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弁理士 意匠 R4-10

 

 意匠権についての通常実施権に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

  1. 意匠法の規定上、意匠権者は、無効審判の請求登録前の実施による通常実施権を有する者に対しては相当の対価を受ける権利を有する。
  2. 通常実施権は、実施の事業とともにする場合や意匠権者の承諾を得た場合以外に、移転することができる場合がある。
  3. 通常実施権を目的として質権を設定した場合、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をすることができない。
  4. 意匠権者は、正当な理由があり、意匠権の登録料を追納期限である令和4年1月10日までに納付できなかった。その後、同月15日に登録料を納付することができない理由が消失し、同年2月15日に登録料を追納し、その後意匠権の回復の登録がされた。この場合、同年1月31日から善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。
  5. 会社の従業者が、その性質上当該会社の業務範囲に属し、かつ、その創作をするに至った行為が当該会社における当該従業者の現在又は過去の職務に属する意匠の創作を行った場合に、契約、就業規則その他の定めにおいて当該意匠に関する意匠登録を受ける権利や意匠権の承継に関する規定が存在しなかったとしても、当該意匠について当該従業者が意匠登録出願をし、意匠登録を受けたときは、当該会社は、当該意匠権について通常実施権を有する。

解答・解説

解答

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解説

  1. 意匠法の規定上、意匠権者は、無効審判の請求登録前の実施による通常実施権を有する者に対しては相当の対価を受ける権利を有する。
    ⭕️ 意30条2項
    当該意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。[意30条2項]

  2. 通常実施権は、実施の事業とともにする場合や意匠権者の承諾を得た場合以外に、移転することができる場合がある。
    ⭕️ 意34条1項
    通常実施権は、前条第三項若しくは第四項、特許法第九十二条第三項又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。[意34条1項]

  3. 通常実施権を目的として質権を設定した場合、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をすることができない。
    ⭕️ 意35条1項
    意匠権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をすることができない。[意35条1項]

  4. 意匠権者は、正当な理由があり、意匠権の登録料を追納期限である令和4年1月10日までに納付できなかった。その後、同月15日に登録料を納付することができない理由が消失し、同年2月15日に登録料を追納し、その後意匠権の回復の登録がされた。この場合、同年1月31日から善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。
    ❌ 


  5. 会社の従業者が、その性質上当該会社の業務範囲に属し、かつ、その創作をするに至った行為が当該会社における当該従業者の現在又は過去の職務に属する意匠の創作を行った場合に、契約、就業規則その他の定めにおいて当該意匠に関する意匠登録を受ける権利や意匠権の承継に関する規定が存在しなかったとしても、当該意匠について当該従業者が意匠登録出願をし、意匠登録を受けたときは、当該会社は、当該意匠権について通常実施権を有する。
    ⭕️ 意15条3項で準用する特35条1項
    使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。[特35条1項]

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