(ⅱ) 4.18、20.6(a)(ⅰ)又は51の2.1(e)(ⅱ)の規定に基づく要件を満たしていないこと。

(ⅲ) 要素又は部分が当該優先権書類に完全に記載されていないこと。

(c) 指定官庁又は選択官庁は、国際出願日が20.3(b)(ⅰ)、20.5(b)若しくは20.5の2(b)の規定に基づき認められた又は20.5(c)若しくは20.5の2(c)の規定に基づき訂正されたものとして(b)の規定に基づき国際出願を取り扱うことについて、事情に応じて相当の期間内に意見を述べる機会又は(d)の規定に基づく請求の機会を出願人に与えることなく、そのように取り扱つてはならない。

(d) (c)の規定に従つて、指定官庁又は選択官庁が20.5(c)又は20.5の2(c)の規定に基づき国際出願日を訂正することを出願人に通知した場合には、出願人は、(c)に規定する期間内に当該官庁に提出する通知において、当該官庁の国内処理の目的のために当該欠落部分、又は当該正しい要素若しくは部分は無視されるよう請求することができ、その場合には、当該欠落部分又は当該正しい要素若しくは部分は提出されなかつたものとし、当該官庁は国際出願の国際出願日が訂正されたものとして取り扱つてはならない。

第八十二規則の四 期間が遵守されなかつたことによる遅滞についての許容及び期間の延長

82の4.1 期間が遵守されなかつたことによる遅滞についての許容

(a) 関係者は、住所若しくは営業所を有する地又は滞在地において戦争、革命、市民暴動、同盟罷業、天災、感染症、電子通信サービスの全般的な不通その他これらに類する事由により、受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関、国際予備審査機関又は国際事務局に対し行為を行うための規則に定める期間が遵守されなかつたこと及び合理的にできる限り速やかに適切な措置をとつたことを示す証拠を提出することができる。

(b) (a)に規定する証拠は、(a)に規定する期間の満了の後六箇月以内に、場合に応じ、(a)に規定する官庁、機関又は国際事務局に提出する。(a)に規定する状況が名あて人にとつて満足するものである場合には、期間が遵守されなかつたことによる遅滞は、許容される。

(c) 指定官庁又は選択官庁は、遅滞を許容する決定を行う時に、第二十二条又は第三十九条に規定する行為を既に行つた出願人に対し、その遅滞の許容を考慮する必要はない。

(d) 官庁、機関又は国際事務局は、場合に応じ、当該官庁、当該機関又は国際事務局が定めて公表した条件に従って、証拠の必要性を放棄することができる。この場合には、関係者は、期間を遵守できなかつたことが、当該官庁、当該機関又は国際事務局が証拠の提出に関する要求を放棄した理由のためである旨の陳述を行わなければならない。当該官庁又は当該機関は、国際事務局にその旨を通知する。

82の4.2 官庁における電子的な通信手段の不通

(a) いずれの国内官庁又は政府間機関も、当該国内官庁又は政府間機関が認める電子的な通信手段のいずれかの不通により、当該国内官庁又は政府間機関に対し行為を行うための規則に定める期間が遵守されなかつた場合には、その期間が遵守されなかつたことによる遅滞を許容する旨を定めることができる。ただし、それぞれの行為が、当該電子的な通信手段が回復した後続の最初の就業日に行われたことを条件とする。関係国内官庁又は政府間機関は、不通期間を含む当該不通に関する情報を公表するとともに、国際事務局にその旨を通知する。

(b) 指定官庁又は選択官庁は、(a)に定める情報が公表される時に、第二十二条又は第三十九条に規定する行為を既に行つた出願人に対し、(a)に定める期間が遵守されなかつたことによる遅滞の許容を考慮する必要はない。

82の4.3 全般的な混乱による期間の延長

(a) 受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関、国際予備審査機関又は国際事務局は、当該官庁、当該機関又は国際事務局の所在する国が、当該官庁、当該機関又は国際事務局の業務に影響を及ぼす82の4.1(a)に掲げる事象によつて生ずる全般的な混乱に直面しており、これにより当事者が当該官庁、当該機関又は国際事務局に対する行為を規則に定める期間内に行うことを妨げられる場合には、当事者が規則に定める期間内に行為を行う必要があるという規則に定める期間を延長できるように、延長期間を設定することができる。当該官庁、当該機関又は国際事務局は、当該延長期間の開始する日及び終了する日を公表する。当該延長期間は、開始日から二箇月を超えないものとする。当該官庁又は当該機関は、国際事務局にその旨を通知する。

(b) (a)の規定に基づき延長期間を設定した後に、関係する官庁、機関又は国際事務局は、事情に応じて必要なときは、追加の延長期間を設定することができる。この場合には、(a)の規定を準用する。

(c) 指定官庁又は選択官庁は、(a)又は(b)に定める情報が公表される時に、当該官庁の国内処理が開始されている場合には、(a)又は(b)の規定に基づく期間の延長を考慮する必要はない。

第八十三規則 国際機関に対し業として手続をとる権能

83.1 権能の証明

 国際事務局、管轄国際調査機関及び管轄国際予備審査機関は、第四十九条にいう業として手続をとる権能の証明を提出することを要求することができる。

83.1の2 国際事務局が受理官庁の場合

(a) 出願人がその居住者若しくは国民である締約国又は、二人以上の出願人がある場合には、これらの出願人のうちのいずれかがその居住者若しくは国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁に対し業として手続をとる権能を有する者は、国際出願について、19.1(a)(ⅲ)の規定に基づく受理官庁としての国際事務局に対し業として手続をとる権能を有する。

(b) 国際出願について受理官庁としての国際事務局に対し業として手続をとる権能を有する者は、その国際出願について、受理官庁以外の資格における国際事務局に対し並びに管轄国際調査機関及び管轄国際予備審査機関に対し業として手続をとる権能を有する。

