業務のデジタル化について
近年,紙媒体の管理コストの削減及び業務の効率化を目的とした,情報システムを活用したデジタル化が加速している。デジタル化の実現によって,情報が検索しやすくなったり,モノの動きがリアルタイムに把握できたりすることで業務改善が図れる。
システムアーキテクトは,現行の業務において改善の余地がある業務プロセスを見極めてデジタル化することが求められる。一方,現行の業務をデジタル化した場合に生じる課題を想定し,対応策を検討しておくことも必要である。例えば,りん議業務をリモートワーク環境でも実施できるようにするために,ワークフローシステムを用いて業務をデジタル化する場合,次のように検討する。
・従来の印鑑の代替とするために,承認欄にログインユーザの氏名,所属,職位及びタイムスタンプを記録するようにする。
・決裁ルートに長期の不在者がいた場合でも,緊急で決裁が必要な案件を円滑に処理するために,代理決裁者を設ける仕組みにする。
・情報漏えいや決裁者のなりすましなどのセキュリティリスクに対処するために,アクセス権限管理の強化やログの監視ができるようにする。
また,紙媒体などで運用していた業務をデジタル化すると,業務手順が従来と変わるので,利用者が新しい業務に習熟するまでに時間が掛かることがある。そこで,例えばどの業務で作成されたか判別できるように業務の頭文字で電子文書をアイコン化する,情報システムへのガイド機能を組み込むなど,利用支援の仕組みを工夫する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問ア あなたが携わった業務のデジタル化について,対象業務,情報システムの概要,デジタル化を通じて実現を期待した業務改善の内容を,800字以内で述べよ。
設問イ 設問アで述べた業務改善を実現するために,どのような業務プロセスを,どのようにデジタル化することを検討したか。また,どのような課題があり,どのような対応策を検討したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで検討した内容について,利用者がデジタル化した業務に習熟できるよう,どのように工夫したか。情報システムに組み込んだ利用支援の仕組みを含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
IPA公開情報
出題趣旨
近年,管理コストの削減及び業務の効率化を目的とした,情報システムを活用したデジタル化が加速している。システムアーキテクトは,現行の業務プロセスにおいて,デジタル化すると改善効果が高い業務プロセスを見極めてデジタル化することが求められる。現行の業務をデジタル化した場合に生じる課題を想定し,対応策を検討しておくことも必要である。
本問は,デジタル化によって業務改善する工夫について具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要な,業務内容を把握する能力,及び要求事項に対して効果的な技術を適用する能 力などを評価する。
採点講評
全問に共通して,自らの経験に基づき設問に素直に答えている論述が多かったが,問題文に記載してあるプロセスや観点などを抜き出し,一般論と組み合わせただけの表面的な論述も見受けられた。また,実施事項の論述にとどまり,実施した理由や検討の経緯など,システムアーキテクトとして考慮した点が読み取れない論述も散見された。システムアーキテクトとして,自らが実際に検討して取り組んだ内容を具体的に論述してほしい。
問 2 では,多くの論述で,現行の業務をデジタル化した場合に生じる課題を想定し,検討した対応策について具体的に論述していた。一方で,現行業務の課題をデジタル化で解決するといった趣旨に沿っていない論述や,問題文の事例をなぞっただけで受験者の工夫がうかがえない論述も散見された。システムアーキテクトは,デジタル化によって業務が大きく変わった場合に生じる課題を想定し,利用者が情報システムを活用して円滑に業務を遂行できるよう,課題の解決策を提案することを心掛けてほしい。
解答例
構成例
準備中
論述例
設問ア
準備中
設問イ
準備中
設問ウ
準備中