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弁理士 意匠 R3-10

 

 意匠法第38条各号に定める間接侵害に関し、次のうち、正しいものは、どれか。なお、問題文中の甲及び乙は登録意匠の意匠権者及び実施権者ではなく、かつ業として各行為を行っているものとする。

  1. 甲は、「カメラ」の登録意匠イと類似の意匠ロを組み立てるためだけに使用される専用組立てキットを製造し海外に輸出した。この時、甲の専用組立てキット製造行為のみならず、専用組立てキット輸出行為も、意匠法上の間接侵害に当たる。
  2. 甲は、「カメラ」の登録意匠イと類似の意匠ロに係る「カメラ」の美感の創出に不可欠な金型を製造している。このとき、甲が製造している金型は、「カメラ」を構成する部品ではなく、「カメラ」の製造に用いられる道具にすぎないため、甲の当該金型の製造行為が意匠法上の間接侵害に当たることはない。
  3. 甲は、「美容用ローラー」の登録意匠イの専用品ではないが、意匠イと類似の意匠ロの美感の創出に不可欠な持ち手を製造している。この時、甲の持ち手の製造行為が意匠法上の間接侵害に該当するためには、意匠ロが登録意匠イに類似すること及び同持ち手が意匠ロの実施に用いられることを知っている必要があり、甲が過失によりこれらの事実を知らなかった場合には、甲の製造行為は意匠法上の間接侵害に当たらない。
  4. 甲は、画像の登録意匠イと類似する意匠ロに係る画像を、電気通信回線を通じた提供のために保有している。この時、甲の当該保有行為は、未だ意匠ロを第三者に提供する行為に至っていないため、意匠法上の間接侵害に当たらない。
  5. 甲は、建築物の登録意匠イと類似する意匠ロに係る建築物を建築した乙から、当該建築物を転売目的で譲り受けたが、現在も転売先が見つからず所有している。この時、甲の当該所有行為は、未だ第三者への転売には至っていないため、意匠法上の間接侵害に当たらない。

解答・解説

解答

 3

解説

  1. 甲は、「カメラ」の登録意匠イと類似の意匠ロを組み立てるためだけに使用される専用組立てキットを製造し海外に輸出した。この時、甲の専用組立てキット製造行為のみならず、専用組立てキット輸出行為も、意匠法上の間接侵害に当たる。
    ❌ 意38条1号イ
    次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
    一 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
    イ 当該製造にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為[意38条1号イ]

  2. 甲は、「カメラ」の登録意匠イと類似の意匠ロに係る「カメラ」の美感の創出に不可欠な金型を製造している。このとき、甲が製造している金型は、「カメラ」を構成する部品ではなく、「カメラ」の製造に用いられる道具にすぎないため、甲の当該金型の製造行為が意匠法上の間接侵害に当たることはない。
    ❌ 意38条2号イ
    次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
    二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
    イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為[意38条2号イ]

  3. 甲は、「美容用ローラー」の登録意匠イの専用品ではないが、意匠イと類似の意匠ロの美感の創出に不可欠な持ち手を製造している。この時、甲の持ち手の製造行為が意匠法上の間接侵害に該当するためには、意匠ロが登録意匠イに類似すること及び同持ち手が意匠ロの実施に用いられることを知っている必要があり、甲が過失によりこれらの事実を知らなかった場合には、甲の製造行為は意匠法上の間接侵害に当たらない。
    ⭕️ 意38条2号イ
    次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
    二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
    イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為[意38条2号イ]

  4. 甲は、画像の登録意匠イと類似する意匠ロに係る画像を、電気通信回線を通じた提供のために保有している。この時、甲の当該保有行為は、未だ意匠ロを第三者に提供する行為に至っていないため、意匠法上の間接侵害に当たらない。
    ❌ 意38条9号
    次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
    九 登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像を業としての電気通信回線を通じた提供のために保有する行為又は登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像記録媒体等を業としての譲渡、貸渡し若しくは輸出のために所持する行為[意38条9号]

  5. 甲は、建築物の登録意匠イと類似する意匠ロに係る建築物を建築した乙から、当該建築物を転売目的で譲り受けたが、現在も転売先が見つからず所有している。この時、甲の当該所有行為は、未だ第三者への転売には至っていないため、意匠法上の間接侵害に当たらない。
    ❌ 意38条6号
    次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
    六 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物を業としての譲渡又は貸渡しのために所有する行為[意38条6号]

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