83.2 通知

(a) 国内官庁又は政府間機関は、関係者が自己に対し業として手続をとる権能を有することの主張がされている場合には、要請により、当該関係者がその権能を有するかどうかを国際事務局、管轄国際調査機関又は管轄国際予備審査機関に通知する。

(b) (a)の通知は、国際事務局、管轄国際調査機関又は管轄国際予備審査機関に対して拘束力を有する。

E部 第五章に関する規則

第八十四規則 代表団の費用

84.1 政府が負担する費用

 条約により又は条約に基づいて設置される機関に参加する各代表団の費用は、その代表団を任命した政府が負担する。

第八十五規則 総会における定足数の不足

85.1 通信による投票

 第五十三条(5)(b)の場合には、国際事務局は、代表を出さなかつた締約国に対し、総会の決定(総会の手続に関するものを除く。)を通知し及びその通知の日から三箇月の期間内に賛否又は棄権を書面によつて表明するよう要請する。その期間の満了の時に、賛否又は棄権を表明した締約国の数が当該会期の定足数の不足を満たすこととなり、かつ、必要とされる多数の賛成がなお存在する場合には、その決定は、効力を生ずる。

第八十六規則 公報

86.1 内容

 第五十五条(4)にいう公報には、次のものを掲載する。

(ⅰ) 国際公開された各国際出願について、当該国際出願の国際公開の表紙に掲載されている事項から抽出されたものであって実施細則で定めるもの、その表紙に掲載されている図面(該当する場合)及び要約

(ⅱ) 受理官庁、国際事務局、国際調査機関及び国際予備審査機関に支払うべきすべての手数料の一覧表

(ⅲ) 条約又はこの規則により公表することが必要とされている事項

(ⅳ) 公開された国際出願に関し95.1の規定に基づいて国際事務局に通知された指定官庁及び選択官庁における事象に関する情報

(ⅴ) 実施細則で定めるその他の有用な情報。ただし、当該情報が知得されるようにすることが条約又はこの規則によつて禁止されていない場合に限る。

86.2 言語、発行の形式及び手段並びに時期

(a) 公報は、英語及びフランス語で同時に発行するものとする。英語及びフランス語の翻訳文については、国際事務局が作成する。

(b) 総会は、(a)に規定する言語以外の言語で公報を発行することを命ずることができる。

(c) 公報を発行する形式及び手段は、実施細則で定める。

(d) 国際事務局は、国際公開された各国際出願について、その国際出願が発行された日又はその後できる限り速やかに、86.1(ⅰ)に規定する情報を公報に掲載することを確保する。

86.3 回数

 公報の発行回数は、事務局長が決定する。

86.4 販売

 公報の予約購読料及びその他の販売価格は、事務局長が決定する。

86.5 表題

 公報の表題は、事務局長が決定する。

86.6 その他の細目

 公報に関するその他の細目は、実施細則で定めることができる。

第八十七規則 刊行物の送達

87.1 請求による刊行物の送達

 国際事務局は、すべての公開された国際出願、公報及び国際事務局が条約又はこの規則に関連して発行するその他のすべての一般的な刊行物を無料で国際調査機関及び国際予備審査機関並びに国内官庁に、関係する機関又は官庁の請求により送達する。刊行物の送達の形式及び手段に関するその他の細目は、実施細則で定める。

第八十八規則 この規則の修正

88.1 全会一致が条件とされる場合

 この規則の規定のうち次の規定の修正には、総会において投票する権利を有するいずれの国も提案された修正に対して反対票を投じないことを必要とする。

(ⅰ) 14.1(送付手数料)

(ⅱ) 削除

(ⅲ) 22.3(第十二条(3)に規定する期間)

(ⅳ) 第三十三規則(国際調査における関連のある先行技術)

(ⅴ) 第六十四規則(国際予備審査における先行技術)

(ⅵ) 第八十一規則(条約に定める期間の変更)

(ⅶ) この88.1

88.2 削除

88.3 特定の国による反対のないことが条件とされる場合

 この規則の規定のうち次の規定の修正には、第五十八条(3)(a)(ⅱ)に規定する国であつて総会において投票する権利を有するもののいずれもが提案された修正に対して反対票を投じないことを必要とする。

(ⅰ) 第三十四規則(最小限資料)

(ⅱ) 第三十九規則(第十七条(2)(a)(ⅰ)に規定する国際出願の対象)

(ⅲ) 第六十七規則(第三十四条(4)(a)(ⅰ)に規定する国際出願の対象)

(ⅳ) この88.3

88.4 手続

 88.1又は88.3に掲げる規定を修正するための提案は、総会において決定される場合には、その提案について決定を行うことが求められている総会の会期の開始の遅くとも二箇月前までにすべての締約国に通知する。

第八十九規則 実施細則

89.1 範囲

(a) 実施細則には、次の事項に関して規定する。

(ⅰ) この規則において、実施細則に明示的にゆだねられている事項

(ⅱ) この規則の適用についての細目

(b) 実施細則は、条約、この規則又は国際事務局と国際調査機関若しくは国際予備審査機関との間に締結される取決めの規定に抵触するものであつてはならない。

89.2 作成

(a) 実施細則は、受理官庁、国際調査機関及び国際予備審査機関との協議の上、事務局長が作成し及び公示する。

(b) 実施細則は、当該変更提案に直接の利害関係を有する受理官庁、国際調査機関又は国際予備審査機関との協議の上、事務局長が変更することができる。

(c) 総会は、事務局長に対し実施細則を変更することを求めることができるものとし、事務局長は、その求めに従つて手続をとる。

89.3 公表及び効力発生

(a) 実施細則及びその変更は、公報に掲載する。

(b) 各公表には、掲載された規定の効力発生の日に明示する。その日は、異なる規定ごとに異なる日とすることができる。ただし、いかなる規定についても、公報に掲載される前に効力が生ずることを宣言することができない。

