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弁理士 意匠 R4-7

 

 意匠法における先願、出願の分割、出願の変更に関して、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、特に文中に記載した場合を除き、各出願は、いかなる早期公開の請求や優先権の主張も伴わず、秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。

  1. 甲は意匠イに係る意匠登録出願Aをした。出願Aの日前に、意匠イに類似する意匠ロについて、乙の国際意匠登録出願Bがなされていた。出願Bに係る意匠ロについては、日本国で意匠登録を受ける前に、ハーグ協定のジュネーブ改正協定の規定により日本国についての国際登録が消滅した。この場合、意匠イに係る出願Aは、出願Bの後願として意匠法第9条第1項により拒絶される。
  2. 甲は意匠イについて、令和4年4月1日にハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく日本国を指定締約国とする国際出願Aをし、その後、甲が国際出願Aの不備を補い、意匠イは同年4月6日を国際登録の日として国際登録簿に記録され、同年10月6日に国際公表された。乙は同年4月6日に意匠ロについて意匠登録出願Bをした。意匠イと意匠ロが類似する場合、甲と乙は意匠法第9条第4項の規定に基づき協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じられない。
  3. 甲が意匠イについて意匠登録出願Aをし、その後に乙が意匠イとは非類似の意匠ロについて、意匠登録出願Bをした。甲は出願Bの後に意匠イ及び意匠ロの両方に類似する意匠ハについて意匠登録出願Cをした。出願A、Bが共に登録される場合、出願Cに係る意匠ハは、出願Aに係る意匠イを本意匠とした関連意匠として登録される。
  4. 甲は3棟の建築物からなる「一組の建築物」に係る組物の意匠イについて意匠登録出願Aをした。出願Aの後に、乙は建築物の意匠ロについて意匠登録出願Bをした。その後、出願Aについて、「意匠イが組物全体として統一がない」旨の拒絶理由の通知がされたので、意匠イを構成する一の建築物である意匠ハについて、意匠法第10条の2に規定する新たな意匠登録出願Cをした。意匠ロと意匠ハが類似する場合、出願Cは、出願Bの後願として意匠法第9条第1項によって拒絶されない。
  5. 特許出願人は、その特許出願について仮通常実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。

解答・解説

解答

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解説

  1. 甲は意匠イに係る意匠登録出願Aをした。出願Aの日前に、意匠イに類似する意匠ロについて、乙の国際意匠登録出願Bがなされていた。出願Bに係る意匠ロについては、日本国で意匠登録を受ける前に、ハーグ協定のジュネーブ改正協定の規定により日本国についての国際登録が消滅した。この場合、意匠イに係る出願Aは、出願Bの後願として意匠法第9条第1項により拒絶される。
    ❌ 意60条の14 1項、意9条3項
    国際意匠登録出願は、その基礎とした国際登録が消滅したときは、取り下げられたものとみなす。[意60条の14 1項]
    意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その意匠登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その意匠登録出願について前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。[意9条3項]

  2. 甲は意匠イについて、令和4年4月1日にハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく日本国を指定締約国とする国際出願Aをし、その後、甲が国際出願Aの不備を補い、意匠イは同年4月6日を国際登録の日として国際登録簿に記録され、同年10月6日に国際公表された。乙は同年4月6日に意匠ロについて意匠登録出願Bをした。意匠イと意匠ロが類似する場合、甲と乙は意匠法第9条第4項の規定に基づき協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じられない。
    ❌ 意60条の6 1項、意9条2項・4項
    日本国をジュネーブ改正協定第一条(xix)に規定する指定締約国とする国際出願であつて、その国際出願に係るジュネーブ改正協定第一条(vi)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)についてジュネーブ改正協定第十条(3)(a)の規定による公表(以下「国際公表」という。)がされたものは、経済産業省令で定めるところにより、ジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日にされた意匠登録出願とみなす。[意60条の6 1項]
    2 同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。
    4 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を意匠登録出願人に命じなければならない。[意9条2項・4項]

  3. 甲が意匠イについて意匠登録出願Aをし、その後に乙が意匠イとは非類似の意匠ロについて、意匠登録出願Bをした。甲は出願Bの後に意匠イ及び意匠ロの両方に類似する意匠ハについて意匠登録出願Cをした。出願A、Bが共に登録される場合、出願Cに係る意匠ハは、出願Aに係る意匠イを本意匠とした関連意匠として登録される。
    ❌ 意10条1項、意9条1項
    意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項、第四十三条の二第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあつては、最初の出願若しくは千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、当該本意匠の意匠登録出願の日から十年を経過する日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。ただし、当該関連意匠の意匠権の設定の登録の際に、その本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅しているとき、無効にすべき旨の審決が確定しているとき、又は放棄されているときは、この限りでない。[意10条1項]
    同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。[意9条1項]

  4. 甲は3棟の建築物からなる「一組の建築物」に係る組物の意匠イについて意匠登録出願Aをした。出願Aの後に、乙は建築物の意匠ロについて意匠登録出願Bをした。その後、出願Aについて、「意匠イが組物全体として統一がない」旨の拒絶理由の通知がされたので、意匠イを構成する一の建築物である意匠ハについて、意匠法第10条の2に規定する新たな意匠登録出願Cをした。意匠ロと意匠ハが類似する場合、出願Cは、出願Bの後願として意匠法第9条第1項によって拒絶されない。
    ⭕️ 意10条の2 2項
    前項の規定による意匠登録出願の分割があつたときは、新たな意匠登録出願は、もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第四条第三項並びに第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。[意10条の2 2項]

  5. 特許出願人は、その特許出願について仮通常実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。
    ❌ 規定なし
    そのような規定はありません。

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