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弁理士 特許・実用新案 R3-9

 

 特許を受ける権利及び特許法に規定する実施権等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

  1. 仮通常実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合又は特許を受ける権利を有する者(仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権にあっては、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、移転することができる。
  2. 仮専用実施権に係る特許出願について、特許法第44条第1項の規定による特許出願の分割があった場合は、当該仮専用実施権の設定行為に別段の定めがあるときを除き、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権については、新たに仮専用実施権の設定がされない限り、仮専用実施権は生じない。
  3. 特許を受ける権利は、質権の目的とすることができないが、抵当権の目的とすることや譲渡担保の目的とすることはいずれもできる。
  4. 甲及び乙の先の共同出願Aに係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、甲及び乙が合意した上で丙が仮通常実施権の許諾を得ていたところ、出願Aに基づいて特許法第41条第1項の規定によるいわゆる国内優先権の主張を伴う甲及び乙の新たな共同出願Bがされた。なお、丙の仮通常実施権の設定行為に別段の定めはない。ここで出願Bについての丙の仮通常実施権について、乙が反対の意思を表示した。この場合、出願Bに係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、出願Aについての仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内で、仮通常実施権が許諾されたものとみなされる。
  5. 許諾による通常実施権は、その発生後の特許権の譲受人に対してその効力を有するが、職務発明について従業者が特許を受けた場合、その特許権について使用者が有する通常実施権は、その発生後の特許権の譲受人に対してその効力を有しない。

解答・解説

解答

 4

解説

  1. 仮通常実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合又は特許を受ける権利を有する者(仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権にあっては、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、移転することができる。
    ❌ 特34条の3 4項
    仮通常実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合、特許を受ける権利を有する者(仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権にあつては、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。[特34条の3 4項]

  2. 仮専用実施権に係る特許出願について、特許法第44条第1項の規定による特許出願の分割があった場合は、当該仮専用実施権の設定行為に別段の定めがあるときを除き、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権については、新たに仮専用実施権の設定がされない限り、仮専用実施権は生じない。
    ❌ 特34条の2 5項
    仮専用実施権に係る特許出願について、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割があつたときは、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮専用実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮専用実施権が設定されたものとみなす。ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。[特34条の2 5項]

  3. 特許を受ける権利は、質権の目的とすることができないが、抵当権の目的とすることや譲渡担保の目的とすることはいずれもできる。
    ❌ 特33条2項
    特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。[特33条2項]

  4. 甲及び乙の先の共同出願Aに係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、甲及び乙が合意した上で丙が仮通常実施権の許諾を得ていたところ、出願Aに基づいて特許法第41条第1項の規定によるいわゆる国内優先権の主張を伴う甲及び乙の新たな共同出願Bがされた。なお、丙の仮通常実施権の設定行為に別段の定めはない。ここで出願Bについての丙の仮通常実施権について、乙が反対の意思を表示した。この場合、出願Bに係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、出願Aについての仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内で、仮通常実施権が許諾されたものとみなされる。
    ⭕️ 特34条の3 5項
    第一項若しくは前条第四項又は実用新案法第四条の二第一項の規定による仮通常実施権に係る第四十一条第一項の先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が第三十六条の二第二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された発明に基づいて第四十一条第一項の規定による優先権の主張があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、当該優先権の主張を伴う特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。[特34条の3 5項]

  5. 許諾による通常実施権は、その発生後の特許権の譲受人に対してその効力を有するが、職務発明について従業者が特許を受けた場合、その特許権について使用者が有する通常実施権は、その発生後の特許権の譲受人に対してその効力を有しない。
    ❌ 特99条
    通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。[特99条]

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