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弁理士 特許・実用新案 R4-8

 

 特許法に規定する拒絶査定不服審判又は特許法第162条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

  1. 拒絶査定不服審判を請求する者は、特許法第131条に掲げる事項(審判請求書の必要的記載事項)を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならず、当該請求書が特許法第131条の規定に違反しているときは、審判長は請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。また、前置審査においては、特許庁長官は請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
  2. 拒絶査定不服審判において必要があると認めるときは訴訟手続が完結するまで当該拒絶査定不服審判に係る手続を中止することができるが、前置審査においてはその手続を中止することはできない。
  3. 特許出願の審査においてした補正が、その補正後の発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでないとして決定をもって却下され、それとともに当該特許出願について拒絶をすべき旨の査定がなされた。その後、当該特許出願に係る拒絶査定不服審判の請求がなされ、その請求と同時になされた補正が、当該決定をもって却下された補正と全く同じ内容である場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。
  4. 前置審査において、審査官は、特許出願について拒絶をすべき旨の査定に係る拒絶の理由が解消されたと判断し、かつ新たな拒絶の理由を発見しないとき、当該査定を取り消して、特許をすべき旨の査定をするとともに、その審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
  5. 特許出願について、審査官は、拒絶の理由aにより拒絶をすべき旨の査定をした。その後、当該査定に対する拒絶査定不服審判の前置審査において、審査官は、拒絶の理由aとは異なる拒絶の理由bを発見したので、その審査の結果を特許庁長官に報告した。この場合において、審判官は、拒絶の理由aが依然として解消していないと判断したとき、請求人に対して再度拒絶の理由aについて拒絶の理由を通知することなく、当該理由aに基づいて審判の請求は成り立たない旨の審決をすることはできない。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. なし

解答・解説

解答

 5

解説

  1. 拒絶査定不服審判を請求する者は、特許法第131条に掲げる事項(審判請求書の必要的記載事項)を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならず、当該請求書が特許法第131条の規定に違反しているときは、審判長は請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。また、前置審査においては、特許庁長官は請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
    ❌ 特131条1項、特133条1項、特17条3項
    審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。[特131条1項]
    審判長は、請求書が第百三十一条の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。[特133条1項]
    特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。[特17条3項]

  2. 拒絶査定不服審判において必要があると認めるときは訴訟手続が完結するまで当該拒絶査定不服審判に係る手続を中止することができるが、前置審査においてはその手続を中止することはできない。
    ❌ 特168条1項、特163条1項で準用する特54条1項
    審判において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。[特168条1項]
    審査において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。[特54条1項]

  3. 特許出願の審査においてした補正が、その補正後の発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでないとして決定をもって却下され、それとともに当該特許出願について拒絶をすべき旨の査定がなされた。その後、当該特許出願に係る拒絶査定不服審判の請求がなされ、その請求と同時になされた補正が、当該決定をもって却下された補正と全く同じ内容である場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。
    ❌ 特162条
    特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。[特162条]

  4. 前置審査において、審査官は、特許出願について拒絶をすべき旨の査定に係る拒絶の理由が解消されたと判断し、かつ新たな拒絶の理由を発見しないとき、当該査定を取り消して、特許をすべき旨の査定をするとともに、その審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
    ❌ 特164条1項・3項
    審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
    3 審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。[特164条1項・3項]

  5. 特許出願について、審査官は、拒絶の理由aにより拒絶をすべき旨の査定をした。その後、当該査定に対する拒絶査定不服審判の前置審査において、審査官は、拒絶の理由aとは異なる拒絶の理由bを発見したので、その審査の結果を特許庁長官に報告した。この場合において、審判官は、拒絶の理由aが依然として解消していないと判断したとき、請求人に対して再度拒絶の理由aについて拒絶の理由を通知することなく、当該理由aに基づいて審判の請求は成り立たない旨の審決をすることはできない。
    ❌ 特159条3項で準用する特50条
    審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。[特50条]

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