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AP 午後 システムアーキテクチャ[R4春]

クラウドサービスの活用に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

 J社は自社のデータセンタからインターネットを介して名刺管理サービスを提供している。このたび,運用コストの削減を目的として,クラウドサービスの活用を検討することにした。

非機能要件の確認

 クラウドサービス活用後も従来のサービスレベルを満たすことを基本方針として,その非機能要件のうち性能・拡張性の要件について表1のとおり整理した。

表1 性能・拡張性の要件(抜粋)
中項目 小項目 メトリクス(指標)
業務処理量 通常時の業務量 オンライン処理
・名刺登録処理1,000件/時間,
 データ送受信量5Mバイト/トランザクション
・名刺参照処理4,000件/時間,
 データ送受信量2Mバイト/トランザクション
バッチ処理
・BIツール連携処理1件/日
業務量増大度 オンライン処理数増大率
・1年の増大率2.0倍
性能目標値 オンラインレスポンス ・名刺登録処理10秒以内,遵守率90%
・名刺参照処理3秒以内,遵守率95%
バッチレスポンス ・BIツール連携処理30分以内
注記 BI:Business Intelligence

クラウドサービスの概要

 クラウドサービスの一覧を表2に示す。

表2 クラウドサービスの一覧
サービス 特徴 料金及び制約
FW インターネットからの不正アクセスを防ぐことを目的として,インターネットと内部ネットワークとの間に設置する。 ・料金
 1台当たり50円/時間
ストレージ HTML,CSS,スクリプトファイルなどの静的コンテンツ,アプリケーションプログラム(以下,アプリケーションという)で利用するファイルなどを保存,送受信する。 ・料金(次の合計額)
 1Gバイトの保存10円/月
 1Gバイトのデータ送信10円/月
 1Gバイトのデータ受信10円/月
IaaS OS,ミドルウェア,プログラム言語,開発フレームワークなどを自由に選択できる。設定も自由に変更できるので,実行時間の長いバッチ処理なども可能である。ただし,OSやミドルウェアのメンテナンスをサービス利用者側が実施する必要がある。 ・料金  1台当たり200円/時間
PaaS OS,ミドルウェア,プログラム言語,開発フレームワークはクラウドサービス側が提供する。サービス利用者は開発したアプリケーションをその実行環境に配置して利用する。配置されたアプリケーションは常時稼働し,リクエストを待ち受ける。事前の設定が必要だが,トランザクションの急激な増加に応じて,  a  できる。 ・料金
 1台当たり200円/時間
・制約
 1トランザクションの最大実行時間は10分
Faas PaaS同様,アプリケーション実行環境をサービスとして提供する。PaaSでは,受信したリクエストを解析してから処理を実行し,結果をレスポンスとして出力するところまで開発する必要があるのに対して,FaaSでは,実行したい処理の部分だけをプログラム中で  b  として実装すればよい。また,  a  は事前の設定が不要である。 ・料金(次の合計額)
 1時間当たり10万リクエストまで0円,次の10万リクエストごとに20円
 CPU使用時間1ミリ秒ごとに0.02円
・制約
 1トランザクションの最大実行時間は10分。20分間一度も実行されない場合,応答が10秒以上掛かる場合がある。
CDN ストレージ,IaaS,PaaS又はFaasからのコンテンツをインターネットに配信する。ストレージからの静的コンテンツは,一度読み込むと,更新されるまで  c  して再利用される。 ・料金(次の合計額)
 1万リクエストまで0円,次の1万リクエストごとに10円
 1Gバイトのデータ送信20円/月
注記 FW:ファイアウォール CDN:Content Delivery Network

システム構成の検討

 現在運用中のサービスは,OSやミドルウェアがPaaSやFaaSの実行環境のものよりも1世代古いバージョンである。アプリケーションに改修を加えずに,そのままのOSやミドルウェアを利用する場合,利用するクラウドサービスはIaaSとなる。
 しかし,①運用コストを抑えるためにオンライン処理はPaaS又はFaasを利用することを検討する。PaaS又はFaaSでのアプリケーションは,WebAPIとして実装する。そのWebAPIは,ストレージに保存されたスクリプトファイルが  d  とFWを介してWebブラウザへ配信され,実行されて呼び出される。
 バッチ処理については,登録データ量が増加した場合,②PaaSやFaasを利用することには問題があることから,IaaSを利用することにした。
 検討したシステム構成案を図1に示す。