F部 二以上の章に関する規則

第八十九規則の二 電子形式又は電子的手段による国際出願及び国際出願に関する書類の提出、処理及び送達

89の2.1 国際出願

(a) 国際出願は、(b)から(e)までの規定に従うことを条件として、実施細則に定めるところにより、電子形式又は電子的手段によつて行われ及び処理することができる。ただし、いずれの受理官庁も紙形式によつて国際出願をすることを認めるものとする。

(b) この規則は、実施細則の特別の規定に基づいて電子形式又は電子的手段によつて行われる国際出願について準用する。(c) 実施細則は、全部又は一部について電子形式又は電子的手段により行われる国際出願及びその処理に関連のあ

る事項について規定する。当該事項は、受理の認定、国際出願日の認定に係る手続、国際出願の様式上の要件及びこの様式上の要件を満たしていないことによる結果、書類への署名、書類の真正の証明手段、官庁及び政府間当局と連絡をとる者の同一性の証明手段並びに第十二条に規定する受理官庁用写し、記録原本及び調査用写しに関連のあるものを含むが、これらに限定されるものではない。実施細則には、異なる言語で行われる国際出願に関して異なる規定を含むことができる。

(d) 国内官庁又は政府間機関は、電子形式又は電子的手段によつて行われる国際出願を実施細則の関連規定に基づいて受理し又は処理する準備が整つている旨を国際事務局に通知しない限り、そのような受理又は処理を行う義務を負わない。国際事務局は、通知されたその旨の情報を公報に掲載する。

(e) 国際事務局に対して(d)に規定する通知を行つた受理官庁は、実施細則に基づいて電子形式又は電子的手段によつて行われた国際出願を処理することを拒否することはできない。

89の2.2 国際出願に関する書類

 89の2.1の規定は、国際出願に関する書類及び通信について準用する。

89の2.3 官庁間の送達

 条約、この規則又は実施細則が、国際出願、通知、送達、通信又はその他の書類の一の国内官庁又は政府間機関によつて他の国内官庁又は政府間機関に対して行う送達、通知、又は送付(以下「送達」という。)について規定する場合において、そのような送達は、送達する者及び受け取る者の双方が合意したときは、電子形式又は電子的手段によつて行うことができる。

第八十九規則の三 紙形式によつて提出された書類の電子形式による写し

89の3.1 紙形式によつて提出された書類の電子形式による写し

 国内官庁又は政府間機関は、国際出願又は国際出願に関する書類が紙形式によつて提出される場合には、出願人がその電子形式による写しを実施細則に従つて提出することができる旨を定めることができる。

第九十規則 代理人及び共通の代表者

90.1 代理人の選任

(a) 出願人は、国際出願がされた国内官庁に対し業として手続をとる権能を有する者又は、国際出願が国際事務局にされた場合には、国際出願について受理官庁としての国際事務局に対し業として手続をとる権能を有する者を、受理官庁、国際事務局、国際調査機関、補充調査のために指定された機関及び国際予備審査機関に対し出願人を代理する代理人として選任することができる。

(b) 出願人は、国際調査機関として行動する国内官庁又は政府間機関に対し業として手続をとる権能を有する者を、特に、当該国際調査機関に対し出願人を代理する代理人として選任することができる。

(bの2)出願人は、補充調査のために指定された機関として行動する国内官庁又は政府間機関に対し業として手続をとる権能を有する者を、特に、当該補充調査のために指定された機関に対し出願人を代理する代理人として選任することができる。

(c) 出願人は、国際予備審査機関として行動する国内官庁又は政府間機関に対し業として手続をとる権能を有する者を、特に、当該国際予備審査機関に対し出願人を代理する代理人として選任することができる。

(d) (a)の規定に基づき選任された代理人は、代理人を選任する書面に別段の表示がある場合を除くほか、次の機関に対し出願人の代理人として出願人を代理する一人又は二人以上の復代理人を選任することができる。

(ⅰ) 復代理人として選任される者が、国際出願がされた国内官庁に対し業として手続をとる権能を有する者である場合又は国際出願について受理官庁としての国際事務局に対し業として手続をとる権能を有する者である場合にあつては、場合に応じ、受理官庁、国際事務局、国際調査機関、補充調査のために指定された機関及び国際予備審査機関

(ⅱ) 復代理人として選任される者が、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際予備審査機関として行動する国内官庁又は政府間機関に対し業として手続をとる権能を有する者である場合にあつては、場合に応じ、特に、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際予備審査機関

90.2 共通の代表者

(a) 二人以上の出願人がある場合において、当該二人以上の出願人が90.1(a)の規定に基づきすべての出願人を代理する代理人(共通の代理人)を選任しなかつたときは、第九条の規定により国際出願をする資格を有する出願人のうちの一人を共通の代表者として他の出願人が選任することができる。

(b) 二人以上の出願人がある場合において、すべての出願人が90.1(a)の規定に基づき共通の代理人又は(a)の規定に基づき共通の代表者を選任しなかつたときは、19.1の規定に基づき受理官庁に国際出願をする資格を有する出願人のうち願書に最初に記載されている出願人をすべての出願人の共通の代表者とみなす。

90.3 代理人及び共通の代表者による又は代理人及び共通の代表者に対する行為の効果

(a) 代理人による又は代理人に対する行為は、関係出願人による又は関係出願人に対する行為としての効果を有する。

(b) 同一の出願人を代理する代理人が二人以上である場合には、それらの代理人のうちいずれかの者による又はそのいずれかの者に対する行為は、関係出願人による又は関係出願人に対する行為としての効果を有する。

(c) 90の2.5の後段の規定に従うことを条件として、共通の代表者若しくはその代理人による行為又は共通の代表者若しくはその代理人に対する行為は、全ての出願人による行為又は全ての出願人に対する行為としての効果を有する。

