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弁理士 特許・実用新案 R1-13

 

 特許出願の手続及び出願公開に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

  1. 発明イについての特許を受ける権利が甲及び乙の共有に係る場合であって、甲が単独で発明イについての特許出願Aを行った場合、特許庁長官は、特許法第38条の規定に違反していることを理由として、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
  2. 出願人甲は、特許出願Aの出願日から3年経過後に、その出願の一部を分割して新たな特許出願Bとした。特許出願Bの出願の日から30日経過した後は、特許出願Bについて出願審査の請求をすることができる場合はない。
  3. 審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならず、当該特許をすべき旨の査定には理由を付さなければならない。
  4. 物の発明に係る特許権Aの特許権者甲は、特許権Aの設定の登録前に当該発明に係る物を業として使用していた乙に対して、特許権Aの設定の登録後に、特許法第65条第1項に規定する補償金の請求権を行使した。乙が特許権Aの設定の登録後も引き続き当該発明に係る物を業として使用した場合に、甲は、特許権Aの侵害を理由として損害賠償の請求をすることができる場合がある。
  5. 外国語書面出願の出願人甲は、外国語書面の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出したが、当該翻訳文には、外国語書面に記載した事項の範囲内にない事項が含まれていた。その後、当該外国語書面に記載した事項の範囲内にない事項について補正されず審査が行われた場合、審査官は、当該翻訳文に外国語書面に記載した事項の範囲内にない事項が含まれていることを理由として、出願人甲に対して拒絶の理由を通知しなければならない。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. 5つ

解答・解説

解答

 3

解説

  1. 発明イについての特許を受ける権利が甲及び乙の共有に係る場合であって、甲が単独で発明イについての特許出願Aを行った場合、特許庁長官は、特許法第38条の規定に違反していることを理由として、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
    ❌ 特38条、特49条2号
    特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。[特38条]
    審査官は、特許出願が「その特許出願に係る発明が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定により特許をすることができないものであるとき」は、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。[特49条2号]

  2. 出願人甲は、特許出願Aの出願日から3年経過後に、その出願の一部を分割して新たな特許出願Bとした。特許出願Bの出願の日から30日経過した後は、特許出願Bについて出願審査の請求をすることができる場合はない。
    ❌ 特48条の3 2項・5項・7項

    特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
    2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。
    3 出願審査の請求は、取り下げることができない。
    4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。
    5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。
    6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。
    7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかつた場合に準用する。[特48条の3 2項・5項・7項]

  3. 審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならず、当該特許をすべき旨の査定には理由を付さなければならない。
    ⭕️ 特51条、特52条1項
    審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。[特51条]
    査定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。[特52条1項]

  4. 物の発明に係る特許権Aの特許権者甲は、特許権Aの設定の登録前に当該発明に係る物を業として使用していた乙に対して、特許権Aの設定の登録後に、特許法第65条第1項に規定する補償金の請求権を行使した。乙が特許権Aの設定の登録後も引き続き当該発明に係る物を業として使用した場合に、甲は、特許権Aの侵害を理由として損害賠償の請求をすることができる場合がある。
    ⭕️ 特65条4項
    第一項の規定による請求権の行使は、特許権の行使を妨げない。[特65条4項]

  5. 外国語書面出願の出願人甲は、外国語書面の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出したが、当該翻訳文には、外国語書面に記載した事項の範囲内にない事項が含まれていた。その後、当該外国語書面に記載した事項の範囲内にない事項について補正されず審査が行われた場合、審査官は、当該翻訳文に外国語書面に記載した事項の範囲内にない事項が含まれていることを理由として、出願人甲に対して拒絶の理由を通知しなければならない。
    ⭕️ 特49条6号、特50条
    審査官は、特許出願が「その特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき」は、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。[特49条6号]
    審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。[特50条]

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