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弁理士 特許・実用新案 R3-13

 

 特許出願の分割・変更に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
 ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとし、文中に記載した優先権の主張は取り下げられていないものとする。また、意匠登録出願についても、同様とする。
 また、以下において、「国内優先権」とは、特許法第41条第1項に規定する優先権をいうものとする。

  1. 特許出願が、拒絶査定不服審判の請求と同時に明細書等の補正がされ、いわゆる前置審査により特許をすべき旨の査定がされた場合、拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月を経過した後でも、特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内であれば、その特許出願は、出願の分割をすることができる。
  2. 甲は、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ及びロが記載された特許出願Aをした。その後、甲は、出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ、ロ及びハが記載された特許出願Bをした。そして、甲は、出願Bを分割して、特許請求の範囲に発明ハ、明細書又は図面に発明イ、ロ及びハが記載された新たな特許出願Cをした。この場合、出願Cは、出願Aをした時にされたものとみなされる。
  3. 甲は、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ及びロが記載された特許出願Aをした。その後、甲は、出願Aを分割して、特許請求の範囲に発明ロ、明細書又は図面に発明ロが記載された新たな特許出願Bをし、出願Bは出願公開された。そして、甲は、出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ、ロ及びハが記載された特許出願Cをし、出願Cは出願公開された。一方、乙は、出願Aと出願Bとの間に、特許請求の範囲に発明ロが記載された特許出願Dをした。この場合、出願Dは、出願Bの存在を理由にしても、出願Cの存在を理由にしても、いずれも、特許法第29条の2(いわゆる拡大された範囲の先願)の規定に基づき拒絶される。なお、甲及び乙は、自らがした発明のみを出願したものとする。
  4. 甲は、特許請求の範囲に発明イ及びロが記載された特許出願Aについて、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるため、当該規定の適用を受けたい旨を記載した書面及び発明イ及びロが当該規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面の提出を適法に行った。その後、甲は、出願Aを分割して、特許請求の範囲に発明イが記載された新たな特許出願Bをした。この場合、甲は、出願Bの出願と同時に、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けたい旨を記載した書面を提出し、かつ、出願Bの出願日から30日以内に、発明イが当該規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を提出しなければならない。
  5. 意匠登録出願を特許出願に変更した後、その特許出願を基礎とする国内優先権を主張することができる。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. 5つ

解答・解説

解答

 5

解説

  1. 特許出願が、拒絶査定不服審判の請求と同時に明細書等の補正がされ、いわゆる前置審査により特許をすべき旨の査定がされた場合、拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月を経過した後でも、特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内であれば、その特許出願は、出願の分割をすることができる。
    ❌ 特44条1項2号
    特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
    二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。[特44条1項2号]

  2. 甲は、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ及びロが記載された特許出願Aをした。その後、甲は、出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ、ロ及びハが記載された特許出願Bをした。そして、甲は、出願Bを分割して、特許請求の範囲に発明ハ、明細書又は図面に発明イ、ロ及びハが記載された新たな特許出願Cをした。この場合、出願Cは、出願Aをした時にされたものとみなされる。
    ❌ 特44条2項、特41条2項
    前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし、新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。[特44条2項]
    前項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)についての第二十九条、第二十九条の二本文、第三十条第一項及び第二項、第三十九条第一項から第四項まで、第六十九条第二項第二号、第七十二条、第七十九条、第八十一条、第八十二条第一項、第百四条(第六十五条第六項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第百二十六条第七項(第十七条の二第六項、第百二十条の五第九項及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、同法第七条第三項及び第十七条、意匠法第二十六条、第三十一条第二項及び第三十二条第二項並びに商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第二十九条並びに第三十三条の二第一項及び第三十三条の三第一項(これらの規定を同法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該特許出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。[特41条2項]

  3. 甲は、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ及びロが記載された特許出願Aをした。その後、甲は、出願Aを分割して、特許請求の範囲に発明ロ、明細書又は図面に発明ロが記載された新たな特許出願Bをし、出願Bは出願公開された。そして、甲は、出願Aを基礎とする国内優先権の主張を伴って、特許請求の範囲に発明イ、明細書又は図面に発明イ、ロ及びハが記載された特許出願Cをし、出願Cは出願公開された。一方、乙は、出願Aと出願Bとの間に、特許請求の範囲に発明ロが記載された特許出願Dをした。この場合、出願Dは、出願Bの存在を理由にしても、出願Cの存在を理由にしても、いずれも、特許法第29条の2(いわゆる拡大された範囲の先願)の規定に基づき拒絶される。なお、甲及び乙は、自らがした発明のみを出願したものとする。
    ❌ 特44条2項、特41条3項
    前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし、新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。[特44条2項]
    第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願にあつては、外国語書面)に記載された発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第二十九条の二本文又は同法第三条の二本文の規定を適用する。[特41条3項]

  4. 甲は、特許請求の範囲に発明イ及びロが記載された特許出願Aについて、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるため、当該規定の適用を受けたい旨を記載した書面及び発明イ及びロが当該規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面の提出を適法に行った。その後、甲は、出願Aを分割して、特許請求の範囲に発明イが記載された新たな特許出願Bをした。この場合、甲は、出願Bの出願と同時に、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けたい旨を記載した書面を提出し、かつ、出願Bの出願日から30日以内に、発明イが当該規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を提出しなければならない。
    ❌ 特44条4項
    第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であつて、新たな特許出願について第三十条第三項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。[特44条4項]

  5. 意匠登録出願を特許出願に変更した後、その特許出願を基礎とする国内優先権を主張することができる。
    ❌ 特44条1項2号
    特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
    二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。[特44条1項2号]

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