90.4 代理人又は共通の代表者の選任の方法

(a) 代理人の選任は、出願人が願書、国際予備審査の請求書又は別個の委任状に署名をすることによつて行う。二人以上の出願人がある場合には、共通の代理人又は共通の代表者の選任は、各出願人がその選択により願書、国際予備審査の請求書又は別個の委任状に署名をすることによつて行う。

(b) 90.5の規定に従うことを条件として、別個の委任状は、受理官庁又は国際事務局に提出する。ただし、委任状が90.1(b)、(bの2)、(c)又は(d)(ⅱ)に規定する代理人を選任するものである場合には、場合に応じ、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際予備審査機関に提出する。

(c) 別個の委任状に署名がされていない場合、必要な別個の委任状がない場合又は選任された者の氏名若しくは名称若しくはあて名の記載が4.4の規定に従つていない場合には、委任状は、当該欠陥の補充がされた場合を除くほか、存在しないものとみなす。

(d) (e)の規定に従うことを条件として、受理官庁、国際調査機関、補充調査を管轄する機関、国際予備審査機関、国際事務局は、(b)に定める別個の委任状を提出する要件を放棄することができる。この場合(c)は適用されない。

(e) 代理人や共通の代表者が90の2.1から90の2.4までの規定による取下げの通告をする場合、(b)に定める個別の委任状についての要件を(d)に基づいて放棄することはできない。

90.5 包括委任状

(a) 国際出願についての代理人の選任は、次のことを条件として、出願人がすることができるいかなる国際出願についても、出願人を代理する代理人を選任する別個の委任状(包括委任状)がある旨を、願書、国際予備審査の請求書又は別個の通知に表示することにより行うことができる。

(ⅰ) 包括委任状が(b)の規定に従つて寄託されていること。

(ⅱ) 包括委任状の写しが関係する願書、国際予備審査の請求書又は別個の通知に添付されていること(その写しには、署名を必要としない。)。

(b) 包括委任状は、受理官庁に寄託する。ただし、90.1(b)、(bの2)、(c)又は(d)(ⅱ)の規定に基づき代理人を選任する場合には、包括委任状は、場合に応じ、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際予備審査機関に寄託する。

(c) 受理官庁、国際調査機関、補充調査を管轄する国際機関、国際予備審査機関は、(a)(ⅱ)に定める包括委任状の写しを願書、国際予備審査の請求書又は別個の通知に添付する要件を放棄することができる。

(d) (c)の規定にかかわらず、代理人が90の2.1から90の2.4までの規定による取下げの通告を受理官庁、補充調査のために指定された機関、国際予備審査機関又は国際事務局にする場合には、場合に応じ、包括委任状の写しを当該官庁、機関又は国際事務局に提出しなければならない。

90.6 解任及び辞任

(a) 代理人又は共通の代表者の選任は、選任した者又はその者の承継人が撤回することができる。この場合には、当該代理人による90.1(d)の規定に基づく復代理人の選任も、撤回されたものとみなす。90.1(d)の規定に基づく復代理人の選任も、関係出願人が撤回することができる。

(b) 90.1(a)の規定に基づく代理人の選任は、別段の表示がある場合を除くほか、同規定に基づく先の代理人の選任を撤回する効果を有する。

(c) 共通の代表者の選任は、別段の表示がある場合を除くほか、先の共通の代表者の選任を撤回する効果を有する。

(d) 代理人又は共通の代表者は、自ら署名した届出によつて選任を放棄することができる。

(e) 90.4(b)及び(c)の規定は、この90.6の規定に基づく解任及び辞任のための書面について準用する。

第九十規則の二 取下げ

90の2.1 国際出願の取下げ

(a) 出願人は、優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、国際出願を取り下げることができる。

(b) 取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、第三十九条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。

(c) 出願人、受理官庁又は国際予備審査機関により送付された取下げの通告が国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、取り下げられた国際出願の国際公開は、行わない。

90の2.2 指定の取下げ

(a) 出願人は、優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、指定国の指定を取り下げることができる。選択された国の指定の取下げは、これに対応する90の2.4の規定に基づく選択の取下げを伴う。

(b) 国内特許及び広域特許の双方を受けるために国を指定した場合には、その国の指定の取下げは、別段の表示がある場合を除くほか、国内特許を受けるための指定のみの取下げを意味するものとする。

(c) すべての指定国の指定の取下げは、90の2.1の規定に基づく国際出願の取下げとみなす。

(d) 取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、第三十九条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。

(e) 出願人、受理官庁又は国際予備審査機関により送付された取下げの通告が国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、取り下げられた指定の国際公開は、行わない。

90の2.3 優先権の主張の取下げ

(a) 出願人は、国際出願において第八条(1)の規定に基づいて申し立てた優先権の主張を優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。

(b) 出願人は、国際出願が二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張のいずれか又はすべてについて(a)に規定する権利を行使することができる。

(c) 取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、第三十九条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。

(d) 優先権の主張の取下げが優先日について変更が生じる場合には、もとの優先日から起算した場合にまだ満了していない期間は、(e)の規定に従うことを条件として、変更の後の優先日から起算する。

(e) 第二十一条(2)(a)に定める期間については、国際事務局は、出願人、受理官庁又は国際予備審査機関により送付された取下げの通告が国際公開の技術的な準備が完了した後に国際事務局に到達した場合には、もとの優先日から起算したその期間を基礎として当該国際公開を行うことができる。

90の2.3の2 補充調査請求の取下げ

(a) 出願人は、45の2.8(a)の規定に基づく出願人及び国際事務局への補充国際調査報告又は補充国際調査報告を作成しない旨の宣言の送付の日より前にいつでも、補充調査請求を取り下げることができる。