図1 システム構成案

PaaSとFaaSとのクラウドサービス利用料金の比較

 アプリケーションの実行環境として,PaaS又はFaaSのどちらのサービスを採用した方が利用料金が低いか,通常時の業務量の場合に掛かる料金を算出して比較する。クラウドサービス利用料金の試算に必要な情報を表3に整理した。

表3 クラウドサービス利用料金の試算に必要な情報
項目 情報
PaaS1台当たりの処理能力 性能目標値を満たす1時間当たりの処理件数
・名刺登録処理200件/台
・名刺参照処理500件/台
FaaSでオンライン処理を実行する場合のCPU使用時間 ・名刺登録処理50ミリ秒/件
・名刺参照処理10ミリ秒/件

 PaaSの場合,通常時の業務量から,オンライン処理で必要な最小必要台数を求めると,名刺登録処理では5台,名刺参照処理では  e  台となる。したがって,1時間当たりの費用は,  f  円と試算できる。
 Faasの場合,通常時の業務量から1時間当たりのリクエスト数とCPU使用時間を求め,1時間当たりの費用を試算すると,その費用は  g  円となる。
 試算結果を比較した結果,Faasを採用した。

オンラインレスポンスの課題と対策

 クラウドサービスを活用したシステムの運用が始まるとすぐに,早朝や深夜にシステムを利用した際,はじめの画面は表示されるが名刺登録や名刺参照を実行すると,データが表示されるまでに10秒以上の時間を要することがある,との課題が報告された。クラウドサービスで提供されている各サービスのログを確認したところ,  h  の制約が原因であることが判明した。そこで,採用したクラウドサービスを別のものには変更せずに,③ある回避策を施したことで,課題を解消することができた。

出典:令和4年度春期 問4

設問1 表2中の  a    c  に入れる適切な字句を答えよ。

 

解答・解説
解答例

 a:スケールアウト
 b:関数 
c:キャッシュ

解説
準備中

 

 

設問2 〔システム構成の検討〕について,(1)〜(3)に答えよ。

 

(1)本文中の下線①について,IaaSと比較して運用コストを抑えられるのはなぜか。40字以内で述べよ。

 

解答・解説
解答例

 PaaSやFaaSでは,OSやミドルウェアのメンテナンスが不要だから

解説
準備中

 

 

(2)本文中の  d  に入れる適切な字句を,表2中のサービスの中から答えよ。

 

解答・解説
解答例

 CDN

解説
準備中

 

 

(3)本文中の下線②にある問題とは何か。30字以内で述べよ。

 

解答・解説
解答例

 バッチ実行時間が上限の10分を超えてしまう問題

解説
準備中

 

 

設問3 本文中の  e    g  に入れる適切な数値を答えよ。

 

解答・解説
解答例

 e:8 f:2,600 g:1,800

解説
準備中

 

 

設問4 〔オンラインレスポンスの課題と対策〕について,(1),(2)に答えよ。

 

(1)本文中の  h  に入れる適切な字句を,表2中のサービスの中から答えよ。

 

解答・解説
解答例

 FaaS

解説
準備中

 

 

(2)本文中の下線③の回避策とは何か。40字以内で述べよ。

 

解答・解説
解答例

 20分未満の間隔でFaaS上のアプリケーションを定期的に呼び出す。

解説
準備中

 

 

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IPA公開情報

出題趣旨

 昨今,システムの構築及び運用の効率性を向上させるために,クラウドサービスを活用することが定着しつつある。
 本問では,クラウドサービスを活用した名刺管理サービスを題材に,システム構成及び性能要件を満たす適正なサーバリソース及び料金の見積り,クラウドサービスに関する理解を問う。

採点講評

 問 4 では,クラウドサービスを活用した名刺管理サービスを題材に,システム構成及び性能要件を満たす適正なサーバリソース及び料金の見積りなどについて出題した。全体として正答率は平均的であった。
 設問 1 の a は,正答率が低かった。PaaS の特徴の一つに,トランザクションの負荷に応じてサーバリソースをスケールアウト及びスケールインできることが挙げられる。問題文中に示された条件を過不足なく読み取り,正答を導き出してほしい。
 設問 4(2)は,正答率が低かった。オンラインレスポンスの課題の原因である,FaaS の制約を回避するためには,トランザクションの実行間隔を制御する必要がある。その間隔の値を誤った解答が散見された。問題が発生する境界値を正確に把握することは,システムを設計する上で重要であることを理解してほしい。