AIにおける機械学習の過程において,過学習と疑われたときの解消方法として最も適切なものはどれか。
- 訓練した時と同じ精度を出すために,訓練データをテストデータとして使用する。
- 精度を高めるために,元の訓練データに加工を施し,訓練データの量を増やす。
- 予測した結果に近づけるために,モデルをより複雑にする。
- より多くの未知のデータに対して予測できるように,汎化性能を下げる。
解答
イ
解説
AIにおける機械学習の過程で過学習が疑われた際の解消方法は、次のようなものがあります。
- より多くの訓練データを収集する
- モデルの複雑さを軽減する
- 特徴量の見直しと削減
- 正則化(Regularization)を導入する
- データ拡張(Data Augmentation)
- バッチ正規化(Batch Normalization)
- アンサンブル学習(Ensemble Learning)
- 訓練した時と同じ精度を出すために,訓練データをテストデータとして使用する。
訓練データで学習したモデルを同じ訓練データで評価すると、過剰に良い結果が出てしまい、モデルの汎化性能(未知のデータに対する予測能力)を正しく評価できません。過学習の兆候を見逃す可能性が高くなります。テストデータは、モデルが学習に一切触れていない未知のデータを使用する必要があります。 - 精度を高めるために,元の訓練データに加工を施し,訓練データの量を増やす。
適切です。
データ拡張は、既存の訓練データに様々なランダムな変換(回転、移動、拡大縮小、ノイズ付加など)を施すことで、実質的に訓練データのバリエーションを増やし、モデルが訓練データの特定の特徴に過剰に適合するのを防ぎ、汎化性能を向上させる効果があります。 - 予測した結果に近づけるために,モデルをより複雑にする。
モデルをより複雑にすることは、訓練データに対する適合度を高める可能性がありますが、過学習を悪化させる可能性が高いです。過学習は、モデルが訓練データのノイズまで学習してしまうことで起こるため、複雑なモデルほどそのリスクが高まります。 - より多くの未知のデータに対して予測できるように,汎化性能を下げる。
過学習の解消の目的は、汎化性能を向上させることです。汎化性能を下げることは、未知のデータに対する予測能力を意図的に悪くすることになり、過学習の解決策としては逆効果です。
参考情報
分野・分類
| 分野 | テクノロジ系 |
| 大分類 | 基礎理論 |
| 中分類 | 基礎理論 |
| 小分類 | 情報に関する理論 |
出題歴
- AP 令和7年度春期 問3