(b) 取下げは、出願人の選択により補充調査のために指定された機関又は国際事務局が出願人からの通告を(a)に規定する期間内に受領した時に効力を生ずる。ただし、当該通告が、(a)に規定する報告又は宣言の送付を取りやめるために十分な期間内に補充調査のために指定された機関に到達しない場合においても、45の2.8(b)の規定によつて適用する第二十条(1)の規定に基づき当該報告又は宣言を送達する。

90の2.4 国際予備審査の請求又は選択の取下げ

(a) 出願人は、国際予備審査の請求又は選択のいずれか若しくはすべてを優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。

(b) 取下げは、国際事務局に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。

(c) 出願人が取下げの通告を国際予備審査機関に提出した場合には、その国際予備審査機関は、その通告に受理の日付を付して速やかに国際事務局にその通告を送付する。その通告は、付された日付に国際事務局に提出されたものとみなす。

90の2.5 署名

 90の2.1から90の2.4までに規定する取下げの通告には、出願人又は、二人以上の出願人がある場合においては、全ての出願人が署名する。90.2(b)の規定に基づく共通の代表者とみなされた出願人は、他の出願人の代わりにそのような通告に署名する権限を有しない。

90の2.6 取下げの効果

(a) 第九十規則の二の規定に基づく国際出願、指定、優先権の主張、国際予備審査の請求又は選択の取下げは、第二十三条(2)又は第四十条(2)の規定に基づき既に国際出願の処理又は審査を開始している指定官庁又は選択官庁については、効力を生じない。

(b) 国際出願が90の2.1の規定に基づき取り下げられた場合には、当該国際出願の国際段階の処理は、中止する。

(bの2) 補充調査請求が90の2.3の2の規定に基づき取り下げられた場合には、関係する機関による補充国際調査は、中止する。

(c) 国際予備審査の請求又はすべての選択が90の2.4の規定に基づき取り下げられた場合には、国際予備審査機関による国際出願の処理は、中止する。

90の2.7 第三十七条(4)(b)に規定する権能

(a) 第三十七条(4)(b)の後段の規定を国内法令で定める締約国は、国際事務局に書面で通知する。

(b) (a)の通知は、国際事務局が速やかに公報に掲載するものとし、その通知が掲載された日の後一箇月を経過した後にされる国際出願について効力を有する。

第九十一規則 国際出願及び他の書類中の明白な誤記の訂正

91.1 明白な誤記の訂正

(a) 国際出願又は出願人が提出した他の書類中の明白な誤記は、当該出願人が請求する場合は第九十一規則に従つて訂正することができる。

(b) 誤記の訂正は「権限のある機関」の許可に従う。すなわち、

(ⅰ) 国際出願の願書部分又はその補充書における誤記の場合には、受理官庁

(ⅱ) 明細書、請求の範囲若しくは図面、又はそれらの補充書における誤記の場合(ただし、(ⅲ)の規定に基づき国際予備審査機関が管轄する場合を除く。)には、国際調査機関

(ⅲ) 明細書、請求の範囲、図面若しくはそれらの補充書又は第十九条若しくは第三十四条の規定に基づく補正書における誤記の場合で、国際予備審査の請求が行われ、取り下げられておらず、かつ69.1に従つて国際予備審査を開始する日が過ぎている場合には、国際予備審査機関

(ⅳ) 受理官庁、国際調査機関、国際予備審査機関又は国際事務局に提出された(ⅰ)から(ⅲ)までに規定されていない書類における誤記の場合であつて、要約又は第十九条の規定に基づく補正書における誤記以外の場合には、当該受理官庁、当該機関又は事務局

(c) 権限のある機関は、(f)の規定に基づく日において、関連する書類に現れるもの以外の何かが意図されていること及び提出された訂正以外何も意図されていなかつたことが当該権限のある機関にとつて明白であつた場合のみ、第九十一規則の規定に基づき誤記の訂正を許可する。

(d) 明細書、請求の範囲若しくは図面、又はそれらの補充書若しくは補正書における誤記の場合、権限のある機関は、

(c)の規定の適用上、明細書、請求の範囲及び図面(該当する場合には、関係する補充書又は補正書)の内容のみを考慮する。

(e) 国際出願の願書部分若しくはその補充書、又は(b)(ⅳ)に規定する書類における誤記の場合には、権限のある機関は、(c)の規定の適用上、国際出願自体(該当する場合には、関連する補充書又は(b)(ⅳ)に規定する書類)の内容のみを、願書、補充書又は書類とともに提出された書類、実施細則に従い当該機関が利用可能な国際出願に関する優先権書類、及び(f)の規定に基づく日に当該機関の国際出願の一件書類に含まれるすべての書類とともに考慮する。

(f) (c)及び(e)の規定の適用上の日とは、次のとおりとする。

(ⅰ) 提出された国際出願の部分における誤記の場合には、国際出願日

(ⅱ) 提出された国際出願以外の書類における誤記の場合(国際出願の補充書又は補正書における誤記を含む)には、当該書類が提出された日

(g) 次の場合には、第九十一規則の規定に基づき誤記を訂正できない。ただし、この(g)の規定は、20.4、20.5、26の2及び38.3の規定の適用に影響を及ぼすものではない。

(ⅰ) 誤記が、第三条(2)に規定する国際出願の一若しくは二以上のいずれかの要素の欠落又は国際出願の一若しくは二以上のいずれかの用紙の欠落にある場合

(ⅱ) 誤記が要約にある場合

(ⅲ) 第十九条の規定に基づく補正書における誤記の場合(ただし、国際予備審査機関が、(b)(ⅲ)の規定に基づく当該誤記の訂正の許可を管轄する場合を除く。)

(ⅳ) 優先権の主張又は26の2.1(a)の規定に基づく優先権の主張を補充する又は追加する書面における誤記であつて、誤記の訂正により優先日について変更が生じる場合

(h) 受理官庁、国際調査機関、国際予備審査機関、又は国際事務局が、国際出願又は他の書類において訂正することができる明白な誤記と認められるものを発見した場合には、当該関係当局は出願人に対し、第九十一規則の規定に基づき訂正のための請求をするよう求めることができる。

