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適性科目 平成29年度 Ⅱ-7

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 昨今,公共性の高い施設や設備の建設においてデータの虚偽報告など技術者倫理違反の事例が後を絶たない。特にそれが新技術・新工法である場合,技術やその検査・確認方法が複雑化し,実用に当たっては開発担当技術者だけでなく,組織内の関係者の連携はもちろん,社外の技術評価機関や発注者,関連団体にもある一定の専門能力や共通の課題認識が必要となる。関係者の対応として次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① 現場の技術責任者は,計画と異なる事象が繰り返し生じていることを認識し,技術開発部署の担当者に電話相談した。新技術・新工法が現場に適用された場合によくあることだと説明を受け,担当者から指示された方法でデータを日常的に修正し,発注者に提出した。

② 支店の技術責任者は,現場責任者から品質トラブルの報告があったため,社内ルールに則り対策会議を開催した。高度な専門的知識を要する内容であったため,会社の当該技術に対する高い期待感を伝え,事情を知る現場サイドで対策を考え,解決後に支店へ報告するよう指示した。

③ 対策会議に出席予定の品質担当者は,過去の経験から社内ガバナンスの甘さを問題視しており,トラブル発生時の対策フローは社内に存在するが,倫理観の欠如が組織内にあることを懸念して会議前日にトラブルを内部告発としてマスコミに伝えた。

④ 技術評価機関や関連団体は,社会からの厳しい目が関係業界全体に向けられていることを強く認識し,再発防止策として横断的に連携して類似技術のトラブル事例やノウハウの共有,研修実施等の取組みを推進した。

⑤ 公共工事の発注者は,社会的影響が大きいとしてすべての民間開発の新技術・新工法の採用を中止する決断をした。関連のすべての従来工法に対しても悪意ある巧妙な偽装の発生を前提として,抜き打ち検査などの立会検査を標準的に導入し,不正に対する抑止力を強化した。

 

解答・解説

解答

 ④

解説

① 現場の技術責任者は,計画と異なる事象が繰り返し生じていることを認識し,技術開発部署の担当者に電話相談した。新技術・新工法が現場に適用された場合によくあることだと説明を受け,担当者から指示された方法でデータを日常的に修正し,発注者に提出した。
データ改ざん行為であり,不適切です。<

② 支店の技術責任者は,現場責任者から品質トラブルの報告があったため,社内ルールに則り対策会議を開催した。高度な専門的知識を要する内容であったため,会社の当該技術に対する高い期待感を伝え,事情を知る現場サイドで対策を考え,解決後に支店へ報告するよう指示した。
現場だけで解決させるのではなく,情報の共有を図るべきものであり,不適切です。<

③ 対策会議に出席予定の品質担当者は,過去の経験から社内ガバナンスの甘さを問題視しており,トラブル発生時の対策フローは社内に存在するが,倫理観の欠如が組織内にあることを懸念して会議前日にトラブルを内部告発としてマスコミに伝えた。
いわゆる不正行為とは言えないため,内部告発する内容としては,不適切です。(公益通報者保護法の保護を受けれない可能性があります)

④ 技術評価機関や関連団体は,社会からの厳しい目が関係業界全体に向けられていることを強く認識し,再発防止策として横断的に連携して類似技術のトラブル事例やノウハウの共有,研修実施等の取組みを推進した。
適切です。

⑤ 公共工事の発注者は,社会的影響が大きいとしてすべての民間開発の新技術・新工法の採用を中止する決断をした。関連のすべての従来工法に対しても悪意ある巧妙な偽装の発生を前提として,抜き打ち検査などの立会検査を標準的に導入し,不正に対する抑止力を強化した。
新技術や新工法の採用を全て中止するという対応は不適切です。