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弁理士 特許・実用新案 R3-16

 

 特許法に規定する拒絶査定不服審判又は特許法第162条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

  1. ある特許出願について、特許法第29条第2項(いわゆる進歩性)の規定のみにより拒絶をすべき旨の査定がなされた。その後、当該特許出願について補正されることなく拒絶査定不服審判が請求された場合において、審判官は、特許法第36条第6項第2号(いわゆる明確性)の要件を満たさないことにより拒絶をすべきものと判断した。この場合、請求人に明確性の要件に関する拒絶の理由が通知されることなく、審判請求は成り立たない旨の審決がなされる場合がある。
  2. 審判官は、特許法第67条第4項に規定する特許権の存続期間の延長登録の出願(いわゆる医薬品等の延長登録出願)に係る事件について、その特許権に係る特許出願の審査において、その査定に審査官として関与したときは、その職務の執行から除斥される。
  3. 拒絶査定不服審判の請求前に行った補正が、特許法第17条の2第3項(いわゆる新規事項の追加の禁止)に規定する要件を満たしていない場合であっても、拒絶査定不服審判において、その補正が却下されることはない。
  4. ある特許出願についての拒絶査定不服審判の審決に対する取消訴訟において審決を取り消す判決が確定し、その後、更に当該拒絶査定不服審判の審理が行われ、当該出願について特許をすべき旨の審決がなされた。この場合の当該拒絶査定不服審判に関する費用は、特許庁長官が負担する。
  5. 特許法第67条第2項に規定する特許権の存続期間の延長登録の出願(いわゆる期間補償のための延長登録出願)について拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対する拒絶査定不服審判の請求と同時に、当該出願の願書に添付した期間の算定の根拠を記載した書面について補正があったときは、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させなければならない。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. なし

解答・解説

解答

 1

解説

  1. ある特許出願について、特許法第29条第2項(いわゆる進歩性)の規定のみにより拒絶をすべき旨の査定がなされた。その後、当該特許出願について補正されることなく拒絶査定不服審判が請求された場合において、審判官は、特許法第36条第6項第2号(いわゆる明確性)の要件を満たさないことにより拒絶をすべきものと判断した。この場合、請求人に明確性の要件に関する拒絶の理由が通知されることなく、審判請求は成り立たない旨の審決がなされる場合がある。
    ❌ 特159条2項で準用する特50条
    審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。[特50条]

  2. 審判官は、特許法第67条第4項に規定する特許権の存続期間の延長登録の出願(いわゆる医薬品等の延長登録出願)に係る事件について、その特許権に係る特許出願の審査において、その査定に審査官として関与したときは、その職務の執行から除斥される。
    ❌ 特139条7号
    審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
    七 審判官が第六十七条第二項の延長登録の出願に係る事件についてその特許権に係る特許出願の審査においてその査定に審査官として関与したとき。[特139条7号]

  3. 拒絶査定不服審判の請求前に行った補正が、特許法第17条の2第3項(いわゆる新規事項の追加の禁止)に規定する要件を満たしていない場合であっても、拒絶査定不服審判において、その補正が却下されることはない。
    ⭕️ 特159条1項で読替準用する特53条1項
    第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。[特53条1項]

  4. ある特許出願についての拒絶査定不服審判の審決に対する取消訴訟において審決を取り消す判決が確定し、その後、更に当該拒絶査定不服審判の審理が行われ、当該出願について特許をすべき旨の審決がなされた。この場合の当該拒絶査定不服審判に関する費用は、特許庁長官が負担する。
    ❌ 特169条3項
    拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。[特169条3項]

  5. 特許法第67条第2項に規定する特許権の存続期間の延長登録の出願(いわゆる期間補償のための延長登録出願)について拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対する拒絶査定不服審判の請求と同時に、当該出願の願書に添付した期間の算定の根拠を記載した書面について補正があったときは、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させなければならない。
    ❌ 特162条
    特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。[特162条]

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