91.2 訂正のための請求

 91.1の規定に基づく訂正のための請求は、優先日から二十六箇月以内に権限のある機関に提出しなければならない。当該請求は、訂正される誤記及び提案された訂正を特定し、出願人の選択により、簡単な説明を記載することができる。26.4の規定は、提案された訂正を表示する方法に準用する。

91.3 訂正の許可及び効果

(a) 権限のある機関は、91.1の規定に基づく訂正を許可するか拒否するかどうかを速やかに決定し、出願人及び国際事務局に許可又は拒否について及び、拒否する場合には、その理由を速やかに通知する。国際事務局は、実施細則の定めるところによつて処理し、必要に応じ、受理官庁、国際調査機関、国際予備審査機関並びに指定及び選択官庁に許可又は拒否を通知する。

(b) 91.1の規定に基づき明白な誤記の訂正が許可された場合には、関係書類を実施細則で定めるところにより訂正する。

(c) 明白な誤記の訂正が許可された場合には、当該訂正は次の日から有効となる。

(ⅰ) 出願時における国際出願の誤記の場合には、国際出願日

(ⅱ) 出願時における国際出願以外の書類の誤記の場合(当該国際出願の補充書又は補正書における誤記を含む。)には、当該書類が提出された日

(d) 権限のある機関が、91.1の規定に基づく訂正を拒否する場合には、国際事務局は、拒否の日から二箇月以内に提出された出願人の要請に応じ、また、実施細則でその額を定める特別の手数料の支払を条件として、訂正のための請求、当該機関による拒否の理由、及び出願人が提出する簡単な意見書を可能なときは国際出願とともに公表する。国際出願の国際公開が第六十四条(3)の規定により行われない場合には、請求、理由及び意見書(該当する場合)の写しは、可能なときは第二十条の送達に含める。

(e) 91.3(a)の規定に基づく権限のある機関による訂正の許可の通知を当該指定官庁が受け取る日の前に既に国際出願の処理又は審査を開始した指定官庁は、明白な誤記の訂正を考慮する必要はない。

(f) 指定官庁は、当該指定官庁が権限のある機関であつた場合に91.1の規定に基づく訂正を許可しなかつたと認めた場合にのみ、91.1の規定に基づき許可された訂正を無視することができる。ただし、指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に、当該官庁が訂正を無視することについて意見を述べる機会を出願人に与えることなく91.1の規定に基づき許可された訂正を無視することはできない。

第九十二規則 通信

92.1 書簡及び署名の必要性

(a) 条約及びこの規則に定める国際的手続において出願人が提出する書類(国際出願の書類を除く。)には、それ自体が書簡の形式のものでない限り、当該書類に係る国際出願を特定する書簡を添付する。その書簡には、出願人が署名をする。

(b) (a)に定める要件が満たされていない場合には、出願人にその旨を通知し、その要件の欠落を指定した期間内に補足することを求める。その指定期間は、事情に応じて相当の期間とするものとし、書類の提出に適用される期間よりも遅い時に満了する場合(又は書類の提出に適用される期間が既に満了した場合)においても、求めの通知の郵送から十日以上一箇月以内とする。欠落が指定期間内に補足された場合にはその欠落は無視され、その他の場合には出願人に当該書類が無視されたことを通知する。

(c) (a)に定める要件を満たしていないことが見落とされ、国際的手続において当該書類が考慮された場合には、要件を満たしていないことは、無視される。

92.2 言語

(a) 55.1、55.3及び(b)の規定が適用される場合を除くほか、出願人が国際調査機関又は国際予備審査機関に提出する書簡又は文書は、当該書簡又は文書に係る国際出願の言語と同一の言語で作成する。ただし、国際出願の翻訳文が23.1(b)の規定に基づき送付されている場合又は55.2の規定に基づき提出されている場合には、当該翻訳文の言語を用いる。

(b) 出願人から国際調査機関又は国際予備審査機関にあてる書簡は、当該国際調査機関又は当該国際予備審査機関が許可した場合に限り、国際出願の言語以外の言語で作成することができる。

(c) 削除

(d) 出願人から国際事務局にあてる書簡は、英語、フランス語その他実施細則によつて認められる国際公開の言語で作成する。

(e) 国際事務局から出願人又は国内官庁にあてる書簡又は通知は、英語又はフランス語で作成する。

92.3 国内官庁及び政府間機関による郵送国内官庁又は政府間機関が発出し又は送付する文書又は書簡であつて、その発出又は送付の日から条約又はこの規則に定める期間が開始することとなるものは、航空郵便物として送付するものとする。ただし、平面路による郵便物が差し出されてから通常二日以内に名あて地に到達する場合又は航空郵便業務を利用することができない場合には、航空郵便物に代えて平面路による郵便物として送付することができる。

92.4 電信、テレプリンター、ファクシミリ等の使用

(a) 11.14及び92.1(a)の規定にかかわらず、(h)の規定に従うことを条件として、国際出願の書類及び国際出願に関するその後の書類又は文書は、可能な限り、電信、テレプリンター、ファクシミリ又は印刷若しくは手書きの書類を提出することになる同様の通信手段により送付することができる。

(b) ファクシミリにより送付される書類にされている署名は、条約及びこの規則の規定の適用上、適当な署名と認める。

(c) 出願人が(a)に規定する通信手段のいずれかにより書類を送付したが、到達した書類の一部若しくは全部を判読することができない場合又はその書類の一部が到達していない場合には、到達した書類のうち判読することができない部分又は送付した書類のうち到達していない部分については、到達しなかつたものとみなす。国内官庁又は政府間機関は、速やかにその旨を出願人に通知する。

