特許法及び実用新案法に規定する罰則等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
- 特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、物の特許発明におけるその物又はその物の包装にその物の発明が特許に係る旨の表示を付することが義務付けられている。
- 特許が物の発明についてされている場合において、当該特許権につき適法に実施する権利を有さない者が、その物を業としての譲渡のために所持する行為を行った場合、懲役や罰金に処せられることはない。
- 物の特許発明におけるその物であれば、当該特許を無効にすべき旨の審決が確定した後に、「特許」の文字と当該特許の特許番号をその物に付して譲渡しても、懲役や罰金に処せられることはない。
- 実用新案権は特許権と異なり実体審査を経ずに登録されるから、実用新案法には、詐欺の行為により実用新案登録を受けた者を、懲役や罰金に処する旨の規定はない。
- 特許権の侵害に係る訴訟において、被告製品が当該特許権を侵害するとして敗訴した被告が、その訴訟の終局判決が確定した後に、同一の被告製品を型番のみを変更して販売した場合、懲役や罰金に処せられることがある。
解答
5
解説
- 特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、物の特許発明におけるその物又はその物の包装にその物の発明が特許に係る旨の表示を付することが義務付けられている。
❌ 特187条
特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、物の特許発明におけるその物若しくは物を生産する方法の特許発明におけるその方法により生産した物(以下「特許に係る物」という。)又はその物の包装にその物又は方法の発明が特許に係る旨の表示(以下「特許表示」という。)を附するように努めなければならない。[特187条] - 特許が物の発明についてされている場合において、当該特許権につき適法に実施する権利を有さない者が、その物を業としての譲渡のために所持する行為を行った場合、懲役や罰金に処せられることはない。
❌ 特101条3号、特196条の2
特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。[特101条3号]
第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。[特196条の2] - 物の特許発明におけるその物であれば、当該特許を無効にすべき旨の審決が確定した後に、「特許」の文字と当該特許の特許番号をその物に付して譲渡しても、懲役や罰金に処せられることはない。
❌ 特188条2号、特198条
何人も、特許に係る物以外の物であつて、その物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡等又は譲渡等のための展示をする行為をしてはならない。[特188条2号]
第百八十八条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。[特198条] - 実用新案権は特許権と異なり実体審査を経ずに登録されるから、実用新案法には、詐欺の行為により実用新案登録を受けた者を、懲役や罰金に処する旨の規定はない。
❌ 実57条
詐欺の行為により実用新案登録又は審決を受けた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。[実57条] - 特許権の侵害に係る訴訟において、被告製品が当該特許権を侵害するとして敗訴した被告が、その訴訟の終局判決が確定した後に、同一の被告製品を型番のみを変更して販売した場合、懲役や罰金に処せられることがある。
⭕️ 特70条1項、特196条
特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。[特70条1項]
特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。[特196条]