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企業経営理論 令和2年度 第32問

 

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 文具の製造・販売を行う中小企業のA社は、従来、売上の多くを大手文具メーカー向けの多様な OEM 製品からあげてきた。しかし社会のデジタル化が進む一方で、アナログな文具の人気が高まりつつある昨今の市場環境を鑑みて、A社では今後自社ブランドによる文具の製造・販売を拡大していくことを検討していた。
 A社では、働く若い女性や女子学生が、オフィスや自宅、学校で使用する文具が有望ではないかとかねてより考えており、①このセグメントにおけるニーズを探り、確認するためのさまざまな調査を実施することを計画していた。
 またこれと並行して、同セグメントに向けて自社ブランドによる製品を発売する場合、どのような②製品ミックスとすべきかについても、検討を重ねていた。

(設問 1 )文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施することにより、このセグメントのニーズに関する一般論を導き出すことができる。
  2. オフィスや自宅、学校における文具の利用に関するエスノグラフィー調査を実施したところ、フォーカスグループ・インタビューとは異なる結果が得られた。そのため両者の結果を考慮して製品開発を進めることにした。
  3. 調査には、質問票を用いる方法や機械装置を用いる方法などがある。後者には調査対象者の身体的反応を測定する方法なども含まれるが、これにより得られるデータは複雑であるため、データの分析や解釈、調査結果から導かれる戦略策定などは、リサーチャーに任せるべきである。
  4. 調査を実施する前に、このようなニーズに関して社外ですでに行われた調査や報告などA社にとっての一次データを入手できないか、十分に検討する必要がある。

(設問 2 )文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1 つの製品ラインには 1 つのブランドが対応していなければならないため、A社では発売する製品ライン数と同じだけのブランドを用意する必要がある。
  2. A社が発売を計画している小型のホチキスについては、価格や色のバリエーションを用意することにより、複数アイテムで販売することを検討していた。
  3. A社の競合企業であるS社では、販売中の文具における特定の製品ラインのアイテム数を実験的に減らしてみたところ、売上と利益がともに増加した。この結果からS社は、この製品ラインの幅が広すぎると判断した。
  4. 製品ラインを立案するためには、一般的には想定する製品ラインを構成するすべての製品ミックスと製品アイテムを検討する必要がある。

解答・解説

解答

 1:イ 2:イ

解説

設問1
  1. オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施することにより、このセグメントのニーズに関する一般論を導き出すことができる。
    不適切です。

  2. オフィスや自宅、学校における文具の利用に関するエスノグラフィー調査を実施したところ、フォーカスグループ・インタビューとは異なる結果が得られた。そのため両者の結果を考慮して製品開発を進めることにした。
    適切です。

  3. 調査には、質問票を用いる方法や機械装置を用いる方法などがある。後者には調査対象者の身体的反応を測定する方法なども含まれるが、これにより得られるデータは複雑であるため、データの分析や解釈、調査結果から導かれる戦略策定などは、リサーチャーに任せるべきである。
    不適切です。

  4. 調査を実施する前に、このようなニーズに関して社外ですでに行われた調査や報告などA社にとっての一次データを入手できないか、十分に検討する必要がある。
    不適切です。

設問2
  1. 1 つの製品ラインには 1 つのブランドが対応していなければならないため、A社では発売する製品ライン数と同じだけのブランドを用意する必要がある。
    不適切です。

  2. A社が発売を計画している小型のホチキスについては、価格や色のバリエーションを用意することにより、複数アイテムで販売することを検討していた。
    適切です。

  3. A社の競合企業であるS社では、販売中の文具における特定の製品ラインのアイテム数を実験的に減らしてみたところ、売上と利益がともに増加した。この結果からS社は、この製品ラインの幅が広すぎると判断した。
    不適切です。

  4. 製品ラインを立案するためには、一般的には想定する製品ラインを構成するすべての製品ミックスと製品アイテムを検討する必要がある。
    不適切です。

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