資格部

資格・検定の試験情報、対策方法、問題解説などをご紹介

適性科目 平成27年度 Ⅱ-9

◀︎ 前へ次へ ▶︎️

 公益通報者保護法では,従業員が不正の目的でなく,企業の犯罪行為など違法行為を警察や所轄行政官庁に通報した場合には,その労働者を解雇したり不利益な取扱いをしたりしないことが義務付けられている。すなわち,その基本的な枠組みは,「通報対象事実」が発生し又は発生しようとしていることを,従業員が不正の目的でなく通報した(公益通報を行った)場合に,その公益通報を理由に解雇,その他の不利益取扱い(懲戒処分,降格,減給など)をすることを禁止するものである。
 次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 公益通報の対象となる公益通報対象事実とは,個人の生命や身体の保護,消費者の利益の擁護,環境の保全,公正な競争の確保などに加え,国民の生命・身体・財産その他の利益の保護に係る法律に規定する犯罪行為などである。

② 公益通報に係る法規,すなわち刑法やその他の関連法規には膨大な犯罪類型が規定されているため,公益通報者保護法にはどのような法律の違反行為が「通報対象事実」になるかを,同法の別表に列挙している。

③ 従業員による内部告発は,不祥事を明らかにすることで企業のコンブライアンス(法令遵守)を高めひいては消費者や社会全体の利益につながるという側面を持っている。したがって消費者や社会全体の利益のためには,他人の正当な利益(第三者の個人情報など)や公共の利益を害するようなことがあっても注意を払う義務はない。

④ 公益通報者保護法の大きな特徴は,通報先によって保護されるための要件が異なることである。企業内部に対する通報は,通報対象事実が発生したこと,又は発生しようとしていると思料する場合であれば保護される。また,所轄の行政機関(違反行為に対し処分・勧告等の権限を持つ行政機関)に対する通報は,通報対象事実が生じ,又は生じようとしていると「信じるに足りる相当の理由」を求められる。

⑤ さらにマスコミなどの報道機関への公益通報には,前項の「信じるに足りる相当の理由」に加えて,a)企業内部や行政機関への通報では解雇その他の不利益取扱いを受けるおそれがあること,b)企業への通報では証拠隠滅のおそれがあること,c)企業に通報後20日以内に調査を行う旨の通知がなされないこと,d)個人の生命又は身体に危害の発生あるいは発生する急迫した危険があると信じるに足りる相当な理由があること,のいずれかの要件を満たす必要がある。

 

解答・解説

解答

 ③

解説

① 公益通報の対象となる公益通報対象事実とは,個人の生命や身体の保護,消費者の利益の擁護,環境の保全,公正な競争の確保などに加え,国民の生命・身体・財産その他の利益の保護に係る法律に規定する犯罪行為などである。
適切です。

② 公益通報に係る法規,すなわち刑法やその他の関連法規には膨大な犯罪類型が規定されているため,公益通報者保護法にはどのような法律の違反行為が「通報対象事実」になるかを,同法の別表に列挙している。
適切です。

③ 従業員による内部告発は,不祥事を明らかにすることで企業のコンブライアンス(法令遵守)を高めひいては消費者や社会全体の利益につながるという側面を持っている。したがって消費者や社会全体の利益のためには,他人の正当な利益(第三者の個人情報など)や公共の利益を害するようなことがあっても注意を払う義務はない。
他人・公共の利益を害することは,不適切です。

④ 公益通報者保護法の大きな特徴は,通報先によって保護されるための要件が異なることである。企業内部に対する通報は,通報対象事実が発生したこと,又は発生しようとしていると思料する場合であれば保護される。また,所轄の行政機関(違反行為に対し処分・勧告等の権限を持つ行政機関)に対する通報は,通報対象事実が生じ,又は生じようとしていると「信じるに足りる相当の理由」を求められる。
適切です。

⑤ さらにマスコミなどの報道機関への公益通報には,前項の「信じるに足りる相当の理由」に加えて,a)企業内部や行政機関への通報では解雇その他の不利益取扱いを受けるおそれがあること,b)企業への通報では証拠隠滅のおそれがあること,c)企業に通報後20日以内に調査を行う旨の通知がなされないこと,d)個人の生命又は身体に危害の発生あるいは発生する急迫した危険があると信じるに足りる相当な理由があること,のいずれかの要件を満たす必要がある。
適切です。