(d) 国内官庁又は政府間機関は、(a)に規定する通信手段のいずれかにより送付された書類の原本に先の送付を確認する書簡を添付して、先の送付の日から十四日以内に提出することを要求することができる。ただし、その要求は、国際事務局に通知され、かつ、国際事務局がこれに関する情報を公報に掲載した後でなければ行うことができない。その通知には、その要求が書類の全部又は一部のいずれに関するものであるかを特定する。

(e) 出願人が(d)の規定に基づいて要求される書類の原本を提出しない場合には、関係国内官庁又は政府間機関は、送付された書類の種類に応じ、第十一規則及び26.3の規定を考慮して、次のいずれかを行うことができる。

(ⅰ) (d)の規定に基づく要求を放棄すること。

(ⅱ) 出願人に対し、事情に応じて相当のかつ指定する期間内に送付された書類の原本を提出するよう求めること。ただし、送付された書類又は原本に欠陥がある場合において、国内官庁又は政府間機関がその欠陥の補充の求めを発出することができるときは、当該国内官庁又は政府間機関は、(ⅰ)若しくは(ⅱ)の手続に加え又はその手続に代えて当該欠陥の補充の求めを発出することができる。

(f) 国内官庁又は政府間機関は、(d)の規定に基づく書類の原本の提出を要求していないが当該書類の原本を受理することを必要と認めた場合には、(e)(ⅱ)の規定に基づく求めを発出することができる。

(g) 出願人が(e)(ⅱ)又は(f)の求めに応じなかつた場合には、

(ⅰ) 関係書類が国際出願に係るものであるときは、その国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。

(ⅱ) 関係書類が国際出願の後に提出する書類であるときは、その書類は、提出されなかつたものとみなす。

(h) 国内官庁又は政府間機関は、(a)に規定する通信手段により書類を受理する用意がある旨を国際事務局に通知し、かつ、国際事務局がこれに関する情報を公報に掲載した場合を除くほか、当該通信手段により提出された書類を受理する義務を負わない。

第九十二規則の二 願書又は国際予備審査の請求書の表示の変更の記録

92の2.1 変更の国際事務局による記録

(a) 国際事務局は、出願人又は受理官庁の要請に基づき願書又は国際予備審査の請求書における次の事項の表示の変更を記録する。

(ⅰ) 出願人の名義、氏名若しくは名称、住所、国籍又はあて名

(ⅱ) 代理人、共通の代表者又は発明者の名義、氏名若しくは名称又はあて名

(b) 国際事務局は、優先日から三十箇月の期間の満了の後に記録の要請を受理した場合には、要請された変更を記録しない。

第九十三規則 記録及び一件書類の保存

93.1 受理官庁各受理官庁は、国際出願又は国際出願として提出されたものに関する記録(受理官庁用写しを含む。)を当該国際出願日又は、国際出願日を認めない場合には、当該受理の日から少なくとも十年間保存する。

93.2 国際事務局

(a) 国際事務局は、国際出願の一件書類(記録原本を含む。)を当該記録原本の受理の日から少なくとも三十年間保存する。

(b) 国際事務局の基本的な記録は、無期限に保存する。

93.3 国際調査機関及び国際予備審査機関各国際調査機関及び各国際予備審査機関は、その受領した各国際出願の一件書類を当該国際出願日から少なくとも十年間保存する。

93.4 複製物この第九十三規則の規定の適用上、記録、写し及び一件書類は、光学的、電子的又はその他の複製物として保存することができる。ただし、その複製物は、93.1から93.3までの規定に従つて記録、写し及び一件書類を保存する義務が履行されるようなものであることを条件とする。

第九十三規則の二 書類の送達方法

93の2.1 請求による送達、電子図書館を経由した送達

(a) 条約、この規則又は実施細則が、国際出願、通知、送達、通信又はその他の書類(以下「書類」という。)の国際事務局から指定官庁又は選択官庁に対して行う送達、通知又は送付(以下「送達」という。)について規定する場合において、その送達は、関係する官庁による請求によつてのみ、かつ、官庁が特定する時に行われる。この請求は、個別に特定された書類又は特定された一又は複数の書類の分類に関するものとして行うことができる。

(b) (a)の規定に基づく送達は、国際事務局と関係する指定官庁又は選択官庁との間で合意したときは、実施細則で定めるところにより、国際事務局が、当該官庁がその書類を検索する権能を有する電子図書館において、書類を電子形式で入手可能な状態にする時に行われたものとみなす。

第九十四規則 国際出願の一件書類の利用

94.1 国際事務局が保有する一件書類の利用

(a) 国際事務局は、出願人又は出願人の承諾を得た者の請求に応じ、役務の費用の支払を条件として、一件書類中の文書の写しを提供する。

(b) 国際事務局は、第三十八条及び(d)から(g)までの規定に従うことを条件とし、かつ、国際出願が国際公開された後はいかなる者の請求にも応じ、役務の費用の支払を条件として、一件書類中の文書の写しを提供する。写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(c)国際事務局は、国際予備審査報告の作成の後、選択官庁により請求された場合に、当該選択官庁に代わつて、

(b)の規定により、71.1(a)又は(b)に基づいて国際予備審査機関から国際事務局に送付された書類の写しを提供する。国際事務局は速やかにこの請求の詳細を公報に掲載する。

(d) 国際事務局は、48.2(l)の規定に基づき公開の対象から省略された一件書類中の情報及び当該規定に基づく請求に関する一件書類中の文書を利用することができるようにしてはならない。

(e) 国際事務局は、次のことを認めるときは、出願人による理由を示した請求により、一件書類中の情報及び当該請求に関する一件書類中の文書を利用することができるようにしてはならない。

