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弁理士 特許・実用新案 R3-6

 

 特許出願に関する優先権に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
 ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとし、文中に記載した優先権の主張は取り下げられていないものとする。
 また、以下において、「国内優先権」とは、特許法第41条第1項に規定する優先権をいうものとする。

  1. 国内優先権の主張を伴う出願をする場合に、先の出願が特許法第30条第2項の規定の適用を受けているとき、この国内優先権の主張を伴う出願は、新規性を喪失した時点から1年以内でなくても、先の出願から1年以内に特許出願をすれば、特許法第30条第3項に規定する同条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を改めて提出することなく、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができる。
  2. 優先権の主張の基礎とされた先の出願が国内出願であり、優先権の主張を伴う後の出願が日本国を指定国に含む国際出願(いわゆる自己指定)である場合、優先日から30月を経過する前はその優先権の主張を取り下げることができる。
  3. 国内優先権の主張の基礎とされた先の国際特許出願は、国内処理基準時又は国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時に取り下げたものとみなされる。
  4. 甲が、特許出願Aに係る発明イの特許を受ける権利を乙に譲渡し、その旨を特許庁長官に届け出た後、乙は、出願Aの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明イに基づいて国内優先権の主張を伴う特許出願Bをすることができる。
  5. 国際出願日に特許協力条約に拘束されるすべての締約国を指定した国際出願において、日本国の国内出願を基礎として優先権を主張した場合、国際出願の指定国から日本国を除外する手続を国内出願の出願日から14月以内に行ったときに限り、国内出願のみなし取下げを回避することができる。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. 5つ

解答・解説

解答

 3

解説

  1. 国内優先権の主張を伴う出願をする場合に、先の出願が特許法第30条第2項の規定の適用を受けているとき、この国内優先権の主張を伴う出願は、新規性を喪失した時点から1年以内でなくても、先の出願から1年以内に特許出願をすれば、特許法第30条第3項に規定する同条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を改めて提出することなく、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができる。
    ❌ 特41条、特44条4項
    特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。[特41条]
    第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であつて、新たな特許出願について第三十条第三項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。[特44条4項]

  2. 優先権の主張の基礎とされた先の出願が国内出願であり、優先権の主張を伴う後の出願が日本国を指定国に含む国際出願(いわゆる自己指定)である場合、優先日から30月を経過する前はその優先権の主張を取り下げることができる。
    ⭕️ 特184条の15 1項、PCT規則90の2.3(a)
    国際特許出願については、第四十一条第一項ただし書及び第四項並びに第四十二条第二項の規定は、適用しない。[特184条の15 1項]
    出願人は、国際出願において第八条(1)の規定に基づいて申し立てた優先権の主張を優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。[PCT規則90の2.3(a)]

  3. 国内優先権の主張の基礎とされた先の国際特許出願は、国内処理基準時又は国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時に取り下げたものとみなされる。
    ⭕️ 特184条の15 4項
    第四十一条第一項の先の出願が国際特許出願又は実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第四十一条第一項から第三項まで及び第四十二条第一項の規定の適用については、第四十一条第一項及び第二項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、同項中「同項」とあるのは「前項」と、同条第三項中「先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「先の出願の第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「同項」とあるのは「第一項」と、「について出願公開」とあるのは「について千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」と、第四十二条第一項中「その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時」とあるのは「第百八十四条の四第六項若しくは実用新案法第四十八条の四第六項の国内処理基準時又は第百八十四条の四第一項若しくは同法第四十八条の四第一項の国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」とする。[特184条の15 4項]

  4. 甲が、特許出願Aに係る発明イの特許を受ける権利を乙に譲渡し、その旨を特許庁長官に届け出た後、乙は、出願Aの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明イに基づいて国内優先権の主張を伴う特許出願Bをすることができる。
    ⭕️ 特41条1項、特34条4項
    特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。[特41条1項]
    特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。[特34条4項]

  5. 国際出願日に特許協力条約に拘束されるすべての締約国を指定した国際出願において、日本国の国内出願を基礎として優先権を主張した場合、国際出願の指定国から日本国を除外する手続を国内出願の出願日から14月以内に行ったときに限り、国内出願のみなし取下げを回避することができる。
    ❌ 特42条1項、PCT8条(2)(b)、PCT24条(1)(i)
    前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなす。ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合又は当該先の出願に基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。[特42条1項]
    いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国 内法令の定めるところによる。[PCT8条(2)(b)]
    第十一条(3)に定める国際出願の効果は、次の場合には、(ⅱ)にあつては次条の規定に従うことを条 件として、指定国において、当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。
    (ⅰ) 出願人が国際出願又は当該指定国の指定を取り下げた場合[PCT24条(1)(i)]

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