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企業経営理論 令和3年度 第35問

 

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 現代社会には、①さまざまな広告が存在する。企業は、現代の消費者に有効な広告戦略を立案するために、②広告が消費者の心理や行動に及ぼす影響を理解する必要がある。

(設問 1 )文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. インターネット広告は、インターネットに慣れ親しんだデジタル・ネイティブ世代に対して、製品やサービスの認知率や購入率の点で大きな影響を与えるが、紙媒体の広告は、これらの世代に対して、製品やサービスの認知率や購入率の点でほとんど影響を与えない。
  2. おとり広告は、広告に表記している製品を店舗で保有していない場合はもちろん、メーカー、サイズ、デザインなどの点で広告の表記とは異なる製品しか置いていない場合も、公正取引委員会の規制の対象となる。しかし、広告の表記に反して販売数量や販売時間の制限を行ったとしても、広告製品が実際に店舗で販売されている場合には、規制の対象とならない。
  3. 公共広告は、環境、福祉、教育、人権などの社会的、公共的な問題についての理解や解決を目的として実施する広告であり、公益社団法人 AC ジャパンというボランティア組織などによって行われる。AC ジャパンによる公共広告の広告主には、業界団体や企業が含まれる。
  4. 広告主にとって原則無料のパブリシティは、情報の掲載決定権が媒体側にあるため、消費者にとって広告よりも信頼性が高いという特徴がある。しかし、有料形態のペイド・パブリシティは、企業が情報を管理することができるため、消費者にとっての信頼性は通常の広告よりも低くなる。

(設問 2 )文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 飲酒運転禁止を説得テーマとして、恐怖感情とユーモア感情とを生起させる2 つの広告を作成した場合、テーマに対して高関与な消費者はユーモア感情の広告に接する方が、テーマに対して低関与な消費者は恐怖感情の広告に接する方が、それぞれ即時的に説得に賛成する態度を示す。
  2. 企業からの説得意図を強く感じる広告に対して、メッセージの唱導方向と同一方向の態度を有している消費者は、その態度をさらに強化する傾向がある一方、製品への態度が曖昧な消費者は、説得意図を強く感じる内容に対して心理的リアクタンスが生じ、逆方向の態度変化を起こしやすい。
  3. 高価な製品を購入してしまい後ろめたさを感じる場合、消費者は当該ブランドの広告ばかり見たり、他ブランドの広告は見ないようにしたりして、自分の選択を正当化することが多い。「自分へのご褒美」という広告主によるメッセージは、こうした消費者が自己の購買を正当化し、認知的不協和を軽減する効果がある。
  4. 製品のポジティブ要因とネガティブ要因の両方を提示することによって、製品の信憑性を高めようとする両面提示広告では、消費者にとって低関与の製品の場合には最初にポジティブ情報を提示し、高関与の製品の場合には最後にポジティブ情報を提示した方が、それぞれ製品評価を高めることができる。
  5. テレビ広告は、消費者が意識的に接触している感覚は低くても、自分にとって関心が低いブランドの広告に関しては、単純接触の回数が増えるほど、ブランドへの態度が直線的にネガティブになっていく。

解答・解説

解答

 1:ウ 2:ウ

解説

設問1
  1. インターネット広告は、インターネットに慣れ親しんだデジタル・ネイティブ世代に対して、製品やサービスの認知率や購入率の点で大きな影響を与えるが、紙媒体の広告は、これらの世代に対して、製品やサービスの認知率や購入率の点でほとんど影響を与えない。
    不適切です。

  2. おとり広告は、広告に表記している製品を店舗で保有していない場合はもちろん、メーカー、サイズ、デザインなどの点で広告の表記とは異なる製品しか置いていない場合も、公正取引委員会の規制の対象となる。しかし、広告の表記に反して販売数量や販売時間の制限を行ったとしても、広告製品が実際に店舗で販売されている場合には、規制の対象とならない。
    不適切です。

  3. 公共広告は、環境、福祉、教育、人権などの社会的、公共的な問題についての理解や解決を目的として実施する広告であり、公益社団法人 AC ジャパンというボランティア組織などによって行われる。AC ジャパンによる公共広告の広告主には、業界団体や企業が含まれる。
    適切です。

  4. 広告主にとって原則無料のパブリシティは、情報の掲載決定権が媒体側にあるため、消費者にとって広告よりも信頼性が高いという特徴がある。しかし、有料形態のペイド・パブリシティは、企業が情報を管理することができるため、消費者にとっての信頼性は通常の広告よりも低くなる。
    不適切です。

設問2
  1. 飲酒運転禁止を説得テーマとして、恐怖感情とユーモア感情とを生起させる2 つの広告を作成した場合、テーマに対して高関与な消費者はユーモア感情の広告に接する方が、テーマに対して低関与な消費者は恐怖感情の広告に接する方が、それぞれ即時的に説得に賛成する態度を示す。
    不適切です。

  2. 企業からの説得意図を強く感じる広告に対して、メッセージの唱導方向と同一方向の態度を有している消費者は、その態度をさらに強化する傾向がある一方、製品への態度が曖昧な消費者は、説得意図を強く感じる内容に対して心理的リアクタンスが生じ、逆方向の態度変化を起こしやすい。
    不適切です。

  3. 高価な製品を購入してしまい後ろめたさを感じる場合、消費者は当該ブランドの広告ばかり見たり、他ブランドの広告は見ないようにしたりして、自分の選択を正当化することが多い。「自分へのご褒美」という広告主によるメッセージは、こうした消費者が自己の購買を正当化し、認知的不協和を軽減する効果がある。
    適切です。

  4. 製品のポジティブ要因とネガティブ要因の両方を提示することによって、製品の信憑性を高めようとする両面提示広告では、消費者にとって低関与の製品の場合には最初にポジティブ情報を提示し、高関与の製品の場合には最後にポジティブ情報を提示した方が、それぞれ製品評価を高めることができる。
    不適切です。

  5. テレビ広告は、消費者が意識的に接触している感覚は低くても、自分にとって関心が低いブランドの広告に関しては、単純接触の回数が増えるほど、ブランドへの態度が直線的にネガティブになっていく。
    不適切です。

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