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弁理士 商標 R3-4

 

 商標権の侵害及び侵害訴訟に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

  1. 防護標章登録に基づく権利に関しては、権原なき第三者が、商標登録に係る指定商品とは類似しないものの、防護標章登録に係る指定商品と類似する商品について登録防護標章を使用する行為は、商標権を侵害するものとみなされる。
  2. 防護標章登録に基づく権利に関しては、権原なき第三者が、当該防護標章登録に係る指定商品であって、その商品の包装に登録防護標章を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為は、商標権を侵害するものとみなされるが、当該行為はいわゆる予備的行為なので、当該第三者は、その侵害の行為について過失があったものと推定されることはない。
  3. 商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき、その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は、許諾を受けない限り、商標権を侵害するが、そのような商品の輸入であっても、当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものである場合には、常に、いわゆる真正商品の並行輸入となり商標権侵害が成立することはない。
  4. 地域団体商標に係る商標権を有する組合等の構成員は、当該商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、当該地域団体商標に係る商標権に基づき差止請求権を行使することができる。
  5. 裁判所は、商標権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、立証されるべき事実の有無を判断するため、相手方が所持する書類について、査証人に対し、査証を命ずることができる場合はない。

解答・解説

解答

 5

解説

  1. 防護標章登録に基づく権利に関しては、権原なき第三者が、商標登録に係る指定商品とは類似しないものの、防護標章登録に係る指定商品と類似する商品について登録防護標章を使用する行為は、商標権を侵害するものとみなされる。
    ❌ 商67条
    次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。[商67条]

  2. 防護標章登録に基づく権利に関しては、権原なき第三者が、当該防護標章登録に係る指定商品であって、その商品の包装に登録防護標章を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為は、商標権を侵害するものとみなされるが、当該行為はいわゆる予備的行為なので、当該第三者は、その侵害の行為について過失があったものと推定されることはない。
    ❌ 商67条2号、商39条で準用する特103条
    次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
    二 指定商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録防護標章を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為[商67条2号]
    他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。[特103条]

  3. 商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき、その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は、許諾を受けない限り、商標権を侵害するが、そのような商品の輸入であっても、当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものである場合には、常に、いわゆる真正商品の並行輸入となり商標権侵害が成立することはない。
    ❌ 商2条3項2号、商25条、フレッドペリー事件
    この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
    二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為[商2条3項2号]
    商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。[商25条]

  4. 地域団体商標に係る商標権を有する組合等の構成員は、当該商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、当該地域団体商標に係る商標権に基づき差止請求権を行使することができる。
    ❌ 商36条1項
    商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。[商36条1項]

  5. 裁判所は、商標権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、立証されるべき事実の有無を判断するため、相手方が所持する書類について、査証人に対し、査証を命ずることができる場合はない。
    ⭕️ 商39条で特105条の2 1項の準用なし
    裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、立証されるべき事実の有無を判断するため、相手方が所持し、又は管理する書類又は装置その他の物(以下「書類等」という。)について、確認、作動、計測、実験その他の措置をとることによる証拠の収集が必要であると認められる場合において、特許権又は専用実施権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められ、かつ、申立人が自ら又は他の手段によつては、当該証拠の収集を行うことができないと見込まれるときは、相手方の意見を聴いて、査証人に対し、査証を命ずることができる。ただし、当該証拠の収集に要すべき時間又は査証を受けるべき当事者の負担が不相当なものとなることその他の事情により、相当でないと認めるときは、この限りでない。[特105条の2 1項]

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