(ⅰ) 当該情報が国際出願について公衆に周知する目的に明らかに資さないこと。

(ⅱ) 当該情報の公衆による利用により、いずれかの者の個人的な又は経済的な利益が明らかに損なわれること。

(ⅲ) 当該情報を利用する優先的な公共の利益がないこと。

26.4の規定は、出願人がこの(e)の規定に基づいて行う請求の対象である情報を提示する方法について準用する。

(f) 国際事務局が(d)又は(e)の規定に従つて公衆による利用の対象から情報を省略し、及び当該情報が受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関又は国際予備審査機関が保有する国際出願の一件書類に含まれる場合には、国際事務局は、速やかにその旨を当該官庁及び当該機関に通知する。

(g) 国際事務局は、内部における利用のためにのみ作成された一件書類中の文書を利用することができるようにしてはならない。

94.1の2 受理官庁が保有する一件書類の利用

(a) 受理官庁は、出願人又は出願人の承諾を得た者の請求に応じ、一件書類中の文書を利用することができるようにすることができる。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(b) 受理官庁は、いかなる者の請求にも応じ、国際出願が国際公開された後、かつ、(c)の規定に従うことを条件として、一件書類中の文書を利用することができるようにすることができる。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(c) 受理官庁は、国際事務局が48.2(l)の規定に従つて公開の対象から省略され、又は94.1(d)若しくは(e)の規定に従つて公衆による利用の対象から省略された旨を通知したいかなる情報も(b)の規定に基づいて利用することができるようにしてはならない。

94.1の3 国際調査機関が保有する一件書類の利用

(a) 国際調査機関は、出願人又は出願人の承諾を得た者の請求に応じ、一件書類中の文書を利用することができるようにすることができる。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(b) 国際調査機関は、いかなる者の請求にも応じ、国際出願が国際公開された後、かつ、(c)の規定に従うことを条件として、一件書類中の文書を利用することができるようにすることができる。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(c) 国際調査機関は、国際事務局が48.2(l)の規定に従つて公開の対象から省略され、又は94.1(d)若しくは(e)の規定に従つて公衆による利用の対象から省略された旨を通知したいかなる情報も(b)の規定に基づいて利用することができるようにしてはならない。

(d) (a)から(c)までの規定は、補充調査のために指定された機関について準用する。

94.2 国際予備審査機関が保有する一件書類の利用

(a) 国際予備審査機関は、出願人又は出願人の承諾を得た者の請求に応じ、一件書類中の文書を利用することができるようにする。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(b) 国際予備審査機関は、選択官庁の請求に応じ、国際予備審査報告の作成の後、かつ、(c)の規定に従うことを条件として、一件書類中の文書を利用することができるようにする。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

(c) 国際予備審査機関は、国際事務局が48.2(l)の規定に従つて公開の対象から省略され、又は94.1

(d)若しくは(e)の規定に従つて公衆による利用の対象から省略された旨を通知したいかなる情報も(b)の規定に基づいて利用することができるようにしてはならない。

94.2の2 指定官庁が保有する一件書類の利用指定官庁が適用する国内法令が第三者に対し国内出願の一件書類の利用を認めている場合には、当該指定官庁は、国際出願に関する一件書類中の文書の利用を、国内出願の一件書類の利用について国内法令が定める程度と同様の程度まで認めることができる。ただし、第三十条(2)(a)に定める日のうち最も早い日の前であつてはならない。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

94.3 選択官庁が保有する一件書類の利用選択官庁が適用する国内法令が第三者に対し国内出願の一件書類の利用を認めている場合には、当該選択官庁は、国際出願に関する一件書類中の文書(国際予備審査に関する文書を含む。)の利用を、国内出願の一件書類の利用について国内法令が定める程度と同様の程度まで認めることができる。ただし、第三十条(2)(a)で定める日のうち最も早い日の前であつてはならない。文書の写しの提供は、役務の費用の支払を条件とすることができる。

第九十五規則 指定官庁及び選択官庁からの情報及び翻訳文

95.1 指定官庁及び選択官庁における事象に関する情報指定官庁又は選択官庁は、次の国際出願に関する情報を、次の事象の発生後二箇月以内に又はその後合理的にできる限り速やかに国際事務局に通知する。

(ⅰ) 出願人が第二十二条又は第三十九条に規定する行為を行つた後、当該行為を行つた日及び国際出願に付された国内出願番号

(ⅱ) 指定官庁又は選択官庁が国内法令又は国内慣行に基づいて明示的に国際出願を公表する場合には、その国内の公表の番号及び日

(ⅲ) 特許が与えられた場合には、その与えられた日及び指定官庁又は選択官庁が国内法令に基づいて特許が与えられた形式で明示的に国際出願を公表する場合には、その国内の公表の番号及び日

95.2 翻訳文の写しの提供

(a) 指定官庁又は選択官庁は、国際事務局の要請により、当該指定官庁又は当該選択官庁に対して出願人が提出した国際出願の翻訳文の写しを国際事務局に提供する。

(b) 国際事務局は、いかなる者に対しても、請求に応じ、かつ、費用の支払を条件として、(a)の規定に従つて受領した翻訳文の写しを提供することができる。

第九十六規則 手数料表並びに手数料の受領及び移転

96.1 規則に附属する手数料表第十五規則、45の2.2及び第五十七規則に規定する手数料の額は、スイスの通貨で表示する。手数料の額は、この規則に附属しこの規則の不可分の一部をなす手数料表に定める。

96.2 手数料の受領の通知及び手数料の移転

(a) この96.2の規定の適用上、「官庁」とは受理官庁(受理官庁として行動する国際事務局を含む。)、国際調査機関、補充国際調査のために指定された機関、国際予備審査機関又は国際事務局をいう。

(b) この規則又は実施細則に従つて他の官庁のための手数料を徴収する官庁(「徴収官庁」)は、実施細則に従つて速やかに当該他の官庁(「受益官庁」)に当該手数料の受領を通知する。受益官庁は、当該通知の受領により、徴収官庁が手数料を受領した日に当該手数料を受領したものとして処理する。

(c) 徴収官庁は、実施細則に従い、受益官庁のために徴収した手数料を当該受益官庁に移転する。