資格部

資格・検定の試験情報、対策方法、問題解説などをご紹介

弁理士 特許・実用新案 R2-14

 

 特許法上の、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における書類の提出等又は秘密保持命令に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

  1. 裁判所は、書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができ、さらに、書類の所持者の同意を得た場合に限り、その提示させた書類を当事者に開示して意見を聴くことができる。
  2. 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、裁判所が当事者に提出を命ずることができる書類は、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類に限られ、裁判所は、当該侵害行為について立証するため必要な書類の提出を命ずることはできない。
  3. 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類について、裁判所は、当事者の申立てがなければ、当事者に提出を命ずることはできない。
  4. 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者がその保有する営業秘密について、秘密保持命令の決定を得るためには、当該営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、かつ当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用及び開示を制限する必要があることを、疎明しなければならない。
  5. 秘密保持命令を取り消す裁判に対して、即時抗告がされた場合であっても、秘密保持命令を取り消す裁判の効力は当該裁判後直ちに生ずる。

解答・解説

解答

 3

解説

  1. 裁判所は、書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができ、さらに、書類の所持者の同意を得た場合に限り、その提示させた書類を当事者に開示して意見を聴くことができる。
    ❌ 特105条3項
    裁判所は、前項の場合において、第一項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。[特105条3項]

  2. 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、裁判所が当事者に提出を命ずることができる書類は、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類に限られ、裁判所は、当該侵害行為について立証するため必要な書類の提出を命ずることはできない。
    ❌ 特105条1項
    裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。[特105条1項]

  3. 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類について、裁判所は、当事者の申立てがなければ、当事者に提出を命ずることはできない。
    ⭕️ 特105条1項
    裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。[特105条1項]

  4. 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者がその保有する営業秘密について、秘密保持命令の決定を得るためには、当該営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、かつ当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用及び開示を制限する必要があることを、疎明しなければならない。
    ❌ 特105条の4 1項2号
    裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
    二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。[特105条の4 1項2号]

  5. 秘密保持命令を取り消す裁判に対して、即時抗告がされた場合であっても、秘密保持命令を取り消す裁判の効力は当該裁判後直ちに生ずる。
    ❌ 特105条の5 4項
    秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。[特105条の5 4項]

前問 一覧 次問