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弁理士 意匠 R3-6

 

 甲は、意匠イについて意匠登録出願Aをし、意匠権の設定登録がされた。その後、甲は意匠イに類似する意匠ロについて、出願Aの意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠登録出願Bをした。
 上記を前提として、次のうち、誤っているものは、どれか。
 ただし、設問で記載した以外の出願は考慮しないものとする。また、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。

  1. 甲が、意匠登録出願Aの意匠権を、意匠登録出願Bの出願後であって意匠登録をすべき旨の査定を受ける前に放棄した場合、出願Bに係る意匠ロは、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠登録される場合はない。
  2. 意匠登録出願Aの出願後であって、意匠登録出願Bの出願前に、他人乙が、意匠ハに係る意匠登録出願Cをした。意匠ハは、意匠ロと類似するが、意匠イとは非類似である。この場合、出願Bは、出願Cを理由に拒絶されない。なお、出願Cは拒絶理由がなく意匠権の設定登録がされるものとする。
  3. 意匠登録出願Aの出願後であって、意匠登録出願Bの出願前に、甲が意匠ハに係る物品を製造・販売し、意匠ハは公知となった。意匠ハが意匠ロと類似する場合、出願Bは新規性の喪失の例外の規定の適用を受けなくても、意匠ロは意匠登録される場合がある。
  4. 意匠登録出願Aの出願後であって、意匠登録出願Bの出願前に、甲の意匠ハに係る意匠登録出願Cがあった。意匠ハの一部と意匠ロが類似し、意匠ハと意匠イは非類似で、意匠ハと意匠ロも非類似である。出願Cは、秘密意匠についてのものであり、意匠権の設定登録がされ、出願Cについての意匠法第20条第3項に規定される公報(ただし、第4号に掲げる事項の掲載を除く。)が発行された。その後、出願Bが出願され、さらに後日、出願Cについて、同法第20条第3項第4号に掲げる事項が掲載される公報が発行された。この場合、出願Bは、出願Cを理由として同法第3条の2の規定で拒絶されることはない。なお、出願Bに他の拒絶理由はない。
  5. 意匠ロについて、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠権の設定登録がされた場合、当該関連意匠の意匠権は、意匠登録出願Aの出願日から25年を超えて存続しない。

解答・解説

解答

 2

解説

  1. 甲が、意匠登録出願Aの意匠権を、意匠登録出願Bの出願後であって意匠登録をすべき旨の査定を受ける前に放棄した場合、出願Bに係る意匠ロは、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠登録される場合はない。
    ⭕️ 意10条1項
    意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項、第四十三条の二第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあつては、最初の出願若しくは千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、当該本意匠の意匠登録出願の日から十年を経過する日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。ただし、当該関連意匠の意匠権の設定の登録の際に、その本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅しているとき、無効にすべき旨の審決が確定しているとき、又は放棄されているときは、この限りでない。[意10条1項]

  2. 意匠登録出願Aの出願後であって、意匠登録出願Bの出願前に、他人乙が、意匠ハに係る意匠登録出願Cをした。意匠ハは、意匠ロと類似するが、意匠イとは非類似である。この場合、出願Bは、出願Cを理由に拒絶されない。なお、出願Cは拒絶理由がなく意匠権の設定登録がされるものとする。
    ❌ 意9条1項・3項
    同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。
    3 意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その意匠登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その意匠登録出願について前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。[意9条1項・3項]

  3. 意匠登録出願Aの出願後であって、意匠登録出願Bの出願前に、甲が意匠ハに係る物品を製造・販売し、意匠ハは公知となった。意匠ハが意匠ロと類似する場合、出願Bは新規性の喪失の例外の規定の適用を受けなくても、意匠ロは意匠登録される場合がある。
    ⭕️ 意10条2項
    第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた自己の意匠のうち前項の規定により意匠登録を受けようとする意匠の本意匠と同一又は類似のものは、当該意匠登録を受けようとする意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。[意10条2項]

  4. 意匠登録出願Aの出願後であって、意匠登録出願Bの出願前に、甲の意匠ハに係る意匠登録出願Cがあった。意匠ハの一部と意匠ロが類似し、意匠ハと意匠イは非類似で、意匠ハと意匠ロも非類似である。出願Cは、秘密意匠についてのものであり、意匠権の設定登録がされ、出願Cについての意匠法第20条第3項に規定される公報(ただし、第4号に掲げる事項の掲載を除く。)が発行された。その後、出願Bが出願され、さらに後日、出願Cについて、同法第20条第3項第4号に掲げる事項が掲載される公報が発行された。この場合、出願Bは、出願Cを理由として同法第3条の2の規定で拒絶されることはない。なお、出願Bに他の拒絶理由はない。
    ⭕️ 意10条3項
    第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条の二ただし書の規定の適用については、同条ただし書中「同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」とあるのは、「当該先の意匠登録出願について第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求したときは、第二十条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものに限る。)」とする。[意10条3項]

  5. 意匠ロについて、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠権の設定登録がされた場合、当該関連意匠の意匠権は、意匠登録出願Aの出願日から25年を超えて存続しない。
    ⭕️ 意21条2項
    関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。[意21条2項]

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