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SA 令和4年度春期 午後Ⅱ 問1

   

概念実証(PoC)を活用した情報システム開発について

 近年,IoT,ビッグデータ,AIなどに代表される新技術が登場しており,業務の効率化や品質向上を目的として,今まで使用したことがない技術を適用することが多くなっている。その際,その新技術を業務に適用する前に概念実証(PoC)を実施し,実現可能性や効果などを確認することが重要となる。システムアーキテクトは,仮説を立て,その仮説を検証するための情報システムを構築し,この情報システムを用いた仮説の検証方法を立案し,検証を行う。
 例えば,製造業の製品外観検査業務で,外観検査員と同等の精度の検査をAIによって実現できるという仮説を立てた場合,実際に検査工程で用いる検査画像データ収集システムの画像データを利用して,次のような作業を行い効果を検証する。

・傷や付着物などの外観上の欠陥が存在する画像データと欠陥が存在しない画像データを収集し,外観検査員が行った合否判定結果を付与し,AIに学習させる。

・製品の外観検査をAIに実施させ,外観検査員の検査結果と照合して,AIの検査精度を測定する。

・AIが判定を誤ったデータに関して再度AIに学習させ,検査精度を高めていく。

 

 このとき,高い精度で判断できる経験豊富な外観検査員を参加させる,画像データの撮影条件を変更する,などの工夫をする。
 検証結果を踏まえて,その技術の業務への適用可否を,効果やリスクなどから総合的に判断する。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア あなたがPoCを実施した情報システム開発において,どのような業務に,どのような目的で,どのような技術を適用しようとしたか。業務の概要情報システムの概要とともに,800字以内で述べよ。

設問イ 設問アで述べた情報システム開発で,どのようなPoCを実施したか。設定した仮説,検証方法及び工夫とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ 設問イで述べたPoCからどのような検証結果を得たか。その結果から,業務への適用可否をどのように判断したか。判断した理由とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 IoT,ビッグデータや AI などに代表される新技術が次々に登場しており,業務の効率化や品質向上を目的として,今まで使用したことがない技術を適用することが多くなっている。その際,その新技術を業務に適用する前に概念実証(PoC)を実施し,実現可能性や効果などを確認することが重要となる。システムアーキテクトは,仮説を立て,その仮説を検証するための情報システムを構築し,この情報システムを用いた仮説の検証方法を立案し,検証を行う。
本問は,新技術を業務に適用するに当たり,PoC を実施し,その結果から業務への適用可否を判断することについて具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要な,業務と情報システムを見直す能力及び経験を評価する。

採点講評

 全問に共通して,自らの経験に基づき設問に素直に答えている論述が多かったが,問題文に記載してあるプロセスや観点などを抜き出し,一般論と組み合わせただけの表面的な論述も見受けられた。また,実施事項の論述にとどまり,実施した理由や検討の経緯など,システムアーキテクトとして考慮した点が読み取れない論述も散見された。システムアーキテクトとして,自らが実際に検討して取り組んだ内容を具体的に論述してほしい。

 問 1 では,多くの論述で,検証の方法,工夫した内容について具体的に論述しており,実際に検証に携わっ た経験がうかがえた。一方で,仮説や PoC の内容を明確に述べていない論述も見受けられた。また,PoC の結果そのものの評価はおおむね論述できていたが,業務への適用可否の判断理由が曖昧な論述が散見された。システムアーキテクトは,情報システムに新技術を適用する際の仮説を明確に設定し,その仮説の検証方法を立案して検証作業を行い,業務への適用可否を判断することが求められる。設定した仮説を検証するための検証方法を事前に確立した上で検証作業を行い,適切に業務への適用可否を判断できるよう心掛けてほしい。

解答例

構成例

 準備中

論述例
設問ア

 準備中

設問イ

 準備中

設問ウ

 準備中

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