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適性科目 平成30年度 Ⅱ-14

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 多くの事故の背景には技術者等の判断が関わっている。技術者として事故等の背景を知っておくことは重要である。事故後,技術者等の責任が刑事裁判でどのように問われたかについて,次に示す事例のうち,実際の判決と異なるものはどれか。

① 2006年,シンドラー社製のエレベーター事故が起き,男子高校生がエレベーターに挟まれて死亡した。この事故はメンテナンスの不備に起因している。裁判では、シンドラー社元社員の刑事責任はなしとされた。

② 2005年,JR福知山線の脱線事故があった。事故は電車が半径304mのカーブに制限速度を超えるスピードで進入したために起きた。直接原因は運転手のブレーキ使用が遅れたことであるが,当該箇所に自動列車停止装置(ATS)が設置されていれば事故にはならなかったと考えられる。この事故では,JR西日本の歴代3社長は刑事責任を問われ有罪となった。

③ 2004年,六本木ヒルズの自動回転ドアに6歳の男の子が頭を挟まれて死亡した。製造メーカーの営業開発部長は,顧客要求に沿って設計した自動回転ドアのリスクを十分に顧客に開示していないとして,森ビル関係者より刑事責任が重いとされた。

④ 2000年,大阪で低脂肪乳を飲んだ集団食中毒事件が起き,被害者は1万3000人を超えた。事故原因は,停電事故が起きた際に,脱脂粉乳の原料となる生乳をプラント中に高温のまま放置し,その間に黄色ブドウ球菌が増殖しエンテロトキシンAに汚染された脱脂粉乳を製造したためとされている。この事故では,工場関係者の刑事責任が問われ有罪となった。

⑤ 2012年,中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故が起き,9名が死亡した。事故前の点検で設備の劣化を見抜けなかったことについて,「中日本高速道路」と保守点検を行っていた会社の社長らの刑事責任が問われたが,「天井板の構造や点検結果を認識しておらず,事故を予見できなかった」として刑事責任はなしとされた。

 

解答・解説

解答

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解説

① 2006年,シンドラー社製のエレベーター事故が起き,男子高校生がエレベーターに挟まれて死亡した。この事故はメンテナンスの不備に起因している。裁判では、シンドラー社元社員の刑事責任はなしとされた。
適切です。

② 2005年,JR福知山線の脱線事故があった。事故は電車が半径304mのカーブに制限速度を超えるスピードで進入したために起きた。直接原因は運転手のブレーキ使用が遅れたことであるが,当該箇所に自動列車停止装置(ATS)が設置されていれば事故にはならなかったと考えられる。この事故では,JR西日本の歴代3社長は刑事責任を問われ有罪となった。
適切です。

③ 2004年,六本木ヒルズの自動回転ドアに6歳の男の子が頭を挟まれて死亡した。製造メーカーの営業開発部長は,顧客要求に沿って設計した自動回転ドアのリスクを十分に顧客に開示していないとして,森ビル関係者より刑事責任が重いとされた。
適切です。

④ 2000年,大阪で低脂肪乳を飲んだ集団食中毒事件が起き,被害者は1万3000人を超えた。事故原因は,停電事故が起きた際に,脱脂粉乳の原料となる生乳をプラント中に高温のまま放置し,その間に黄色ブドウ球菌が増殖しエンテロトキシンAに汚染された脱脂粉乳を製造したためとされている。この事故では,工場関係者の刑事責任が問われ有罪となった。
適切です。

⑤ 2012年,中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故が起き,9名が死亡した。事故前の点検で設備の劣化を見抜けなかったことについて,「中日本高速道路」と保守点検を行っていた会社の社長らの刑事責任が問われたが,「天井板の構造や点検結果を認識しておらず,事故を予見できなかった」として刑事責任はなしとされた。
不適切な選択肢として除外されました。