研究結果や学説を論文などの文書で作成するとき,他人の著作物にある過去の知見を利用したい場合がある。著作者に逐一相談するのは大変なので,無断での利用を考えた。次のア)〜エ)の記述について,我が国の著作権法を守るとの観点で,正しいものは◯,誤っているものは×として,最も適切な組合せを選べ。
- 公表されている著作物は,「禁転載」などの転載を禁止する旨の表示がある場合を除いて,いかなる著作物であっても著作者を明示しさえすれば,自由に利用することができる。
- 官公庁が作成した官公資料は,公共のために広く利用させるべき性質のものであるから,いかなる場合であっても説明の材料として転載できる。
- 他人の外国語論文の記述を,自分が作成する日本語論文の中で引用して利用する場合には,元の外国語のまま引用しなければならない。
- すべての著作物には著作権者がいるのだから,著作権がその保護期間を過ぎて無効となっていない限り,著作権者の許諾を得ることなしに引用して利用することは,例外なく違法である。
ア | イ | ウ | エ | |
① | × | × | × | × |
② | × | ◯ | × | × |
③ | ◯ | ◯ | × | × |
④ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
⑤ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
解答
①
解説
- 公表されている著作物は,「禁転載」などの転載を禁止する旨の表示がある場合を除いて,いかなる著作物であっても著作者を明示しさえすれば,自由に利用することができる。 ❌
自由に利用することはできないため,不適切です。 - 官公庁が作成した官公資料は,公共のために広く利用させるべき性質のものであるから,いかなる場合であっても説明の材料として転載できる。 ❌
利用を禁止する旨の表示がある場合などの例外があるため,不適切です。 - 他人の外国語論文の記述を,自分が作成する日本語論文の中で引用して利用する場合には,元の外国語のまま引用しなければならない。 ❌
引用の場合の翻訳は認められているため,不適切です。 - すべての著作物には著作権者がいるのだから,著作権がその保護期間を過ぎて無効となっていない限り,著作権者の許諾を得ることなしに引用して利用することは,例外なく違法である。 ❌
出所明示,同一性保持等,一定の条件を満たせば,許諾なしに利用できるため,不適切です。